無限の世界と交錯する世界   作:黒矢

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前回のあらすじ:次回! ジーニアス新ジョブ習得! 希望の未来へ向かってレッツゴー!

長らくお待たせしました!
時系列は大体現時点の日記と同じ暗いと思って貰えれば


無限の世界と交錯する世界
狼剣誅す緑の害竜


■天地南部 開拓村

 

 

 

 開拓村。

 それは読んで字の如く。自然を、環境を開拓し人の領域を拡げ新たなる利益を得る為に作られるモノだ。

 即ちそれは必然的に人里離れた自然豊かな僻地に展開される事となり、常の村落と比べて尚不便な点は多い。

 人材物資双方の流入の少なさは言うに及ばず、物理的距離はあらゆるモノを届ける事に時間を要求し、特に緊急時等には早急な救援は最早期待できまい。

 

 勿論、それだけのデメリットがありながら人々は開拓を続け、版図を拡げて来た確かな歴史がある。

 開拓という物にはそれ程のメリットがあり、人の根源に根付く探究心から来る抗えない魅力と言う物があるのだろう。

 そして実際にそれを成し遂げた結果として、人類は霊長類としての座を手に入れたのだから、それが誤りだったという事はないのだ。

 

 

 

 ――<マスター>達の、リアルの世界では。

 

 だが、悲しいかな。その理屈はこの<Infinite Dendrogram>の世界では通用しない。

 人里を離れる程に、<セーブポイント>から離れる程に、モンスターの脅威は増し環境は狂い危険度はかの世界と比べるべくもない程に跳ね上がるのだから。

 勿論、それと同様に開拓を行う事によるメリットも跳ね上がるだろう。

 主要都市近郊で採れる素材と比べ、価値(リソース)も有用度も比べ物にならない素材を手に入れられる可能性は飛躍的に高まるだろう。

 また、希少モンスターや強力なモンスターとの戦いを望む上位の武芸者や<マスター>の中継地点としての役割もある事から開拓村には確かな価値があるのだ。

 

 だが。……やはり、リアルの世界とは比べ物にならないその難易度から、この世界では未開拓領域に人を住まわせる事は難しい。

 只一人、超越的な実力者(超級職)が秘境に籠もりそこに暮らすというだけなら可能だろう。

 あるいは、レジェンダリアやグランバロアの様に亜人族ならば違うのかもしれないが……人族範疇生物の大半である人類にとって、強力なモンスター蔓延る地域に、多数の人数による“村”を形成するのは非常に困難を極めるのだ。

 

 何故ならば、この世界の人類の力とは即ちジョブ。

 戦闘職に就いていない者が行う戦闘行動。生産職に就いていない者が行う生産行動――それらが完全に無為であるとは言わないまでも、そこには間違いなく圧倒的な差が存在する故に。

 そして村を、開拓村を興すと言うのはその何方かだけでは成立しない事であり、非戦闘要員も相当数の人員を動員しなければ村を運営する事は叶わない。

 その様な状況でも開拓を成し遂げるのであれば――厳しい環境の最中で村を支える非戦闘員も、彼らを守り切る戦闘職も最精鋭の人員で形成する必要がある。

 

 だが、前述の通りメリットも大きいのであれば、これ程の多少のリスクでもあっても呑み込んで開拓村がもっと有っても良い様に感じる。

 しかし、現実ではこの世界全体の人口や環境を鑑みても、開拓村という存在はそう多くない。

 

 それは何故か。一つはそれが可能な程の人員は国としても非常に有用であり幾らでも任せたい仕事があるという事。

 そしてもう一つ。

 この世界では、特に人里離れたモンスターの領域では、不意の特異なる強力な怪物――〈UBM〉が現れ、その精鋭達が失われる確率が非常に高いからだ――

 

 

 

 

 

 

 

 

   パッ    パッ

 

 パッ     パッ   パァッ

 

     パパッ    パァ……

 

 パパパッ     パッ

 

 

  パッ  パッパッパッパッ

 

 

 

『GRYUUUUUUUNN…………』

 

 

 光が、数多の光が――()()()が開拓村を襲う。

 島国天地の南端、<千踏山脈>に程近い武芸者達が主に住まう開拓村。

 山脈の大自然の恩寵と<千踏山脈>での狩りを行う武芸者に利用され利益を上げていた村だ。

 その村民は一人残らず合計レベル500の猛者であり、彼らが暮らす建物一つ一つも上質な素材と優秀な【棟梁】に作成された、並の純竜級の突撃を受けても一撃は耐えられる代物であった。

 開拓村にそれだけの精鋭を費やせるのは天地ならではの離れ業だ。

 500レベルの一流が数十人――もし一昔前であれば、この小規模な開拓村の人員だけで、他国の都市一つを落とせるかもしれない程の大戦力。

 

 

 

 ――それだけの戦力を誇っていた開拓村が、今、壊滅しかけていた。

 

 家屋は余さず蔓で覆われ大木に貫かれ、家畜(従属モンスター)は干からび果てて、頼みの綱の武芸者達は勝機薄と見るな否や迅速に非戦闘員を連れ離脱し終えていた。

 

 

 舞う、舞う、舞う、舞う……緑の光が、()()()が開拓村だったモノに舞い落ちる。

 何時もと同じ日々を過ごしていた開拓村がただそれだけで、十数分と経たずにこの惨状に陥ってしまったのだ。

 

 その下手人は当然<千踏山脈>の〈UBM〉。古代伝説級の【竜王】――【緑竜王 ドラググリューン】。

 茸と蔦と苔と花々に全身を覆われた巨大陸亀の様な姿をした地竜の【竜王】だ。

 しかし、【竜王】としての高い知性は殆どなく、むしろ他の竜よりも知能は低く、並の魔獣に毛が生えた程度しか持ち合わせていない。

 

 そんな【ドラググリューン】を〈UBM〉足らしめている能力とは一体何か。

 《竜王気》? 否。其れは彼の竜が【竜王】になったが由縁の副産物。ただ反応も遅く他の【竜王】と比べても使いこなせているとは全く言えない粗略物。

 地竜種としての高いステータス? 否。確かに伝説級モンスターの域を超え、水準こそ高い物のステータスの傾向は平凡的なEND型にSPを足し込んだ程度の物。

 むしろAGIなどは1000にすら到達しておらず、五体満足で逃げ切るだけであれば戦闘職でなくともレベルが高ければ容易な程だ。

 では、その巨体と質量による暴威か? 否。確かに20メテルを超える巨体であろうともその程度、竜種全体のみならず地竜種の【竜王】として見れば小さい物だ。

 特に【漂竜王 ドラグノマド】【山竜王 ドラグマウンテン】【居竜王 ドラグキャッスル】【大竜王 ドラググレイト】らとは比する事すら烏滸がましいまでに小さな【竜王】とも言える。

 

 では、【ドラググリューン】の特異(ユニーク)なる能力とは。

 そう、勿論。かの緑の光。緑の種の固有スキル、《百任逸種》ただそれのみで彼の竜は古代伝説級の〈UBM〉になっているのである――!

 

 

 《百任逸種》。【ドラググリューン】が無数に生み出し、放出し、行使する種子はその固有スキルとしてのスキル名に違わず、()()()()()()()()()()異常の種子だ。

 敵に触れては各種ステータスの大幅なデバフや【猛毒】【麻痺】【火傷】等の超多重状態異常に強力なドレイン効果を有し。

 寄生し発芽し悪化して行き、そう遠くなく全身が草に根に蔓に覆われた【ドラググリューン】の為だけに動く植物生物と化し。

 大地やオブジェクトに触れては木々が植物性トラップが森林が、そして忠実な配下たる植物型モンスターが生まれ出て。

 自ら貪れば各種回復やバフ等の効果が盛り沢山――そんな、たった一つのスキルで万事を為す【ドラググリューン】最大の特徴。それがこの《百任逸種》だ。

 

 種子と一言に言っても種自体の耐久力、適応力、変異性も高く、そして【ドラググリューン】本竜が使うそれは一つ当たりのコストも少ない。

 辺り一面――それこそ、全周の周囲数キロメテルをこの《百任逸種》の種子が数万単位で飛散・浮遊・付着する無意識ながら自動的な防衛機構の如く。

 地形を自らの領域に書き換えながらゆっくりと、遮る事叶わず前進しその進行上の都市の、動植物の、そして人々のリソースを貪り喰らう暴虐な様は、紛れもなく古代伝説級の〈UBM〉として相応しい猛威であった。

 

 知性が低い、動きが鈍い、応用もしないできない――だが、強い。

 少なくとも、天地の武芸者では超級職ならぬ身では太刀打ちできない程には。

 雨粒の如く戦場を飛散する種子を全て避け切る事も撃ち落とす事も敵わず、一度《百任逸種》が付着すれば――それだけで戦力としては喪失されたも同然なのだから。

 勿論、数十人規模の戦力を以てすれば多少は抗えはするものの、だからと言って【ドラググリューン】を倒せるとは限らない。

 何せ、仮に《百任逸種》がなくとも【ドラググリューン】はその位に相応しい耐久力と《竜王気》を所持しているのだ。

 特典武具も<エンブリオ>もないティアンの武芸者では、攻撃特化型が奥義を撃ってやっと僅かに傷が付くか付かないか。

 そうこうしている間に《百任逸種》を捌き切れなくなるか、配下の植物モンスターの大群に呑み込まれ果てるか、その未来しかないだろう。

 

 

 その点……天地の開拓村の武芸者達の動きは最善に近かった。

 予め<千踏山脈>に住む、【ドラググリューン】を含む〈UBM〉の特性を熟知していたのも大きいだろう。

 遠目に《百任逸種》の飛散を確認するや即座に村中の人間を集め、武芸者達を分け非戦闘員を護衛する人員と【ドラググリューン】に挑戦、足止めする人員に分かれた。

 後に互いを互いに庇い合いながら【ドラググリューン】に挑みかかり、しかし深追いはせず確実に時間を稼ぎ――結果として非戦闘員だけではなく村からの多くの貴重な物資や資材を避難させる事に成功した。

 そして、武芸者達も頃合いを見計らって辛くも離脱したのであった。

 

 

 ……逃げる事が叶わなかった、二人の武芸者を除いては。

 

 如何な練達魔技、人智を超える技量を誇る天地の武芸者とて完璧とは、流石に言い難かったのだ。

 しかしそれは本来“ミス”と言える様な物ですらなかったであろう。

 ……まさか、戦闘中、何の前兆もなく、直下大地のその下、地下から――一瞬で根が伸び種子が発生し……脚に付着するとは。

 僅かな驚愕、その隙に捌き切れなかった片手にもう一粒。

 

 あるいは、かの武芸者が超越の域にあれば、僅かなリソースの動きからそのトラップを見切れて居たのかもしれない。

 ……己の未熟の負債は、即座に自らの手足一本ずつ切り落とす事で贖う事となった。

 だが、当然ながら片手片足、その様な状況で先程までと同じ様に動ける筈もなく。

 

 次に種子の毒牙に掛かったのは、彼女と親しかった軽装の武芸者――当然の様に、種子を捌くのが遅れたかの武芸者を庇ってしまったからだ。

 彼は右肩からその先を失い、激痛と多量の【出血】に意識を朦朧とさせながらも、互いに庇い合いながら生き残っていたのだ。

 

 

 

 ――GRYUUUUUUUUUN!!

 

 

 

 だが――それも、此処までだ。

 最早仲間の武芸者達は皆撤退した。それも当然、彼らだって体力気力集中力は有限故に。

 既に残っているのは二人だけ。もう後がない背水の陣だ。

 あるいはそれ故にか、極限状態の集中力を発揮し、二人は互いの死角を補いつつ《百任逸種》を捌き続けていた。

 ――生き残るために、捌き続ける事しか、出来なくなっていた。

 負傷した彼らでは後ろへ下がる余裕すらなく、足を止め終わりと少しでも後回しにする事しかできずに――そして、()()()がやって来る。

 

 それは、数多の植物型モンスターを引き連れた【緑竜王 ドラググリューン】その本体であった。

 人も、物も……開拓村を襲撃して尚得られたリソースが想像よりも少なく、気が立っているのだろうか。

 それは定かではない物の、これだけははっきりと分かっていた。

 

 ――合計レベル500のティアン、最もリソース効率が良い()()()である自分達を捕食する為に自ら此処にまで出向いたのだ、と。

 それに気付いたとしても……二人にできる事は、もう何もない。

 周囲に味方はおらず、種子を捌くだけで手一杯。二人の儚き命の命運はここに尽きるだろう――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――そして、二人のそんなドラマなど特に関係もなく。種子の範囲外から超音速に倍する速度で、一人の「個」が超速の突撃と共に参戦の意を告げた。

 

「リベンジだ【緑竜王】オラァ《デストラクト》ぉ!」

 

 超速度と超威力。

 過剰威力が重なった双剣の連撃が【ドラググリューン】の眉間に突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□【特攻隊(デッドライン)】サンラク

 

 

 

「「なっ――!?」」

「クソかてぇッ!」

 

 しかし、その強襲は。

 確かに【ドラググリューン】の眉間に傷を作った物の……成果はそこで止まっており、小動もしない【ドラググリューン】の身体と――()()で腕からHPが多量に減少した結果だけが残った。

 

 

「やっぱりこの耐久力でこの能力はクソゲーだろうが――よッ!」

 

 即座に双剣を引き抜き離脱。同時に宙を薙ぎ払い種子がこれ以上付着するのを防ぎ、着地。そしてすかさず強引に後退し撒き散らされた種子の嵐より距離を取る

 想像以上の強敵である事を自覚しつつ、乱入した痩身に天狗の面を付けた<マスター>――サンラクは今回のクエストの難度を改めて自覚する。

 

 クエスト【討伐――【緑竜王 ドラググリューン】 難易度:九】

 クエスト【救出――黄奉頼人 巴木葉 難易度:九】

 

 

 それは、適当に狩りの為に立ち寄った村落で受けた依頼(クエスト)の項目。

 不意に頼まれたそれを見て――そこに、一度負けた名前を見つけ、且つてのリベンジのノリで乗り込んで来た一人の<マスター>……それが彼、サンラクだ。

 

 (――硬いだけじゃない。傷がもう完全に塞がってやがる。再生能力……と言うよりこれもあの種子の力なんだろうな。どの道火力があと三回りは必要になりそうだ)

 

 状況の難易度を再認識しながらも、根っからのゲーマーである彼は思考と行動を止めはしない。

 更に助走距離として救助対象であるNPC(ティアン)の傍まで後退しながら、上級の範囲回復魔法の込められた【ジェム】を砕き発動させつつも両手の双剣で周囲の種子を弾き飛ばす事を忘れはしない。

 そして――

 

「すまない、助かった! だが君、それでは無理だ――!」

「……むお?」

 

 そこに救助対象であった手負いの武芸者の声が掛かる。

 サンラクが行使した範囲回復魔法の【ジェム】により十分な止血と生命力(HP)の賦活を行え、あるいはサンラクを含む三人で協力すれば全員が生還できる目もあったかもしれない実力を持つ声だ。

 ――最も、それは相手が【緑竜王】でなければの話だが。

 

 武芸者達とサンラクを共に回復できた高位の範囲回復魔法の【ジェム】は……あるいは、そうであるからこそ、彼らに牙を剥いた。

 

 

 ボコッ

 ボコボコボコボコボコ――

 

 回復魔法……生命力の活性化により、周囲の種子が、地面に付着した《百任逸種》が()()()音だ。

 数秒も経たない間に数十匹の簡易な植物モンスターが生成成長し……彼らの周囲を何重にも取り囲む厚い壁となった。

 

 (遅かったか!)

 

 更なる窮地に陥った状況に、武芸者――黄奉頼人はしかし、仕方ないとも思う。

 そもそもいくらスキルによる存在であっても、回復魔法が掛けられただけで異常に反応し萌芽する等と言った事はありえないのだ。

 通常であれば植物操作に特化した魔法による成長促進等を行わなければ見られない現象だ……そのありえない事が起こるからこそ、古代伝説級〈UBM〉の持つ最大の固有スキルなのだが。

 それを知らなかった事は仕方ない事ではあるし……範囲回復を行ってくれたのは自分達に慮っての事であろうし、そうでなくともどの道、()()()()()()()()()()のだから。

 

 それは、天地の武芸者である彼らには既知の事。――【特攻隊(デッドライン)】の特性による物だ。

 そのジョブの特性は、ジョブの名称にもある通り、()()

 天地の武芸者でも就く者が稀にいるこの職は、西方の【血戦騎(ブラッド・キャバリア)】と同等とされる、()()()()HPをコストに高い効果を上げるスキル群を持った上級職である。

 だが、【血戦騎】と【特攻隊】のスキルには大きな違いがある。 

 それは――スキルのコストとしてHPを消費するか、スキルの()()としてHPを損耗するか、だ。

 

 例を挙げるとするならば、先程サンラクが使用した自身の限界を超えた速度で直進するスキル、《神速》。

 そして、STRと攻撃力に見合わぬ超威力で【緑竜王】を攻撃した攻撃スキル《デストラクト》。

 この二つは【特攻隊】の数少ないスキルの内の二つであるが、スキルのメカニズムとしては非常に似通っている。

 ――自身のAGI、そしてSTRでは耐えられない程に身体を強制行使する事でその効果を結実させると言う一点においては、だ。

 

 足も砕けよとばかりに踏み込み、実際に耐えられず脚部に傷痍系状態異常を発する事を代償とした超加速を行うが、ステータスの恩寵から外れた加速により思考速度の増加も風圧の軽減も行えない《神速》。

 身体の膂力、耐久力の限界も、そして武器の限界をも超えた超力で腕部に傷痍系状態異常を発する事と武器の耐久値の大幅な減少を代償に、代償に見合った威力で攻撃する《デストラクト》。

 更に、それらスキルの額面だけではなく自らのステータスを超えた力を制御する能力がなければただ自滅するだけであるこのジョブを持つ者は……天地であっても多くはない。

 

 確かに、一般的には【特攻隊】のスキルで得られる速度と威力は上級職の範疇では頂点に近しい物があるが……それ以外は何もないのが【特攻隊】と言う職でもあるのだ。

 ステータスはHPとSTR、そしてAGI以外は上がらず、【特攻隊】のスキルも他のジョブをメインジョブにしていれば使用できない汎用性のない物。

 スキルはこれ以外には生命力(HP)を全力放出して全周攻撃を行う《ダイハード》くらいしかない。

 【死兵】の様に決死の際のみの使用とするには上級職である事やスキルの汎用性が低い事が欠点として大きすぎる。

 

 それでも。……それでも、その圧倒的な力を必要とする機会はこの世界では少なくはない。

 そう、〈UBM〉の事だ。

 【特攻隊】が使い辛いジョブであろうとも、その発揮できる力の高さは“上級職の範疇”という区分の中の物であっても。その力の需要は確かにあるのだ。

 それを求めて【特攻隊】に就いた者は天地ならば確かに存在するし、歴史の中に名の残る程の者も確かに居た程だ。

 

 ……故に。今この場で重要なのは。

 命を捨てる程に特化した存在であっても。上級職一人の命と覚悟程度で討てる程、古代伝説級と言う存在は軽くはないという事だ――! 

 

 超音速に倍する加速、意識の外から放たれた速度と威力を重ねて乗せた【特攻隊】最大の一撃。

 十分な威力だ。仮に相手が標準的な純竜級のモンスターであれば致命部位から外れていたとしても一撃の下に葬り去れる程の攻撃だっただろう。

 しかし。……耐久型にして、《竜王気》を持つ古代伝説級の〈UBM〉に対して、その一撃の威力は()()()()

 否。これがティアンの武芸者であれば、【特攻隊】であっても傷を負わせるのは難しかったであろう。

 僅かな外傷と出血であっても、上級職の身でそれを為せたのは間違いなく<マスター>のステータス補正による賜物であろう。

 土台、不可能なのだ。数百万を超える生命力に四万を超えるEND、そして絶えずあらゆる生命体からの吸収を行える《百任逸種》を持つかの【緑竜王】を斃すのには明らかに()()が足りない。

 それこそ、森一つを焼け野原にする程度の力は必要になるだろう。そうして、【緑竜王】の《百任逸種》による領域をリセットする手段がないと、スタート地点にすら立てない――

 

 そもそもが、白兵系の武芸者では圧倒的に相性が悪い【緑竜王】が相手なのだ。

 仮に今までの自分達の様に、相手を只の餌としか思っていなかったような状況ならばともかく……現時点では、既に【緑竜王】の姿が見えない程に《百任逸種》の種子が覆い尽くす様に舞い飛んでいる今ならば、もうどうしようもないだろう。

 あれこそが攻撃を加えられ、敵手を認めた【緑竜王】の戦闘形態。“雨の様に”種子が降っていた頃とは段違いの種子の密度は……最早突破する事は叶わないだろう。

 カウンターの様にばら撒かれた大量の種子。それを全て捌く事は回復の恩恵があったとしても二人だけでは不可能であろう。

 そして――そのカウンターを至近で喰らった<マスター>(サンラク)にも、当然不可能な事であった。

 

 既に2、3個もの種子がその身体に付着してしまっているのが見て取る事ができ――その生命力も魔力も、回復した傍から減少していく事を知覚してしまう。

 それだけではなく、彼に絡みつく数多の状態異常が今尚深度を増している事だろう。……最早、三人の命脈は風前の灯火であると察する事が出来る。

 

 (助けをくれた者まで死地に誘うとは、何たる無様――)

 

 助けの<マスター>が来ても、状況は全く変わらなかった。

 回復魔法を受けたとて、手負いなのは変わらぬ武芸者二人と《百任逸種》を受け長くは持たない<マスター>一人。

 対するは、古代伝説級の【竜王】である【緑竜王 ドラググリューン】と彼が出す舞い飛ぶ《百任逸種》、《百任逸種》によって生み出された数多の植物モンスター――――

 《百任逸種》とそれに生み出された物を焼き払う最善手はここには無く、物理系の武芸者三人では前へも後ろへも往く事はできまい。

 僅かな時の先に、《百任逸種》に呑み込まれる未来しか彼の脳裏には浮かべられようもない。

 

 伝説級を超えた、古代伝説級の〈UBM〉とは――()()()()()()なのだ。

 絶望的な逆境だ。どうしようもない状況だ。

 この世界を、遊戯(ゲーム)として来ている<マスター>であれば、この様な理不尽な敵にはこうも言いたくなるだろう。

 ()()()()である、と。

 

 

 

「……何か勘違いされてるっぽいがまぁいいか。とりあえずお前達は少しの間でいいから自分の身を守っててくれよな」

「……!?」

 

 

 なお、この際に当の<マスター>が考えていた事は「天地のNPC、実力があって有能なのは良いけど合わせてRPするの疲れるんだよなぁ」であった。

 その思考が示す様に、武芸者の脳裏に思い浮かんだ未来と<マスター>が考えていた未来は大きく異なる。

 

 

あれ(【緑竜王】)を斃せば固有スキルの種子は無効化できるだろ? それまで付き合って貰うぜ――!」

 

 

 当然の様に【緑竜王】を討伐する未来絵図を隠しもせずに双剣を――己の<エンブリオ>である【逆討狼剣 ナポレオン】を構える。

 ちなみにではあるが、かの<マスター>――【特攻隊】サンラクは、一部の界隈ではこうも呼ばれている。

 

 “()()()()()()()()”サンラク、と。

 そして勿論、そんな彼のパーソナリティにより形作られた<エンブリオ>である【ナポレオン】の固有スキル、能力特性は。

 

 逆境(クソゲー)踏破に特化しているのだ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 では、果たして。

 未だ超越の領域……スペリオルクラスにはないサンラクに、埒外の耐久力を持つ【緑竜王】を討伐するに足る攻撃力を得る事が出来るのか?

 

 その答えは――“YES”だ。

 

「30秒で十分だぜ。《真鬼の怪力》――起動(オン)!」

 

 それは、彼が最近手に入れた()()()()の特典武具、【剛力鬼手 スートラヴァン】の固有スキル。

 逸話級特典武具である【スートラヴァン】の固有スキル、《真鬼の怪力》の効果は――任意の割合のHP・SP・MPを消費する事で消費した割合に等しい数字だけ一定時間の間STRを強化すると言う至極単純な物。

 この効果を起動し、STRを水増しする為に先程回復の【ジェム】を使用したと言っても過言ではない。

 

 ……なのだが、はっきり言って攻撃強化としての効率は決して高くない。

 HP・SP・MP……基本的に【特攻隊】として、速度型戦士としてHPとSPを無駄に消費できないサンラクにとって気軽に消費できるコストはMPしか存在しない。

 

 逸話級である限界とも言えるが、現時点では強化する元の数値が上級職でしかないサンラクの物であるという事を鑑みればSTRに数千の数値を足し込めれば御の字と言った所だろう。

 追加効果もあるとは言え、これでは自己強化に特化した上級職のジョブスキルであればもっと使いやすく上等な強化を行う事が可能であろう。

 特典武具を使ってまでやる事ではない。

 

 ――勿論、特典武具はMVP獲得者にアジャストする物であるのだから。

 それは、このサンラクが使う物である以上、そこに確かな意味があるのだが。

 

 さて、因みにであるが。

 先の発言にもあった30秒、と言うのは【スートラヴァン】のSTR強化の持続時間の話ではない。

 

 ()()()()()()()()()()()()の事だ。 

 

 

 

「「むっ!? あれは――」」

 

  ――GRYAAAAAAAAAN?!!

 

 

 赤色が舞う。

 赤色の粒子が、サンラクの総身から放出され――両手の籠手に、【スートラヴァン】に喰らわれていく。

 サンラクに残っていた全ての魔力(MP)、そして生命力(HP)が――全て《真鬼の怪力》の力となっていくのだ。

 

 当然ながら、サンラクの残りHPは0――サンラクがサブジョブに持つ【死兵】の《ラストコマンド》による猶予時間で死に延びているだけである状況だ。

 無謀な、自滅が如し所業。……それを行ったとしても、総STRは一万を少し超えた程度だ。

 とてもではないが、それでは先程の様な超速度と超威力を用いても勝てる物ではない。

 

 

 だが。

 こういう状況でこそ奮い立つ者は確かに居るのだ。

 こういう()()にこそ効果を発揮するそのスキルは、実の所デンドロが出るより遥か昔。古の時代のゲームよりずっとゲーマー達に慣れ親しまれてきた概念なのだから。

 そのスキル、【ナポレオン】の固有スキルの最大の特性でもあるその概念、能力、スキルは俗にこう呼ばれる。

 

 ()()()()()()、と。

 

 

 

 

「おいおい緑亀野郎。これだけの悪条件(重複状態異常敵数多数瀕死状態護衛対象有)を重ねても【ウォルヤファ】の時に強化倍率が遠く及ばないとか【竜王】を名乗っておいて情けなくないんですか――ねぇ!」

 

 言葉と共に双剣より放たれるのは剣圧の衝撃波。

 斬風を飛ばす東方のごく普通の遠距離用の剣用アクティブスキル。

 

 ――その斬風は【緑竜王】までの直線距離と【緑竜王】を取り巻き舞い飛ぶ《百任逸種》の殆どを吹き飛ばす激風となって襲い掛かる。

 

 

  GRYAAAAAAAAAAAA!!??

 

 

 そればかりか、僅かな――と言うには余りにも過小であるサイズの傷を、【緑竜王】本体に刻み込んですらいた。

 スキルの動作の関係上、当人の速度(AGI)も威力に影響を与えるスキルであるとは言え、上級職の出す力とは考えられない程の力だ。

 

 それも、その筈だろう。

 数多の悪状況、自身の損耗、そして古代伝説級の〈UBM〉であり、本人の戦法はともかくその性質としては貯蔵型である【緑竜王】と、彼我のリソース差による判定――

 必殺スキル、《我に不可能はなし(ナポレオン)》を発動したサンラクの<エンブリオ>による多重強化は……もはや上級職と呼べるレベルでは全くないのだから。

 果たして、その状態で……上級職の中でも頂点に位置する超速度と超威力を叩き出せる【特攻隊】のスキルを使用した時、どうなると言うのか――

 

 ……参考までに。かの特典武具、【スートラヴァン】を手に入れる、それよりも一か月以上前に達成した彼の最大速度は。

 超々音速を超えた()()であった。

 そして今は――その時より、遥かに高いSTRと攻撃力を実現させる【スートラヴァン】がある!

 

 相手のステータスを、その強化を察する様な能は【緑竜王】にはない。

 しかし、知能が低いからこその野生の直感として、“アレはヤバイ”と察していた。

 だからこそ、プライドも狙っていた獲物も何もかも投げ捨て逃げの一手を打とうと頭を反転させる。

 

 ……しかし、AGIにして1000にも満たない、余りにも低すぎる速度では、逃げ始める事すら出来る訳もなく。

 

 野生の本能を全開にした《百任逸種》の遠隔マニュアル操作……必死の思いで其れを為したとて、彼の死神(サンラク)は止まらない。

 まともに動く事すら叶わない筈の呪毒と精神汚染は天狗面――且つて倒した〈UBM〉の特典武具に完全に防がれて。

 全身を縛り伸びる蔦の拘束は超強化された筋力(STR)を前に僅かな足止めにしかならず容易く引き千切られた。

 最早サンラクを止める術は【緑竜王】には一つもない――

 

 

「じゃあな、【緑竜王】――《神速》《デストラクト》」

 

 

 

 ―――――――――――!!

 

 

 音の壁を何枚もぶち破った轟音と衝撃と共に、【緑竜王】の眉間に、再度《デストラクト》が叩き込まれた。

 今後は僅かな傷を作るに留まらず、その頭骨、脳漿、コアを破壊の衝撃が余す事なく蹂躙していき……

 

 ……ENDにより数秒のみを持ちこたえ、【緑竜王】はその身を大地に伏せて、――光の粒子へと変わりだした。

 討伐、完了したのだ――――――!

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

□天地南部 元開拓村 【特攻隊(デッドライン)】サンラク

 

 

 【〈UBM〉【緑竜王 ドラググリューン】が討伐されました】

 

 【MVPを選出します】

 

 【【サンラク】がMVPに選出されました】

 

 【【サンラク】にMVP特典【緑種外装 ドラググリューン】を贈与します】……………………

 

 

「よっしゃ勝ったぁ! リベンジ達成だぜクソ亀ァ!」

 

 

 〈UBM〉討伐のシステムログが流れていくのを確認しながらも()は勝利に沸きながら啖呵を切る。

 それと同時に且つてあの【緑竜王】の《百任逸種》で殺された時の雪辱が果たせた事を再確認して勝利に浸る。

 あの時はまだ必殺スキルも、【スートラヴァン】も無かった時でどうしても火力が圧倒的に足りなかったのだが……やはり成長と装備更新によるリベンジはMMOの常識だよなぁ!

 死亡が確定している? バッカ<マスター>なら死亡を前提とした作戦も可能なんだからデスペナ受けても大勝利だわ。

 

 

 【クエスト【討伐――【緑竜王 ドラググリューン】】を達成しました】

 【クエストリストを更新しました】

 

 

「……あれっそういえばあのNPC二人生きてる……よな? 少なくとも最後に話しかけた時はまだ元気そうだったんだがこれ救出クエの方大丈夫か!?」

 

 更に更新されるシステムログ、討伐クエ達成のログを見てふと最初の依頼の対象だったNPC(ティアン)の事を思い出すが、流石にもう手も足も出ない。

 文字通りの意味で。

 先程の過剰ステ―タスから繰り出された【特攻隊】のスキルは【竜王】をほぼ一撃の下で屠る事の代償にサンラクの手足を根こそぎ吹き飛ばす程の反動ダメージを与えていたのだから。

 まぁ、最も。仮に手足がまだ使えたとしても――《ラスト・コマンド》の残り時間は既に10秒を切っている。どちらにせよどうしようもない事だ。

 元の実力はある筈なのだから脅威が排除された時点で達成扱いにならねぇかなぁ……と期待しているが、その結果はきっと、24時間のデスペナルティの後に分かる事だろう。

 救出依頼の方のクエストのログが出ないのは、未だに生存も死亡も確定していないからなのだから。

 

 

 【自傷ダメージを伴う速度に由来した攻撃力による与ダメージが一億を突破しました】

 【条件解放により、【神風】への転職クエストが解放されました】

 【詳細は特攻隊系統への転職可能なクリスタルでご確認ください】

 

 

「まぁあの二人も普通にカンストクラスだったっぽいし後は天に祈って…………なんて??」

 

 時間は無慈悲に進み、何か爆弾発表を行った様な気がしたシステムログを確認する間もなく思索する時間もなく、《ラスト・コマンド》の効果時間は終了した。

 そして当然ながら、それと同時に――身体(アバター)の大幅な欠損とHPを全て捧げた後の《百任逸種》の継続ダメージの結果も相まって即座に蘇生可能時間は過ぎ去って。

 

 【緑竜王】が死すると同時に多量の光の粒子となって消え去ってゆく《百任逸種》と同様に――サンラクの身体もまた、光の粒子となってこの世界を去った。

 

 

 …………この後、デスペナルティの時間を悶々としながら過ごしたり、万全整えてやはり自傷過剰速度で転職クエストを突破するゲーマーの姿があったりするのだが。

 それはまた、別の話。

 

 

 

 

 

 …………End

 




 ×[シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜]
 
 合わない訳がない。誰だってそう思う僕だってそう思う。

 ステータスが更新されました――

【神風】:自傷ダメージ派生超級職。速度特化型。
 自身の制御力を超えた速度を出す事に特化したやべー奴専用の超級職。
 自傷ダメージとか反動の軽減や無効化と言ったスキルは一切習得しない。
 だが、だからと言って装備スキルやバフ、他固有スキル等で反動の軽減や無効化を画策し使い勝手が良い様にするのは決してお勧めしない。
 何故ならこのジョブは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()にまで加速させてくるのだから。
 ちなみに、高速型ではない自傷ダメージ特化超級職もあるらしい。
 就職条件は強敵撃破、自傷ダメージ1000万、自傷ダメージを伴う速度に由来する攻撃力を含む与ダメージ量1億、一定速度突破。その上で転職クエストのクリアが必要だ。

【剛力鬼手 スートラヴァン】
 <逸話級武具>
 鬼神の如き力を宿した逸話を持つ籠手。
 装備者に鬼の剛力を扱う力を与える。

・装備補正
 STR+20%

・装備スキル
 ・《真鬼の怪力》
  任意のHP・SP・MPを割合で籠手に与える事が出来る。
  籠手に力を与えた時、一定時間の間STRに与えたHP・SP・MPの最大値に対する割合と同じ%をプラスする。

 ・《真鬼の魔力》
  《真鬼の怪力》で与えたHP・SP・MPの合計値が100%を超えた時に発動する。
  白兵攻撃が攻撃力の20%の絶対破壊能力を得る。

 ・《■■■■■》
  《真鬼の怪力》で与えたHP・SP・MPの合計値が300%を超えた時に発動する。
  未開放。

 ※譲渡・売却不可アイテム
 ※装備レベル制限なし

名称:【逆討狼剣 ナポレオン】
<マスター>:サンラク
TYPE:ルール・エルダーアームズ
能力特性:逆境打破
到達形態:Ⅵ
スキル:《臨界を越えて》《逆転の狼煙》《我に不可能はなし(ナポレオン)》
モチーフ:フランスにおける実在した英雄“ナポレオン”
紋章:牙を研ぐ狼
備考:両刃の双剣型の割とありきたりなTYPE:アームズ系統のエンブリオ。
 装備補正やステータス補正は並みのエンブリオと比べてやや低め。ステ補正に関してはSTR・AGI・DEX偏重。
 それだけなら尖った所が無さそうだが、固有スキルはむしろ尖りに尖っており“逆境を力に換える”事に特化した超強者打破特化型エンブリオ。※メイデンではありません。
 固有スキルはそれぞれパッシブの『自身のHPの割合と受けている状態異常の数・深度に応じたSTR・AGI・DEXの割合強化』と『現状が逆境/苦境である程自身の発揮ステータスの割合強化』。
 そして必殺スキルによるアクティブの短時間『彼我のリソース差が大きければ大きい程他二つの固有スキルの割合強化』という、潔い程の逆転特化となっている。
 勿論、自分が万全で相手が強くなければ何のスキルも発動しないただの武器にしかならない。
 なお、セルフ火事場はありとする(ゲーマー並感)。
 サンラク、自分からクソゲーにしに行く所もあるからね……


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