魂の行き着く先   作:しののめめ

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平和な日

訓練終わりのディナータイム、久しぶりに指揮官と人形達が揃ってご飯を食べる貴重な時間になった。

 

「ねぇ指揮官、私達って何食べてるの?これ」

 

45が食べやすいサイズに切り分けたステーキを口に運びながら言う、思い返せば何を材料にしているのかまでは気にしたことがなかった。このご時世合成食料に違いないが。

 

「まぁ合成肉だろうなぁ…もしかして不満か?不満なら少し予算を割くのも考えるが」

 

「不満って訳じゃないの、人形が人間と同じ合成食料食ってるのよ?こんな待遇他所じゃ考えられない」

 

「そうですよ指揮官、本来人形に与えられる食料は良くてレーションで大体が食事無しです」

 

45の横に座る416も同じ意見のようで、しかし人形と人間に大して変わらないし何より俺からすれば家族のような存在な訳で。

 

「美味しい食事をすれば元気が出るだろ?それに君達の笑顔が見たいんだ」

 

「そんなんだから皆に好かれるのよ?指揮官ってば」

 

トレーを持ったAK-12が指揮官の横に座って食事を始めると対面の45 416を含めて食堂中の人形は悔しそうな顔をする、何がそんなに悔しいのか指揮官にはまだ分からなかった。

 

「ちょっと、当たり前のように指揮官の横に座るじゃない」

 

「あら、勝負はもう始まってるんでしょ?早い者勝ちよ」

 

12がフォークで45を指差した、45は悔しそうだが同時に笑顔でもある。

 

「ふーん…今日のところは譲ってあげる、今度は私が先だから」

 

「楽しみにしとくわね、おチビちゃん」

 

「コラコラ、食事中に火花を散らすんじゃありません…」

 

指揮官も自分のステーキを口に運びつつ呟く、それはいつ叶うかも分からない遠い未来の事。

 

「いつか、こんな平和な日が続けばなぁ…」

 

「指揮官ならきっと出来るわよ、皆が信じてる」

 

12が指揮官に微笑みかけ、食堂中の人形達も頷いてくれている。

 

「そっか…頑張らないとな、もっともっと」

 

「私達と一緒にね」

 

そんな会話を繰り広げつつ、数十分に及ぶ食事が終わると各々が自分の持ち場に戻っていく。残ったのは指揮官を含めて四人だけになった

 

「そういえばさっき言ってた食事に予算を割くってどういう事?」

 

食後のコーヒーを楽しみながら45が質問してくる、若干期待されているような感じだ

 

「カリーナ曰く食料の貯蔵庫を見付けた~って言っててな、提供してもいいけど金払えと」

 

416が淹れてくれた紅茶を飲みながら指揮官も返答していく

 

「カリーナってばホントに色々見付けてきてくれるわよね…観察眼が凄いのかしらね」

 

12もどうやら興味津々のようだ、ここまで来ると気になるのはやはり値段だろう

 

「実はそこまで高くない、俺の給料2ヶ月分くらいでなんとかなる」

 

「2ヶ月分は十分高いと思いますよ指揮官…」

 

指揮官の横に立って紅茶の具合を伺っていた416が突っ込みを入れてきた

 

「高いか?俺の給料で君達の笑顔がもっと輝くなら安いもんだよ」

 

「しかし…それでは指揮官の生活が苦しいのでは?」

 

「カリーナに後で連絡してみます、その後に考えてください指揮官」

 

416の説得でなんとか止まった指揮官だったが、給料2ヶ月分以上の厄介事は直ぐに訪れることになる。

 

「さて、そろそろ仕事に戻ろうか」

 

その言葉のすぐ後に誰かが食堂に駆け込んできた、随分と急いでいるようだ

 

「M4?まだ食堂は閉まらないからゆっくり来ればよかったのに」

 

「ご飯は良いんです、大変ですよ指揮官」

 

「大変?どうかしたのかい」

 

指揮官や食堂にいる面々の表情が一気に引き締まる

 

「数十分前に確認できた事ですが所属不明の兵士達が接近中です」

 

所属不明と聞いて咄嗟に考えるが恨みを買った覚えはない、だが何かしらの件なのは間違いないだろう

 

「なるほどね…到着予定は?」

 

「15分後です、迎撃しますか?」

 

「もちろん、基地の子達に召集を掛けろ」

 

いつになくやる気の指揮官に少しばかりメンタルモデルの調子を崩されるも彼女達はすぐに行動に移る。

 

「君達が鍛えてくれた分俺も頑張るよ、約束する」

 

「もう守られるだけの情けない男じゃないってことを見せられるといいな」

 

新たな決意を胸にしっかりと仕舞い込み仕事の準備にかかるのだった。

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