魂の行き着く先   作:しののめめ

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エクスカリバー作戦:後編

目の前にいるのはスケアクロウだ、UMP45は反射的にAK-12とAN-94の方を見た。やっぱり萎縮している、ここは私達とAR小隊でなんとかしなければ。

 

「手柄を譲ってあげるよAK-12、トラウマなんでしょ?私達の気が変わる前にさっさと行ってエクスカリバーを確保してきて」

 

見透かされていた。自分達が本物のスケアクロウを見て震えているのを、恥ずかしくて消えてしまいそうだったが今は急ぐ必要があった。

 

「急いで94!ここから地下に向かってエクスカリバーを確保する!」

 

「わかった!行こう!!」

 

今回ばかりはAN-94もすんなり従ってくれた、辛そうな顔をしていたのも見えてしまったが。

 

スケアクロウはAK-12達を一瞥してUMP45達に視線を戻してこう言った。

 

「貴女たちが相手してくれるの?何分持つかしらね」

 

「言ってろ鉄血の屑鉄が、エクスカリバーを確保されちゃうよ?」

 

UMP45が茶化しながらも他のメンバーに脳内のリンクで戦闘プランを共有していた。もちろんAR小隊にも共有してある

 

「エクスカリバーなんかどうでもいいのよ、どうせ抑止力にしかならないもの。今回はあくまでも貴女たちの優秀な指揮官の手腕を見に来たの、私は捨て駒だからね」

 

「私達の指揮官を?お前ら鉄血が思ってるよりずっと優秀な人だよ、舐めてると今すぐ殺すよ」

 

UMP45の顔が怒りに染まっていくがスケアクロウはその反応を楽しんでいるようだ、わざと煽ったかのように。

 

「そんなだから舐められるのよ、I.O.P.の人形たちは。人間なんかに絆されるから」

 

「指揮官をバカにしたな?生きて返さないから」

 

瞬間、辺りが煙に包まれた。リンクで戦闘開始を告げると共に妹のUMP9にスモークグレネードを使わせたからだ。

 

「クソ…猫騙ししやがって!」

 

スケアクロウの反応が一瞬遅れた隙に各チームが散開して攻撃を始める。ビットの攻撃が激しく中々動き出せない。

 

「私に任せて!あんな奴やっつけちゃうんだから!!」

 

SOP2がコンテナから飛び出して威嚇射撃をしながら意識を自分に向けさせた。

 

「こっちに来なよスケアクロウ!私を倒してみろ!!」

 

スケアクロウの怒りが蓄積していく、その度にビットの攻撃も激しくなり段々とSOP2も回避が取れなくなってきたようで足に熱線が浴びせられる。

 

「いたっ…!?」

 

思わずよろけてしまう、だがこれも作戦の内だった。AR小隊の中で1番身軽な私が意識をこちらに向けさせた上で縁の下の力持ちであるAR-15にビットを始末してもらうのだ。

 

「今だよ!AR-15!!」

 

「任せて、全部落とすから」

 

AR-15が火を吹いた、一つ、二つ、三つと鮮やかに全てのビットを撃ち落としてみせた。これで奴も終わりだろう。そう思ったが甘かった。

 

「ビットを始末すれば倒せると思った!?甘いんだよ!」

 

スケアクロウが後方に飛び退いて資材が入ったコンテナの側面に着地し、そこを支点にジャンプする要領でこちらに向かってとてつもない速度で飛んできた。

 

「死にな!I.O.P.のグズ人形が!!」

 

握られた拳はUMP45を狙っている、これはもう避けられない。そう思うと腰につけていたグレネードを空中に放り出し叫ぶ。

 

「M16!これを撃ちなさい!!私の事は良いから!!」

 

「了解した、後で一杯奢れよ?」

 

躊躇なく引き金を引き、ちょうどスケアクロウが殴りかかった所でグレネードを弾丸を撃ち抜いた。けたたましい爆発音が辺りに鳴り響きスケアクロウの生首が転がってきた

 

「45姉!?大丈夫!!」

 

「大丈夫だって、このくらい私なら大したことないから」

 

そう言いながらも服はボロボロで右腕がどこかに飛んでいってしまったようだ。

 

「全く…無茶しないでよね。私達まで怒られるのよ?もうやらないでちょうだい」

 

416が呆れてそう言う、しかしその目線はスケアクロウの生首にあった。

 

「よくも面倒なことをしてくれたわね、どうせまた生きてるんでしょ」

 

スケアクロウがにやりと笑いながら話し始めた。

 

「言ったでしょ、捨て駒だって。」

 

どうせ負けてたもの、私達鉄血の歪んだ思想じゃいつかは負けてしまう。その結果を見ないで済むだけマシだ。そう思いながら目を閉じて鉄血のエリート人形としての人生を終えたのだった。

 

「ごめんねUMP45、あんまり手助けできなかったよ」

 

M4が申し訳なさそうに呟いた

 

「久しぶりの実戦なんだし仕方ないよ、この損傷じゃみんな戦えないから先に回収ヘリを要請しておきましょう。後はあの二人にかかってる」

 

UMP45が回収ヘリの要請を始めた一方でAK-12達は地下の格納庫に到着していた。

 

「こちらエコーチーム、エクスカリバーの格納庫に到着した。聞こえてる?」

 

「こちらウォッチャー、感度良好です」

 

「エコーチームはこれよりエクスカリバーのコアを回収する、回収チームは?」

 

「ブラボーチームが要請を出しています、15分後に上で合流しましょう。ウォッチャーアウト」

 

「だそうよ94、さっさとコアを回収していきましょう。」

 

「うん、コアをお願い。警戒は私がする」

 

AN-94が周囲の警戒を始める、地下とはいえ鉄血の警備がいないとも限らない。ここまで敵と一切遭遇しなかったのもその考えに拍車をかけていた。

 

「どう、回収できそう?」

 

「あと少しよ、生きて帰れたらUMP45に感謝でもするべきね…」

 

その時ウォッチャーから通信が飛んできた、嫌な予感がする。

 

「こちらウォッチャー!生き残りが基地を破壊しようとしてる!急いで回収して地上に戻ってきて!!こっちも敵を抑えてるから!!」

 

やっぱりか、こうなった以上早く仕事を済ませなければ。

 

「よし、回収できた!急いで脱出を…」

 

右脚がなくなっている、イェーガーに撃たれたAK-12はコアを庇いながら倒れ伏せた。

 

「12!大丈夫!?なんとかしないと…」

 

AN-94は慌ててこちらに駆け寄って安全なエクスカリバーの後ろに運び込んでくれた。

 

「私は大丈夫だけど、一人抱えながら走れる?コアがあるから銃が使えない…」

 

なんてことだ、AN-94を守るどころか私自身がやられているじゃないか?なんと情けないことか。自分の無力さを噛み締めた

 

「なんとかする、絶対に貴女を置いてなんかいかない…!」

 

AN-94がAK-12を肩に担いで動き始める、敵はAK-12が見付けてくれる。戦闘しか出来ない私を助けてくれた分を今ここで返してみせる

 

「階段の上、リッパーがいるから気を付けて。そこのリッパーを倒したあとは廊下の先にイェーガーが待ち構えてる」

 

「わかった、安静にしてて。すぐに戻ってくるから」

 

AK-12はその間に上のチームと連絡を取り合った、少しでも寂しさを誤魔化したかった。

 

「こちらAK-12、右脚が大破した。AN-94に頑張って貰ってる」

 

「ウォッチャーからAK-12、コアは回収出来た?」

 

「コアは無事に回収した、そっちの敵は片付いた?」

 

「なんとか、あと出発まで10分もないから出来るだけ急いでね。ウォッチャーアウト」

 

上の方で銃声が聞こえた、AN-94が戦ってくれているのだろう。電子戦が得意な私よりよっぽど戦闘力が高い彼女ならきっと大丈夫なはず。自分にそう言い聞かせた

 

「道を開けろ!帰らなきゃいけないんだ!!」

 

リッパーの銃弾を掻い潜りながら正確に頭を撃ち抜く、次はイェーガーだが奴は狙撃主。どうしたものか…その時頭を撃ち抜いたリッパーが目に入り作戦を思い付いた。

 

「12、リッパーの声帯をコピーしてイェーガーを誘き出せる?」

 

電子戦が得意なAK-12にしか出来ない作戦だ、すぐに返答は帰ってきた

 

「お安い御用よ、準備は良い?」

 

「いつでも。」

 

「イェーガー、I.O.P.の人形を始末した。こっちに来てくれないか!」

 

「了解した、少し待ってろ。」

 

上でイェーガーが動き始める音がした、まんまと引っ掛かったイェーガーはのこのこと階段の入り口に向かってきた。この距離ならナイフで十分だ

 

「お休み。」

 

入り口の影からイェーガーを引きずり込んで額にナイフを突き刺した。何が起きたか分からないままイェーガーは事切れた。

 

これで片付いた、12のを連れてここから脱出しよう。

 

「お待たせ12、助けてくれてありがとう」

 

「こちらこそ、ありがとね94」

 

エクスカリバーのコアをしっかりと抱えながらAN-94に担いでもらって地上へと戻り、ヘリコプターへ向かった。

 

「AK-12、ずいぶんやられてるじゃない?」

 

UMP45がニヤニヤしながら煽ってくる。

 

「あんたこそ右腕はどこにやったの?スケアクロウにでも喰われたのかしら」

 

「そうよ、スケアクロウに喰われちゃったの。こんなボロボロじゃ指揮官に怒られちゃうわよ?」

 

「そうね…さっさと帰りましょう」

 

不思議とUMP45との仲が深まった気がした、気のせいかもしれないが。ヘリの方ではM4が作戦完了の報告をしていた。

 

「こちらウォッチャー、作戦完了です指揮官」

 

「こちら、指揮官。ご苦労だった」

 

「帰投してきたら全員修理を受けろ、AR小隊はペルシカさんの所へ向かってくれ。以上だ」

 

長い一日が終わり、いつの間にか空は黒く染まっていた。ヘリコプターに揺られている最中指揮官に渡された端末を見つめていた、これを使う日が来ないことを祈りながら。ともかくエクスカリバー作戦は終わったのだからゆっくりしよう、そう思った。

 

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