「指揮官、そこで失敗するのは何回目?」
あの発言から二日と少しの時間が立った今、指揮官は早速人形達が用いる仮想空間での訓練に参加していた。
「すまん…どうも対応が出来なくてな」
AK-12の訓練は厳しめ、UMP45の訓練は厳しくはあるがきっちり褒めてくれたりする
「このままじゃ貴方を失うことになる、私は認めないからね指揮官」
AK-12も優しさはあるんだろうが失う恐怖が先行してしまっているようだ
「頑張ってるのは分かるわ、少し休憩しましょうか」
「助かるよ12、喉が乾いて死にそうだった」
指揮官の声を聞くのがとても心地いい、出来ることなら独り占めしたいくらいだ。そうは言っても404やAR小隊という大きなアドバンテージを確保しているライバル達がいる
「振り向かせてみせるわ…貴方を」
指揮官に聞こえないレベルの声量で呟く、指揮官は水を飲んでリラックスしていた。
訓練室の扉が開く、入ってきたのはUMP45と大きな箱を抱えているカリーナだった
「カリーナ?どうしてここに」
「指揮官さまに荷物を持ってきたんです…重かったので給料弾んでくださいね?」
「荷物はここに置いておくので、それじゃあまた!!」
カリーナは荷物を置くとさっさと部屋から出ていってしまった。台風のような子だ
「45はどうしてここに?」
「もちろん、12に絞られてるだろうから慰めに来たの」
「絞る?そんな事しないわよ」
見つめ合う二人の間に火花が見えた気がしたがきっと気のせいだろう、気のせいであってほしい。
「それは良いとして、あの荷物は?何も頼んだ覚えがないんだけどな」
「やっぱり指揮官に内緒だったんじゃない12、恥ずかしくて言えなかった?」
45は何が入ってるか知ってるらしい、ついに俺も嫌われてしまったのだろうか
「あー…その、指揮官にプレゼントがしたかっただけなのよ」
少し照れ臭そうに顔を背けてしまう12、普段からは想像できないたじろぎ具合だが何を頼んだのだろうか
「プレゼント?開けたら死ぬとか勘弁だからな」
「まさか、信頼してる相手にそんなことしないわよ」
「指揮官は何が入ってたら嬉しいの?」
早く開けてくれと言わんばかりの顔で見てくる12と興味津々でこちらを見てくる45、なんだか犬のようでとても可愛く思えてきた。
「ハンドガンとかだったら助かるな、新しい指に馴染むグリップが中々見当たらなくてさ。」
「後は各種アタッチメントとかかなぁ、日用品でももちろん嬉しいけどね」
「言い読みしてるわ指揮官、12が我慢できなそうだから早く開けてあげなよ」
45に促されて箱の封を切る、何が入っているか不安だし楽しみだ
「開けるからな、12」
「うん、開けてちょうだい」
心なしか二人ともそわそわしてるようだったが理由はわからない、とにかく箱を開けてみる
「これは…M1911?」
中身はかなり近代化の施された1911のようで、弾の入ったケースとご丁寧にウェポンライトやサプレッサー、ロングマガジン等が用意されていた。
「こんな1911見たことないくらいに綺麗だ…こんなのをどこで?」
箱から取り出し安全なのをしっかり確認してから各部のチェックを始める
「その1911はカリーナがブラックマーケットから見付けてきた洗浄済みの個体なの、元々純正だったけど指揮官に合うように12が寝ないで調整したらしいよ?」
「ちょ、それは言わない約束でしょ?」
どうやら俺の知らないところで二人はいつの間にか親睦を深めていたようで、俺としてはありがたい限りだ。
「あら、そうだっけ?まぁ良いじゃない。指揮官が幸せそうな顔してるよ?」
「ホントね…あの笑顔には敵わないわ」
「同感、でも指揮官は渡さないからね」
親睦を深めても、俺を取り合う気なのは変わらないらしい
「12がカスタムを…ねぇ、ちなみにどこを?」
「話すと長いわよ指揮官、それでもいい?」
いつもの面持ちに戻った12にそう切り出されたが気になったし休憩中だったので聞くことにした。
「聞かせてくれ、気になる」
「良いわ、どこから話そうかしらね」
「12のこだわったポイントから言えば?」
「…アンタ覚えときなさいよ」
「怖いんだから~指揮官の前だよ?」
45は相も変わらずそこら辺に転がってる物資が入ってた空きコンテナに腰かけて俺達二人を見守りながら楽しそうにしていた
「まず何よりも軽量化の為にフレームを丸ごとキンバーの物に交換したわ、次にセーフティをアンビにしたりトリガーをストレートタイプに交換もした」
聞いてるだけで金のかかったカスタムなのが分かる、そもそもキンバーのパーツをどこから見付けてきたのか。それは聞いたらダメな問題かもしれないので聞かないことにする。
「凄いな…俺が一番気になってるのはこのグリップ、凄く手に馴染むんだが」
「それは…えーっと……」
「言いなさいよ12、私に自慢してきたみたいにさ」
言わないなら私が言う。そんな顔を45がしていた
「…指揮官の右腕を丸ごとスキャンしたのよ、そのデータを元に3Dプリンターで自作した。指揮官の為だけに用意した特別なグリップなの」
「なるほどな…道理で馴染む訳だ」
「ごめんなさい指揮官、気持ち悪かったわよね」
今日の12はいつになく感情を俺に表してくれる。気持ち悪くなどあるものか。
「そんな事ないよ、良くしてくれてありがとう」
「おっと…そろそろ戻らないと416に怒られちゃうかも」
何かを察したのか45が出口に向かっていく、部屋から出る直前に45が振り返って言った
「私からのプレゼントも入ってるからね?指揮官!」
そう言うと足早に45は出ていってしまった。
「45からも…?俺も416に怒られちゃうかもな」
苦笑いしているとおもむろに12が近付いてきた、何か言いたげだ
「どうしたんだ…?12」
「教えてほしいの、この感情が何かを」
指揮官の隣に腰掛けながら12が言った。
「どんな感情なんだ?俺に解決できるといいな」
「指揮官を見ると心臓の所のセンサーがおかしくなるの、人間で言うところのドキドキ?するって奴かしら」
「なるほど…他には?」
「指揮官を私だけの物にしてしまいたい、出来れば指揮官を部屋から出したくないの」
12はどうやら本気のようだ、ちゃんと向かい合って解決していかないといけない。
「それは…恋っていうんだよ。俺だって12が好きさ」
「君と94を引き取った時からそういう感情はあったのかも」
それを聞いて12は複雑な表情だった
「どうして94じゃなくて私を?」
「94を一人で守り続けてた君を守ってあげたい、そう思ったんだ」
「12が時おり見せる悲しそうな顔を見たくないしね、基地のみんなは好意。12に抱いてるのは明確な好きって感情かな」
「なるほどね…それが聞けてスッキリした」
「12?」
「指揮官、いや貴方を必ず守って見せる。」
「その為に私も心を鬼にして貴方を鍛えて見せる」
「よし、そうと決まれば箱から残った物を取り出して訓練の続きをしないとな」
席を立った指揮官が箱から次々中身を取り出していく
「45からのプレゼントは…45口径のホローポイント弾か、ずいぶん実用性の高い物を」
「とりあえずサプレッサーとウェポンライトは付けておいて、と」
指揮官が手を止める、箱の中に正体のわからない小箱が入っていたのだ
「その小箱はまだ触っちゃダメ、貴方の覚悟が決まったら開けてほしい」
「了解、じゃあ後で俺の部屋に運んでおくよ」
「ありがとう、じゃあ続きをしましょう?」
この苦難を乗り越えていけば何かが見えてくる、そう信じるしか無かった。
「」