もしも、ケモナ―マスクがelonaの世界に転送されたら【完結】   作:沙希斗

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この街にはギルドだけでなく変わった科学者がいて、妙な事を持ち掛けられます。


海辺の街×戦士ギルド

 

 

 

 歩みを進めて行くとなんとなく潮の香がして来て、海が近いのかな~などと思っていると、街が見えて来た。

 

「美味い魚料理とかあるかなぁ? ひろゆきぃ」

 

 そう言いながら街に入る。

 この街は【ポートカブール】というらしい。 

 大きな港があって、船がいつくも繋がれている。

 漁に使われていると思われる小型のみならず、外洋を渡ると思われる大型のものもあった。

 

 そういや俺はいつの間にか船にいて、それが難破したんだっけ。

 

 それを思い出して、この世界では船に乗るのは避けよっかな。などと考えながら歩いていると、何やら賑やかな音楽が聞こえて来た。

 目を向けると吟遊詩人がいて、演奏しながら歌っていた。

 始めは聞いている皆に交ざって「ブラボー」などと言いながらおひねりを投げていた彼だったのだが、そんな事をしていたら持ち分がどんどん無くなって行くと思い直し、早々にその場を立ち去る。

 

 

 と、「おうおう、良い所に来た」と年老いた科学者と思われる男性に声を掛けられた。

 

「猫の手も借りたいほど忙しいのじゃ」

「何がそんなに忙しいんだよ?」

「今わしは遺伝子操作の研究をしておってな」

「ふむふむ」

「成功すればなんと、二体の生物を合成させて、より強力な種を造りだすことが出来るのじゃ!」

「おぉ! それは凄い。凄いけど……」

「最後の段階として、五体の実験体が必要じゃが、ちょっと取って来てはくれまいか?」

「五匹ぐらい手懐けて連れて来るのは簡単だけどさぁ、それって合成されるんだろう?」

「そうじゃ、そのための実験じゃからな」

「そんなの可哀想じゃん」

「合成が成功したら、より良い種が造れるかもしれんのじゃぞ?」

「俺だったら五匹分纏めて可愛がるね。新しく造るよりそれぞれの子の良さを愛せるし」

「報酬として、今使っている実験機をくれてやってもいいぞ」

 

 更に食い下がろうとした老学者だったが、源蔵はもう執り合わずにその場を去った。

 

 

 

 散策しているとアリーナのような所に行き着いた。

 中に入ると地下に下りる階段があり、下りようとしたら「止まれ……」と呼び止められた。

 

「この階段の先は【戦士ギルド】の管轄だ。ギルドメンバー以外の者が入る事は出来ない……」

 

 威圧のある雰囲気を持つその男は、『ドリア』と名乗った。

 戦士ギルドの番人らしい。

 

「戦士ギルド、とは?」

「戦士ギルドは、各地の戦士を管轄する組合だ。組合員には規律の厳守と一定のノルマを求める代わりに、援助を施し特定の仕事を斡旋している。戦士ギルドのメンバーには、能力復元価格の割引、鑑定価格の割引、戦士スキルの習得と訓練などの特典がある」

「鑑定価格の割引ってのはちょっと魅力だなぁ」

 

 そう呟いた源蔵に、彼は「ギルドに加入するには、厳しい審査を通らなければならない」と言った。

 

「どんな審査だ?」

「戦士ギルドに加入したいというのか……。我々が求めているのは、どんな強敵にも怯まず、与えられた使命を確実にこなす真のハンターだ」

 

 彼は「お前が信頼に足る者かどうか試させてもらおう」と言いながら源蔵の技量を推し量るかのような目で眺め、こう言った。

 

「まずは【イークの戦士】を十五匹討伐して来い」

「……。【イーク】って、何だ?」

「イークというのは、そうだな……。鬼か悪魔のような醜悪な顔をした小人、とでも言おうか……」

「つまりは、人型なのか?」

「まぁ、そうなるな」

「却下」

「なんだと?」

「鬼みたいな小人なんでしょぉ? そんなのヒトじゃん。俺ヒトにはまったく興味無いんだよねぇ」

「我儘言うなっ!」

「ケモノにしてくれたら考えても良いけどぉ」

「そんなの知るかっ!」

「んじゃ却下」

 

 それきり興味を無くしてその場を離れた源蔵であった。

 

 

 

 

 




「吟遊詩人」はどの街にも必ずいるという訳ではありませんが、もしいる街に行ってあまり彼らに近寄り過ぎると勝手に所持金が無くなって行くので困ります。
腕が立つ人は「ストラディバリウス」狙いで会うたびに装備を盗むか殺害して所持品をかっぱらうかしてそれを繰り返します。
彼らは死んでもまた復活するので良い的に成り下がってしまう事も。

老科学者の報酬(実験機)はとても便利な物なので、話の中の源蔵は断ってますが私のプレイしている「源蔵」は真っ先に飛び付いてます(笑)
しかもその「実験体」というのも街中にいる子供や老人、乞食などの人間でも良いため、街にいながら達成出来る唯一のサブクエストだったりします。

「戦士ギルド」の審査で告げられる討伐モンスターはランダムで、最初に話し掛けた時に決まるようです。
ですが駆け出し冒険者にはとても倒せないような無理難題のモンスターを吹っ掛けられる事も多く、「なんちゅう奴を言いやがるんだ」と即詰む時もあります。
まあ何年経っても待ってくれるんで(その間は戦士ギルドには入れませんけど)レベルを上げてから挑む事は出来ますが、話し掛ける前にセーブしておくと再起動するたびにモンスターが変わるため、「話し掛けては討伐しやすいモンスターが出るまでリセットする」というのを繰り返し、粘って自分が討伐しやすいモンスターにしてもらうというテクニックもあります。
ちなみに実際にそのテクニックで「イークの戦士」が出るまでリセットを繰り返してます。
なぜこのモンスターにしたかというのは後々分かると思います。

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