試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【一般版】 作:珍歩意地郎_四五四五
――次の日の夕方。
トラックを地下駐車場に戻したオレは、いまだトラッカーのほとんどが帰投せずガランとした静かなオフィスにもどると、事務フロアの片すみにある共用デスクで【非定常・行動計画書】を作成する。
さて『庶務6』ことリサちゃんは?と馴染みのベリショっ娘を探すが、見当たらない。
総務の人間どもは端末にかじりついて、受付にいるオレなど見向きもしなかった。
――あれれ、おトイレかな……?
「若宮さんなら、銀行へお使いに遣りましたけど」
横から冷たい声がかかった。
「なにか御用ですか?**さん」
――うひぃ。
庶務のリーダーであるメガネの女性がこちらを睨んでいた。
オレは思わず上ずった声で、
「いえ、そのぅ。行動計画書を……」
机の上に山と積まれたトラッカーたちの旅費請求書。
その束を再計算していたこの女性は、吊り上がったようなデザインのメガネ・フレームをクィッとなおし、体をよじらせて手を差し出す。事務員用の制服越しにでも分かる意外にムッチリとした身体から、ちょっと大人の
そんなミチミチとした肢体を、ついウッカリ。ぼんやりと無防備に眺めてしまった。
オレの視線に気づいたか、庶務長は椅子をクルリと回転させると制服のムネの下で腕を交差させて隆起を強調し、薄手の黒ストッキングを履く均整の整った脚を組むや、
「溜まっている日報は――もう書いてくれましたか?若宮さんが困ってるじゃありませんか!」
「うぅ。実は、その。いま書いてるところでして……」
「ホントでしょうね!?」
「えぇ……たぶん」
「多分ですって!?」
落ち着いた、理知的な声音のトーンが上がる。
「多分じゃタメでしょう多分じゃ!」
どうもこのテの女性は苦手だ。
庶務長とはいえ課長代理もこなす、キレ者のスーパー・ウーマン。
ちょっと険のある目もと。
すんなりと通った鼻すじ。
きめこまやかな肌の艶。
結い上げた髪のうなじ。
三十路の前半とは聞いていたが どう見ても二十代後半にしか見えない若々しさ。
まさに都会風な「冷たい美人」といった印象を地で行くタイプの女性。
オレはしどろもどろに、
「いえ、あの、この一両日中が山場なので――相手を仕留めたら、すぐ」
はぁっ。この庶務長は大きく息をついた。
そのせいか、周囲に心なしかミントの気配が香る。
そして彼女は手にした行動計画書をギロリ、一瞥するや、
「この店……暴力団のフロント企業ですよね?」
なんと一発で喝破したものである。
そして絶対零度めいた容赦ない声音で、
「領収書なんか切れませんよ?大丈夫なんですか?」
――ふん。
オレの中の反骨精神がムクリ、頭をもたげた。
こんな糞アマに、いつまでもいい気にさせてはいられない。
こうなっちゃ仕方ない。売り言葉に買い言葉だ。
「とうぜん。自腹は、もとより覚悟の上だよ」
目つきを変えたオレは、ギロリ。相手をにらむ。
それを敏感に感じ取ったのか。
あるいは自分少々言い過ぎたと思ったのか。
あきれた、とこの美魔女は声を落とし、首をおおげさに振って、
「そういうトコって、ここのトラッカーに
「……どういう意味だぃ?」
「いった通りのイミですよ。もっとドライにならなければ。それに何ですこれ?“以前救出した娘の、その後の現状を確認する意味もふくむ”って――ワケがわかりません」
「アフター・サービスって奴サ。それにその
ダン!と行動計画書に受付印をおして、この年増は総務部長行きの書類ボックスに放りながら、
「ヘンなことにならないようにして下さいね?以前だれだったか。暴力団がらみでドジ踏んで、港に浮かんだ人いましたから」
「……だれだぃ?ソレ」
「あなたの知らない、知らなくてイイ人です!」
それだけ言って、あとは取りつく島もない。
* * *
いったん寮に帰り、シャワーと服を着替えた。
念入りにヒゲを剃り、髪を整えて(心なしか薄くなってきたような)。
仕立てたワイシャツに、チャコール・グレーの
靴は持っている中では一番いいウイング・チップ。
(イタリア風のつま先が長い
腕時計は見るヤツが診ればわかる、ダイヤルも錆びたヴィンテージのクロノ。
会社の力で垣間見た、ヨーロッパの社交界を思い出す。
天井が傾斜した屋根裏部屋。
どことなくソワソワする身支度。
長い長い夕暮れとひんやりした空気。
教会の塔から朗々と流れてくる鐘の聲。
観光客向けな馬車の
外部に流出しても構わない、意味のない書類を革のブリーフ・ケースに入れ、昔勤めた会社の旧い名刺を一束改造し、連絡先を自分の捨てメールに。そして用心のため例のゴム製スタン・警棒を、底の方に忍ばせて。
問題の店はネット上のサイトを持っていなかった。
“格式”を重視して
すくなくとも美香子は、強姦のことしか考えないあのガキから守られる。
その場合は戦場を店の外に移し、改めて待ち伏せを張ればいいだけの話だ。
今どきの巫女からのメールはそっけないものだった。
≪きょうもあの子わ登校しなかったヨ~。
行くサキ知ってるコも見つかんなかった。
ただ『長距離トラックの運転手と付き合ってる』っつー秘密ぢょうほうアリ!
その彼氏と、どっか遠くに行ってるとおもわれ。
ふろ~む真琴≫
やべぇ、と文面を見たときはチョッと眉をひそめた。
――アイツめ……そこかしこに吹聴してるんじゃないだろうな……。
すべての用意を整えて目的の場所についたのは、陽光の
彼女から渡されたピンク色なカードのアドレスは、周辺の街区から比べても特に高級な店が軒を並べる通りに位置していた。
その奥まった一角。
重厚な
柵を透かして
左官屋のコテ跡をわざと残した、風合い豊かなベージュ色の壁には、
【Le Lapin Rouge 】
小さく品のいいい看板が打ち付けられ、暖色系のLEDで照らされて。
だが、よく見れば小さなところが手抜きされて、何となく廉っぽい。
過去に仕事のカラミでモノホンのヨーロッパ貴族が経営する高級料理屋に通いなれていたオレは別段
たちまち歩み寄る左の若い黒服。
「招待客リスト」らしきものを表示したタブレットを操作して、
「失礼ですが――ご予約の方でしょうか?」
「ほぅ?予約が必要な店なのかね」
オレはいかにも(やれやれ。こんなクソ店に予約が必要とは!)とせせら
「実は知人に面白い店があると教えられてね?通りかかった折に覗いてみようかと思ったのだが……」
オレは左腕でアゴを撫でるふり。
カフスのはまる手首から、単なるスポロレなどとはケタ違いにレアな時計を、さりげなくチラ見させる。
「残念ですが、予約をしていない方は――」
すると門の左側にいた、幾分年かさの男がズイとそれを制し、
「大変恐縮ですが、お名刺を頂戴できますか?」
「あぁ。いいともさ?」
オレは内ポケットからダンヒルの名刺入れを出すと、名刺ポケットに刺したピンクのカードをのぞかせるようにして中を探る。年かさの黒服が、早くもそれに目を留めたらしい。
「失礼ですが……そのカードは?」
――食いついた!
内心ほくそえみつつ、美香子のカードを取り出して相手にわたした。
「なァんだ、
無作法にも肩口から覗きこんだ若い黒服に顔をしかめつつ、この年かさは、
「失礼いたしました――いまフロントに確認いたします」
そう言うとカードを返し、ヘッドセットでどこかに連絡を取る様子。
隠語の羅列だったが、雰囲気的に上客であることを伝えているらしい。
「プレ・デイトナ」という言葉が聞こえたので、オレの仕掛が的中したのが分かった。
こちらが“アッパー・クラス”だというニセの身分を固めるため、ダメ押しの意味でオレは相手の着ているスーツをワザと遠慮なく品定めする。それを敏感に察したのだろう。年かさは、がっしりとした体格を心なしかソワソワと縮めて。
それに対し、尊大さを匂わせながらオレはゆったりと構える
――とは言うものの、実際のところ“ふところ勘定”が非常に気がかりだった。
一応、キャッシュで100万ほど持って来てはいる。
こんな店だ。スキミングを恐れ、なるべくカードは使いたくない。
今回は偵察が主目的だ。勘定が2~30万で済めば御の字なのだが……。
「お待たせ致しました――どうぞ」
重そうな鐡柵が開かれた。
店から微笑みを張り付かせてやって来た、いかにも
都市部の立地にしては、店の配置が
玉砂利が敷き詰められ、一見ヨーロッパ風な庭園を周囲に配した重厚な建屋に一歩入ると、
「ようこそ
なるほど、ヤクザのフロント企業。
金ずくで、いちおう粒ぞろいのキレイどころを抑えたのだろう。
だが、美香子や詩愛。なにより夢の中の妻であるシーアには遠く及ばなかった。
なにより店内の意匠や演出が洗練にはほど遠い成金趣味の上、ありきたりで新味がない。
金メッキの什器。装飾品。
スワロフスキーのシャンデリア。
大理石で造られたの壁や床の衣装。
マイセンやロイヤルドルトンのダミー。
新しめだが文様の織りの目が粗いペルシャ絨毯。
――ふん。みんなコケおどしだ……。
盛り上げた髪形や化粧品のにおいが
「
どうだ、イイ
それに対してオレは「こんなの見飽きてますよ」とそっけない雰囲気を装い相手にブリーフ・ケースを押し付けて、
「うん、
毛ほども物欲しそうな色を見せず(事実そうだった)オレは
装飾が
照明が落とされ、音楽が低く鳴り出した。
案内されたボックス席のソファーに深々と座り、オレは
やがて、イヴニング・ドレスを
いずれも
このまま芸能事務に連れて行ってもグラビアなら即戦力になるだろうと思われるような娘たちばかり。そして引率してきた女性はといえば、往年のエロアニメ『くりぃむメロン』シリーズの名作“黒猫屋敷”で
「――“小五ロリ”と書いて“悟リ”と読みます……」
などと
おそらく若い娘たちを束ねる身分なのだろう。知性と妖艶を兼ねそなえつつ、あたりに威厳を放ってはばからない。
「お初にお目にかかります――
声もしっとり落ち着いて、いかにも高級店のキャラにふさわしい。
「どうでしょう?この中から、一番お好みな娘をお選びください」
「……誰でもいいの?」
「えぇ、お気に召した子が居りますでしょうか」
「うぅん、ひとりだけ居るナァ」
小枝子の顔がほころんだ。
「まぁ♪……誰でしょう?」
「――キミさ」
一瞬の空白。
ま!という彼女の小さな驚き。
自信満々だった若い
オレも我ながらキザだなぁと思うがここは敵中。精一杯スカしたキャラ演じねば。
大したものでフロアレディ統括の小枝子は表情ひとつ崩さず、クールな物越しを保ったまま、
「そんな……お戯れを」
「だってこの中じゃ、キミが一番美しいからなァ……」
「いやですわ?御冗談ばかり仰っては。こんなオバさんを」
冗談じゃないさ、とオレは言いつのる。
だが本心を言えば、この女を起点にして店を探ってやれという肚づもりにすぎない。
「でもわたくしは……この
「イイじゃん。まだ口開けなんだし。もちろん忙しくなったら席を外してイイよ?」
「お言葉ですが、私にも立場というものが……」
「おや、ザンネン。それでは渋々ガマンをして不味い酒を呑むしかないねぇ……」
「そんな……」
監督役の
選ばれなかった彼女らは、不満をコワばった笑みで圧殺しつつ、それでも感心なことに優雅な足取りで散ってゆく。よほど
そんな彼女たちの後ろ姿を監督者の視点で抜け目なく査定しながら、オレの
「あらあら。ゴメンなさいねぇ、こんなトシマで」
「年増ったって、
「ふふっ。まぁ、そういうことにしておきましょうか」
「そうなのか?これは
小枝子が、オレのスーツの
その時だった。
オレはどういうはずみか、昼間の庶務長をおもいだす。
あのおカタそうなメガネに、目の前でくつろぐ夜の蝶めいた装いを強いて着せ、水っぽいメークをムリヤリほどこし、テーブルに付かせるとしたら――どうだ?
本人は嫌がり、恥ずかしがるだろうが、きっとフロアに映えるにちがいない……。
ちょっとそんな光景を想像し、小夜子を見ながらムクク……となって“チンポジ”をなおす。
「――まぁ♪」
小夜子はオレのしぐさに、どういうわけか口元をほころばせ、ほおに片手をあてる。
若い黒服が、革で装丁された大きなワインリストを手にして
ところどころ真鍮が使われた、フォリオ版ぐらいのリストを渡されたとき、オヤッとなる。
革の質感。触り心地。風合い。
ははぁん、とオレは、
「これ――沈没船から引き揚げた
「あら。よくおわかりで」
「同じような手触りのモノを
若い黒服は、オレの問いにモゴモゴと口ごもる。
小枝子は青年の黒服に向け一瞬、冷たい目をするや。
「――早く!フロア・マネージャーに訊いてらっしゃい!」
「え、いやそのコレは……」
「早く!」
一瞬、鞭をふるう調教役めいた峻烈さを閃かせ青年を追いやると、すぐに気配をなよやかに、
「ゴメンなさいねぇ?なかなか行き届かなくて」
「なぁに。こんな偏屈な……オヤジの趣味に合わせられる若者がいたら、かえって気持ち悪いサ」
どれどれ、とオレは重い装丁の表紙を開く。
だが、ワイン・リストのシャンパン部を見てオレは絶望した。
どれもコレも破滅的に
モエでさえ5万する。
――黒ヴーヴが30万……だと?
まぁ、いいか。これで分かった。
この店はあのガキが入ってこれるような処じゃない。
何回強殺をやったところで、とてもここで遊ぶだけの金は溜まらないだろう。
しまった。大人しく店の外で“待ちを張る”のだった……。
「ふぅん。そうだな……」
鼻白む心もちを呟きで包んでいると、フロアの奥から、
「いらっしゃいませ――お楽しみ頂いているでしょうか?申し訳ありません。何やら
「マネージャー。その子ちゃんと教育しておきなさい?わたくしが恥をかきましてよ?」
おそらく、男側の若手を取り仕切るのが、この突き出た腹をカマーベルトで包む中年男の役目なのだろう。薄くなってきた頭をオレに向かって下げながら、小枝子の方を見て硬い笑み。水面下で交わされる火花の気配に、店内での権力闘争を診る気分。
オレは、まぁまぁと双方を
「若いウチは、なんでも修行だぞ?そう、恥すらもな――まぁガンバレや」
こう言って俺はマネークリップから万券を一枚、抜き出すと縦折りにして、若者の胸ポケットに差し込んだ。
てっきり叱られると思っていたのだろう。
結果が真逆となって、今度は若者の顔が紅潮する。
またもフロア・マネージャーと小枝子の
そんな店側の思惑など知らぬげに、オレはお大尽を気取って、、
「ようし、ンならロデレールもらおうか。水晶のほうね?」
フロア・マネージャーの物腰が、今度こそ決定的に変わった。
「ルイ・ロデレール、クリスタルですね?畏まりました」
「よろしいんですの?そんな」
「キミに恥ィかかせられんからな。監督役が接客したお客の注文がビールでは、立つ瀬あるまい?とは言え、オレも貧乏だから“ダンボネ”ってワケにはいかんがね」
それでもルイ・ロデレールは50万という値段。
ダンボネに至っては400万とワインリストに記されて。
――本当にこの店の値付けは狂ってやがる。まったく、ダンボネなんてオレが会社辞めたときにヤケ酒したシャンパンじゃねぇか。96年モノだったが、それでも60万しなかったぞ?
「適当に。あぁ、牡蠣ぁダメだぞ?――それ以外にしてくれ。キャビア系かなぁ?ブリンと
フロア・マネージャは大きなタブレットに指で入力してゆく。
まったく興が削がれることだ。
そこいらの居酒屋じゃないんだからサ?
手ズレのついた革の手帳に金製のボールペンか、あるいは暗記でやってもらいたいね。ヨーロッパの料理屋めいた豪華さは、この店では望むべくもないか。マ、所詮はフロント店だ。
二人きりになると、オレは相手のイブニングドレス姿をマジマジと観る。
すこし肉のつきはじめた均整のいい身体つき。
まだ
品のいい化粧と、控え目だが豪華な結い上げ。
「なんですの?――いやな方」
「うふふ。うれしいな」
「なんです?」
「こんな美人と久々に酒が呑める」
「まぁ♪」
美人の度合いから行けば詩愛の方が数段上だが、アレは気安く近づくとマズいタイプの女だ。あとくされがない、言い方は悪いが商売女のほうが気分的に楽でありがたい。
「お綺麗な奥様ほおっておいて……ワルい方」
「妻はいないよ……離婚した」
「まぁ、そんな――こめんなさい」
「仕事にかまけていたら、男を作って出て行ったよ」
そう……と小枝子は物思いの横顔。
ただその瞳が、心なしか一瞬輝いて。
「貴方のお仕事のこと――聞いてよくて?」
おいおい、とオレはウンザリ気味を装って、
「よそうぜ?せっかく浮世を忘れてンだ。せめて今夜ぐらいは」
「そうね。私としたことが……ゴメンなさい」
「おっと、べつに変なカネじゃねぇぜ?ちゃんと自分で稼いだまっとうなモノさ?」
「イイえ。そうじゃないの」
小枝子は
「こんなこと言っても、怒らないでね?貴方……野生のにおいがするのよ」
「やせい?キャベツとか白菜とか?」
「ハイそれは野菜。茶化さないでくださいな」
小枝子は気安い調子でプッとふくれて。
手練れな夜の女にしては、可愛いところを見せるじゃないか。
そんな彼女を横目にオレはスーツの前をあけ、ふところのにおいを嗅いだ。
「悪かったよ――風呂には入って来たんだが」
「ちがうの。雰囲気よ、ふ・い・ん・き。貴方は会社や組織に属さない……いいえ属せない、一匹狼みたいな気配がするの。だからどんなお仕事か、興味あって」
「……そうかい?」
オレは引きつった愛想笑いをムリにうかべた。
なにか
やはり他人から見れば、自分はそう見えるのだろうか。
それとも1年という年月ながら轢殺を繰り返してきた業が、そんな気配を発するのか。
「以前、貴方と良く似た雰囲気の人のテーブルに付いたことがありますわ。わたしがまだ現役で、お店のトップを取り合っていた時だから、少し前になりますわね?その方も大分払いが良くて。でも結局数回しかお越しにならなかったけど……何のご職業だと思って?」
まさか“
まぁ我々の給与じゃ、こんなところには来れそうにないが。
「分からないな……まさか殺し屋、とか?」
「おどろいた!」
小枝子は大げさな身振りで、
「近い、と言っていいのかしら」
「と、言うと?」
「その方ね……傭兵ですって」