無限の世界と交錯する世界   作:黒矢

27 / 33
前回のあらすじ:デンドロ代理プレイ企画をどうぞよろしく!(ダイマ


コールの場合/天は二物を与える:前編

□■???? 【大狩人(グレイト・ハンター)】コール

 

 

 夢を見る。

 過去の……我武者羅に()()と対峙し足掻いていた頃の――無駄な足掻きをしていた頃の、自分の夢を見る。

 

 才持つ者(タレント)

 天性の才格(ジーニアス)

 才与えられし者(ギフテッド)

 あるいは――最高の才(ハイエンド)

 

 破格の――桁違いの才を持って生まれた者が、者達が、この世界には居る。

 天に愛されたかの様に、世界に愛されたかの様に、並の才を持つ者の努力を鼻で嘲笑うかの様な才能を幾つも幾つも持っている様な……()()()()()が。

 例えば、幼少期には天才子役、少年期には格闘技の世界チャンピオンとなり、大学の研究室でも多大な成果を上げ頭一つ抜きんでて教授の助手となり、そして運命にも愛され宝くじを当て億万長者となる――そんな人物。

 そんなフィクション染みた人間が居て――しかもそんな人物と轡を並べる事となったならば……果たして、如何するのが正解だろうか?

 

 その才を恐れ畏怖し、自らから遠ざけんとするか?

 ……ある意味では、とても正常だ。人は理解できない物を恐怖するものなのだから……ただ情報として知っているだけでなく、実際にあれ程の経歴を為したその本人と才を目の当たりにすれば、そうなる者が出るのも然もありなんと言った所だ。

 才能と言う物は良くも悪くも劇薬だ。過剰に過ぎる才は容易く人を傷付けるのだから。

 

 媚び諂い、その才覚による恩恵を受けんとするか?

 ……あり得ない。あいつは――埒外の才能を持つ者は凡人の演技程度であれば即座に見抜き突き放すだろう。

 仮に慈悲を与えられたとしても……その程度の自尊心(プライド)すらないのであれば、どうせ長くは持たないが。

 

 縁を結び、共に協力し高め合わんと切磋琢磨するか?

 ……あり得ない。神に愛された才覚を前にそれが出来るとすれば――きっとその総量は違えど、同じく神に愛された者だけ。

 最低でも、その行いを理解できる程度の才能を持っていなければ、蝋の翼で太陽に向かって飛んだイカロスの如く、惨めに落ちて寄生者の如くになるだけだろう。

 だが、もしかしたら――――

 

 ならばその存在成果諸々全てを無視し己のペースのまま己の歩みの速度を維持し続けるのが良いか?

 ……それが出来るのであれば、恐らくそれが最適解なのであろう。

 傍にいながらにして過剰に過ぎる存在感と才の輝きを見せるあいつの一挙手一投足を無視し続けられるのであれば、それはそれで別種の才能がありそうだが。

 

 

 そして……本来あり得ない選択肢の筈だが――それと、その破格の才の持ち主と、()()したら――――

 

 

 

 結果として。

 自分はあいつの絶対的な敵対者には成り得なかった。

 全力を出させられすらしなかっただろう。

 当然だろう、自分程度の才能ではあいつの物語の中では端役の雑魚的ぐらいが精々であっただろうから。

 自分が必死にやっていた足掻きなど、かの才能を前にすれば子犬のじゃれつきにも等しかったであろう。

 

 だが、それで良い。

 自分の分は分かっている。自分はそこまでの人物でしかなかったのだと。

 きっと、あいつにはもっと相応しき宿敵が――かの才能に匹敵する力を持った巨悪や大敵がお似合いだろうから。

 それだって、あいつならば乗り越えるだろうし――どちらにせよ、既に研究室も抜け脱落した自分には、きっと、いや間違いなく関係のない話だ。

 

 

 なのに――自分が見る夢は何時だってあいつのままだ。

 

 ああ、自分でも分かっている。

 どう言い繕おうが――自分の脳裏にはどうしようもない程にあの輝かしすぎる才能が焼き付いているのだと。

 あれ以来……研究室を抜け身軽な身になった後も、関わる者を見る目には、その基準が“才能”に大きく左右される様になってしまった。

 自分の中で、相手を“持っている者”か、“持っていない者”か分別する癖がついてしまった。

 これだから破格に過ぎる才能と言うのは劇薬だと言うのだ。

 

 

 勿論……それが自分勝手な八つ当たりだと、嫉妬、憧憬であると理解している。

 

 だが、それを止めるつもりはない。

 止める理由も義理もなければ必要もないし――止める方法もないだろう。

 既にそれが自分を構成する大きな個性(パーソナリティ)なのだと――()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そう、自分は――――――――

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

□■<ヴァルディラ大砂漠> 【大狩人】コール

 

 

 

 ――そして、自分は覚醒する。

 

「――状況はっ!?」

「あ、コール君起きたぁー! あっぶなかったぁ。全滅だと思ったよっ!?」

 

 どうやら岩陰に寝かされていたらしい。

 身体を起こし、パーティメンバーの女性――【高位従魔師(ハイ・テイマー)】の†聖天使猫姫(ホーリーエンジェルみゃーこ)†が、そして彼女の従属モンスター達が小声で喜びながら無事を案ずる様に自分の顔を覗き込む。

 

 ……自身の身体に、どうやら支障は残っていないらしい。

 最後の記憶では、()()の攻撃の余波を受け、衝撃と損傷で【気絶】していた筈なのだが……どうやら彼女の従属モンスターに回収され、治療も行ってくれた様だ。

 

 そして、この場に居るパーティメンバーは……彼女一人。

 本来は後二人、前衛が居た筈だったのだが――――

 

「……うん。アルファちゃんも、リタ君も、あの一撃で死亡し(デスペナになっ)ちゃった」

 

 †聖天使猫姫†は自分の考えを肯定し、手鏡を取り出し、そこに今も上空で警戒し見張り続けているであろう彼女の【ラスター(光彩)エレメンタル】が自分達を一瞬で半壊させた怪物の姿を映し出した。

 

 

 そう、それはモンスター(非人間範疇生物)の中でも驚異的な能力と特異な()を――固有スキルを持つ埒外の魔物。

 竜としての強大にしてしなやかな体躯と赤銅色の鱗を持ち、鋭い眼光で慢心もせずに辺りを見回し逃した獲物を探している一匹のドラゴン――()()

 〈UBM(ユニーク・ボス・モンスター)〉――【炸竜王 ドラグマイン】の姿が映し出されていた――――

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 そもそも、コールや彼女らのパーティがこのカルディナ北部の<ヴァルディラ大砂漠>に来ていたのは、依頼(クエスト)を受けた為だった。

 最近、このカルディナ中央北部の周辺のモンスターに今までは見慣れなかった種が増え、それにより若干の生態系の混乱とモンスターの全体的な活性化が生じていた。

 最寄りの都市と<厳冬山脈>の境に当たるこの付近はカルディナにとっても主要交易路ではない為、利益には直結しない物の――カルディナの国の者達は未だに恐れているのだ。

 かつての“地竜王事変”の事を……

 故に、流石の彼らとて今までその地帯で“オイタ”をする事は殆どなかったし――そこで何らかの異常が起きているかもしれないというただそれだけで気が気ではなくなる程。

 だからこそ、このカルディナのティアン達は実力持つ<マスター>を募集し――そしてコール達の臨時パーティがそれを請けた。

 『周囲の異常の原因の調査、及び可能であればその異常の解決』を請われて。

 

 臨時パーティに集まったのは皆合計レベルもカンストし、カルディナのティアンとは比べ物にならない程の力を持った4人の上級<マスター>。

 

 騎兵、前衛系統に特化したビルドをした全身を包む武器防具と鉄馬の<エンブリオ>を持ち、物理的攻防両面において秀でた力を発揮できるモヒカン・RTA。

 斥候系統職の他速度型に特化したビルドをし、その上で()()()()()()()()()()()()()()と嘯く<エンブリオ>を持つ少女、アルファ。

 ジョブ構成も<エンブリオ>の固有スキルも従属モンスター強化に特化しているビルド一致型の†聖天使猫姫(ホーリーエンジェルみゃーこ)†。

 そして……<エンブリオ>を使わないながらも卓越した戦術眼とティアンに匹敵するリアルスキルを獲得している遠隔特化型の【大狩人】コール。

 

 以上、4人に†聖天使猫姫†が従える亜竜級上位……<エンブリオ>とジョブスキルによって伝説級モンスター並みのステータスを誇る従属モンスターが4体と、コールが従える【狩人】系統のオトモである狼系モンスター【サンドウルフ】等も含めた、大戦力。

 

 純竜級モンスターの群れですら労なく倒せる程の戦力。

 それで居てカンストまで鍛え上げた【斥候】系統や【狩人】系統、また従属モンスター達によって調査能力も高く、このパーティであれば問題なく依頼を果たせるだろうと、そう考えられていた。

 

 それは間違っていないのだろう。

 ……そして、同時に――甘い考えでもあったのだろう。

 何故なら、この世界において先に例として上げた純竜級モンスターの群れとは確かに稀で、非常に脅威度が高い存在であるが――それでも、()()からだ。

 それ以上に珍しい〈UBM〉が持つ理不尽な固有スキルと戦闘能力と比べれば――純竜級()()は大した事ないのだから――――!

 

 

 

 

「――情報を再確認しよう」

 

 岩陰に潜みながら、二人とその従属モンスター達で頭を突き合わせて会議を始める。

 いつの間に出したのか、コールは羊皮紙に現在位置の地理と共に要点を書き出し、書記も兼任していた。

 

「えー……逃げちゃダメ? どう見てもアレが原因なんだから、それを確認したって事で良いと思うんだけどぉ……」

「そうだな。……こちらの被害も考えれば、嘘偽りなく報告すれば()()でも問題ないだろうな」

 

 実際に、この<ヴァルディラ大砂漠>で起こっていたモンスターの移動や活性化は【炸竜王 ドラグマイン】が原因だ。

 〈UBM〉となり、伝説級となり、力をつけたと確信した【ドラグマイン】がより()にありつく為に、<厳冬山脈>から降りてきた。

 追い立てられるように浅層に居た他のモンスター達も<ヴァルディラ大砂漠>へ姿を現し、生態系も混乱した――

 

 まぁ〈UBM〉が関わる事件としては非常にありきたりな、そんな推移だろうとアタリを付けられるし納得もされるだろうし、事実それが正解だ。

 被害の方も遭遇戦で二人が死亡(デスペナルティ)に、従えられていた前衛の【オーガ・パラディン】が犠牲になり、なんとか二人だけが生き残っている現状……これ以上の無茶は要求されないだろう。

 

 だが――

 

「それで済むつもりならそもそも最初に挑戦だってしないさ。――何せ、相手は〈U()B()M()〉なんだからな」

「ですよねー……まぁ、あまり無茶をしないなら私も付き合ってあげるけどぉ……」

 

 そう……相手は〈UBM〉。このカルディナの隣国黄河であれば――()()()と呼ばれる、文字通り特大のお宝なのだから。

 倒せば貢献度が最も高い者に固有スキル有する非常に強力な唯一無二の特典武具を授ける、このゲームとしてのエンドコンテンツの一つ。

 だからこそ、特典武具を求めて最初に皆意気揚々と吶喊し――そして玉砕したのだから。

 

 おそらく、依頼(クエスト)によって見つけた自分達が最初に発見したのだからと――他のプレイヤー(<マスター>)に取られる前に全力で挑戦したいというのは、ある種当然の思考なのだから。

 

 

「でもさぁ――勝ち目あるかな、これ?」

 

 そして、だからこそ、()()()()()()()()だからこそその難易度は――極大なのだが。

 

 二人の優秀な<マスター>を、そして伝説級のステータスを持つ鬼をも殺してのけた【竜王】が相手なのだ。

 更に戦力が減じたこの二人で討伐する目が見えないと言うのが、†聖天使猫姫†の正直な感想だった。

 

「一応、相手の能力はもうほぼ割れているんだ。だから――()()()()によっては十分可能性があると見ている。どうかな?」

「えっ、本当!?」

 

 戦っていた時間は一分にも満たない時間だったと言うのに、良く考察できたなぁ……と思う†聖天使猫姫†を尻目に、コールは羊皮紙に【炸竜王 ドラグマイン】の能力について記載していく。

 

 

 【ドラグマイン】は推定で伝説級である事。そして、伝説級の中でもレベル自体は低く、ステータスの数値自体はHP等を除いて純竜級と同程度しかないであろう事。

 ただし、それを補って余りある程の固有スキルと――それを運用する技術を兼ね揃えている事も。

 

 一つ目は、【竜王】としての共通の固有スキル、《竜王気》。

 シンプルイズベストと言うに相応しい攻防両面において非常に強い力を発揮するそのオーラを持つ【ドラグマイン】はステータス以上の攻防力を発揮する。

 ただそれを突破しダメージを与えるだけで伝説級程度の能力値は必要になるであろうと思われる。

 ……だが、それだけであれば当然、†聖天使猫姫†の従属モンスターの攻撃でも有効打を与えられたし、それ以前に亜音速機動で接近するアルファの<エンブリオ>の一撃を持って倒せていただろう。

 

 故に、それ以上に【ドラグマイン】を象徴している強力な固有スキルがある。それが――《炸竜爆雷》。

 変質した《竜王気》を――【ドラグマイン】が自由に扱う事ができる不可視の炸薬の特性を持つオーラを操る固有スキルだった。

 

 設置展開すれば高威力の地雷に、移動に噴出推進力として超加速を行い、攻撃に用いても中距離に爆裂の衝撃を届かせ、当然直接触れられでもすれば余程にENDが高くなければ体内から爆散させられるだろう。

 防御に使っても炸裂装甲(リアクティブアーマー)の如き働きによって威力を大幅に減衰されるばかりか手痛い反撃を強いる事になる、《竜王気》と同種にしてそれ以上攻性を誇る万能オーラ――それが【炸竜王 ドラグマイン】が誇る最大の固有スキルだ。

 罠として、飛び道具として、緊急移動手段として、鎧として――数多の使い道があるそれを正確無比に、無慈悲に運用し敵対者を抹殺する爆裂の化身。

 

 総じて――多少のステータスの低さなど全く問題にならない程に強力で応用性にも富む固有スキルを主力として暴れ回る怪物である、とコールは締める。

 それに勝利するのであれば、最低でもあの高出力の《炸竜爆雷》を攻略しなければどうにもならないだろうと付け加えて…………

 

 

「……いやいや、どう見ても無理ゲーじゃないかしらこれは……?」

「そうでもないさ。確かに見た限りあの固有スキルはとても強力だけれど……恐らく、その分消費SPは高い部類だ。クールタイムやチャージタイムの類がある様には見えなかったし、仮に大した消費もなく連発できるのであれば自分達がこうやって逃げ果せている筈がないからな」

 

 故に、“ボス”として見た場合、某狩りゲーの様に長期戦を挑んで息切れした所を叩けば良いだけだと――とは、言うが。

 

 

 (連発しないだろうからとは言えー……ゴブちゃん死んじゃったからあまり無茶させたくないんだけどなぁ)

 

 †聖天使猫姫†の残りの戦力と成り得る従属モンスターは残り3体。

 索敵と攪乱、そして光属性魔法による攻撃を得手とする【ラスターエレメンタル】のランプ。

 回復と支援、そして聖属性魔法による攻撃を得手とする【アルケー・ブレス】のテン。

 防御特化型の天竜にして《人化の術》も使える護衛役である【フェイス・デミドラゴン】のカルーア。

 

 ……†聖天使猫姫†の<エンブリオ>である【荘厳美麗 ティファレト】による超強化も計算に入れれば、確かに耐久に特化した従属モンスター達だ。

 コールの使う罠や【サンドウルフ】、弓による牽制も考慮すれば確かに耐久戦をする素地は整っている様に見える。

 

 だが――

 

 

「でもコール君。私思うんだけど――あのUBM(【ドラグマイン】)、多分だけど()()()()()()?」

「ああ、ドラゴンだから、ね。動物並みとは言わないし、【竜王】であれば人間並みの知能があっても不思議ではないな」

 

 少なくとも自身の力の効率的な使い方を解し、賢しらに自身の固有スキルの行使に必要なリソース(SP)配分までして温存。

 先程の戦闘でも的確に防御の薄い方に狙いを定め、弱点を突き、若干浮足立った所を蹂躙される形となった。

 今も、このだだっ広い大砂漠に隠れられる場所はそう多くないからか、獲物に逃げられたにも関わらず悠々と歩みを進めていて……むしろ、逃げられる事よりも奇襲を警戒している風にすら感じられる程。

 <マスター>について……<エンブリオ>について、〈UBM〉の持つ固有スキルと同様の埒外な力を持つ固有スキルの事を知識として知り、そして警戒しているのだ――

 

 そんな相手に、今の面子で相手が精魂尽きるまで持久戦と言うのは……()()()()だろう、まず間違いなく。

 それは耐久力が足りないと言う訳ではなく――倒しきる前に、逃げられてしまうであろうから。

 退路を塞げる様な数も能力もなく、この遮蔽物の殆ど無いだだっ広い砂漠では【ドラグマイン】の《炸竜爆雷》による超加速が無くてすら、逃走を防ぐ事は難しい。

 ……それこそ、鉄馬による機動力のあったモヒカン・RTAか速度特化型構成と一撃で倒せたかもしれない能力を持つアルファが居れば何とかなったかもしれないが……

 

 少なくとも、現状の手札では倒し切るのは難しいというか、無理筋なのではないか、と†聖天使猫姫†は思うのだが――

 

 

「――大丈夫だ。あれを倒す算段はもうついているからな。……〈UBM〉と戦うのはこれが初めてだから、机上の空論ではあったのだが」

「えっ、本当? ……本当ぉ!? ど、どうやって……」

「本当だとも。流石に意味もなく嘘は付かないさ。そして、方法は――」

 

 そこで言葉を切り、【狩人】系統の視覚系ジョブスキルによって岩陰の向こうで自分達を探している【ドラグマイン】の姿を見やる。

 

 自身に敵う相手など居る訳がないと威風堂々たる佇まいで周囲を睥睨する様は、【竜王】の名に恥じぬ威厳を醸し出す様で。

 先に推測した通り、本来は未だレベルもステータスも高くない身であろうにその己のみの力(固有スキル)で、己の才で――全てを蹴散らさんとする“圧”を感じさせる。

 

 そして、それは慢心でも騙りでもなく、只の事実でもあるのだ。

 己の力で、己の才で――遍く敵を屠ってきたからこその自負。それ故の、<厳冬山脈>からの下山。

 自身に絶対の自信を持つ“強者”の姿がそこにあった。

 

 

 ()()()

 コールは素直に“妬ましい”と感想を抱くと同時に、■■■てやりたいと思うのだ。

 故に、相対するのであれば当然コールも――()()()使()()()()()()使()()()、獲りに行くつもりだった。

 

 

「――作戦は、自分の<エンブリオ>をメインで行かせて貰う。それで――勝てる筈だ」

 

 

 ――パーティメンバーにすら秘していた……否、使えない筈だった己の<エンブリオ>を使用を決意して――

 

 

 To be continued……

  




何だこいつ厄介オタクか……?

ステータスが更新されました――――

名称:【荘厳美麗 ティファレト】
<マスター>:†聖天使猫姫†
TYPE:テリトリー
能力特性:従属強化・美化
スキル:《美しき私と愉快な仲間達》《信と愛は美しい》《美しき私達の独壇場》《絶対なりし黄金比》
モチーフ:生命の樹、セフィロトの第六のセフィラ、生命の樹の中心に坐し美を象徴する“ティファレト”
紋章:黄金比の女体
備考:典型的な従属モンスター強化系統のTYPE:テリトリーの<エンブリオ>。
 自身に戦闘不可の制約を与える代わりに(美しい私が戦うとかちょっとありえないですよね)味方の従属モンスターや奴隷のステータスと容姿を強化する固有スキルを有する<エンブリオ>。
 容姿を強化って何だよと思う者も多いかもしれないが安心して欲しい。安心と信頼の<アーキタイプ・システム>監修ですよ。
 【偶像(アイドル)】や【雛型(モデル)】のジョブスキルの判定にも用いられる“美”の概念を使用しているが詳しい事は割愛。
 つまりは自身と従属モンスターをより“魅力的”にしていき、そして自身と従属モンスターが“魅力的”であればある程ステータスバフが掛かる固有スキルとなっている。
 弱めのフェロモンオーラを出すオマケの様な固有スキルや“美”が一定値以上の味方か自身のみを対象とした短期間無敵の効果を有する必殺スキルも所有する。
 【オーガ・パラディン】氏も鬼族でありながら全く汚らわしさを思わせず、それでいて細マッチョな武士面をした美丈夫だったとか。
 なお、<マスター>のアバターなので初期のデフォルトの時点で美少女な為割と最初からそこそこ高倍率バフが行えたある意味全く違う方向でのシナジーが発動していたらしい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。