404小隊のクズ達とヘリコプターに揺られて作戦区域に向かう最中会話は一切無かった、AN-94とさえ。向こうは何か話しているようだったが関係ない。
出発してから数十分ほどで作戦区域に着陸し、M4が合図を出してヘリコプターを基地に送り返す。
そこからさらに数分ほど歩いて潜伏場所へと向かった。
「ブラボーチームからウォッチャーへ、潜伏場所に到着したよ。」
「エコーチームからウォッチャーへ、こちらも潜伏場所に到達。」
「ウォッチャーから全部隊へ、了解しました。そのまま待機を続けて。」
ここからはM4達の準備が完了するまで待つ必要がある、鳥のさえずりさえ聞こえないのが不安な気持ちを加速させていた。
「こちら派遣されたチームです、AR小隊聞こえますか?」
無線からそう聞こえた、すぐさまM4が返答する。
「こちらAR小隊です、そちらの人数と名前を教えてください。」
「こちらの人数は二人、M1919a4とSVDです~!」
「了解しました、ポイントを送信するのでそこで落ち合いましょう。貴女達は今回デルタチームと呼称します。」
「デルタチーム了解、獲物はどこだ?」
やれやれ…またアホそうな二人組が来た物だ、AK-12は少し苦笑いをした。
「今どきセミオートのマークスマンと型落ちのマシンガンなんてなんの役に立つって言うのかしら…」
無線のスイッチを切ってからAN-94には聞こえないように呟きため息を吐いた。あんな奴等のお守りで死ぬのはごめんだと自分に言い聞かせる。
その時M4から指令が出た。作戦開始だろうか?
「ウォッチャーから全部隊へ、敵は格納庫付近に固まっており中央ゲートは比較的手薄ですが余裕とも言えません。地下への入り口は格納庫しかないのでなんとか格納庫まで辿り着く必要があります。」
「まず中央ゲートからブラボー、エコーの2チームで侵入してもらいます。基地に侵入し次第私達が山から火力支援を行うので識別ビーコンを忘れないように。何か質問は?」
「ブラボーチーム特に無し。」
「エコーチームも特に無いわ。」
覚悟を決めろ、覚悟を決められなければ死ぬのは自分だと言い聞かせ少しでも不安を払拭した。
「それでは作戦開始、生きて帰りましょう。ウォッチャーアウト」
「行くわよエコーチーム、鈍かったら置いてくからね。」
いきなりこれか、どこまで煽れば気が済むのか彼女には分からなかった。
「遅れるとでも?エコーチームはブラボーチームに続くわ。行くわよ94。」
「了解12、気を付けてね。」
AN-94に励まされた、不安なのは彼女もだろうに。無事に作戦を終わらせてこの子を励ましてあげようと心に誓った。
周囲の警戒をブラボーチームと共同して行いながら無人都市を抜けて基地の中央ゲートを目指す、その間目立った障害は特に無かった。
「止まってエコーチーム、敵がいるわよ。」
右手をあげてUMP45が静止を促してくる、目を凝らすと鉄血の人形が複数警備に当たっていた。ここで奴等を吹き飛ばすのは造作もないがUMP45に指示を仰ぐ。
「どうするのUMP45、まとめて始末する?」
「そうしましょうか、ブラボーチームからウォッチャーへ。聞こえますか?」
「こちらウォッチャー、どうかしましたか?」
「中央ゲートを鉄血の人形が警備している、確認できる?」
M4はスコープを覗きこんで中央ゲートを確認する。
「確認できました、援護は必要?」
「どうする?AK-12、あんたなら殺れそうだけど?」
UMP45がこちらを見て問い掛けてくる、この程度造作もないことだ。
「勿論よ、貴女達は左の二人を。私と94で残りを始末する」
「ブラボーチームからウォッチャー、中央ゲートを抜けた先の人形達を見張っておいて。ブラボーチームアウト。」
「さぁ、始末しましょうか。合図は任せたわAK-12。」
「了解、3カウントで発砲して。」
UMP45が頷く、準備はできたようだ。
「行くわよ、3.2.1.撃て。」
瞬間、警備に当たっていた鉄血の人形達それぞれに血の薔薇が咲いた。
「クリア。」
辺りに静けさが戻ってくる、嫌いな静けさが。
「こちらエコーチーム、ウォッチャー聞こえる?」
「ウォッチャー聞こえています、ゲートを抜けた先の人形達にはバレていません。そのまま前進。」
「エコーチーム了解。行きましょうブラボーチーム。」
「先頭は任せてAK-12、中々やるじゃない?」
この言葉は本当なんだろうか、嘘でも良いが作戦に私情は厳禁だ。
「後方の警戒はする、大丈夫?94。」
「うん、大丈夫。今のところは。」
滑り出しは順調だったが1人だけ気にくわない人形がいた、HK416だ、彼女は自分がAKなんかより優秀だとアピールしたかった。
「クソ…AKとかいうゴミのクセに……!!」
「聞こえてるわよ416、まぁいいじゃない?私達も楽が出来るし。」
UMP45が宥めようとするも彼女は更にヒートアップしていく。
「うるさい!あんな奴と共同して恥ずかしくないの!?私は死ぬほど恥ずかしいわ!!」
「だったら死ねば?足引っ張るやつは404に要らないの。」
UMP45が冷たく言い放つ、有無を言わさないような圧力の掛け方だ。
「クソ…分かったわよ、今は協力してあげる。」
流石に隊長には勝てなかったようだ、この女は完璧とは程遠いポンコツだな。こんな女に負けるような奴そうそう居ないだろう。
「私語はそこまでにしてエコー並びにブラボーチーム、和を乱さないで。」
聞こえていたようで、注意されてしまった。
「エコー了解、気を付けます。」
「ごめんねM4、後で416には言っておくよ。」
「そんなことよりそろそろ中央ゲートよ、中央ゲートを抜けたら援護を開始します。」
「ブラボー了解っと。」
「エコーも了解、進軍します。」
「私達デルタチームに任せておけば大丈夫さ、ハンターの私を信じろ!」
SVDとかいう人形がそう言い放つ、よほど自信があるようで。そう話していると中央ゲートに到着した。
「中央ゲートに到着した、ブラボー並びにエコーは侵入する。」
「ウォッチャー並びにデルタチーム了解、援護を開始します。」
SVDは少し興奮していた、久しぶりの作戦で英雄であるAR小隊と組むことができたからだ。その興奮が命取りになるともしらずに。
「M1919はその場で待機、お前は当面スポッターを頼む。」
「了解だよSVD!しっかりと作戦をこなそう!」
「ブラボーチーム接敵した、発砲許可は?」
「ウォッチャーからブラボーへ、SVDが対応します。」
「了解、頼んだわよSVD。」
「この私に任せろ、ハンティング開始だ。」
甲高い発射音が山の方角から響くと目の前の人形の頭が見事に吹き飛んでいった。ここからは派手に戦えそうだとUMP45は少しばかり気分が高揚した。
「戦闘開始、格納庫を目指して!」
「ブラボー並びにエコー了解、戦闘を開始する。」
「行くよAK-12とAN-94!ちゃんと仕事してよね。」
「言われなくてもするわ、行くわよ94!」
「うん、行こう!」
各々遮蔽物から飛び出し呆気に取られている鉄血の人形どもを始末していく、山の上からはAR-15とSVDが次々に頭を撃ち抜いていく。
「鉄血の人形なんて大したことないのよAK-12、ビビる必要はないわ。」
SMGならではのフットワークで敵を薙ぎ倒しながらUMP45がAK-12に焚き付ける。
「そうみたいね、これなら深度演算なんか必要ない。」
リロードを済ませたAK-12が正確に胸のチップを撃ち抜きUMP45が頭のメモリーを消し飛ばす。先ほどまで険悪だったとは思えないコンビネーションで。
作戦は順調かに見えたその時、歯車が狂い始めた。
「順調なハンティングだ、鉄血も大したことないな!」
SVDが楽しそうに言い放ちリロードを終わらせて再びスコープを覗き始める。するとM1919が異変に気づいた。
「SVD!遠くに光が見えるよ!!」
「光…?あれのことか?」
SVDがスコープをそちらに向けたとき、スコープごと右目を貫かれた。
「SVD!!」
「クソ!右目がやられた!!」
スポッターを務めていたM1919がSVDを安全なところまで運び込み状態をチェックした。右目を綺麗に貫かれていたがメモリーは無事なようだ、これなら助かると確信したのも束の間。こちらの位置を知られてしまったようだ。
「ウォッチャーからブラボーチームへ!こちらの位置が露呈した!そちらに向かう!!」
「ブラボーチーム了解、格納庫で合流よ!」
「聞いたわねエコーチーム、突っ切るわよ!」
「了解、急ごう94。」
AN-94に視線を向けると不安そうな顔に戻ってしまっていた、どうにかして励ませないものか?AK-12は必死で考える。
「大丈夫よ94、無事に戻って貴女の食べたかったデザートを食べましょう?だから今は頑張るの。」
AN-94が少しだけ深呼吸をして強く頷いた。
「いい子ね、さぁ行きましょう!」
M4達は内心焦っていた、自分達の位置が露呈した以上SVDは見捨てる必要があったからだ。でも無駄にしていい命は人形であろうも一つもない。どうにかしなければ。
「ウォッチャーから指揮官へ、SVDが負傷しました!聞こえますか!」
「こちら指揮官、了解した。部隊を救出に向かわせるから持ちこたえてくれ。アウト」
「デルタチーム、救出部隊が向かっているから安全なところに避難していて。この識別ビーコンを渡しておくから無くさないようにして。また生きて会いましょう」
「行くわよAR小隊!格納庫に向かう!」
崖から素早くラペリング降下していきすぐさま見えなくなってしまった。
取り残されたM1919とSVDは不安で仕方なかった、本当に救出部隊はくるのか?救出された後はどうなる?不安で二人とも泣いてしまいそうだった。
「すまないM1919、もっと早くに気付いていれば…クソ」
見えなくなってしまった右目を庇いながらM1919に謝罪をした。何が順調なハンティングか、調子に乗った結果がこれだ。
「AR小隊を生で見て興奮しちまったんだ、不甲斐ない。」
M1919が慌ててフォローする。
「大丈夫だよ…SVDはまだ生きてる!きっと生きて帰れるよ!一緒に帰ろう?」
「あぁ、そうだな…はやく救出部隊が来ればいいんだけど。」
それから程なくして救出部隊が到着し、デルタチームは一足先に撤退を余儀なくされるのだった。
一方で格納庫に向かう3チームはとてつもない強敵と対峙していた。