もしも、ケモナ―マスクがelonaの世界に転送されたら【完結】 作:沙希斗
足の向くままに街道をてくてくと歩いていると、前方に風変わりなドーム状の建物が見えて来た。
【ヴェルニース】で見慣れた、レンガなどでつくられた家々とはまったく雰囲気が違っている。まるで彼が前までいた世界で見慣れていた、鉄筋の建物のようだった。
「ここは何だろうねぇ、ひろゆきぃ」
見上げるひろゆきにそう声を掛けながら不思議に思って近付くと、ガラス張りの大きな扉がブーンという機械音を響かせつつ、中央から自動で開いた。
自動ドアなんか今の世界でもあるんだと逆に驚きつつ入る。
中には、前いた世界と変わらないような機械類が置いてあった。
なんとパソコンのようなものもあるのである。
なぜここだけ機械文明のようになっているのだ? と混乱しつつ広いドーム内を見回しながら歩いていると、中央奥に祭壇が設えてあった。
これがこの世界の人間が信仰している【神】とかいうやつか? 【カルマ】に関係するとかいう?
そんな事を考えながら俺も祈った方が良いのだろうか? と近寄ると、台座に信仰対象の神の名と与えられる御利益、捧げものの種類が書いてあった。
『《機械のマニ》
マニは機械仕掛けの神です。マニを信仰した者は、機械や罠に対する膨大な知識を得、またそれらを効率的に利用する術を知ります。
捧げ物:死体、銃器、機械』
「……。俺には必要ない神だな」
そう呟いた源蔵は、信仰するのをやめにした。
他に変わった事はと見ていると、売店が二つあった。
売られている物はなんと銃器。しかも【光線銃】などという彼がいた世界でも実現されていないような銃もあった。
それと「ここでしか売って無いよ」と謳うのは、【ポップコーン】【フライドポテト】【サイバースナック】というスナック系の食べ物。
盗賊団用に銃を買おうかなとも思った彼だったが、結局スナックだけ買う事にした。
ここでは【ディスク】というBGMを記録したり今までの出来事を記録したりする記録盤も売られていたが、「ネフィアでも落ちている事があるよ」との事。
後は何に使うのかも分からない【チップ】というパソコンのパーツのような物。
これは「よく分からないけどマニ様に捧げると喜ばれるから」という事らしい。
更に散策していると、科学者だと名乗る女性に声を掛けられた。
「よく聞きなさい。もしあなたがいつか【リトルシスター】に出会ったら、あの子達に救いの手を差し伸べてあげて。見た目こそ化け物のように映るかもしれないけれど、彼女たちがまた元の可愛らしい笑顔を取り戻せるように、私は研究を続けている。だから、お願い、この道具を使ってリトルたちを私の元に運んで。あなたへのお礼は、いつか必ず」
彼女は一方的にそう言うと、紫色に光る機械仕掛けの球を渡して来た。
断ろうと思ったがあまりの勢いに気圧されて、つい受け取ってしまう。
手に乗せられた途端ズシリと来たので重さ的には三キロぐらいだろうか。恐らく中に仕掛けがあって、【リトルシスター】なるものを入れたら出られないようになっているのだろう。
「……。まあ、どうしてもいらなくなったら売ればいっか」
機械仕掛けなので【サイバードーム(正式名はアクリ・テオラ)】と呼ばれているという建物を出ながら、源蔵はそう呟いた。
それでも「化け物という事はケモノが付いてるからぁ、ケモノだと良いなぁ♪」などと考え方を変えるのであった。
この「サイバードーム型」の家は(かなり高いですが)買う事が出来るので、買えば「我が家」として好きな場所に建てられます。
「リトルシスター」を捕まえると確かに彼女からお礼を貰えるのですが、何故か捕まえるために「ビッグダディ」を攻撃する度にカルマが下がるんですよねぇ。
カルマが低下している時に捕まえまくっていたらいつの間にか犯罪者になっていて、ガードに追われるようになって「何故なんだあぁ!」と混乱した事がありました。