もしも、ケモナ―マスクがelonaの世界に転送されたら【完結】   作:沙希斗

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今回のサブタイトルは「固定アーティーファクト」と呼ばれている、唯一無二の宝物の名前になってます。


パルミア×プライド

   

 

 

 

「遂に三つの魔石を揃えたのですね」

 

 そう言って嬉しそうに迎えてくれたエリステアは、魔石を持つ者の内二人と友達になったという源蔵の話を聞き、呆れた。

 しかし調査には支障が無いしと切り替え、こんな話をした。

 

「私達の調査によれば、魔石はレシマスの秘宝の間への扉を開く鍵となるはず。しかし、レシマスの奥深くには恐ろしい魔物が巣食い、その場所が何階にあるかまでは判明していません」

「ケモノが一杯だと良いなぁ……♪」

 

 恐ろし気に話しているというのに、このにやけ顔。

 もうそんな様子は無視する事に決めた彼女は、それでもジト目で見ていた顔を引き締めてこう言った。

 

「あなたの任務……おそらくは最後の任務は、決して易しいものではなく、失敗も許されません。レシマスの探索を進め、秘宝の間を見つけてください。そして、《常闇の眼》を地上に持ち帰り、ザナンの陰謀を阻止するのです」

 

 失敗も許されないという言葉を聞いた彼は、流石に気を引き締めた。

 

「カラムの言葉が正しければ、秘宝を守るのは今は亡きザシム王の従弟ゼーム。ゼームは名うての魔術師としても知られていました。彼が生きながらえているのも何らかの魔力によるものでしょう。心して望んでください」

「……。魔術師か……」

 

 俺の苦手なタイプだな、と源蔵は苦い顔になった。

 

「あなたの働きには、感謝の言葉だけでは報いきれません。この指輪は、スターシャ様からの贈り物です。あなたの冒険の成功を祈っています」

 

 そう言ってエリステアは、大事そうに持っていた指輪を差し出した。

 まさか王妃から贈り物をされるとは思わず、彼は面食らった。

 

「お、俺はそれ程の働きは……」

「それだけ期待度も大きいのだと思いますよ? もっと自身に誇りを持ってください」

「わ、分かったぞ。ひろゆきの働きだろう。君に預けてる間に王妃の所に行ったりしてるんだな? それで癒されて……。やっぱお前の可愛さは天下一品だな♪」

「確かにこの子の可愛さには誰でもメロメロに……って、待ってください、まさか受け取らない気じゃないでしょうね?」

「恐れ多くて受け取れるかよっ!」

「ゲンゾー、さては女の人に贈り物をされた事がありませんね?」

「そ、そんな訳ねぇだろ。前の世界ではモテモテで……」

「目が泳いでますよ。言っときますけど贈り物を断る男性って、モテませんよぉ?」

「うぅ、な、なら受け取ったって君から伝えて……」

「良いのかなぁ、そんな失礼な事して。王妃様お嘆きになりますよ? もしかしたら陰でこっそり見聞きされていらっしゃるかもしれませんよぉ?」

「え、えぇっ!?」

 

 エリステアは慌てて周りを見回してあたふたしている様子を見て可笑しがっている。

 

「あなたのために特別に用意したものだそうですよ。だから他の人には渡すなとの御達示です。なので遠慮なく受け取ってください」

 

 そこまでされているならとようやく受け取った指輪には、こんな銘が刻んであった。

 

 ★パルミア・プライド

 

 それは装飾のあるミスリルの台座にアクアマリンが付いており、混沌と地獄の耐性があるとの事だった。

 他は身に着ける者の運勢、魅力、速度が上がるという効能があるそうな。

 一応詠唱速度が僅かに上がったりもするらしいのだが、「あなたにはこちらの効能は関係ないかもしれませんね」とエリステリアに言われた。

 その指輪の魔力で盗難に遭わないとも言われたが、それは王妃には悪いけど疑わしいなと彼は思った。

 

 コルゴンに貰った指輪もあったので外そうかと迷ったが、せっかくなので二つともはめて使う事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 




アニメの源蔵さんは召喚先の女王に対して開幕ジャーマンスープレックスをかますなど舐め切った態度をしてますが、こっちの世界の王妃はそんな雰囲気じゃないので、とてもプロレス技を決める勇気は無いと思われます。

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