丸恋日和   作:Shige_puni

7 / 10
前作の時系列に合わせて夏祭り回を書こうと思いましたが諦めました……
いつか小ネタ編で書きたいです


7話 恋とアメフトと

 ~2学期~

 

 夏休み終盤、アメフト部・Aqours共に夏合宿を行い、その後Aqoursは予備予選があった。梨子のピアノコンクールと重なって8人での出場となったが、だからこそ想いがひとつになるライブとなった

 

 

 そして9月も半ばとなった今日、高校アメフト選手権秋季大会が始まる。相手は春にも対戦して勝利した高校。正直言うとかなり格下だ。しかし静岡1位でないと関東大会に進めない。試合数が少ない分、ここでの負けは断じて許されない

 

監督「相手が格下だからと気を緩めるな。まずは初戦、大勝して勢いに乗ろう。圧倒的なパワーと圧倒的なスピードで圧倒的に勝つ!行くぞ!」

 

「「はい!!」」

 

 

 

「ハードタックル、レディーゴー!!」

 

 

 

……

 

 

 

 試合終了

 56-7

 

 まさに圧倒的であった。厳しい練習の成果と、相手選手の殆どがオフェンスとディフェンス両面出場というのも要因か。しかしもうちょっと得点でき、失点を抑えられたようにも思える

 

 

 

━━━━

 

 

 

 Aqours練習後。花丸自室

 

花丸(最近あんまり会えなくて寂しいな……)

 

 隼人は受験勉強&アメフト部の公式戦で、多忙な日々を送っている

 

花丸「そういえば、今日は試合って言ってたっけ……。連絡してみよう」

 

花丸「え~っと『今日の試合お疲れ様でした!結果はどうでしたか?』っと……」

 

 まだ不慣れではあるが、なんとかスマートフォンの無料通信アプリでメッセージを送る

 

花丸(疲れてるだろうし、今日は返信来ないかもな……ずらっ!?)

 

隼人『ありがとう~勝てたよ~!』

 

花丸(良かった……♪)

 

花丸『おめでとうございます! 圧勝でしたか?』

 

隼人『それが思ったよりは圧勝できなくてな。さっきまで反省会だったわ』

 

花丸『勝っても反省会なんですね……』

 

隼人『まぁね。でもそれは、次にもっと良い試合ができるようになるためだからね』

 

花丸(それは、マルたちも同じかも)

 

 ライブが上手くできても、細かい失敗はある。次のライブのためにそれを反省する。スクールアイドルでも同じことだ

 

花丸『それなら、次はもっと圧勝ですね!』

 

隼人『ハハッ。そうできるように頑張るよ』

 

花丸『応援してます!!』

 

隼人『ありがとう!』

 

花丸『ところで、浦の星で試合はするんですか?』

 

隼人『県大会最終戦だな。まぁ練習の合間にでも見てくれ』

 

花丸『わかりました。楽しみにしてます!』

 

隼人『おう!』

 

花丸『お疲れなのにありがとうございます!おやすみなさい』

 

隼人『あぁ、おやすみ』

 

 

 

 

━━━━

 

 

 

 ~数日後~

 

 静岡県大会最終戦

 両校とも全勝のため、この試合が事実上決勝戦と言っても過言ではない

 

監督「もう得失点差は関係ない。この試合に勝った方が優勝だ。いつも通り、お前らの力を見せてやれ!行くぞ!!」

 

「「はいッ!!」」

 

「行くぞお前らあぁぁぁぁ!!」

「おうッ!」

「ぶちかますぞォッ!!」

「おうッ!」

「絶対優勝すんぞォォォォォォッ!!!!」

「「「ファイ、オー、ファイ、オー、ファイ、オーーーーッ!、トゥーーッッ!!!!」」」

 

 

……

 

 

 一方のAqours。屋上にて練習の休憩中

 

果南「試合、始まったね」

 

花丸「……うん」

 

ダイヤ「精一杯、応援いたしましょうね!」

 

「「うん!」」

 

 

 そうこうしているうちにキックオフが終わり、浦の星オフェンスが始まる

 

 

……

 

 

 QBの指示が出され、各々所定の位置に着く。隼人と相手DLが半身だけずれて対峙する

 

DT「センター行こうぜ!」

 

隼人「DTよろしくぅ!」

 

 お互いに挑発し合い、テンションを上げる。試合中のこの2人にはいつものやり取りだ。因みにこの選手、静岡でも屈指のDLだ。彼にこちらのプレーが止められたのは一度や二度ではない

 

 補足だが、守備側前衛のDL(ディフェンスライン)にも役割分担があり、主に中央部を守るDT(ディフェンスタックル)や外側を守るDE(ディフェンスエンド)などがある。また、フォーメーションなどによっても異なってくる

 

隼人(花丸ちゃんやみんなのためにも、気合い入れて行くぜ!)

 

 

……

 

 

 第2クォーター終盤、一進一退の攻防を続け 14-14 の展開。浦の星の攻撃

 

QB「右プロIからBlast。コール1、レディ」

 

「「GO!」」

 

いつもの通りQBから指示が出て、所定の位置につく

 

QB「行きますDown。Set、Hut!」

 

隼人「ブリッツ!」

 

 ゴン!ガゴン!

 

 Blast。もはや定番のプレーだ。無論他にも様々なプレーを織り交ぜているが、浦の星のBlastは要注意、と他チームも警戒している。そのため、この時相手チームはブリッツを2人同時に仕掛けてきた。隼人たちオフェンスラインも反応はしたが、どうしても走路がつぶされる

 

 ピピーッ!

 

 殆ど前進できずプレーが止まる。2枚ブリッツならある程度仕方ないか。しかし選手が1人うずくまっている。どうやら浦の星の選手のようだ。激しい接触が多いスポーツであるため、ケガ人が出ることが少なくない

 

 

 

……

 

 

 

善子「ちょっと、誰か倒れてるけど大丈夫なの!?」

 

ルビィ「うぅ、人がもみくちゃになってて……あ、見えた!」

 

梨子「赤いユニフォームで69って、もしかして……」

 

花丸「お兄ちゃん!?」

果南「隼人君ッ!?」

 

 仲間に支えられながら立ち上がる隼人を見て、動揺が隠せない一同。しかし幸い大したことはなく、そのまま試合に出るようだ

 

鞠莉「みんな、気持ちは分かるけど、私たちが知ってるハヤトならきっと大丈夫よ」

 

ダイヤ「えぇ。今の私たちにできるのは、信じて応援することですわ」

 

花丸・果南「うん……」

 

花丸(お兄ちゃん……)

果南(隼人君……)

 

 

 

……

 

 

 

 そのまま敵陣深くまで攻めた浦の星アメフト部。しかしタッチダウンは取れそうになく、キックで3点追加 17-14

 其処でちょうど時間を使い切り、そのまま前半終了

 

監督「さっきはどうした隼人、大丈夫か?」

 

隼人「すいません、軽いももかんです。冷やしときゃ問題ないと思います」

 

監督「わかった。ゆっくり伸ばしながら冷やせよ」

 

隼人「はい」

 

 ももかん。太ももの強い打撲だ。太ももにもパッドは入っているが、全面保護ではないためしばしば起こる

 因みに結構痛い

 

マネージャー「隼人さん氷です!」

 

隼人「ありがと!」

 

 患部に氷袋を当てて軽くテーピングで固定し、ゆっくりストレッチする。後半戦のためにも、しっかりここで回復する必要がある

 

隼人(ふぅ~……。さて、気持ち切り替えて後半だ)

 

 

 

……

 

 

 

 後半

 江井を始めディフェンス選手が踏ん張るも、一本取り返されてしまう。17-21

 そしてキックオフで攻守交代し、試合を続ける

 

 だが次第に、隼人の様子が変わっていく。幾度となく対戦している相手DTは、その変化を肌で感じていた

 

DT(なんかいつもと違うな。何と言うか……止まらない)

 

 そう、止まらなかった。中央のランプレーは、堅実にゲインこそするが、一気に距離を稼ぐことは少ない

 それでも止まらない。ファーストダウン(攻撃権を更新)しまくって、敵陣へと進む。ブリッツなどお構いなく道をこじ開け、迸る気迫でフィールドを支配していた

 

隼人(……)

 

DT「ぐっ……!」

 

 もはや誰も止められない……。ゴール前ディフェンスで相手が前衛を固めた処で、もう手遅れだった

 

 ピピーッ!

 

 審判がタッチダウンのホイッスル!その瞬間

 

 

隼人「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 その咆哮は会場中に轟き渡り、見る者全てを圧倒していた

 

 

……

 

 

ダイヤ「手負いの獣は恐ろしいと言いますが……」

 

鞠莉「えぇ、いつにも増して気迫が凄いわ……」

 

果南「ビックリしたけど、ちょっと安心した……♪」

 

花丸「うん。お兄ちゃん、カッコ良いずら……♪」

 

 

 

━━━━

 

 

 

 試合終了 31-21

 ここに浦の星の静岡大会優勝が決定し、春大会に続き関東への切符を手にした

 

審判「ナイスゲーム!」

 

「「ありがとうございました!!」」

 

 そして、すれ違い様に言葉を交わす選手たち

 

DT「……負けたよ」

 

隼人「……おう。お前らの分まで、関東で暴れてくる」

 

 ガッチリと握手をして、お互いの健闘を称える。そしてその先の言葉は、口に出さなくても分かる

 

((またいつか、戦おうぜ!))

 

 

 

……

 

 

 

 続いて、応援席に向かって挨拶。家族・OB・クラスメイトらが見に来てくれていたが、いつの間に来ていたのだろう、Aqoursの姿が見える

 

隼人(なんか、尚更嬉しいな……!)

 

 じわじわと優勝の実感が湧き、嬉し涙で自分の顔がどうなっているのかわからない。だが何とか気持ちを切り替え、挨拶の号令をかける

 

隼人「気を付け、礼!」

 

「「ありがとうございました!!」」

 

 万感の思いを込め、様々な面でサポート・応援してくださった方々にきちんと頭を下げる

 

「優勝おめでとう!」

 

「「ありがとうございます!!」」

 

 せっかく堪えていた涙がまた溢れ出してしまった。尤も、それは選手だけではないのだが

 

 

 

 

━━━━

 

 

 

 

 挨拶やアメフト雑誌の取材などが終わり帰り道

 

隼人「あ~……ちょー疲れた。でもホント、優勝できて良かった~!」

 

江井「ホントだな。てかまた後半の隼人はマジでどうしたあれ?」

 

隼人「正直、はっきり覚えてないんだよな。でもなんかランが止まる気がしなかったし、思わず叫んじまったな」

 

江井「あれはなかなかの迫力でカッコ良かったけどな」

 

 隼人の相棒たる江井から見ても珍しい光景だった。あの時の隼人は、超集中状態「ゾーン」に入っていたのかも知れない

 

隼人「まぁ今日はゆっくりして、関東大会に備えるか」

 

江井「おう。何処も強いから、気が抜けねぇな」

 

隼人「全くだ。まぁ相手が誰であろうと、天晴れ討ち死にする覚悟は出来ている」

 

江井「隼人、死ぬばかりが忠義ではない……」

 

 何故か急に似非漫才になっている。きっと疲れているのだろう……。しばらく続き、分かれ道になった

 

隼人「んじゃあお疲れさん。またな!」

 

江井「おう!」

 

 

 

 

━━━━

 

 

 

 

 一方、果南と花丸

 

果南「アメフトのみんな、勝てて良かったね!」

 

花丸「うん!途中凄い心配だったけど、ホントに良かったずら……」

 

果南「あれは心配したね……」

 

花丸「でも、その後の迫力がカッコ良くて……///」

 

果南「ふふっ、確かに。あんな隼人君は初めて見たよ」

 

 この2人も、今日の試合を振り返っているようだ

 

 しかしここで、花丸が真剣な表情で果南を見た。何か決意を秘めたような眼差しだ 

 

 

花丸「ねぇ果南ちゃん、マル……」

 

 

果南「!!……わかった。頑張ってね!」

 

 

花丸「……良いの?」

 

果南「……うん。言ったでしょ、花丸ちゃんを応援するって。きっと上手く行くと思う♪」

 

花丸「ありがとう……!」

 

果南「でもその代わり……」

 

花丸「?」

 

果南「結果は、一番に聞きたいな」

 

花丸「わかった!ありがとう、"お姉ちゃん"!」

 

果南「……うん♪」

 

 

 

 

つづく

━━━━

 

 

 

 

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