もしも、ケモナ―マスクがelonaの世界に転送されたら【完結】 作:沙希斗
私も、どれだけ鍛えても強いペット数体を率いて数で挑んでも死にまくって、萎えたなぁ(遠い目)
突然ですが、これでこの話、つまり「もしも、ケモナ―マスクがelonaの世界に転送されたら」の話は終わりになります。
【パルミア】から街道なりに南に下り、【ヨウィン】へ通じる橋のある分かれ道付近に、奇妙な城がある。
【混沌の城】と呼ばれているものの一つで、見ただけでも決して入ってはいけないと思わせるような雰囲気を纏う、あからさまに異様な外見を持つ城だった。
そこに一度でも足を踏み入れようものなら二度と出られない、と噂されていたが、それでも命知らずの冒険者が無謀にも挑む事がたまにあった。
だがそのまま帰らなくなったり例え帰れたとしても五体のいずれかを失うとかまともな精神を持てなくなっていたりなど、「彼ら」のおかげで逆に城に対する教訓が深まる事となっていた。
さてそんな中、たまたまノースティリス全体が載っている地図を広げて眺めていた源蔵が、その城の一つ【混沌の城(獣)】と書かれてあるのを見付けてしまった。
「ケモノ……」
「ダメにゃお兄ちゃん、そこはあまりにも危険にゃ」
「でもケモノだしぃ。ケモノならどんな奴か見てみたいしぃ」
「ネフィアにいた今までのものとは違うにゃ」
「でもぉ、城を持つぐらいなんだからぁ、きっと語り合えるはずなんだよねぇ」
「きっと誰とも語り合えないからお城でこもってるに違いないのにゃ!」
「いいや! きっと特別なケモノだから自分の城を持っているに違いないっ! 会いに行くぞ!!」
という事で出発したのは『ワイナン』の住む古城から、ほぼ真っ直ぐ西(ほんの少し北)に進んだ所に有る城だった。
そこは山には囲まれていたが、そこを登るか避けるように平地を進むかしてもう少し西に足を延ばせば海岸に着くような場所に建っていた。
近付くにつれて、彼よりも鼻の良いマールが「獣臭い」と顔を顰めた。
が、源蔵はその言葉を聞いて更に喜んだ。
入ると長い通路になっており、床には魔法陣が沢山描かれてあった。
両脇には鎧が並べてある。
獣の城のはずなのに人間用なのを考えると、そしてどれも立派だが破損が激しいのを見ると、恐らくこれまでに挑んで破れて来た冒険者の着ていた物を飾って、自分の強さを誇示しているのだろう。
しばらく進むとその先に広間があった。
が、それが見えるかどうかの所で待ちかねたように飛び掛かって来たものがいた。
速い。
まるでじゃれるように引っ掻いて来るのだが、引っ掻かれた後で初めて気付く、というくらい見えない。
その目まぐるしさに目を回しそうになっていた源蔵は、マールの驚いたような声を聞いた。
「……。お姉ちゃん!?」
それを聞いて相手は動きを止めた。
止めた事でようやく見えた姿は、ボロボロに破れた白い上着を着て同じように破れた紺色のボトムスを履いた、茶色い毛を持つ猫の獣人だった。
驚いた顔で口をあんぐりと開けて固まっている。
金色の目がまん丸に見開かれ、鋭い牙が覗いている。
「……。マール、なのかにゃ?」
少し経って、「彼女」はようやく口を開いた。
「そうにゃ、マールにゃ。お姉ちゃんやっぱり生きてたのにゃ!」
マールは叫ぶなり「彼女」に飛び付いた。
わんわん泣いているのを落ち着くまで待って、話を聞く。
分かったのは、放浪癖のある実の姉(『フリージア』という名前らしい)が、ある日ふらっといなくなったままそれきり戻らなくなっていたのだという事。
マールは心配でたまらなかったがまだ旅をするには幼く、もう少し成長してから探すようにと館の者に言われていたらしい。
それでも飛び出しては雪原に阻まれて死にかけ、捜しに来た者に連れ戻される、という事を繰り返していたのだが、「もう死んだものとして諦めろ」と諭されて、諦めきれなかったがせめて自分の体力が長旅に耐えられるぐらい付くまでは大人しくしよう。と誓って源蔵に召喚されるまで館で過ごして来たのだとか。
源蔵に言わなかったのはまったく手掛かりが無かったのと、彼に付いて色々な場所に行く事によって少しでも手掛かりを探そうと思っていたかららしい。
それに自分だけで手掛かりぐらいは探し当てようと思っていて、彼が冒険に赴くたびにこっそり聞き回っていたのだとか。
「ごめんにゃ、ここで迷って出られなくなってたのにゃ」
フリージア曰く元々はこの【混沌の城】に迷い込んでそれきり出られなくなっていたのだが、彼女にとっては住みやすかったのでもう出られなくても良いやと思っていたのだとか。
迷い込んだ当初は城主がいたが、彼女が「じゃれている」間に死んでしまったという。
で、彼女が呼び寄せるのか獣が住み付くようになり、いつしかここは【混沌の城(獣)】と呼ばれるようになったらしい。
「猫の王女」とまで呼ばれるようになったのに乞食のような格好をしているのは、今はたまたま体操服にブルマのような格好になっている(色合いと破れ加減が丁度そう見える)が、ここから出ない分迷い込んだ者や冒険者を倒し、その服を剥ぎ取って身に着けているだけで恰好は問わないだけなんだとか。
ここから出る気が無い事と言い、どうも何事に対しても無頓着な性格らしい。
「マールもここに住むかにゃ?」
そう言われたマールは困った顔で源蔵を見上げた。
「お兄ちゃんも住むかにゃ?」
フリージアは彼を「お兄ちゃん」と呼んだ。
やはり彼女も館にいる間は「妹猫」として召喚される運命だったのだろう。
「うーん、確かにここはケモノ天国なんだけどぉ……」
誘われた事で迷った源蔵だったが――。
「俺にはペットショップを作るという夢があるからな。残念だがここでは暮せない」
「お兄ちゃんが住まないなら私も――」
「マール、お前はここに残れ」
源蔵はしゃがみ込んで彼女の肩を抱き、優しく諭すように言った。
「せっかく血の繋がったお姉ちゃんに会えたんだ。血の繋がらない兄に付いて行く必要は無い」
「血が繋がってなくても生き別れたお兄ちゃんなのにゃっ!」
「ここには仲間が一杯いる。人間といるより獣といた方がお前にとっても暮しやすいはずだ」
「……。そうにゃけど……」
「私からもお願いするにゃ。マール。一緒に住んで欲しいにゃ」
迷いに迷った上で渋々な様子で了承したマールを見て、源蔵は内心飛び上がらんばかりに喜んだ。
ケモナ―の彼にとっては獣人であるマールは堪らなく可愛らしいのだが、やはり人語を解する「ヒト」に近いものではなく、ひろゆきのように言葉は通じなくても常に寄り添ってくれるような「獣」に近いものと一緒にいたかったからである。
こうして、再び一人(と一匹)になった源蔵は、「ネフィアの謎、とりわけ《永遠の盟約》について探れ」というエリステアの要望は適当にこなしながら、冒険を続けたり時たま【アリーナ】に顔を出して「ケモナ―マスク」として試合をしてみたりと気ままに過ごした。
彼がペットショップを作るのは落ち着いてからというのか気が済んでからというのか、まだまだ先になりそうだった。
最後なのに、結局二千ちょいしか書けなかった( ノД`)シクシク…
「猫の女王フリージア」についてはElona原作者のホームページに載っていた設定資料を参考にしています。
あ、でも「妹猫マールと姉妹だった」というのは私のオリジナルです。
ついでに言うと「マール」というのは私のオリジナルでも源蔵さんが名付けた訳でもなく、単に妹猫について調べている時に見付けた名前の中でこれを採用しただけです。
彼女の名の付く固定アーティーファクトとして★《フリージアの尻尾》というものがあるのですが、これは何故か彼女を倒してもドロップせず、冒険者含めこの世界の住民が信仰する神々を倒さなければ手に入らない、という超鬼畜仕様となっております。
実はまだ消化していないサブクエストがあるんですよ。
それも五つも。
ですが戦争絡みだったり「大量破壊兵器を用いてパルミアを壊滅させよ」というものだったり源蔵さん向きのものではなかったりするので、この話では取り上げませんでした。
そして、その関係で結局「ダルフィ」には最後まで行けずじまいに終わりました。
もう少し長く書けるかと思っていたんですがケモノ絡みでしか書けないという縛りがあるのでそのネタが無くなって来たのと、その頃に50話近くになったため、「丁度良いから50話きっちりで終わらそう」とこのような運びとなりました。
アニメでは第一話で登場した「MAO」と呼ばれている「マカダミアンオーガ」との絡みもあるのですが、これはあくまでも「源蔵さんが転送されたElona世界での話」であってアニメ、つまり「旗揚! けものみち」の世界での話では無かったため、「MAO」との話も無しにしました。
もしもこの「絡み」を期待していた方がおられましたら、その期待を裏切った事をお詫びいたします。
中途半端な気もしますが、ともかく最後まで読んで下さった皆様には感謝いたします。
今後の事は他の話が今の所まったく浮かんで来なく、ストックも全く無いまっさらの状態なのでもしかしたら当分の間休止するかもしれません。
話が浮かべば書きますが、もし書いたとしても超短編か、こんな風に短編を繋げたような続きものになると思います。
どうも私には「長い話全体で一つの物語になる」というようないわゆる「長編」というものは向いてなく、長編のつもりで書いてもこんな風に「ただ短編を繋げて長編のようになったもの」しか書けないようです。
なので、もし今後書くとしてもこんな風な話になると思います。
今の所まったくネタを思い付きませんが、近い内にまた書けるようになる事を自分でも祈りたいです。
それがいつになるか分かりませんが、またここでお会い出来ると良いなと思っています。
ではまた、いつか。