無限の世界と交錯する世界   作:黒矢

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嘘予告とはいったい何だったのか……
きっと今回もSCP-____-Jが邪魔してましたね間違いない


《物皆遍く供贄の輩》

□■

 

 

 

 

 

 

 ――――来る2045年1月某日。

 後に“第一次騎鋼戦争”と名付けられた戦争が始まる――

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 

「――アルター王国国王、エルドル・ゼオ・アルターだ。皆の者、現在このアルター王国には未曾有の脅威が迫っている……そう。言うまでもなく、隣国、ドライフ皇国からの宣戦布告だ。

 事前に告知していた通り、此れより<戦争結界>が起動し、かの国の者がこの国を侵略しに来るであろう。貴公らも知っての通り、これほど大規模な戦となるのは建国より且つて無い程であり、そして相手の強大さもまた然りだ。それは今まで隣人であった我らが一番良く理解している事だ。

 ドライフ王国の機械技術、そして所属し、参戦してくるであろう<マスター>の力も――最大限の脅威となるだろう。

 だが、だからこそ――皆の者、我が国、“騎士の国”の誉れ高き戦士達よ、今こそこの国難に奮い立つのだ! 我らが開祖、戦乱の世を切り拓きこのアルター王国を興した初代アズライト様にも劣らぬ勇士達ばかりであると、証明して見せようぞ!

 勿論、私も貴公らと共に我らの国を、そして愛すべき民達を守る為に立ち上がるつもりだ。

 ――だが、私の様に戦争で戦うばかりが愛する者を守る為の力ではない。この戦争に参戦する者も、そうでない者も。どうか各々のやり方で己の愛する者を守る様、尽力して欲しい。

 

 …………それでは、征くとしよう――総員、出撃――――ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

「――ドライフ皇国皇王、【機皇(インペリアル・マシン)】のラインハルトです。皆さん。ついにこの時がやってきました。まずはこの戦争への参戦を深く感謝します。貴方方の行動と貢献には確かな褒賞と誠意で報いさせて頂くとしましょう。

 しかし今は、目の前の戦争の話をさせて貰います。始めに、皇族として、そして皇王としての不足を恥じるばかりですが――現在、我が国は亡国への道を進み始めています。その事を謝罪させて頂きます。

 深刻な不作からなる飢饉で国が餓えているにも関わらず、皆さんを導かねばならない筈の我々皇族に貴族は内乱に明け暮れ国を更に疲弊させ、結局抜本的な解決を図る事が出来ませんでした。更には、それに乗じて他国からの食糧の輸出も止められ――ええ、態々言われなくとも皆さんご存知でしょうが、既に我が国の食糧難は最早独力ではどうにもならない所まで来てしまいました。

 ……勿論、私が皇王になってから行ってきた通り、これからも皆さんに可能な限りの食糧支援を行っていくつもりではありますが、残念ながら私共の力ではその総てを救う事はできません。

 ――――故に、この様な(戦争)手段を取らせていただきました。

 かの国、アルター王国は我が国との友好国でありながら友好国、同盟国として()()()()()()()()()を跳ね除け、そして百余年続いた同盟の絆を断ち切り反故にし、そして存亡の危機にある我が国への食糧支援(輸出)を打ち切りました。

 且つての友好国、そして今では敵国――各々思う所がある者も居るでしょう。しかし、皇国がこの国難を前に生き残る道は、これ以外にありません。

 皇王として、そしてこの戦争を始めた者として、私はこの後如何なる批判をも受ける覚悟があります。

 しかし……それは、この皇国に、皇国の民に、我々に未来があってこその事。その為に、未来を掴む為に、私達の持てる“力”を以て敵国を……アルター王国を撃滅してください。これは皇王としての命令です――――!」

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 両国元首の演説の下、出撃する戦力達、今までのモンスターとの戦いとは違う、人と人との生存を掛けた“戦争”の火蓋が切って落とされる。

 騎士が、兵士が、騎馬(従属モンスター)が、機械が、そして<マスター>が――戦う為に、殺し合う為に、相手の命を未来を奪う為に――その歩を進めるのを、民達は見ている事しかできない。

 

 

 

 

「やっぱり始まっちまったか、畜生……!」

 

「ねぇー。皇国って仲良しの国じゃなかったのー!?」

 

「……うん、そうだったんだよ。少し前まではね――」 

 

 

 

「考えたくもないが、これで負けたら皇国も崖っぷち――いや、もう現時点で崖っぷち、か」

 

「トースターちゃんやキングさんを始めとして食糧生産系の<エンブリオ>は居ても……皇国全体の必要量からすれば焼け石に水、ままならない物ですね」

 

「ぐらんぱーにゅー?」

 

 

 

 

 戦えぬ民達の葛藤を他所に――様々な思惑の下に、無慈悲に戦端が開かれる。

 侵略者(ドライフ皇国)から国を守る為に。

 存亡の危機(食糧危機)から国を生き残らせる為に。

 

 

 

 ――と言う表向きの理由、()へ向けた理由の外にも。

 彼ら――駒の指し手達の、深慮遠謀の贄として…………

 

 

 

 

「ふ、流石に<超級>……準インフィニットクラスの数に此処まで差があれば勝機は厳しそうだ……クリスタル、その時は』

『承知しています。そちらも手抜かりなく』

 

 

 

「ついに第一回目の戦争が始まったか。これで一人でも<超級>が増えれば幸いなのだが」

「そうだねー。……逆境の王国か、それとも背水の皇国か。どちらも可能性はあり得ると思うけどー、さて――」

 

 

 

「此処で負ければ全て御破算です。ベヘモット、レヴィアタン、お願いします――」

You got it(任せてよ)!』

 

 

 

 

「もう少しで始まりますね。それでは――」

「ああ、行って来るよ。綺麗に横槍を決めてしまおうじゃないか」

 

 

 

 

 

 

 

「ああ。特別な指示は何も必要ない。そのまま両国でぶつかって貰ってくれ。――私達としても、あちらに相乗りするのが最も都合が良いからな」

 

 

 

 

 

 

 “化身”に連なる者の力を図る為に。

 大目標の前の小目標――<超級>への覚醒を促す為に。

 国を、友を、そして世界を守る為に――

 

 様々な目的を持って戦争の影で蠢く指し手達に、その思惑に……駒達は気付く筈もなく。

 只管に自分達の国を守る為に死力を尽くす――

 

 

 

 

『が、【ガイスト】の中に猫がっ!? くっ、これは――』

 

「チィッ! 雑魚は下がってろ!」

 

「《無彩無消無形猫(パイ・フー)》――!」

 

 

 

 

「獲物がこんなに集まってくれて嬉しいなぁ! 何処まで行けるか――《熱力学第七法則(マクスウェル)》ゥ――!!」

 

「いけない、皆散れぇ――!!」

 

 

 

 

 圧倒的多数対圧倒的多数。自由を謡う<Infinite Dendrogram>でも類を見ない程の大規模戦闘――だからこそ、その中で最も活躍するのは広域制圧型と広域殲滅型に他ならない。

 繰り返される必殺スキルの応酬、その最中で磨り潰されていく数多の雑兵(・・)達。

 

 

 そして、壮絶な広域型同士の潰し合い――その渦中であっても戦い続ける個人戦闘型達。

 

 ……あるいは、因縁の対決。

 

 

 

「――貴様の様な奴まで使っているとはな。王国は破落戸でも構わず徴用する無法者の国だったかな?」

 

「ハッ。ただの義理人情だよぃ。――ジョブ(超級職)だけ奪って出奔したテメェと一緒にするなよ」

 

 

「――――」

「――――」

 

 

「消え失せろ」

「テメェがなァ!」

 

 

「《確定された数理の神剣(エクスキャリバー)》――ッ」

「《超越の輪冠(ケテル)》――!!」

 

 

 

 

 

 激突し、激化して行く戦い。

 しかし――それも始めの内だけ。

 何故なら……そもそもの戦力(<マスター>)の総数が違い過ぎる。

 その数が、実力が、違い過ぎるからだ。

 

 故に、その結末は確定している。

 本来の流れとの多少の差異があった所で……その結末は変わらない。

 

 だが、変わるものがあるとすれば――――

 

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

 

「――“アナンタシェーシャ”とは、『永遠』や『無際限』を象徴とする千の頭もつ蛇王(ナーガ)の事だ。海、あるいは氷を司ると言われているが――――忘却に関連する逸話など、欠片もありはしない。ならば、あの<エンブリオ>の能力特性は何処から来たんだ――?」

 

    ――とある職員(<マスター>)の疑問

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは揺蕩い、微睡んでいた。

 遥かなる深海にその身を浸して――近付く者の全て(・・)を喰らって生き永らえていた。

 他の生物の様に、その身体の肉片一つ残らず貪り食う――などと言う、勿体ない事はしない。

 それが喰らうのはその肉だけに非ず……その者の魂、心、精神――記憶。そういった他の者では容易く手を出せない内面のリソースをもそれは己が獲物としていたのだった。

 それこそ触れるだけで、その心を喰らい尽くす――ばかりか、その体液、そして体液が漏出し染み出た近隣の海水に浸るだけでその影響が現れる程。

 その体躯も、その能力も、余人では全く抵抗出来ない程の大怪物あるいは大神威なのであった。

 ……そう、後に“無際限”――即ち、『無限』を象徴とする名を付けられる程の――

 

 

 

 ……それは、とある人間達が、自らの体液を利用していると言う事にも当然気付いていた。

 生贄の人員を寄越し、漏出した体液を拝借し、そして加工し己らの都合の良い様に使っているのだ。

 

 ――なんと都合が良い者達か。

 定期的に獲物を差し出してくれるだけではなく、己の体液を加工しそれを使用している――即ち体液を通して更にそれに餌を、リソースを供給し続ける行為に他ならないのだから。

 それは己の体液を、能力を介してでも変わらず喰らい尽くす怪物――巣食う化物だったのだから。

 巣食われた獲物達の記憶や魂、その他精神的な諸々を己の腹の中に溜め込み賞味しているのだ。

 とある報告書を見てもそれは分かる通り。……それは、喰らい尽くした獲物の記憶や感情、魂と言ったその人をたらしめる物を……パーソナリティ(・・・・・・・)を喰らい、そしてそれを引き出す事すら可能とする超常なのだ。

 

 だが、それを理解して尚人間達は――財団職員はそれを利用するのを止めはしない。

 世界の秩序を守る為、円滑に任務を遂行する為に――かの怪物の体液から作られる記憶処理剤は何物にも代え難い利便性を有しているから。

 

 それを知ってか知らずか、そんな状況が続く日常にそれも満足していた。

 

 

 

 そんな時だった。

 自らの力が全身を浸透した獲物(人間)を通して――自らの端末(・・)が生まれた事を察知したのは―― 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦争の最中。

 数多の命が散り行く戦場で。――数多の獲物が集うその場所で。

 その<エンブリオ>は……マスター(・・・・)という媒介を経て顕現せし怪異の端末は喉を鳴らす。

 

 数多のモンスター(非人間範疇生物)にとってそうである様に、それにとっても、ティアンと言う存在は最上の餌なのだ。

 それも、これ程の数、その質(超級職)ともなれば……内包するリソースは膨大な物となるだろう。

 

 

 【デイヴァ―ボース】に内包されていた遥か過去の【海神(ジ・オーシャン)】や【冒険王(キング・オブ・アドベンチャー)】の様に怨念となり擦り切れた干物の様な存在でもなく。

 同調者――マスターによって制御された《夢忘の一滴》でほんの上澄みしか味わえなかった【魔機王(キング・オブ・イリーガルギア)】の時とも違う。

 

 

 つい先日喰らい尽くした【神装操縦士(ダマスク・ドライバー)】の様な……マスターの完全なる敵対者、即ち――獲物(・・)である。

 

 

 

「待ち切れませんか? ……そうですね。私もです。この世界から離れたく(死にたく)はないですけども――ええ、それでもこの戦争は頑張りたいですね」

『Ssyururuluuuu……!』

「折角の獲物、折角の晴れ舞台。……此処で無様に負けたりなんかしたら皆に顔向けできませんね?」

『SyaraAaaaaa――!!』

「はい、出し惜しみは無しです。――――行きましょう《物皆遍く供贄の輩(アナンタシェーシャ)》――!」

 

 

 

 迸る暴威の食欲(獣欲)に、芽生えた我欲が動き出す。

 

 そして――――

 

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 

 

【――超級進化シークエンスを開始します】

 

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……馬鹿な」

「団長、あれが何か知っているのですか!?」

 

 

 

 【聖騎士】達が……そして、【天騎士(ナイト・オブ・セレスティアル)】が戦場を掛ける。

 同胞の兵達を数多喰らった悪魔軍団を突破し、その召喚者である【魔将軍】を打倒し、これ以上の被害を防ぐ為に乾坤一擲の突撃を行っていた。

 

 しかし――遥か前方、数千を越える悪魔軍団の斜め後方。

 他の【マーシャルⅡ】とは少し相溶の違えた<マジンギア>の直上に出現したそれに、【聖騎士】達は――そして何より、【天騎士】は目を剥いた。

 

 それは、()だった。

 最初は人を数人包み込める程度の相応に巨大な水球。ただそれだけに過ぎない存在であったモノが――瞬く間にその体積を膨張させ数百人を同時に飲み込めるであろう海龍(・・)とでも言うべきフォルムへと整形されていた。

 

 

 ――そして、その水の龍の正体を、【天騎士】ラングレイ・グランドリアは知っていた。

 彼だからこそ知っていた。おそらく、あれを知る者はこの戦場には自分と【大賢者】しか居る筈がないのだと。

 

 

 

 

 

 ――――《海龍(ストリーム)

 かの規格外の超龍の存在を参考に遥か昔の【海神】によって開発されたその超級魔法は魔力を喰らって増大し、触れえる全ての魔力(MP)を呑み込み更にその総量を嵩増す消魔の広域制圧魔法だ。

 あらゆる魔法的干渉を飲み込み、そして液体であるが故に物理的干渉を無為と化す。更には程度の低い支援魔法や強化魔法の類をも溶かし魔力の糧として、陸を這う総てをその腹に捕らえ無力化する魔法。

 

 

 ――ジョブにそのスキルを有する【海神】と規格外の実力を持ちあらゆる魔法を行使する【大賢者】以外に行使できる者が居ない筈の、完全なる完成度で放たれた(・・・・・・・・・・・・)超魔法であった。

 

 

 (<エンブリオ>か――! 不味い、こんな所(突撃密集陣形)にあんな物を撃ち込まれたら――!)

  

 【聖騎士】及び【天騎士】は物理系職【騎士】の派生上級職でありながら、【司祭】系統も複合している事で回復魔法や聖属性剣技を主とした、所謂魔法戦士系職である。

 その為、当然であるが魔法や聖属性剣技を使用する為にSPよりもMPの方が高い傾向にあり、またそれを活かす為にジョブ構成もMP寄りにしている者が殆どだ。

 かの《海龍》に飲み込まれては戦う力を喪う所か――最早あの水龍から逃れ出る事も出来ずにそのまま窒息して死ぬ運命であろう。

 

 ……ラングレイだけは水中用装備も【アイテムボックス】に一揃えしている為に抜け出て戦闘を継続する事は出来るだろうが、それでも部下とMPを喪い、その上でこの魔法の術者と悪魔軍団を越えていくと言うのは――余りにも分が悪い賭けだった。

 

 

 ならば……取れる策は一つだけだ。

 

「あれは君にとっても特に天敵の様な魔法だ。だからこそ――術者を叩く。【魔将軍】を前に無茶させる事になるが……」

『私に掛けるべき言葉はそれではない。こう言えば良いのだ――任せた、と』

「――ああ、そうだな。【雷霆(ゴルド)】――行くぞ!」

 

 

 ――国宝にして愛馬、煌玉馬である【黄金之雷霆(ゴルド・サンダー)】の連続《電磁縮地(レイル・ジャンプ)》からの騎手と騎馬のコンビネーションアタック。

 最速にして最大の火力を叩き込む、伝説級の〈UBM〉程度であれば一撃で絶命せしめる技。

 

 一瞬で距離を詰め、《プラズマ・スラッシャー》と【天騎士】の奥義がぎりぎりで反応し、突き出された改造<マジンギア>の右腕に命中。

 

 

 

『――《超堅装甲》』

 

 

 ……そして、その腕を断ち切る事も出来ず甲高い金属音を鳴らしながら、装甲に弾かれる事となった。

 

 

「な、に……!」

『――――!』

 

 

 

 攻撃を受け止められ、物理的にその動きを止めてしまった一騎。

 止まった一瞬で見れば……その装甲に膜の様に貼られた防御魔法と何らかのスキルの発動の証左であろうオーラが見える。

 防御魔法は……おそらくは【海神】の使う複合防御壁魔法だろう。《海龍》を使える時点で【海神】の他の魔法を使える可能性は確かにしていた。

 だが、その上で純竜級程度なら確殺できる程の火力を叩き込んだ筈。

 しかし、その一撃は容易く受け止められ、機体に僅かな傷を残す程度にしかならなかった。

 

 

 馬鹿な、何故、どうやって――一人と一機がこの危機的状況にその超防御の絡繰りと打開策を探ろうと考えを巡らすが……答えには辿り着かない。辿り着くはずがない。

 

 

 それは、絡繰りと言える程上等な物は何一つない――<超級エンブリオ(・・・・・・・)>を用いた力業と言える荒業なのだから。

 まさか精神系統魔法を専門とする【心神(ザ・ハート)】が超級のガーディアンの力を用いて《操縦》Lv10を、《獣心憑依》Lv10を、《人機一体》LvEXを、そして【海神】の【神装操縦士】の固有スキルを使用しているだなんて……想像できる筈がないのだから。

 記憶を消す――否、記憶を喰らう神獣であるが故の、その胃袋の中の喰らった記憶をスキルを限定的に行使する必殺スキル。

 

 背後に迫る悪魔軍団の主同様の……超越者(<超級>)にのみ許された理不尽な相乗効果による超戦闘力。

 元より総合的な戦闘力で勝ち目はなく、常識的な手で打開策など在る筈もなく――

 

 故にその一瞬の意識の空白で左腕の砲塔が向けられている事にも気付けず。

 

 

「――――ッ!」

 

 咄嗟に防御態勢を取り、攻撃と衝撃に耐えようとする。

 【天騎士】は耐久型超級職。埒外な強化をされていても砲撃程度耐えてみせると――――

 

 

 

 だが……気付くべきであっただろう。先程の触れただけで戦闘力を奪うだろうと考えた水の龍の事を。

 もし砲塔から放たれた攻撃がそれであったのなら、【雷霆】諸共戦闘力の多くを失っていたという事を。

 

 

 尤も。

 マスターの――【アナンタシェーシャ】の《夢忘の吐息(液体)》を受けてその程度で済む筈がないのだが。

 

 

 

 

 

 砲塔から散弾銃の様に水飛沫が噴出され。

 

 ラングレイ・グランドリアの意識は闇へ落ち……そして二度と戻る事はなかった――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 第一次騎鋼戦争……終結。

 その結果は殆どが本来の流れと同一の物でありながら……ただ一点、一人の<超級>が生まれたという点だけが大きく違っていた。

 この戦争に関わる全ての駒の指し手達の望み通りの結末となり……そして、また新たな日々が続いていく。

 異なる流れがどの様な未来を紡ぐのか…………それはまだ、誰にも分からない――――

 

 

 

 

 

 To Be Continued…………

 




――――


――――


――――



■■■■のメモウィンドゥ:

【機械聖剣 エクスキャリバー】
 【騎士団長(ナイト・オブ・リーダー)】……いや、敢えて“騎士団長(ザ・グランド・マスター)”と呼ばせて貰おう。ベーリンの<エンブリオ>。
 TYPE:アポストルWithアームズ・ウェポン・カリキュレーターの<エンブリオ>だ。
 世にも珍しい同種三様複合型(トライアングル)のその訳はその能力特性と固有スキルに寄る物。
 能力特性は複合的な身体強化(機械)とでも言うべき物であり、アバターのサイボーグ化改造や兵器置換、兵装収納や兵器の演算による最適化等も可能とする多機能型の<エンブリオ>だ。
 その多機能ぶりを発揮する為にアバターの身体の幾らかや身体機能、HPSPMP等を犠牲にする必要があるが、その成果と比べれば然程の対価ではないだろう。
 ジョブとの相乗効果こそ殆どないが、そもそもドライフに潜伏していた教会(・・)のメンバーとの連携を考えての事だろう。
 そもそも本人は超級職のステータスと本人の戦闘技能だけで十分であろうからな――



【超越神冠 ケテル】
 【悪逆王(キング・オブ・ギャングスター)】――かの事件でロストし、そして離反した“ギャング(ザ・ギャングスター)”ラグの<エンブリオ>。
 TYPE:アポストルWithルール・ワールド・キャッスルの<エンブリオ>だ。
 その能力特性は自身を基点とした異空間創造と空間操作だ。
 第六形態でありながら、基点や機能の幾つかを制限し、使用に際して幾つかのデメリットが付与されている事で<超級>――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
 高いコスト等は【悪逆王】のスキルで、デメリットの多くは装備品等で補っている、ある意味では正統派と言えるだろう。
 <エンブリオ>から伺えるパーソナリティや()()()()での行動からは以前の彼からは想像できないかもしれないが、それ程にかのオブジェクトが彼に齎した物の影響は大きいのだろう――
 





SCP_foundationはクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス作品です(CC-BY-SA3.0)
http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja

SCP-3000「アナンタシェーシャ」
http://ja.scp-wiki.net/scp-3000
SCP-426「私はトースター」
http://scp-jp.wikidot.com/scp-426
SCP-2799「航海者」
http://scp-jp.wikidot.com/scp-2799
SCP-239「ちいさな魔女」
http://scp-jp.wikidot.com/scp-239
SCP-120-JP「世界で一番の宝石」
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SCP-040-JP「ねこですよろしくおねがいします」
http://scp-jp.wikidot.com/scp-040-jp
SCP-399「原子操作の指輪」
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SCP-2719「内側」
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O5司令部書類
http://scp-jp.wikidot.com/o5-command-dossier
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