もしも、ケモナ―マスクがelonaの世界に転送されたら【完結】   作:沙希斗

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夢の中で猫の声らしきものが聞こえたら、それはきっと幸運の女神の囁きです。


カジノ×幸運の日

 

 

 

 その日宿屋で寝ていた源蔵は、起きがけに『うみみゃぁ!』という可愛らしいネコの声を聞いた気がして飛び起きた。

 だが周りを見ても猫らしきものはいなかったので、寝惚けているのかな? とボーっとしながら一応宿屋の主人に話してみる。

 

 と、「それは幸運の日ですよ!」と興奮気味に言われた。

 

「なんだそりゃ?」

「知らないんですかい? 『幸運の女神』と呼ばれている『エヘカトル様』がもたらして下さる日に数時間だけ訪れる幸運な時間があるんです。その日はカジノに行くとぼろ儲けしやすかったり、強力な効果を持つ武具を得やすかったりするそうです」

「ふぅん」

 

 武具など興味が無かった彼ではあったが、せっかくなので街中にあったカジノに行ってみる事にした。

 

 

 

「カジノ《フォーチュンクッキー》へようこそ!」

 

 にこやかにそう呼びかけて来たマスターに、「ここではどんな賭けをやってるんだ?」と聞いてみる。

 

「ブラックジャックです」

「トランプを使ったゲームは、ババ抜きぐらいしかやった事ねぇなぁ……」

 

 そこで、教わりながらやってみる事にした。

 

「今手元の合計はいくつですか?」

「14、だな」

「じゃあ一枚か二枚か取って下さい」

「一枚取ったら18になった」

「どうされます? もう一枚取って21を狙うか、それともこのままやめるか」

「うーん、やめてみる」

「畏まりました。ではオープン。私のカードは17です」

「お、勝ったって事だよな?」

「そういう事です。おめでとうございます」

 

 そうして一喜一憂しながら今持っている十五枚のチップ(サービスとして貰った)が無くなるまで続け、報酬品を貰って店を出た。

 ちなみに武具だけでなく巻物やポーションの類いも貰えるらしく、勝ち続ける事によってその品物も良いものになって行くようだ。

 

 鑑定してもらって取り敢えず武具は売り払う。

 巻物も売ろうとは思ったのだが、一応役に立つ事があるかもしれないと取って置く事にする。

 【エーテル抗体】と書かれてあるポーションの売買価格が他の物と比べて異常に高かったので売ろうとしたのだが、「買っても良いですがこれは『エーテル病』を治す唯一の治療薬なので、今後のために取って置いた方が良いですよ」と言われたため、では念のためにと仕舞って置く事にした。

 

 

 浮き立った気分が消えないので『幸運の日』はまだ続いているらしいと思った源蔵は、確かアリーナにガシャポンがあったなと移動した。

 100YENと500YENのものがあり、今までに寝ている時に、何故か手に入れる夢を見る度に実際に懐に入っていた硬貨を投入する。

 どちらも無くなるまで続けたが、500YEN硬貨はあまり手に入って無かったのですぐに無くなってしまった。

 

 それも開封して売る。

 どうやらガシャポンの玉から出るものは、武具と小さなメダルだけらしい。

 なので小さなメダルだけは一応取って置いた。

 

 そうしている内に高揚感は無くなり、多分幸運の日が終わったんだなと思う。

 意外に長かったなと通常の日々を過ごしている内に、再び『幸運の日』がやって来て何度も来るもんなのかと理解した源蔵であった。

 

 

 

 

 




「幸運の日」は運が良かったら結構な頻度で訪れます。
なのでマテリアルの中にチップや硬貨が無かったり、「宝の地図」を手に入れていない時に訪れたりして損をした気分になる事もあります。
「リトルシスター」を助けていると更に良い事が訪れるんですが、「アクリ・テオラ」の近くにいなかったりするとこれも残念な事になります。

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