私と妹紅は団子を食べ終わり、彼の話をしていた。
「私たちそもそもなんで彼を引き取るって言ったんだろう」
「体がそうしろって言ってたみたいな感じなのかな」
「それが一番近いのかぁ」
「けれど今私たちは彼をどうしていけばいいのか全くわからない」
「妹紅の言う通りなんだよね」
「けれど、また彼がきてから直感でわかるんじゃないか?」
「そうだといいけれど、あまり勘に頼りすぎない方がいいと思うよ」
「妖夢は仕事で勘なんて使ったらものすごく怒られるのか?」
「いや、そういうわけじゃあないけれど…」
「じゃあいいじゃないか」
「うーん…」
「今私達に出来ることは平常を過ごすことだって言ったよね?」
「難しいなぁ」
「そんな難しく考えないでよ、私なんてしょっちゅう子供見てるんだからちょっとは信頼して欲しいよなあ」
結局このような話が続いてしまい、彼が来てから何をすればいいのか決めることはできなかった。しかし、私は物事を難しく考えすぎなのかもしれないと思い少し気が楽になったような気もした。
「んじゃあまた今度ね、明日になってやっぱりなにかしてあげなきゃとか言うんじゃないよ?私に任せな」
「うん、ありがとう、またね」
私の足取りは、来た時よりも軽くなっている気がした。
*
「ウドンゲ、何か動きはわかった?」
「はい、永琳様。彼はまだ自分が魂魄分家であることを知らないようです。」
「つまり、あの子は自分が半人半霊であることも知らないのね」
「たぶんそうだと思います」
「なるほどね、預け先があの食いしん坊の所だから、何か変なこと教えなきゃいいけども…」
「一言言っておきましょうか?」
「いや、どうせアイツは知ってるよ」
「アイツ?」
「不老不死」
「なるほど、永琳様もアイツ呼ばわりするようになったんですか」
「そんなことはどうでもいいのよ」
「そうですか」
「私達もそろそろ動かなきゃいけないかもね」
「わかりました」
*
ー来たる引き取りの日、妖夢は幽々子から買い物を頼まれ外に出ていたー
「おお妖夢、早かったね」
「うん、幽々子様から買い物頼まれてるからパパッとやっちゃおうかなと思って」
「そうなんだね」
話しているうちに私たちは永遠亭の前にいた。
「よし、妖夢、行くよ」
「うん」
屋敷に入ると永琳が笑顔で立っていた。
「随分と早かったわね」
「うん、幽々子様から買い物頼まれてて」
「そうなのね、それじゃあこっちに来て」
私たちは彼のいる病室に向かった。
「足はしっかり治ったから、しばらくこの二人に見てもらってね」
「わかりました」
彼は落ち着いた口調で答え、続けた。
「よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね」
妹紅も笑顔で言った。
「じゃあ、行こうか」
私たちはそう言って永遠亭を後にして、人里へ向かった。
人里へ着き、幽々子様から頼まれた物を買いながら、男の子と話をしていた。
「そういえば、名前はなんて言うの?」
と妹紅は尋ねた。親のことしか聞いていなかった為、この子の名前を知らなかったのだ。
「...名字は永山、名前は...無いんだ...」
「無い...?」
と私は繰り返した。
「無いと言うか、本当はもちろん名前はあるけど、その名前は捨てた。昔あった名前は知らない」
私は何を言っているのか分からなかった。恐らく妹紅もそうだろう、ものすごくしかめ面をしている。
「...分からなさそうだから詳しく話すよ...」
そう言って男の子はゆっくりと話し始めた。
「僕の生みの親は、僕が物心つかないうちに、何者かに殺された。僕だけが助かって、僕は親戚に預けられ、育てられた。名前も新しく付けられ、しばらくはこの人たちの家族であると思っていた。だけど、全然違った。僕はこの親戚の家族がだんだん嫌いになっていき、ついに家出をしたんだ。親戚につけられた名前も捨て、僕は名無しの人となった。そしたら何処かから石が飛んできてこの様だ。これが僕がここにこうしている理由」
彼の話は私達の推測を大きく超えていた。家出をして彷徨い、この幻想郷に辿り着いたのだ。男の子は続けた。
「そして僕は、今から僕が名乗る名前を考えるんだ。もう決まったようなものだけど」
私たちは黙って男の子の言葉を聞いていた。
「『永山 紅夢(えいざん こうむ)』。妹紅の紅と、妖夢の夢で、紅夢。」
私達の名前が使われるとは到底思ってもいなかった。本当に彼には吃驚する。
「私らの名前なんかでお前の大切な名前を決めちゃって良いのか?」
妹紅は確かめるように声をかける。
「うん、二人に助けられたんだから...あと...気に入ったから...」
彼は恥ずかしそうに答える
「それじゃあ、よろしくな、紅夢」
妹紅が笑顔で返事した。
「よろしく、紅夢」
私も笑顔で返事した。
紅夢との新しい生活が始まった...
今回も読んでくださりありがとうございます!
今回はかなり内容が多かったですね。ああこの文字数は基本期待しないでください…((