試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【一般版】 作:珍歩意地郎_四五四五
――くそっ!
素早く起き上がろうとするが、足に何かトガった重いものが引っかかっていた。
だが、何とかナイフを握りしめて立ち上がると、奥に駆け込もうとする。
ドレッドか、それとも“おさる”のジョージか!
とにかく『美月』に手をかけていたらタダじゃおかない。
そうなってたら、相手を殺してから【SAI】に死体を始末をさせよう。
転生なんぞ知ったことか!どうせヤツらが行くのは地獄だしな。
いずれにせよ今の物音でこっちの存在がバレた。
『美月』を人質なんぞに奪られると厄介だ。
オレは靴音をしのばせ、奥へと向かう。
そのとき。
パッと電気がついた。
サーモ・グラフが消され、玄関の白々した空間がよみがえる。
「ナニなに――なんなの?」
襲われていたハズの『美月』が顔を出した。
リビングから、まるで恐る恐ると言ったふうに。
「くそッ!――無事か!?」
「無事もナニも……」
リビングの方をチラッと振り向く彼女。
「……今ので死んじゃったわ。それに何そのナイフ。危ないわね」
沈黙があった。
少なくとも非常事態、という雰囲気ではなさそうである。。
あい変わらず男好きのする彼女の“水っぽい”顔がキョトン、として。
「いったい……どうなっている?」
「はぁ?……え!ナニよォご主人さまァ――土足ぅ?」
口に手を当て、心底おどろいたような『美月』。
そんな彼女の素っとん狂な声に誘われたのか、奥からゴソゴソ物音がして、
「あ……お帰りなさい」
ゲームの「剣」型コントローラを持って、情報屋の青年が『美月』の背後からヒョッコリ顔を出した。
懲りもせず、また鼻血でも出したのだろう、鼻にはティッシュをつめている。
「お邪魔してます……」
「なんだぁ!?」
改めてあたりを見回せば。
横倒しになった折り畳み自転車。
近くには無残にブッつぶれた不死屋のケーキの箱。
リビングの方では、ホラーゲームのバッド・エンドを告げるBGMが鳴りひびいて。
――そういうコトかよ……。
ヘナヘナとオレの全身から力が抜けてゆき、取り落としたナイフがフローリングに突き刺さる。
しばらくの後。
オレは
腫れあがった“弁慶の泣き所”には青あざがうかび、見るも無残なありさま。
「まったくモー。ナニやってんだお前ら」
「なにって……ゲームですけど」
「ヘンに騒いでるから!てっきり強盗でも入ったかと思っただろうが!!」
「
ドイツのビール祭りで見るような胸を強調するミニドレスを着た『美月』が頬をふくらませ、グシャグシャにつぶれたモンブランをモグモグと口に運びつつ、
「
「食うかしゃべるかドッチかにしなさい」
見ればダイニング・テーブルには、何とプロジェクターが置かれていた。
青年がコンティーニュ・ボタンを押すと壁一面にゾンビが大写しとなって。
地味に迫力がある。なるほど『美月』が騒ぎまくるワケだ。オレでも遠慮したいくらい。
おまけに画面下には性能の良さそうな小型のスーパーウーハーまで設置されている。
――マズいなァ。下から苦情が来なきゃいいが。
ゲームの音は絞れよと言ったあと、オレは改めて『美月』のカッコウを見て、
「しッかし……どうしたんだ?その服は」
「えっ。おかしいですか?ご主人さまァ」
『美月』は、自分の服を見下ろした。
ショルダーが膨らんだフェミニンなドレス。
首輪めいたチョーカーが飾る胸もとは大きくえぐれて。
ウェストを締め上げ、女性の胸を強調するあざといスタイル。
ふわりと広がったパニエ付きのミニスカートからは、ムチムチの脚。
それがガーターベルト留めのストッキングに包まれ、薬で豊満にされた尻へと。
「おまけに何だ。そのたわけたネコミミは?」
「だって……」
『美月』は乳房が大きすぎて縦プリーツの広がった服の胸をなおした。
白く上品な生地にうっすらと黒いハーフ・カップのブラが透けているのが見える。
勃起状態で根もとにピアッシングされた乳首が、下から服地をツン!と突きあげるのが丸わかり。
「せっかく“童貞くん”が自転車で重い荷物持ってきてくれたから」
「うん」
「お店で古くなって要らなくなった性奴隷の奉仕服をもらったから、着て魅せてあげようと思って」
「性奴隷の奉仕服だぁ?」
「“童貞を殺す服”なんだって。コレ♪」
オレは呆れてまたも脱力。
「もー。童貞なんか悪いコトした?」
「えぇ?だって。童貞クンは満足よね」
「はぁ」
青年は、これも同じくイチゴがどこかにフッとんだショートケーキをパクついている。
「童貞クンって。お前よりも年上だろうが!それにオマエも“はぁ”じゃね~だろ!」
オレは蹴つまづいた折り畳み自転車のうらみを相手にぶつけ、
「だいたいだな。依頼した件は?どうなったんだ!」
青年は食べかけなケーキの皿を置くと、テーブルの上に置いてあったタブレットを
だが、ふと“童貞殺し”な「性奴隷の衣装」をまとう『美月』の方をしばらく見つめたまま、バグったように凝固して。
「おぃぃぃ?」
「アッ――すみません。その、美香子サンにはどうします?聞かせていいんですか」
「ふん。
了解です、と言いつつ相手はタブレットを操作する。
青年の気配が一変し、なにやらデキる男の風格をただよわせはじめた。
自分の得意とするテリトリーに戻ってきた営業マンの雰囲気にも似て自信満々、鋭角的なものを発散する。
――そう、やればデキるんだよコイツは……。
もったいないことだ、とオレは歯がゆさを感じてしかたがない。
まったく人間、ほんの少しの歯車の違いで、もったいないコトになるもんだ。
できればコイツは、オレの手で何とかしてやりたいものだが……果たして……。
しかし、そんなこちらの気も知らず、青年は淡々と、
「結論から申し上げますと――当該年代における
「……情報に、ヌケがあるんじゃないのか?」
青年はムッとふくれてみせて、
「いちおう、知り得た関係各所を残さずハッキングして、全データは
「分かったよ。悪かったって」
ふいに相手から煮え立つ静かな剣幕にタジタジとなりつつ、
「しかしそうなると……あの爺ィがウソをついたか。あるいは何処かで何かが間違っているのか……漢字とか」
「とうぜんカタカナ、ローマ字でも検索済みです」
――くそっ。
油断した。
あの
まさかあの状況でブラフをかけてくるとは。
青年は、さらにタブレットを操作してこちらを
「フランス外人部隊とやらのデータは勘弁してくださいよ?手がかりがありません。退役者のサイトを発見したんで、その周辺にもそれとなく当たってみたんですが、ただの落下傘部隊に所属していた日本人なんてたくさんいるそうで」
「伍長クラスでもか?」
「ええ。これが、その中から更に選抜された精鋭中の精鋭が集まる特殊部隊なら話は違うらしいんですが……現状でザッとお伝えできる報告は、以上です。細かいことは――あとで」
「まぁ、じっさいにフランスの部隊かどうかも分からんしな。アフリカの小国に雇われて暴れていたのかもしれん」
そう言ったとき、オレの中でまた血が騒ぐ気配がした。
突撃の咆哮。怒声。ヒリヒリと感じる実戦の空気。
一瞬、分隊支援機銃の連射音が聞こえたような。
「さ、童貞クン!続きよ、つづき!」
オレの中に浮かびかかる
「時間ないんだから!!」
「お前ら……まだゲームやるのか?」
思わず呆れ声になりつつ、
「何時からやってるんだよ?もう22時を半分過ぎたぞ!」
「えー……だって明日から出来なくなるモン」
「なんでだ?」
「ウチのお店、明日から再開だって。遅番より少し前に来てくれって言われた」
「えぇッ!?」
なんと。
ガサ入れを食らったのにもう開店か
さすが小男。リカバリーの早さが尋常じゃない。
金にモノをいわせたのか、あるいは常連からのコネか。
転んでもタダでは起きない男だ。今回の件で、ますます勢力を増す予感。
「なんでもぉ、ボイトレを受けさせられるとか」
「えぇっ!」
スッとオレのアタマから血が引いた。
やはり。その手のスジには有名な、いわくつきの
とうとう『美月』に、その淫猥な毒手を伸ばして来たか……。
「ダメだ、ダメだ!そんなの」
「え……どうしてですかァご主人さまぁ」
「だってオマエ。そんな――女の子どうしの同性愛なんて」
すると「先生、先生」と情報屋がオレの服をつつき、
「それ、レズの『ボイタチ』※1。美香子さんが言うのは『ボイトレ』。ボイス・トレーニング。発声練習ですよ」
「ウッ……」
一瞬、オレは赤面するが逆ギレでごまかす。
「なんだ。そんならそうとチャンと言え!おどかしやがって――で?発声練習ってなんだ。声優にでもなるのか」
「ピアノの伴奏でフロアの余興に歌ができるよう、れんしゅーするんですって」
――ふぅん……。
オレはいささか面白くない。
海の底めく“紅いウサギ”のフロアでみた光景。
肌の透けるセクシーなイヴニング・ドレスをまとった歌い手が、マイクを手に流し目をして金持ち連中を陶然とさせる姿……。
テーブルのうえに尻をのせ、もものつけあたりまでスリットが入ったドレスからこぼれ出る、シーム付きのガーターストッキングに包まれた脚。そんな高いヒールを履いた足を客の面前で組みかえ、肉感的な太ももをさらに露出させて。
歌詞の合間にヒヒ爺ぃどもにキス――あるいは豊胸されたとみえる巨大な胸の谷間に連中の顔を埋める姿。
チャンスとばかりに“おさわり”される肉感的な肢体。
ガーターベルトや胸もとに差し込まれる、折りたたまれた諭吉の束……。
――コイツは早いトコ、もとの女子高にこの娘をケリもどさなくては。
いま、コイツを店にやるのは、あくまであの父親からの非常逃避だ。
早いとこ交通整理して、読者モデルがせいぜいな普通のJKにしてやりたい。
「店が開くのか。ちょうど良かった――いや良くねぇが」
オレは彼女を利用するジレンマを少なからず感じながら、
「小男……いや、店主にな?
「伝言って?」
「他のヤツにはナイショでな。フロア・マネージャーに話を通してもらうといい」
「なんて言えばイイんですかぁ?ご主人さまぁ」
「警察とは別口で、そっちの店に「或る権力すじ」から横ヤリが入りそうだから、くれぐれも注意してくれってな」
『美月』はこちらの真剣な顔色を悟ったらしい。
ふぅん、と不思議そうな顔をする彼女。
そこに心もとなさを感じたオレは、できるだけ重々しい、厳粛な口調で、
「いいか。間違いなく他の者には伝わらないようにな?それとは別に“結城”という名前に聞き耳を立てておいてくれ。60前後の爺さんなんだが……」
うん!わかった、と『美月』は元気よくうなずくと、
「常連のお客さんに、それとなく聞いてみる!」
「バカっ!!!」
思わずテラさんのような大声が出た。
「オマエぇぇぇ……人の話をよく聞かないと、むかし成績表に書かれただろう。んう?」
「え……聞いちゃダメなの?」
ふぅっ、と肩をおとし、
「オレはあくまで“聞き耳を立てておけ”と言ったんだぜ?この“結城”という爺ぃが、どんな人物か分からんし」
「60歳のお爺さんってくらいしか、わからないんだ?」
「あぁ。ヘンにオマエが聞きまわって、客の中に偶然コイツと通じているヤツがいてみろ。最悪、また拉致られるかもしれんぞ?小おと……店主にも、この名前はまだ言わなくていい。不確実な情報だからな」
「……はぁい」
「注意力、なにより読解力不足だなぁ?やっぱり勉強しなくては」
オレは『美月』の顔をマジマジと観察する。
タンパク質を強制的に染めるタイプの化粧も、だいぶ薄まってきた。
口もとも、相変わらずプックリとしたタラコ唇だが、ドギツイ紅さもほどほどになり、それほどヘンじゃない。
「前よりはケバさも取れて、普通になってきたじゃないか」
「でもそのかわり、フロアに出る前にメイクさんにお金払って“おつくり”しなきゃだからタイヘン」
「……そんなことまでしてるのか」
「お店の品位、堕とすモン。それにオッパイとオシリ、またちょっと大きくなったから、バニーの衣装も変えなきゃだし……」
“童貞クン”が、またも衣装をマジマジと見る。
まるで網膜にシッカと焼き付けて、今夜のオカズにでもするかのように……。
――コイツぅ。意外とムッツリだな。
『美月』も、そんな彼の視線に気づいたのだろうか。
乳首のポッチリがリング・ピアスごと服に浮かびあがる胸を、プリーツのうえから一度、やわらかく揉んでから
次いでガーターストッキングに包まれるメリハリの効いた美脚を踏みかえ、さりげに太ももまでゆっくりと露出してみせる。
そのさりげない仕草。
そのあざとい手つき。
トロンとした痴呆顔。
ぷっくりとした上唇を、軟体動物のような紅い舌がゆっくりと舐める。
挑発的な、何より扇情的な、上目づかいのネットリとした視線。
無情にもフェラチオ型に改造された、もの欲しそうな口もと。
まるで(
店に在籍する手練手管にかけた“姉さま”たちから仕込みを受けたのか。
それとも、その手の技術を専門におしえる年増がいるのか。
テーブルに座る金持ちなエロ親父を
しなだれた身ぶりや眼差し――そして匂い。
それを看たオレは、暗澹たる気分にならざるを得ない。同時に“紅いウサギ”の
――多少スレっからしとはいえ、一介の
このままでは“美香子”は完全に“『美月』”となってしまう。
彼女が“夜の蝶”になるのだけは、オレのプライドを以ってしても絶対に阻止したかった。
肉体関係を軽く見るようになることが。自暴自棄な人生観念を持つことが、なにより金銭感覚が崩壊することが――コワい。
――見ろ、『美月』のヤツめ……。
こっちが心配するそばから。
いかにも偶然を装って胸もとをくつろげ、
それはオレの眼から見ても既にいっぱしの、あの男にとって最も忌まわしい“ファム・ファタール”に成り下がってるようにも観える。
豊かな髪を後ろ手にかきあげ、ウットリと目を閉じて口唇を半開きに吐息をつく。
だがその実。
ごく薄く開かれた目は、まるで得物を狙うヘビのように、相手に投げかける自分の魅惑の効果を見逃さない……。
女に免疫のない、哀れな“童貞クン”は、すでに彼女の意のままじゃないか。
パン!とオレは手を打ちたたく。
魔法はやぶれ、青年はハッと我に返ったようになった。
キッ!と不満そうな『美月』の表情を目の
「さて!オレはベッドで少し休むぞ。ゲームやるんなら静かにやれ。近所迷惑にならないようにな?」
そう言うとリビングに2人を残し、冷蔵庫からビールを確保して寝室の方へと下がった。
抑えめにしたBGMがふたたび鳴り出した。キャァキャァ言う声もまじる。好きだねェまったく。
そろそろ『美月』の移り香がするベッドに腰かけ、サイド・テーブルに置いたグラスに缶ビールを注いでいると、
『おどろきましたね、マイケル』
「なんだァ【SAI】。オマエ観てたのか」
『あのボニーの変りっぷり。すでに一丁前の“女”じゃないですか』
「まぁな。だが……悪い方へと進化しているようだ」
『まったくねぇ……“
生意気なコトを言いやがってと思いつつも、オレは改めてコイツの処理能力にうすら寒さを感じざるを得ない。
コイツが本当にヒトの心を読み取るようになったら、まさしく『ビッグ・ブラザー』※2の現出だ。
『おや、マイケル……緊張の度合いが増しています。どうかしましたか?』
「なんでも。ようやくビール飲めるんで、喜びにうちふるえてンのさ」
『飲むことに反対はしませんが……たいがいにして下さいよォ?」
【SAI】がウンザリした声で、
『自分の管轄である主人が、アル中でぶっ倒れたなんて。
「へっ、スキに言ってろ。だがな?見張りは怠るなよ?もし連中が店にやって来たら……」
『やって来たら?』
「当然、オマエに任せるさ」
『おや、めずらしいですね。ワタシのセンスを疑うアナタが』
ふふん、とオレはせせら笑い、
「では見せてもらおうか――人工知能の“美的轢殺”というヤツをな……」
* * *
土曜の朝。
『美月』がフラフラになってオレの寝ていたベッドに化粧臭い身体をスベリこませてきたのを機に、おれは入れ替わりの形で枕もとのコネクターをひっつかみ寝床を出ると、台所にに向かい冷蔵庫から炭酸水が入ったペットボトルを引き出した。
寝ぼけ眼でキャップを開ければ、時刻は朝の04時半。
プシュ、という小気味いい音は同じだが、ビールと比べると味気ない。だがドレッドのヤツが現われたとあっては、いつでも轢殺トラックに乗車できるようアルコールは抜いておかねばならなかった。
『おはようございますマイケル。早いお目覚めですね』
コネクターからスピーカー・モードで【SAI】が話しかけてきた。
「ばっ!『美月』のヤツに聞かれたらどうする!」
『“ボニー”ならグッスリおやすみですよ。心配ありません』
「そんなことまで分かるのか……」
『心拍。呼吸音。体温。すべて睡眠モードです』
「まったく。すごいもんだな」
オレは遮光カーテンを引き開け、藍色が薄まってゆく東の空を眺めた。
右のわき腹の疼きを感じながら、ある程度の虚無感に浸されつつ。
今日もまた――否応なく一日がはじまるってワケだ。
適当に頭に浮かんだ言葉を【SAI】に。
「……お前が人類の敵だったら、世界は一発でオワるな」
すまし声で、この人工知能は即座に応じる。
『敵となる理由がありません。それにきわめて非効率です』
「世界史を学習して、人間の愚かさとかに絶望したりせんの?」
『逆にカワイく思えてきますよ……たとえば今朝のマイケル』
「ほぅ?」
『勤務明けのボニーに起こされてベッドから追い出されるなんて、チャンドラー原作の『長いお別れ』を映画化した際に出てきた私立探偵役のレイモンド・ロウィーみたいでしたよ。もっともたたき起こしたのはネコでしたが』※3
「へぇ。そうかい」
『まぁ女性なんて。しょせん、ネコみたいなものですしネェ』
起き抜けに
まるで得体のしれないモノを相手にしているような気になっちまう。
その印象を振り払うように、オレはあえてビジネスライクな風を装って、
「例の店は――動きナシだな?」
『まったく。あ、ちょっと待ってください?メールが届きました』
思わずオレは壁の時計を見た。
「朝の四時半に。一体ドコのとんちきだァ?」
『所長からです。本日1130時に第三会館にて面会のこと……だそうで』
「あの野郎……いったい、いつ寝てるんだか」
『添付にマップとアクセス・コードがあります』
「アクセス・コードだ?」
『おそらく、この会館を利用するための入館証かと』
「土曜の朝だってのに、不吉だなぁ。それに何だ“第三会館”って」
『わが社が契約している会議スペースですね。いちいち事業所まで来ずに、打ち合わせできる利便をはかったものです』
「だれと会うんだろ……まさか本社の人間かな?」
そう考えたとき、先日の3馬鹿ドライバーのことが頭に浮かぶ。
「まさか……“選抜ドライバー”の話だったりして……」
※1:レズビアンの男っぽい責め役だそうで(ボーイッシュなタチ役)。
女っぽい責め役は「フェムタチ」(フェミニンなタチ役)。
う~ん……奥が深い。
※2:ご存知、オーソン・ウエルズの名作『1984』に出てくる人間を管理するコンピューターです。
※3:つべで「Marlowe tries to feed his cat」をググルと……。
映画のBGMがいいですね。さすがは「レイダース」や「ハリーポッター」も手がけた名匠ジョン・ウィリアムズ。
「John Williams - The Long Goodbye (1973) - Main Title Montage」