試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【一般版】 作:珍歩意地郎_四五四五
日付が変わった深夜の台所だった。
オレはビールの500缶を手に、
――あの【SAI】クラスが、あと2台いるってコトか……。
まるでジェット・コースターのような1日。
権三ジィさんの哀願がイロイロなものに上書きされて、もはや彼方に感じてしまう。
詩愛のみじめな痴態ですら、轢殺屋U児の死のまえではタダの冗談ごとのように映った。
とどめは、技術棟の社員食堂を出たときに偶然であっちまった“アシュラ”のカミナリときた。
しかし所長執務室にしょっ引かれ、連絡がおくれた諸々のワケを説明すると小太りの顔が、気づかわしげなものに変わる。
「やはり――お前のAIを優先して解析せにゃならんなァ」
執務室のテーブルごしにほおをつき、所長は長いため息をついたものだ。
「お前のヤツが一番マン・パワーを取られるんだが……」
「え、ほかに私クラスのAIが、あと2台あるんでしょ?」
「……ダレから聞いた」
「そりゃ、いろんなウワサで耳にしますよ」
「まったく。事実いえば、お前のトラックほど運用実績がないんで、解析はラクなんだよ」
「ダレのAIなんです?巻き狩り隊の連中ですか」
所長がジロリとこちらをニラんだ。
返答はなかった。
――あと2台の【SAI】……か。
どんな奴なんだろう。そして、どのドライバーが操ってるんだろうか。
3本目の500缶のプルタブを引きあけたとき、寮の玄関があいて『美月』が帰ってきた。
「たっだいま~♪お姉ちゃんとレストラン行かなかったんだって?」
いきなり華やいだ声。
ついでリビングに、美しく化粧をされた女子高生が上機嫌な顔をのぞかせた。
高級店の雰囲気の残り香が、彼女の全身からただよってくるような。
「気分イイからタクシーで帰って来ちゃった」
「なんだ?詩愛さんと連絡とれたのか?」
「なに?――お姉ちゃんと、なんかあったの?」
卒然、『美月』はカンのするどいところを見せ、眼を光らせた。
みょうなコトに口もとをほころばせ、シッポがあったらはげしく振るいきおいで。
「ケンカでもした?」
「なんだ、そのニコニコ顔は?いつ連絡があったんだよ」
「コッチの質問に、さきに答えて!」
「あぁ?ケンカなんてしないよ。ただ彼女が――詩愛さんが、ちょっと調子悪そうだったから心配だったんだ。別れたあと、連絡とれなかったし」
ふぅ~ん?と彼女は更に嬉しそうに。
そして例のSMチックなビスチェのズレをクィッと胸もとで持ち上げながら、
「お姉ちゃんに連絡したのは、1時間チョッと前かな?お店オワったあとだったから。いま家で休んでいるって」
――良かった……。
今日という右往左往、デタラメな1日。
むねに何本か刺さった心配のトゲが、ひとつ抜ける。
きゅうにビールが、グッと美味くなったような気がした。
冷蔵庫から残りモノのエビ天をだし、スチーム・レンジで温める。
深夜に間食はしない主義なんだが、ま、ツラかった今日ぐらいはイイだろう。
湯気を立てる皿をリビングに運んで飲みなおし。天つゆと、塩の小皿も忘れないように。
「あ~。いーなぁーアタシも!」
そういうや大皿の上からヒョイぱく。
勝手に一匹もってった。
「あふっ!あふっ!あふっ!……ほふゥ」
「……太るぞ?」
「アタシもビール!」
「ダぁメ!未成年だろうが……まさか店で飲んでるんじゃないだろうな!?」
「ハーメルンさまの趣旨にハズれるんで飲ませてもらえませ~ん」
そういうや、また一匹。皿の上から襲ってゆくと、今度は天つゆに。
「……そういや、どうだァ?そろそろ」
「そろそろって――なにが」
「分かってるクセに。高校だよ。高校ぐらいは、出ておいたほうがイイぞ?」
「えーヤダー。なんで高校なんて」
あのな、とオレは立ち食いをしていた『美月』を食卓の対面に座らせる。
とたんにイヤな顔をする彼女。
「……どうした」
「なんかこうしてると、お父さんに説教されているのを思い出して、ヤ!」
「まじめなハナシなんだ……」
しかたなく冷蔵庫にもどって、アイスクリームのミニカップをもってきた。
「あ~♪ハーゲンダッチだ~」
「ほら。これでも食って太りながら聞け。それなら説教の雰囲気もなくなるだろ」
「……ご主人さまって、びみょーにイジワルだよね?」
アイスのカップとスプーンを確保すると『美月』は、
「きっと、これからそんなイジワル“馴致”されちゃうんだろなァ……」
「オレは女子高生を調教なんかせんわ!」
ハナシがズレた。まったくコイツと話していると、調子をくるわされちまう。
「いいか?最低高校だけは卒業しておけ。欲を言えば大学だ。短大でもいい。なぜかというとだな……」
ふんふん、とスプーンをくわえながらマジメになる不良JK。
「イイところへ就職して、イイ男を捕まえられる。お前みたいな美人なら、なおさらだ」
「な~んだ」
急に興味をうしなったようなそぶりで、目の前の少女は再びアイスクリームに専念しだす。
「イイ男なら、もう捕まえてるモン。よかったね?美人な若い奥さんで」
「あのなぁ――マジメに聞け。よし、じゃぁ100歩、いや1万歩ゆずって結婚したとする」
「わぁい♪」
「そして10万歩ゆずって、そのぅ……あかんぼぅが、出来たとする」
自分で言っておいて、その強烈なインパクトにおどろいた。
ちゅうね……いや、後期青年と女子高生が食卓をはさんで顔を赤くし、うなだれる始末。
――くそ!なにテレてんだ、いい大人が……よぉし。
「でッ、でだ!そうなると、ママどうしのコミュニケーションというか、グループが出来るだろ?その時に「どこそこの高校を出ました」「**大学卒業です」なんて下らないマウントを取り合うんだ。そのとき「高校中退です」なんて言ってみろ?一気にカースト最下位だぞ?つーか相手にもしてもらえないかもしれん。そうして孤立した母親が赤ん坊を抱え、育児ノイローゼになった例をオレは知ってるんだよ。少なくとも、お前にそんな思いはさせたくない」
「……だって」
「世の中には進学したくても出来ないヤツがゴマンといるんだぞ?それに引き替え、オマエは実家が金持ちで、恵まれている。いまは無用に思える勉強だって、そのうち役に立つときがきっと来る!高校時代や、大学時代の友だちは、一生の友人だぞ?就職して社内に出来た友だちなんて、部署や仕事が変わればそれっきりだ」
「……ツマんないんだモン」
「自分から面白くなるような努力をしなきゃ!まったくイマの子はツバメのヒナ状態で、ただ与えられるのを待っているだけだからナァ……自分で選択をする行為をイヤがるってんだから。エロゲーですら選択肢が――」
あーもう!お説教はたくさん、と『美月』はふくれてSMチックなビスチェを脱ぎだした。
「こっ!コラ、ちゃんと寝室で脱ぎなさい」
「い~ぢゃん。しょ~らいの夫婦なんだから。アタシは奴隷妻……ミャハ♪」
「……オレは、そんな品のない女の子なんて、奥さんにはしないぞ」
「えー」
仏頂面なこちらの顔にホンキを感じたのか「なによモウ」などとブツブツ呟きながら、もはや彼女の部屋となった寝室に着替えに行く。
――ふぅッ……ヤレヤレ、だ。
オレはぬるくなってしまった
これはホンキで早いとこあのアーパー娘を普通の高校生に叩きもどさないと。
“紅いウサギ”も、そろそろ辞めさせたほうが良さそうだ。なにか雰囲気がドンドン夜の女のソレになっている。なにより男を弄ぶ、イヤらしい手練手管まで身につけてきているのがヒタヒタと感じられて、あやうい。
「おまちどぉ~♪」
「ぶふぉ=!」
言ってるソバから!!
彼女がSMビスチェを脱ぎ捨て、代わりに身につけてきたのは、金のかかった外国のドラマにでも出てきそうな、シルク地の光沢を見せるゴージャスなネグリジェだった。
裾をひきずる紫のガウン。その中のピンク色なベビードール。
暖色系にしている天井の明かりに、どことなく淫らな印象のナイティーが照り輝き、寮のリビングを“紅いウサギ”の一室じみた雰囲気にしてしまう。
「ね?撮って撮って!」
そういうと、『美月』はオレに携帯をわたす。
ガウンの前をはだけ、片うでを頭の後ろに腰をかがめてウィンク。
すると丈の短いベビー・ドールにギリギリ隠れるショーツがコンニチワして。
なんと。
そのショーツは股割れになっており、ツヤツヤとした中央を真珠らしきモノが食い込む勢いで奔っているじゃないか。
「おィ……見えてるぞ」
「ヤーねぇ。ご主人サマに見せてるんじゃないの」
これもメス奴隷のつとめです、と言うやキレイに脱毛されたその場所を(く〇ぁ……)と。
――はぁ……鷺ノ内のご両親の苦労が分かるよ。
オレはガックリと肩をおとす。
まったく(このアーパー娘が)とも思うが、こうなったら彼女が退かないコトは分かっていた。
しかたなくオレは、本人が嬉々として“悩殺ポーズ”と称し、さまざまな姿勢となるところを携帯で写し、相手にわたす。
「オッケー。どれどれ?うッわぁ……ご主人さまぁ、エッロwww!」
「あのな。オマエが要求したポーズを撮ったんじゃないか」
「写真はねぇ、撮るヒトの気持ちが出るんですぅ~」
――チッ!いっぱしのコトをいいやがって。
「小生意気なコトを。客の誰かの受け売りかぁ?」
「へへぇ~ナイショ♪」
そう言うや、ガウンを脱ぎ捨てるとオレに抱きつき、自分の素肌をすりつける。
念入りに――念入りに――。
――やっぱり姉妹か……。
ひそかに嘆息するオレの傍らで『美月』は満面の笑みを浮かべ、
「……嬉しい!ワタシで感じてくれて」
「ダレも感じとりゃァせん!」
「そうだ!これ送っちゃお♪」
彼女は返された自分の携帯画面をさわり、どこかに送っている様だった。
「なんだ?友だちのトコにでも送るのか?」
「うぅん、童貞クンのところ」
バカ、やめとけよと思わずオレは苦笑し、
「アイツ――鼻血出しすぎて貧血おこしちまうぞ」
そういや、あの情報屋から結城のクソ爺ぃに関するメールがないなと、オレも自分の携帯をチェックする――ナニもない。ただ“アシュラ”からメールが入っていて『くれぐれも連絡が取れぬことがないように』とご丁寧にも念をおされている。どうやら社では相当な騒ぎになっていたらしい。
――月曜日の朝会が憂鬱だナァ……。
そう思いつつ、オレは飲み終わったビールの空き缶をにぎりつぶした。
* * *
日曜日。
オレは目の前の小さな運動場で展開されるチビっ子たちの大騒ぎを、ヴィデオを構えて真剣な眼差しのパパママに混じって見物していた。
運動会がはじまる前のザワついた、どこか期待と緊張の空気が充ちる幼稚園。
そこで、竜太とはじめて引き合わされた時にオレの姿を見た朱美の舌打ちを思い出す。
「まったく、なんでそんなカッコしてくるのよ――父兄の部だってあるのに!」
ジャージ姿の朱美は腕組みをしてふくれていた。
「そうか?“父親役”って聞いたから、ビシッとキメてくる必要があると思って……」
「どこの世界に子どもの運動会へ3ピースなんか着てくる父親がいるってェのさ!」
オレは周りを見まわした。
最近は防犯上の目的から、運動会とはいえども幼稚園への出入りは厳しく制限されているらしい。オレの記憶にのこる“地域ぐるみの運動会”というかたちはなくなり、ごく内輪の、人数も限られた規模になっている。しかも幼稚園の各出入り口には、ガードマンを雇うという厳重さだった。
入園をゆるされた、その保護者一群のなかでは、なるほどオレのようにキメた格好をする者はなく、オレと同年代か、あるいはすこし若いゴルフ・ウェアのパパやジーパン姿のママ。さらには孫の活躍を見んとする爺さん婆さんの地味な色合いの普段着の間にあって、ちょっと……どころかだいぶ浮いてるような気がする。
「う~ん。まぁ、仕方ないよね――ミヤハ♪」
オレは昨夜の“『美月』風ゴマカシ”を使い、相手をあきらめさせることに成功した。
「まったくもう……ホレ、竜太!――ごあいさつしな」
母親の陰に隠れることもせず、ワリと不敵な面がまえをした絆創膏だらけの幼稚園児は、オレのことを不思議そうな目で見あげ、やがてピョコリと頭を下げた。
「竜太クンか――どうだ?幼稚園の先生の言うことを聞いて、ガンバってるか?」
「ボク!いうコトきーてるヨ!」
幼稚園児の、ちから一杯なこたえ。
「ウソつくんじゃないよ?ケンカばっかして。生キズが絶えやしない」
「だって!アイツらがワルいんだ」
「どうしてだョ。
「いつもおれのコト『カタオヤ』『カタオヤ』って!」
朱美が目を閉じ、両手で口元をおおうのが見えた。
オレは、この坊主にしゃがみ込み、ヨシヨシと頭をなでてやる。
ついで小さな身体を持ち上げると頭の後ろに通し、肩ぐるまの姿勢になるとヨイセ、立ち上がった。
幼稚園児とはいえ、意外に重い。
まるで20キロの米袋を首に載せているような感じだ。
「うぉ――高ぇー!!たっけぇぇぇ!」
小僧はオレの肩の上で大騒ぎだ。オイオイそんなに暴れなさんな……。
「マイケルったら……腰に気をつけて?」
背後で、涙声な朱美の声。
競技の準備でごった返す先生や集まった父兄のあいだを、そのまま一周する。
(あれ――竜太くんのおとうさん?)
(お母さま離婚したんでしょ)
(再婚なさったんじゃ……)
(お仕事いく途中かしら、あの格好)
アチコチから聞こえてくる声にオレは会釈をかえし、向こうの気まずそうな愛想笑いを引き出してやる。
「よぉ!**!」
よく聞き取れなかったが、肩の上で竜太が下にいた園児たちのひとりに挨拶したらしい。
全員、体格からいって同じ年長組のようだ。オレはその集団にむかい、多少ドスの効いた声で、
「みんな――竜太のこと、ヨロシクな!?」
園児の集団は何やらテレたような、まぶしいような顔をしてソワソワと。
竜太にはオレが居るんだぞと幼稚園中に示威活動をして、もとの場所でこの小僧を降ろしたとき、ドコか上気したような、満足げな朱美の表情と出合った。
「へへぇ……2人のすがた、いっぱい写真とっちゃったゼ♪」
きょうは良く晴れ、絶好の運動日和となった。
玉入れやムカデ競争など、お馴染みの種目がすすんでゆく。
一点、おどろいたのは、どれも音を最小限にまで絞っていることだ。
入退場の行進曲やダンス音楽なども、うっかりすると聞き取れないことがある。
なんでも近隣からの騒音苦情に対応してのことだそうだ。
徒競走のスターター・ピストルもなくなり、いま目の前で使われているのは、ホイッスルと小旗だ。
「アッ、ほら!竜太が走るよ!アンタもカメラ!カメラ!」
大丈夫だよ、とオレは父母たちの歓声にまぎれて声をおとし、
「業務用のコネクターで撮ってる」
えぇっ!?と朱美はオレの片目にはめたス○ウターもどきの機材をウサン臭げに見やって、
「大丈夫なんだろうねェ?それ」
「社の技術部入魂の品だぞ?
ピッ!という音と共に旗がふられる。
スタート組の子どもたちは横一線で走りだす。
けっこう速い。園児だとおもっても、もう侮れないスピードだ。
「竜太ァァァ!!いけ!いけェ――!!!」
腕を振りまわす朱美の気合いが入った叫び。
周囲の若パパたちがこぞって手にする望遠レンズ。
そのうち2,3本が持ちあがり、我が子たちの動きを追う。
オレの方ではコネクターの視線入力で、竜太のほうを追いかけた。
内蔵された自動追尾装置がはたらき、ズーム倍率を巧みに変えつつ、俯瞰で周囲の走者と、アップで本人の必死な姿とを使い分けながら、まるでプロの
オレが(いいぞォ……そのままァ!)とG1レースで贔屓の馬を追うように胸の中で応援していた時だった。
「――あッ!」
朱美の悲鳴にも似た声。
ゴール直前、竜太はハデにスッ転げた。
ワァッ!父兄たちの間からおこる様々な歓声。叫び。
起きあがろうとする竜太のわきを、ほかの競争者が駆け抜け、つぎつぎとゴールしてゆく。
竜太は手についた砂をはらい落とし、口をへの字にまげ、それでもトボトボとゴールに向かう。
「――竜太ァ!」
オレは思わず大声で叫んだ。
その声は、せまい運動場にオレが思った以上に響いた。
まわりの視線が、一斉に自分に注がれるのがイタいほど分かる。
声が届いたのだろう、立ち止まった幼稚園児の泣きそうな顔が、こちらを向いた。
「最後まで走れぇッ!」
小さいあたまがうなずき、トテテテ……と幼稚園の先生たちが待つゴールへと走りこむ。
運動場の周囲から、いっせいにゆるい拍手がわきおこり、この子どもを包んだ。
次の競争をしらせるピッ!というホイッスル……。
また新たな歓声がわきあがり、べつの望遠レンズが持ち上げられて。
「……ありがとね、マイケル」
朱美が目尻を払いながら、
「あの子も、いつのまにかあんなに強くなって……」
「アイツは――根性のある子だ」
生意気そうな、そして将来を期待させるような大物の予感。
男の子の父親だったら、こんな気分になるのかなと、オレはふと思う。
『次は・プログラムNo.*番・お父さん・お母さんたちによる・綱引き大会です……」
「じゃ、アタシちょくら出てくッから!」
「なんだ、キミが出るのか」
「ホントならアンタも出す予定だったのよ!――そんな服着てくっからサァ!?」
観客席のまわりでクスクスと笑い声。
「と、とにかく!竜太にもイイとこ見せないとネ」
そういうと、入場門の方へ向かってゆく。
周りからも少なからずが移動していき、手持ちのカメラを貴重品・受付場所あずけ、列に並ぶのが見えた。
オレの周囲はスカスカになり、のこるは中高年かジジババだけになる。
若いパパママは、たぶん自分の子どもたちにイイところを見せたいんだろう。
相変わらずボリュームを抑え気味にした行進曲がはじまり、オレと同年代の父兄が造花で飾られる入場門を行進して。あちこちで親を呼ぶ子どもたちの声援。
その時だった。
「……あなた」
どこかで聞いたような声がした。
おそる恐るふり向くと――自分の眼が信じられない。
わかれた元妻が、そこに立っていた……。