もしも、ケモナ―マスクがelonaの世界に転送されたら【完結】   作:沙希斗

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一般的な冒険者にとっては地獄でも、彼にとっては天国だったようです。


ノルマ×ネフィア

 

 

 

 今回のノルマは【アイスハウンド】二匹だというので、今源蔵はウキウキしながらネフィアに来ている。

 それというのも討伐依頼で済ませようとしたのに中々出ず、「ネフィアで探した方が早いよ」と言われたからである。

 

 【ネフィア】というのはファンタジー世界で言う所の【ダンジョン】のようなものなんだと思うのだが、この世界の住人曰く、「古代遺跡が地殻変動によって地表に現れたり消えたりしているもの」なのだそうな。

 なので洞窟のような見た目だけでなく、時には塔のような外見のものもあるのだとか。

 

 そのネフィアが地表に現れると、専門の調査団が派遣され、彼らによって「このネフィアは四階相当だ」というように入り口に立札が立てられる。

 それはレベルの合わない冒険者が知らずに入って無駄に命を散らさないための配慮である。

 

 何故ならネフィアごとに、そのネフィアの【主】と呼ばれている強力なモンスターが必ず潜んでいるからだ。

 

 それらは最深部にいる事が多いのだが、入り口付近にいるものの種類、「彼ら」のレベル分けと照らし合わせると大抵の脅威度が分かるため、調査団たちは入り口もしくは数階地下に下りて調べたモンスターに基づいて「何階相当」という立札を立てるらしい。

 冒険者はその階の深さでレベルの判断をし、「今自分はレベル十だから八階相当なら行けるかな」とか、「十四階相当だけどちょっと冒険してみようかな」とか、「二十階相当ならとてもじゃないけど行けないな」とか自分で調節出来るようになっているのだという。

 

 

 

 さて、「アイスハウンドはレベル十ぐらいだよ」と言われていたので十階相当かその前後のネフィアに彼は潜る事にした。

 外見が洞窟のようになっているネフィアだったのだが、入ってみると地下に行くごとに部屋のようになっていて、扉があったり中には鍵がかかっていて入れない所もあったりしたため、なるほど古代遺跡という話は本当なんだなと思わされた。

 だがその部屋の「住人」は魔物の類いばかりで、人間がいたと思ったら先に潜っていたであろう冒険者だったり、ネフィアにあるお宝目当てなのか、【ジューア】という盗賊の集まりのようなならず者の国で有名な種族が何人かいたりする程度であった。

 

 

「中々いねぇなぁ……」

 

 そうぼやきながら進んでいると、ある部屋から複数の唸り声がした。

 犬の唸り声に似たそれに期待を寄せ、入ろうとしたら内側から扉が壊された。

 途端に冷気が押し寄せ、怯む間も無く青っぽい毛並みのハウンド犬が集団で押し寄せて来た。

 

「うわぁ♪寒い冷たいぃ!」

 

 源蔵は凍え、歯を鳴らしながらも上機嫌である。

 何故なら「彼ら」こそが目的のアイスハウンドだったからである。

 

 一斉に冷気のブレスを吐いて来るのを「この冷たさは君たちの愛だね♪」などと言いながら、霜の付いた毛を撫で回す源蔵。

 手はかじかんでいたが、そんな事は平気だった。

 既にボスと見たものだけを選んで手籠めにしているので、周りのものは手を出しあぐねている。

 

「ほら、良い子だねぇ♪」

 

 相手が弛緩して服従の姿勢になったのを見た周りのものは、大人しくなって一斉に彼に懐き始めた。

 

「冷たいっ! 冷たいけど幸せぇ♪」

 

 源蔵は幸福のあまり、このまま凍死しても良いとさえ思った。

 

 

 

「……。お前はどこまで馬鹿なのだ?」

 

 呆れ返ったようなそんな声がして目を開けると、ギルドメンバーの一人が覗き込んでいた。

 聞くと、冒険者の一人が通称「モンスターハウス」と呼ばれているやたらとモンスターが犇めいている部屋(この場合はアイスハウンドの部屋)の前で、幸福の絶頂のような顔をして寄り添っているアイスハウンドの群れに囲まれて気絶している彼を見付け、戦士ギルドまで運んで来たのだという。

 

「まさか、あの子達は討伐されたんじゃ――!」

「自分よりそっちの心配かぁ?」

 

 更に呆れたメンバーだったが、「安心しろ。危害が無いからそのまま放置したとさ」と言った。

 

「そっかぁ、良かったぁ」

 

 心底安心した顔をしながら胸を撫で下ろした彼に、メンバーは「今回も特別にノルマ達成だ」と告げた。

 

 

 

 

 




「モンスターハウス」にいるハウンド系は、本当に地獄を見せられます。
こんな風に部屋からいきなり出て来るような時はどうにか通路に誘き寄せれば一頭ずつ倒せない事は無いのですが、階段を下りたら既にその部屋だった! と言う場合はなすすべも無く殺されます。
アイスハウンド(冷気地獄)
ファイヤーハウンド(火炎地獄)
ライトニングハウンド(電撃地獄)
その他にも暗黒地獄やら毒地獄やら混沌地獄やらにさせられるので、ハウンド犬は群れで襲い掛かって来られると涙がちょちょ切れるほど怖いです。

あ、ネフィアの階層についてですが、実際に調査団がいる訳では無く、ここに近付くと「何階相当だ」という表示が入るので単に私が想像してこんな風に書いたたけです。
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