東方永魂録   作:よつやれおん

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第六話

「...で、この子を匿ってほしいと...?」

 

 私たちは買い物を終え白玉楼に到着し、妹紅から幽々子様に直々に交渉をしていた。

 

「そうなんです、この子は今生きる場所が無いんです、お願いできま...」

 

 妹紅の言葉を遮り、幽々子様はキラキラした目で答えた。

 

「頼みたいのはこちらの方よ、妖夢よくやったわね。あなた本当に可愛い子ねぇ、名前なんて言うの?」

 

 早速紅夢に話しかけていた。

 

「永山紅夢です。よろしくお願いします」

 

 紅夢は丁寧にお辞儀をした。

 

「よろしくね紅夢、あなた疲れてるんでしょ、お茶でも飲みましょう、妖夢、お茶を4人分出しなさい」

 

「はい、幽々子様」

 

 私に向けて妹紅はウィンクして、言った。

 

「紅夢と幽々子さん、上手く合ったみたいで、良かったよ」

 

「本当にその通りで」

 

 私は嬉しくなって笑った。

 

 お茶を出した後、私は妹紅と話をしていた。

 

「上手く合ったのは良かったけれど...紅夢は足を怪我しているから、まだ心配だよ」

 

 私は紅夢が無事に住む場所を見つけられた事に安堵する一方、足の怪我に心配をしていた。

 

「その件は、私と永琳先生に任してください」

 

「れ...鈴仙、お前も心配で付いてきたのか?」

 

 妹紅がすかさず反応する。

 

「いや、いきなりいなくなったので、助手の私に付いて行けと指示が出たんですよ。そうしないと、まともに居場所も知らずにフォローするなんて無理な話でしょう?」

 

 確かに鈴仙の言う通りだ。永琳に何も言わずに永遠亭を出て行ったことに今更気づき、申し訳なくなってしまった。

 

「私も協力するからもし何かあったら声かけてください、それでは私忙しいから帰りますね、また一週間後に。」

 

 そう言って鈴仙はすぐに駆けて行ってしまった。

 

「紅夢って、恵まれてるな」

 

 妹紅は呟く。

 

「見つけてもらって、怪我の治療してもらって、住む場所もらって、今は遊んでるんだから、呑気なものだよ」

 

「確かにね」

 

 私も同情の声をあげる。

 

「けれど、幸せそうで良かった。なんか本当にお母さんになったみたい」

 

 妹紅も頷く。

 

「じゃあ、またここに来るから頑張ってね」

 

 そう言って妹紅も帰って行った。もう日も西に傾いてきた。私は十二人前の夕食を作り始めた。

 未だに妹紅の言う、紅夢が半人半霊であるということが信じられないでいる。まだ人魂の気配が感じられないからだ。もしかすると、紅夢は、私がまだ小さい頃に聞いた、別タイプの半人半霊なのかもしれない。〇〇人みたいな感じだった気がする。何という名前だったか、思い出せそうで思い出せない。

 むしろ紅夢が半人半霊だというのも妹紅の思い違いなのかもしれない。

 

「僕も準備手伝うよ」

 

 いきなり後方から声をかけられ、私は吃驚してしまった。

 

「え、あ、できるの紅夢?」

 

 しどろもどろな返答をしたせいか、紅夢は少し不思議そうな顔を浮かべたが、すぐに笑顔で言った。

 

「うん!」

 

「じゃあ、そこの野菜を切って大きいざるに入れておいてくれる?」

 

 紅夢は質問を返す。

 

「これは野菜炒めに使うの?それによって切り方が変わると思うけど」

 

「そうそう、よろしくね」

 

 野菜を紅夢に頼み、私は肉の準備をしていたが、意識は紅夢の方に向いていた。

 

「...紅夢って、器用なんだね」

 

「そう?ありがとう、一応毎日手伝いはしていたからね」

 

 親戚が嫌いだとは言っていたが、手伝いをたくさんさせられたのだろうか。まだ共に過ごし始めて少ししか経ってないため、紅夢のアクションひとつひとつに対して深く考えてしまう。

 

「...妖夢?出来たよ?」

 

「は、あ、うん、ありがとう」

 

 紅夢はまた不思議そうな顔を浮かべた。しかしあまり気にすることなくまた会話を戻した。

 

「妖夢、こんなにたくさん食べるの?」

 

「いや、私じゃ無いよ」

 

 妖夢は笑いながら答える。

 

「幽々子様は食いしん坊だから一人で十人前くらい要るの」

 

「誰が食いしん坊なの?」

 

 私はぎくりとした。幽々子様に聞かれてしまった、陰口は幽々子様の嫌いなこと、説教が待っている、そう思っていた。しかし幽々子様は笑顔で言った。

 

「紅夢君がいるからここは許してあげるけど」

 

 そして紅夢の方を向き

 

「まだまだ育ち盛りなんだから沢山食べるんだよ」

 

 と声をかけて自分の部屋へ帰って行った。

 

「幽々子様って、こうやって気配なく移動できるの、だから気をつけなよ」

 

 紅夢はまた不思議そうな顔をし、言った。

 

「僕、幽々子様が来たって分かったよ?」

 

 予想が確信に変わった。紅夢はただの半人半霊では無い、別タイプの半人半霊だと。妹紅に報告しよう。しかし紅夢にいきなりこんな事を言ったら戸惑うだろうから、とりあえず紅夢には...

 

「そうか、紅夢は凄いな、私分からなかったよ」

 

 そう笑顔で言った。そして続けて

 

「後、幽々子様は陰口が大嫌いな人だから、絶対にしないようにね」

 

「うん」

 

 紅夢はそう返事し、再び手を動かし始めた。

 

「もう手伝いはいいよ、助かったよ、ありがとう」

 

 紅夢はふうと息をつき、

 

「うん、こちらこそなんか色々とフォローしてくれてありがとう」

 

 と言い、去っていった。

 私の思考は紅夢のことで埋まっている。いつか解決してくれと、そう願いながら私は夕食を作り続けた。

 

 夕食を食べながら、紅夢は幽々子様としりとりをしていた。

 

「め、メンチカツ?つ、、ツナマヨ!」

 

 幽々子様も楽しそうだ。

 

「ツナマヨねぇ、美味しそうねぇ、んじゃあ、よもぎだんご!」

 

 こんな日常的な会話を聞きながら、私は小さい頃に聞いた半人半霊の種類を次々と思い出していた。

 

“半人半霊とは、人間と幽霊のハーフであり、人間の身体に霊魂がくっついていて、普通は霊魂が体の周りを飛んでいて、周りに見える状態だが、霊魂が身体の中に入り込んだままであるタイプも存在する。ごく稀に、霊魂を、身体の中も外もどちらにでも自分の意思で動かせる『神躰人』という半人半霊もいると言われている。また、これらの判別法もある、それは....”

 

 判別法も思い出した私は、夕食を腹一杯食べて寝始めた幽々子様に気づかれぬよう、紅夢を手招きした。

 

「どうしたの?」

 

 紅夢の問いかけに私は答えた。

 

「ちょっと食後の散歩に出かけよう?」

 

 そう言って私は紅夢と夜道を進み始めた。




今回も読んでくださりありがとうございます!
前回、長い回を期待するなと言いつつも最長です。あと二回くらいは特別に作品が長いと思われます。
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