魂の行き着く先   作:しののめめ

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痛みを越えて

ペルシカ博士に連絡して数分後、急いで撤退してきたUMP45達が基地へ戻ってきた

 

「指揮官は無事かしら…指揮官に何かあったらただじゃおかない」

 

UMP45が珍しく語気を強めて言う、帰って来た彼女達を出迎えたのは満身創痍の指揮官だった

 

「お帰り、みんな無事だったかい?暖かいコーヒーでも入れようか」

 

彼女達もすぐに指揮官の異変に気付いた、何故そうなってしまったのかも

 

「指揮官…?右腕が無いみたいだけど誰にやられたの?」

 

「これは…俺のミスで鉄血の人形に持ってかれちまったんだ」

 

AR小隊は悪くないんだ、指揮官が言った言葉は彼女達の耳には届いていない

 

「説明してくれるかしらAR小隊、してくれるわよね」

 

必死に平静を装っていても手に籠った力を隠す術をAK-12は知らなかった

 

「説明もなにも…指揮官の命令だった」

 

M16が自分達の罪を誤魔化すように言う、そんな言葉が聞きたかったのではない。作戦前に繋がりかけていた絆は跡形もなく消え去ろうとしている

 

「命令?命令だったらアンタ達は指揮官の右腕を平気で持っていくわけ?」

 

「流石16Lab様の特別製は"知性"があるわね」

 

416が指揮官の事を心配そうに見つめながらAR小隊に言い放つ

 

「じゃあお前らは右腕を持っていかずに済んだのか?」

 

M16が416を睨み付けながら毒を吐くように言葉を吐く

 

「むしろ出来ないのかしら?」

 

指揮官を間に挟み両者は険悪な雰囲気を隠そうとしない

 

「もう止めてくれ!悪いのは俺なんだ…俺はみんなが無事だったら腕の一本くらい失くなったっていい」

 

指揮官の悲痛な叫びに流石の両者も矛を納めた

 

「これだからエリート気取りの特別製は嫌なのよ」

404小隊は416のその言葉を最後にハンガーから去っていった

 

「私達だって…全力だったのよ!」

 

M4も我慢ならずに叫ぶ

 

「指揮官、これ返しておくわね。また後で」

 

AK-12達も指揮官から借りたヘルメットを返却し、ハンガーから去っていった

 

「ごめんなさい…ごめんなさい……」

 

M4が横で泣き崩れるのを見て、指揮官はどうする事もできなかった。

 

それからかなりの時間が立ち、ようやくペルシカ博士が到着した。既にAR小隊以外のメンバーも再びハンガーに集まってきている

 

「待たせたね指揮官、言われていたもの持ってきたよ」

 

ペルシカ博士が持っていた大型のアタッシュケースを机の上に置いて開くと中から出てきたのは生身の人間となんらかわりなく見える義手だった

 

「急な連絡だったのに用意してくれるとは…流石だよ博士は」

 

「当然のことだよ、後はサイズが合うといいけど」

 

「そうだな…とりあえず着けてみよう」

 

指揮官が義手を失くなった部分に宛がう、サイズは問題無さそうだ

 

「完璧だ、後はこれを縫合してシステムと神経をリンクさせれば良いんだっけ?」

 

「うん、そうなるね。時間のあるときに16Labまで来てくれれば対応する」

 

「それじゃあ、AR小隊の四人は私についてラボに帰るよ。それじゃあね指揮官」

 

そう言うと博士は四人を引き連れてそそくさと帰りのヘリコプターに乗り込んでしまった。彼女達のメンタルケアを行ってくれるのだろう

 

「指揮官…本当に大丈夫なの?」

 

残ったメンバーがこぞって心配をしてくれる、彼女達のためにもいっそう頑張らないといけない。そう心に決めた指揮官がそこにはいた

 

「あぁ、大丈夫だよ。後で皆にお願いがある」

「その前に…今日はもう休もう、君達は特にね」

 

「今配給用の人形が軽食とドリンクを持ってきてくれるから、今日はそれを食べて明日に備えておいて」

 

その言葉を最後にその日は幕を閉じた、夜が明けて次の日の朝、AR小隊以外のメンバーが指揮室に集められた。

 

「おはようみんな、まずは集まってくれてありがとう」

 

「昨日も言ったけど彼女達を責めないであげてくれ、お願いだ」

 

それを聞いていた404のメンバーはさそがし不服そうだったが指揮官の為と割りきった、いつものようにG11は話を聞いていなかったが

 

「さて…腕が装着できた後の話になるんだが現場に復帰しようと思う」

 

現場に復帰、その言葉を聞いて彼女達は目を丸くして驚いた。指揮官が現場に赴くなど有り得ない

 

「どうしてかしら、私達じゃやっぱり約不足だった?」

 

「約不足なんかじゃないよAK-12、君達を守るために俺ももう一度戦おうって決めたんだ」

 

いつになく真剣な顔の指揮官を見て文句を言おうとする人形は誰もいなかった、むしろこぞって訓練に誘おうとする者ばかりだ

 

「そこまで言うなら私達が訓練に付き合ってあげてもいいわよ?指揮官?」

 

指揮官の争奪戦で先陣を切ったのはUMP達404だった、G11を除いて

 

それを横目にAK-12も負けじと言葉を紡ぐ

 

「私とAN-94なら404より上質な訓練をさせてあげるわよ指揮官、どうかしら」

 

「待ってくれ、どうしてそんなに乗り気なんだ?」

 

二人が口を揃えて言った言葉を指揮官は永劫忘れることはないだろう

 

「それはもちろん、一人占めしたいからよ」

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