試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【一般版】 作:珍歩意地郎_四五四五
その行為の意味に、
サッと彼女は顔色をかえ、そして幾分ふるえる声で、
「まさか……冗談ですよね?……ウソですよね?」
「ウソじゃないですわよォ?」
サロメは悩ましげな含み笑い。
舞いをおどるような優雅さでポーズを変え、豊かな尻をつつむコインベルトのついたヒップ・スカーフを掲げると、艶やかな手つきで
ヌメ革のように無毛な丘。
そこには美しい一頭の蝶が留まっている。
残酷な施術によって剥きあげられた女の中心。
ちょうど、その
「ね?こうして
「そんな!」
ピアス・ガンが近づいてくる。
詩愛は心底おそれ、おののいた。
女を情欲の
――イヤよ!あんなところにピアスなんてされたら、ダメな
苛烈な運命の処置。
無慈悲にも慎重に器具は当てられて。
サロメのくちびるが淫猥にゆがみ、満足そうに。
ビシッ……ツ!
「おゴォぉぉぉぉぉぉおおおおおおお……オッ!」
ビクビクビクッ、と身体をふるわせるとともに、
シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ(アズナブル
いまや“新人踊り子”にされた詩愛。
イヤイヤをしながらハデに失禁する。
「あははっ!……アハハハハハハハ……!!!!」
サロメは、みずからの哄笑で我に返った。
――えっ……。
見れば――そこはもとの上級顧客用・応接の間であり、あいかわらず自分は象牙の
「……」
得意の絶頂から、急に独りとなった寂しさ。
まるで祭りの果てた後のような、気怠さ。やるせなさ……。
いままで傍らにいて熱い匂いを立てていた己の分身はもう居らず、かわりに古色蒼然たる冷たい骨董品に囲まれているだけの味気なさ――その虚しさ。
急に冷や水をあびせられたような興ざめを感じた彼女は、蹌踉とした目つきで現実の薄暗がりを眺めわたす。
純銀製のふくろうが、水晶の目玉であいかわらず自分の痴態を見つめていた。
女神像のよこで瞳を光らせていた黒ネコの剥製も……。
――オャ?どこにいったのかしら。
みれば
――
まさか、本物?と、あらためて広い部屋を見回す。
しかし――四方の暗がりに目を凝らしても、あの金色の瞳はどこにも見えない。
卒然、薄ら寒い思いにおそわれた踊り子は、いくぶん早足ぎみに薄暗がりを泳ぐとルイ王朝風のテーブル上にあった内線ボタンを押す。
『――はい、コントロール』
女性オペレーターの
『
ここにきて、まさか他人の声を聞き安心したかったと言うのも
(……そうだ)と彼女は思い至って、
「
『お
「そうよ!何度も言わせないで!!」
イライラと彼女は怒鳴りつけた。
女性オペレーターの方も、こんな
『何号に致しましょう?2,4は使用中。3,5は使用後のメンテ中ですが?』
「テキトーに
つけつけとそれだけ言うや、彼女は乱暴に通話を切る。
はぁっ、と薄闇の中、彼女はため息をついた。
あの詩愛の
詩愛の仕草。詩愛の汗……詩愛の怖じ気づいた瞳。
――どれをとっても……狂おしいほど、愛おしい。
ほぅっ、とため息。
置いてきぼりにされたような心もちの中、彼女は自身の肢体に取り付けられた鳴り物の音を涼やかに立てつつ
ややあって……。
広間にノックがあった。
お入り!という彼女のキリッとした声。
扉がひらかれ、大小二個の人影が入ってくる。
ひとりは、ボンデージ衣装にランドセルを背負い、首輪につながれた小さな少女。
もうひとりは、首輪からのびる鎖のはし引きつつ、彼女の肩に手を添え、ゆっくりと誘導する黒服……。
おずおずとした足どりも道理だった。
おかっぱ頭な少女は、目を黒革のボンデージ風味なアイマスクで覆われ、その上をベルトがキツく横切っている。
腕は、ランドセルを負う背中がわで二本まとめて黒革のアーム・サックで拘束され、その反動で小さな胸を反らすように。
革製とみえる黒い首輪には、チューリップ型の赤いビニール名札が下がって。
【お舐め犬:01号】
――チッ……!
心ひそかに踊り子は毒づいた。
――よりにもよって。抑制剤で成長を止められた“合法ロリ”のババァとはねぇ……。
“紅いうさぎ”でも最古参の備品と聞いていた。
舌の使い方は「絶品」だと聞くが、すくなくとも今宵の雰囲気にはそぐわない。
――もっと年端もイカない
もうちょっとマトモな“備品”は残ってなかったのかしら、と不満気な彼女をよそに「おまたせしました」と
「
「そうね――ベッドの柱にでも、繋いでおいて」
気のない声でそういうと、黒服はベッドの天蓋を支える4本の柱のうち手近な一本に、少女の首輪から伸びる鎖の端を留め、再度一礼して部屋を出てゆく。
「お客はまァ……」
幼い、みょうに舌足らずな声が、大きなベッドの傍らで。
正座して“待て”の姿勢で待機する“擬似少女”の口から、
「おのたひは、お喚びくだはいぁひへ、有り難ぅおはぃあふ。【ほ舐め犬1号】は、誠心誠意、お奉仕いぁひまふぅ」
――コイツは“
奉仕用の舌に集中するため、余計なモノを見ぬよう視力を拘束された“少女型の器具”。
ヨソで使われていたモノを、この店が
大切にされる“ウラ”の備品ではあるが、それもいつまで続くことだろうか。
――そう考えるとコッチも、心もとない思いがしますわねぇ……。
サロメは、銀行へ預けた数百万と貸金庫に預けた数キロの純金インゴッド。
それに証券口座にある時価にして2~3000万ほどの株券を思い浮かべた。
いつまでも、こんなこと出来るワケもなし。
ヘタを打てば自分だってこの先、どうなることか……。
「……お客はまぁ……?」
少女が、視力を拘束されたゆえの嗅覚で、サロメの居る方向を嗅ぎ当て、不安げに、
「
――ウラをかえせば、この備品はカタチを変えた
艶やかな身に穿たれた鳴り物を
「ごくろうさま――
不安気だった“少女”の面がホッと安心したようにゆるみ、微笑を浮かべた。
「さ……おいで」
サロメは、腕が不自由な彼女をシルクの波が照り輝くベッドの海に導いた。
“お舐め犬”の腕が後ろに拘束されているのは、奉仕中に
サロメは自分に奉仕する“少女”の腕がキチンと
どうやら満足がいった彼女は、次いで少女が背負うランドセルを開け、中にセットされた様々な道具のなかから複雑な形状をした大ぶりの『張り型』をとりだし、それを少女がハメられた貞操帯のアタッチメント部に装着した。
これでこの少女型をした愛らしい備品は、凶悪な
サロメは大きなクッションをいくつか重ね、そこに自身の背をもたせると、両脚をなまめかしくM字にひらき、【お舐め犬1号】の鎖を引いて小さな頭を自分の“部位”に導いた。
少女は後ろ手のままヒザ立ちにクンクンと子犬のように鼻をならし、サロメ“自身”に頭を近づける。
そしておもむろに口を開けると、驚くほど長い、ふた股に割れた舌をベロリと伸ばして。
長舌化処置と、
その奥には、女性の
滑舌が悪かったのは、この長い舌が小さな
“少女”のふたつに割れた舌が、踊り子の表面を、ソヨソヨと撫ではじめる。
それはまるで触手のように自在に、そして精緻に、機敏にうごめいた。
年期を重ねてきた“奉仕技術”である。
それによって、サロメは否応もなく巧みに高められてしまう。
「あッ……ッ!」
やがて頃は佳しと舌先に感じたか、この【お舐め犬1号】は、いきなりその凶悪な長舌を、踊り子に作用させた。
「あぐぅぅぅッッッ……ツ!!!!」
まるで先ほどの詩愛に向けた手管を、そのまま自分に返されたような印象。
このとき。
サロメの脳裏には、ある妖しい妄想が実をむすんだ。
それは、いま自分を責め苛んでいるのが“ウラ”の手術によって“お舐め犬”に堕とされた詩愛であり、この店の“備品”と化した彼女は、先ほどのことを根に持って、その意趣がえしに同じ責めを自分に行使している、という想像だった。
――なんてこと?この設定だけで、ゴハン三杯はイケてしまいそう……。
目を閉じたうす闇の中。“少女”の責めにつられて鳴る己が装具の鳴り物を、愛する詩愛の肢体から流れる音色だと彼女は夢想する。
その想像のなかでいまの詩愛は、すでに幾重もの残酷な手術を経た“一級品”の奉仕人形だった。
自分と同じくらい豊かに張り出した
拡張ずみの、そんな“後ろ”に、ふかぶかと挿入されたプラグ。
全身をおおう飾り具と鳴り物。ティアラ。イヤリング。黄金の首輪。
こまかい顔の整形と全身脱毛施術。強力な洗脳処置にくわえ、キズを残さない
トロンとした
美しく飾られた肢体。
夜の灯火に煌く装具。
完全に“女の快楽”を司る
その股間には、イボやねじれが盛りだくさんの、凶々しいチンポが黒々とそそり
“紅いウサギ”でも
彼女にとって甘美とも思える被虐の妄想をたくましくさせつつ、この舞姫は己“お舐め犬”に蹂躙されるがまま、身体を、感覚を――何より
“詩愛”の舌が、巧みにサロメの“泣き処”を探り当てた。
そのまましばらく彼女の急所を
「ヒぎィィィィィィィッ………ッ!」
あまりの快楽。
一瞬、サロメの頭がホワイト・アウトする。
フワフワとした意識の中で、貫いた舌がゾロリと抜かれる感覚……。
「あふぅん……酷ォい……もっとぉぉん」
すると、まぎれもなく声帯手術済みである詩愛の声が耳もとで、
「ふふふっ。
長舌化のため、せっかく知性的だった声も、どこか知恵おくれ風に聞こえる。
次いで、目を閉じたサロメのほおに指輪をはめた手がふれ、ゆっくりとなでる気配。
――えっ……。
不思議!
舞姫は、心のどこかでおどろく。
お舐め犬は、両腕をうしろで拘束されるのが“紅いウサギ”の
だが――彼女はあくまで目をとじたまま、この
「……そんな。あれは、やがてメス豚となる
「あぁた、ホンなほぉ言っへ……
自分の口に、相手の整形されたプックリとする唇がふれた。
サロメも(はむっ……)と、それをくわえ返す。
5分間のガマンを強いた
目を鎖したサロメのうす闇に、相手をむさぼり合う吐息と、さえずり。
二匹のメスの営みは、
いつ果てるとも
「おぁ……ほねぇはまぁ……ほねぇはまぁ……」
「あぁ――
サロメは“オナニー・ドール”に改造された詩愛の肌に手を滑らせた。
毛の一本も生えていない、
乳首から“鳴り房”の下がる、かたちの良い乳房。
秘裂に手を這わせると、この元・お嬢サマは感度よくビクリ、と身をふるわせて。
それがたまらなく可愛く思え、サロメは相手の全身にキスの雨をふらせる。
ややあって、ひとしきり詩愛の美乳を愛撫した彼女は、いつになくマジメな
「ねぇ――オマエと一緒なら、
「ろんなコオぇも……?」
「えぇ。どんなコトでも……」
サロメは相手のウィッグをゆっくりと撫でる。
シルクのシーツの上で『オナニー・ドール・詩愛』が満足げに身じろぎする気配。
「うえひぃ……」
そう言うと、新米の踊り子・兼“お舐め犬”は、サロメの方に身を寄せてくる。
「ね?
「……」
「そのときは、貯めたお金を手にして、どこか
「……」
「だれも
詩愛がサロメの脚に自分の太ももをからみつかせ、押し当ててきた。
黒く野太い“お道具”が、サロメの核をジリジリと刺激して。
とうぜん、その動きは詩愛の
「あぁ……
トロンと
そこに、もはやかつての知的な端正さは感じられない。
その表情が、さらに
ハッ、と真顔にかえるサロメ。
「ダッ、ダメよ詩愛!それを
「ふふっ……
「だめッ!ソレはあくまで“お飾り”なの!本当に
だが、馴致され、道具として訓練を受けた詩愛の力はおもいのほか強く、サロメはシルクの輝きもてるシーツの海へ、大の字なりに組み伏せられてしまう。
――あぁッ、なんてこと!強姦されて以来、お道具とはいえ
「おぉ……
二またに
右――次いで左。
ややあってから詩愛の舌は一度、サロメの口をノド奥まで。そして、やおら純真な痴愚のように瞳を輝かせ、
「はぁはぁ……
――あぁッ!詩愛に×されちゃう……ッ!
しかし、詩愛は巧みだった。
いきなり突き入れるなどの無粋なことはせず、
やがて十分ほぐれたとみるや、組み敷くサロメとの呼吸をシンクロさせて、
ぬ、ぬぬ、ぬぬぬぅぅぅ……ッ!
強弱をくわえ、さまざまに角度をつけながら波打つように挿入する。
とたん、サロメの“なか”は燃え上がるように。
――このクソ人形!!
ゾッ!と彼女はその感覚に反して
全身を駆けめぐる奔流に意識を切れ切れとさせつつ、サロメはわななく口で、
「
「えぇ、そうよ……?」
そのとき。
不意に詩愛の声が低く沈み、
ぞわっ、と全身に鳥肌をたててサロメは相手を払いのけようとするが、組み敷く詩愛の
「アナタは、ご自身の
「詩愛――
「もう二度とお陽さまの下を歩けない、アタマの中を情痴に染められた、哀れでミジめな、メス人形に……」
「ちッ、ちがうの!それは貴女のためを想って……ッ!」
押さえつける
わたしのため?と、
「この淫乱じみた哀れな身体の、どこが“わたしのため”なの?アナタはただ、ミジめな性処理用の奴隷人形を一匹、生み出しただけなのよ……それも本人の意思とは関係ナシに、ね?……もう美ィちゃんにも……お母さんにも……なにより……」
ここで詩愛の言葉が留まった。
ややあって、感情を爆発させて、
「……会えない!会えるハズがない!!こんな忌まわしい手術をされた――イヤらしい
押さえつける詩愛のちからが消えた。
サロメは身をよじってベッドから逃げだそうとする。
しかし、股間に打ち込まれたクスリ漬けのディルドーの刺激が全身を燃え立たせ、動けない。
必死にもがき、目を開けようとするも、まるで膠で固められたようにまぶたは開かなかった。
「逃げようっていうの……?でもダメ」
不意に、サロメの首に詩愛の細い指が食い込んできた。
「アナタとわたし。ここでお終いにするのよ」
「ゑぐォッ!……ゲハッ!」
「みじめな肉人形が二匹、消えるだけ。お店のヒトたちは、サッサとわたしたちを処分して、つぎの哀れな女を踊り子に調教するでしょう。ただ――それだけのこと」
「詩ィ!……ウッ……ゲッ!」
「神サマの御前に立ったとき、なんて申し開きをしましょう……?この情けない、イヤらしい、恥ずかしい、惨めな“
詩愛の手に、さらなる力がこめられた。
するとそこへ、詩愛がソッと口づけする気配。
「どんなコトでも出来ると仰いましたね……?」
応えはない。
ヒューヒューとノドの鳴る音。
「それならば、わたしと一緒に死んで頂戴?お姉ぇサマ……あの世で一緒に神サマへ弁解致しましょうねぇ……」
相手の声が、だんだん遠くなる。
アタマは心臓の鼓動にあわせ、まるでハンマーで殴られるようにまでなって。
――あぁ……ちがう!ちがうの詩愛……
「ぶはァ……っ!!!!!」
顔にかかっていたシーツをはねのけ、ガバッとサロメは状態を起こした。
息を荒げ、全身で呼吸をする。
目の前をキラキラと星が舞い、視野がこまかくブレた。
心臓の脈打ちとともにやってくる頭痛。吐き気。滝のような汗。
無心に呼吸をくりかえし、ようやく人心地がついてみれば、彼女はあいかわらずベッドの上で、しどけない格好をしているのだった。
ただし、自分の奥は洪水状態で熱く濡れそぼり、シーツにはベットリとしたものが、まるでオネショタをしたように拡がっている。
脱力が、ベッドの天蓋から降ってきた。
視界のチラつきがおさまり、サロメは大きく息をつく。
口でゆっくりと息をしているあいだに吐き気はだんだん遠ざかって。
タップリ10分は沈黙のまま、肩で息をし、頭のなかの惑乱をおさえる。
目に入った脂汗を、いらだたしげに手の甲ではらい、チッ、と舌打ちをして、
――どの辺から……夢だったのかしら……まさか【お舐め犬】を喚んだことも……?
だが、そう思ったとき、ベッド・サイドのスツールにラーメン屋の伝票じみた小さなクリップ・ボードが目に入った。
ご注文票
お 名 前:サロメ様
ご利用者数:1 名
ルーム・No:幽玄の間
ご注文品種:お舐め犬(1号)
チャージ料:***円
税サービス:***円
――――――――――
金額/合計:***円
――なるほ、ど……。
どうやら自分が“お舐め犬”を利用したのは確からしい。
すると、あの手練れな備品の舌技に参って、失神してしまったのだろうか。
情けない、と彼女は再び舌打ちして美しい柳眉をひそめ、己の
――舞姫サロメの、とんだ恥さらしネェ……。
そう考え、もの憂げに首をめぐらせた瞬間。
彼女はギクリと身を震わせた。
水晶の眼球もつフクロウ。
その止まり木の足もとには、いつのまにかあの黒ネコの剥製が金色の瞳を光らせて。
怪訝な足どりで、ゆっくりとサロメはこの黒ヒョウめく毛づやの置物に近づいた。
もと置かれていたはずの女神像からは、優に3~4m以上はなれている。
――なんなの……?
と、彼女が身構える間もなく、この奇怪な“装飾品”はフイと首を動かして、瞬きをパチパチ。
おどろくサロメの目前で、ゆるやかに二本のシッポをゆらし、
『やァ。ようやくお目覚めだネェ……』