彼方の時へ   作:くらうす

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仕事が少ないので投稿します

相変わらずの独自解釈、設定の嵐ですが、ご容赦ください


ウェルダン侵攻

時は少し遡り、シグルド公子がエバンスを攻略した後の事である

 

 

シアルフィのシグルド公子はユングウィ、エバンスを解放した

 

しかし、ユングウィのエーディン公女の姿はそこに無く、ウェルダンの奥地へと連れ去られていたと思われた

 

そこでシグルド公子はウェルダンへの侵攻を考えていた

。しかし、シグルド自身はあくまでも『公子』であり、参陣しているシアルフィ騎士への命令権はあったが、他家の『公子』への参戦要請すら出来ない形だ

 

皆の意見の擦り合わせも兼ねて主な人物を集め、軍議を開くこととなった

 

 

 

 

シグルドは

「まず、エバンス攻略までの協力に感謝したい」

と発言した

 

レンスターのキュアン王子は

「礼は要らない。親友で妻の兄であるお前を放って置くのは目覚めも悪い」

と語り

 

「私も礼は不要です。エーディンを助ける為に協力したのですから」

ヴェルトマーのアゼル公子はエーディンの事を気にかけていた

 

「礼は受け取るが、これからどうする?

エーディン救出は未だ果たせていない。が、これからウェルダンへの侵攻となれば『紛争』で収まる話で無くなる」

ドズル公子レックスは今後の話を気にしていた

 

「でもレックス。エーディンはウェルダン本国へと拐われたのなら助けないと」

アゼルはレックスに詰め寄る

 

「別にエーディンを見棄てろ。とは言わん

が、実際にはつい最近まで同盟国だったウェルダンがいきなり攻めて来たんだぞ

しかも、主力の欠いているユングウィだけならいざ知らず、王国の直轄領のエバンスすら短時間で攻め落とされているんだ

おかしいとは思わんか?」

レックスは語る

 

 

シグルド達には知る権利が無かったが、同盟関係はグランベルより一方的に破棄されていた

 

シグルド達はあくまでも公子である為に知らなかった情報でもある

 

 

が、実はこれにはバーハラ王家の事情が絡んでいた

 

現王子クルトの思い人であるシギュンがウェルダンの出身である事が最近になって判明した

 

クルト王子はシギュンの情報をウェルダンに求めた

 

が、ウェルダンはそれに応じる事が出来なかった。クルト王子はウェルダンへ不信を抱き、それを受けた交渉役の官吏がグランベルの侵攻をほのめかし、ウェルダンが反発したのだ

 

 

が、ウェルダンからすれば貴族や有力国人等なら把握仕切れたが、一個人を名前と特徴のみで捜索するなど出来る筈も無かった。更にウェルダンの独断とし、大掛かりな行動を制限され、更にはクルト王子に影響の出ない遣り方を求められたのだ

 

ウェルダンが激発しなかっただけでも、有難い話である。ウェルダン側の使者はグランベルの横暴とも言える言動にも真摯に対応した

 

グランベルの一部では、蛮族の国であるウェルダンごときがグランベルと対等な関係で在ることに不満を持つものが少なからずいた

 

その時の使者もまた、その考えを持っていた

 

 

 

余談ではあるが、宰相のレプトールすらもその考えを支持してはいた。だからといってそれを公務に持ち込む事は無く、部下にも厳禁と徹底したが

 

使者の些か過ぎる独断により、同盟は破棄された。勿論、使者はクルト王子にウェルダンにグランベルへの反逆の兆し有り、との報告をおこなった事で自らの正統性を主張した

 

 

 

なお、この話はグランベル王国宰相レプトールを通さずに行われており、レプトールが把握したのはグランベルが同盟破棄をおこなった時であった

 

当然の様にレプトールは交渉に当たった官吏を処分し、クルト王子への反発を強めた

 

その一方で円滑な関係改善を速やかにおこなうとした。故に無用な混乱を避ける為、公爵のみに通達すると共に国王アズムールにも自らクルト王子の失態を報告した

 

が、国王アズムールはクルト王子に挽回の機会としてダーナより要請のあったイザーク遠征を命じた

 

当初はドズル公爵ランゴバルドを中核として遠征軍の編成は行われていた

 

しかしクルト王子は自らに近い、シアルフィ公爵バイロン、ユングウィ公爵リングへの出兵を命じた

 

皮肉な事だが、これにより遠征軍の再編成が行われ、少なくない混乱が生じ、ウェルダンとの同盟解消が周知仕切れなかったのだ

 

 

 

話をエバンスのシグルドに戻す

 

「それにウェルダンへ侵攻すればアグストリアの諸侯がどう動くかも不透明だ」

更にレックスは懸念を示した

 

「それには及ばない。エルトシャンが対応してくれるとの事だ」

シグルドが返す

 

「あの『獅子王』が、ね。言っては悪いがアグストリア王家の意向は大丈夫か?

別にエルトシャン殿の人間を疑うわけでは無いが、アグストリア王家と最悪の場合、関係が拗れないか」

レックスはなおも疑念を呈する

 

「レックス。アグストリアはエルトシャン殿が抑えてくれると言うのだから、エーディンを先ずは助けよう」

アゼルは発言した

 

「エーディンを助ける為にウェルダンを攻める

レックス公子、不満はあるだろうがエーディンを助ける事を最優先としたい」

シグルドは纏めに入った

 

「解りましたよ」

レックスは不満を顕にしながらも同意した

 

 

 

 

同時刻、アグストリア王国ハイライン城

 

 

「何?エルトシャンがエバンスに行っていただと?」

大柄な男が椅子に座ったまま問うた

 

「はっ、ボルドー様。マッキリーのクレメント司祭よりの使者がそう言っておりました」

壮年の男が返す

 

「小僧め、何を考えておる。クレメント殿から、という事は殿下の意思では無いな、フィリップよ」

ボルドーと呼ばれた男は確認の意を込めて問いかけた

 

「はっ。本城のザイン将軍よりも、殿下は事態を静観する。との事にございます」

 

「うむ。殿下のなさる事は間違いない

ならば、何故あの小僧はエバンスは赴いたのか、解らぬな」

 

「以前耳にしましたが、エルトシャン殿と此度の件の中心人物シグルド公子は親友とも言える関係だとか」

 

「フィリップよ。だとしても、殿下の方針に異を唱えるかのごとき所業は許されまい

仕方あるまい。殿下の方針を今一度確認してくるとしよう。フィリップ、供をせい」

 

「はっ。では留守は、エリオット様に?」

 

「あれにも少なからずの功績を上げさせねばなるまい

どうしても、あの小僧と比較される以上な」

 

 

こうしてハイライン主従はアグストリア本城を向かう

 

 

 

 

 

 

その頃イード神殿にて

 

「シアルフィの小僧が動いた

ノディオンの小僧も釣れよう。マンフロイ、其方はどうかな?」

 

「うむ、ジュダめが最近になって少々迂闊に動いておるわ

して、何かあったのであろう、クベリウスよ」

 

「『精霊の森』其処にシギュンの母親と娘が居るらしい。ウェルダンより逃れて来た者共が教えてくれたわ」

 

「なるほど。直ぐにでもジュダに探させよう」

 

「慌てるな、マンフロイ

シギュンの娘もまた、籠の中の鳥よ。ウェルダンでの争乱は利用出来よう」

 

「む、出来るか?」

 

「アレの娘だ。憧れはあろう

己が出自を理解しているシギュンより動かし易い」

 

「名は?」

 

「ディアドラだ」

 

「どう、動く?」

 

「何、ディアドラの側にいる一人はこちらの手の内

上手く暴漢等も用意し、シグルドと素敵な出会いを作ってやろう

さすれば、ディアドラかシグルドのどちらかが惹かれようさ」

 

「ふむ。そう、上手く行くとは思えぬが」

 

「仕掛けはおこなう

邪魔なジュダには早々にきえてもらうがな」

 

「早いか」

 

「『まだ』な

そもそも、子供狩り等とすればロプト教団の影を見よう。下手すれば、反ロプトで纏まらぬとも限らぬ

我等が求めしものは、細部で異なろうと大意は変わらぬ。そうであろう?」

 

「そうだな

それに付随するのか?あれは」

 

 

マンフロイの語った事は、最近ユグドラル大陸にて腕利きの傭兵が相次いで行方不明となっている事である

 

有名どころとしては女性でありながらも大陸屈指の傭兵『地獄のレイミア』が挙げられる

一地方の軍勢位ならば蹴散らせる高位のソードマスターである

にも関わらずとある依頼を最後に消息を絶った

 

 

 

「ああ。いい贄になったものだ

欲を言えばシレジアの四騎士の一人位は欲しいが、無い物ねだりよな」

 

 

シレジアの四騎士とは、シレジア王国の主力騎士団であるペガサスナイトの上位四人の事である

 

女王ラーナに従う筆頭マーニャ。女王の従兄にあたるダッカーに従うパメラ。女王の従弟に従うディートバ。女王の息子で、次期後継者であるレヴィンの幼馴染みでありレヴィンの補佐役のフュリー

 

何れも他国に聞こえる強者であり、シレジアを離れる事など余程の事がなければあり得ない者達だ

 

 

「クベリウス。貴様が独自の戦力を有する事には文句は言わぬ

が、余り事を荒立てるな」

 

マンフロイからしてみればジュダよりは目立たないが、決して座視しえるものでもない

 

「案ずるな。仕事をやり易くするのみだ」

 

クベリウスはそう言い残し、転移魔法で去っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

「愚かな。あやつも甘いものよな」

 

 

 

 

 

 

大陸の混乱は止まらない

 

 

 

 




クルト王子への酷い悪評の様な話になりました



ここまで読んで頂いた皆様に感謝を

子供世代のオリキャラは?

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  • どちらでも

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