みんなは星霊魔法と呼ばれるものは知っているだろうか。
まぁ、私は詳しく知らないが、ルーシィ様の母である、レイラ様はよく知っているらしい。
奥様曰く、星霊魔法とは、絆と信頼の魔法なのだとか。星霊界という世界から、そこに住んでいる者を呼び出す魔法らしい。
私はふーんとしか思わなかったが、ルーシィ様は興味を持ったらしく、奥様にもっと聞かせてと頼んでいた。
奥様も娘が星霊魔法に興味を持ったことが嬉しかったのか、にっこりと微笑み話し始めた。
星霊魔法説明中
「いいですか、ルーシィ。星霊魔法は絆と信頼の魔法。そして、星霊は大切な友達であり、家族なのです。」
「うん!とても素敵な魔法なんだね!……ママ、私、星霊大好き!!」
どうやら、ルーシィ様は星霊魔法をとても気に入ったらしい。まぁ、好きなものが増えることはいいことだ。
「あぁ、私も星霊にあってみたいなー。」
ルーシィ様は顔に手をあてそう呟く。すると奥様が
「ふふ、では今度会ってみましょうか?」
「え!会えるの?」
「えぇ。」
その返事を聞いたルーシィ様はパッと目を輝かせ、今にも躍りそうな雰囲気を醸し出していた。
いや、既に踊っていた。私の周りをくるくると回りながら。
そのため身動きがとれないのだが、ここで邪魔です、とは言わない辺り私は優しいと思う。
「やった!やった!はやく星霊に会いたいな!ミヤノもそう思うでしょ?」
「…そうですね。しかし、ルーシィ様?嬉しいのはとても分かるのですが……こんなに騒がれては怪我をしてしまいますよ。」
「だって、たのしみなんだもん!ねぇねぇママ!いつ会える?私今すぐ会いたいなぁ。」
そんなルーシィ様を見て奥様はクスっと笑い、話し出す。
「そうね、では明日にしましょう。今日はもう遅いから。ミヤノ、ルーシィを寝室に連れてってくれますか?」
奥様は時計を見てそう言う。
「かしこまりました」
私は返事をし、ルーシィ様の手を引く。ルーシィ様は今すぐではないことに不満なのか、ほっぺを膨らませているが、諦めたのか潔く私についてくる。
「ママ、おやすみなさぁい。」
「えぇ、おやすみなさい。」
そして一日は終わった。
午前4時。まだ太陽は登らないころ、ハートフィリア邸では……
「ミヤノ!なんで止めるの!」
「いや、ルーシィ様。流石にこんな朝早くからだと奥様も起きていないのでは?楽しみで待てなかったのは分かるのですが、いくらなんでも早すぎます。」
金髪の美少女とその従者のおいかけっこが起こっていた。
事の発端は午前3時頃。
ミヤノはハートフィリア邸で働いており、衣食住も保証されている。そのため、ミヤノ専用の部屋があるのだが、そこにルーシィが訪れた。
「…ルーシィ様?どうかされましたか?」
ミヤノが眠たそうに尋ねる。それもそうだろう。こんな時間に起こされたのだ。ミヤノの表情にはいつも通りの笑顔があるが、そこには若干怒りも含まれていた。
だが、ルーシィはそれには気付かず、ミヤノの手を取り一言。
「ミヤノ!!行くよ!!」
「……………はぁ?」
で、今に至る。
ようは、ルーシィがあまりにも星霊に会いたすぎて、我慢できず、まだ日は登っていないけどもう日にちは変わったからいいよね?と考え、じゃあミヤノも誘わないとと思い一緒に行こうとしたのだ。
しかし、当たり前だがミヤノはこんな朝早くに奥様に会いに行くなど失礼だと反対する。
結果、ルーシィは拗ねて「じゃあいいもん!私一人で行く!」と言って走り出した。
そして、ミヤノ対ルーシィのおいかけっこが開幕。
しかし、小さな子供と大人では身体能力は大人の方が上だ。よって、ルーシィはすぐ、ミヤノに捕まり自室に戻される。
しかし、ここで諦めないのがルーシィ。ミヤノに見つからないように行こうとする。しかし、小さな子供の企てにミヤノはすぐに気づき、再びルーシィは捕まる。
これの繰り返し。ちなみに15回目。
「あぁもう!離してよー!!」
「いや、だからダメですって。」
ルーシィ様は私の腕の中でバタバタするが、離すつもりはない。
「あっ!ママ!パパ!」
「えっ」
後ろを向いてルーシィ様がそう仰るのでルーシィ様を離し私も後ろを向く。
「えっ、誰もいませんよって……あぁ、しまった……」
振り返れば、ルーシィ様が私からダッシュで逃げているのが見えた。騙された。
「ふふ…やってくれるじゃないですか。いいでしょう、私も今から本気出します。」
そう、魔法を使います。大人気ない?なんとでも言うがいい。譲れない(くだらない)戦いがここにある。
そして、私はルーシィ様に向かって手を伸ばした。
「
すると、ルーシィ様の逃げる速度が唐突に遅くなる。これなら、私は歩いたままでも捕まえられるだろう。
ルーシィ様も気づいたのだろう。足を止める。
「さ、ルーシィ様?もう寝ましょう?」
「…今のミヤノがやったの?」
「さて、何のことです?」
私はしらばっくれる。可能性は低いがこれで対策を取られても面倒だから。
すると……
ばふっ
……ばふっ?…あぁ、なるほど私はルーシィ様に抱きしめられているらしい。それにしてもいきなりどうしたのだろう。
「どうかされましたか?」
「グスッ……」
「え」
え、まさか…いや、まさか泣く?いや、それは困る。怒られるのは私だ。というか泣く原因がわからない。
「うぇぇぇぇぇんっ!」
「!?」
……私が泣かしたのだろうか。
私は自身の今までの言動を探る。
あれか、私が奥様のところへ行くのを止めたからか。それとも、今私が嘘をついたからか。
「トイレェ!!」
「あ、そっちですか?」
まぁ、それならいいだろう。私は抱きついているルーシィ様をゆっくり離す。
「では、ルーシィ様、一緒にいきましょう。」
「ううん、一人で行けるから、ミヤノはついてこなくていいよ。」
……………ふむ?
おかしい。ルーシィ様はトイレのとき、私を連れて行くことが多い。確かそれは、トイレにお化けがいそうで怖いという理由でだ。いきなり、怖くなくなった?それはない気がする。
「…ねぇルーシィ様?本当にお手洗いに行くのですか?」
「っ!」
ルーシィ様の肩が震える。怪しい。
「実はお手洗いではなく、奥様の部屋に行こうとか…」
「〜っ!?お、思ってないよ?」
はい、思ってますね。私はルーシィ様を抱き上げる。
「なっ!は、離してよ〜!ミヤノー!」
「ルーシィ、ミヤノ。」
「はい、奥様。……奥様?」
そこには奥様が立っていた。常に携帯している腕時計を見る。いや、まだ起きるには早い時刻だ。
「…申し訳ありません。奥様。起こしてしまいましたか?」
「うふふ、とても賑やかな声が聞こえてきましたよ。」
「うぐっ」
つい私は唸ってしまう。本当に申し訳ない。しかし、ルーシィ様はそんなこと気にしていないとでもいうように
「ママ、星霊に会いたい!」
いや、流石にこんな時間じゃ……
「いいですよ。」
あ、いいんだ。