彼方の時へ   作:くらうす

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原作一章ですが、既に大幅な改変となっております

ご容赦ください


いつも通りの独自設定、解釈です


ウェルダン

シグルド公子率いる軍勢がエバンスを攻略した後の事である

 

 

ウェルダン王国王子ガンドルフは弟である第二王子キンボイスのジェノア城に身を寄せていた

 

 

 

「兄貴。姫さんは眠ったぜ」

大柄で筋肉質な男、キンボイスは報告する

 

 

 

姫さん。つまりは、ユングウィ公女エーディンは徒歩に

てウェルダンを移動していた

 

騎馬等は専ら運用していないウェルダンでは王族ですら徒歩の移動どなる

元々ユングウィの城より出る事も滅多になく、出る時は馬車で移動していたエーディンには些か以上に堪えたのだ

 

それを遅まきながらに察したガンドルフ王子は本拠のマーファに直行するよりも、手近なジェノアへの寄り道を選んだのだ

 

 

 

「すまんな。面倒をかけちまったか」

ガンドルフは詫びる

 

「それはいい

それより、ユングウィのデマジオとエバンスのゲラルドの奴が」

言いにくそうにキンボイスは話す

 

「・・・死にやがったか

馬鹿野郎どもが、まだまだこきつかってやる。そう言ったのによ」

心底無念そうにガンドルフは溢す

 

 

 

 

「失礼します。キンボイス様!」

突然の来訪だった

 

「どうした?グランベルの奴等はまだ動いてないはずだぞ」

 

「実はバトゥ王がお亡くなりになったとの事で」

キンボイスの部下が告げた

 

「親父が!どういう事だ!」

 

「なお新王にはジャムカ王子が即位し、司祭のジュダが宰相となる。との事にございます」

 

「ジュダの野郎が!

間違いねぇのか!」

 

「はっ。なお、ガンドルフ王子には追討命令が出ております

無論、無視しますが」

 

 

 

 

王都ウェルダンにおいて、ジュダはグランベルへの侵攻以前に配下のサンディマと共に国王バトゥを殺害した

 

だが、その事実は隠蔽していた

 

ジュダの予定としては、配下のサンディマがユングウィより帰還した後にガンドルフ等を殺害。ウェルダンを掌握。しかる後にシギュンの娘を捜索する予定であった

 

だが、サンディマはユングウィより戻らず、マーファに戻る筈のガンドルフも未だ帰らない

 

 

ジュダからすればウェルダンの中で目障りなのはジャムカ王子だ。が、一番面倒なのはガンドルフ王子であった

 

知らぬ者から見れば不思議な話である

 

 

ジャムカ王子はウェルダン本城におり、少なからず影響力を持つ。ジュダやサンディマを怪しんでもいる。が、第三王子であり、所領を持たぬジャムカの動かせる兵力等たかが知れていた

 

一方でガンドルフ王子はマーファ城主である。加えてジェノア城主にして弟のキンボイス王子との仲も良好。更に面子を捨てて実利を取る事も出来る人物だった

 

更には国王の側近だったジュダを真っ向から非難しており、領民からの支持も高かった

 

最悪マーファとジェノアの連合が考えられるのだ

 

敗けるとはジュダは思わないが、時間を掛けるとシギュンの娘等がウェルダンより逃れる可能性がある

 

なお、ジュダやサンディマは幾度と無くガンドルフの配下の調略を試みたが何れも失敗している。これもまた、

混乱が長期に及ぶ可能性の根拠であった

 

 

 

 

そこでジュダはジャムカ王子を幽閉し、新王ジャムカの名の元にガンドルフ王子討伐の令を発した

 

同時にガンドルフ王子の居城、マーファへ軍勢を派遣しガンドルフ王子の力を削ぐつもりであった

 

 

 

 

マーファ城

 

賢王バトゥの死。新王ジャムカの即位。更にガンドルフ王子の討伐令。

 

「バトゥ様がお亡くなりになり、ジャムカ様がガンドルフ王子を殺そうとしている」

 

「どうする?」

 

「王命ならば従うべきでは?」

 

「馬鹿野郎!ガンドルフの兄貴が、んな事をする訳ねぇだろうが!」

 

「じゃあ、どうする!」

 

「ガンドルフの兄貴が戻るまで、此処を守るべきだ!」

 

「王命に叛くのか!」

 

「じゃあ、兄貴を見捨てんのか!」

 

 

マーファは混乱の坩堝と化していた

 

「落ち着きやがれ!

ガンドルフの兄貴がジャムカ王子に敵対するなんて有り得ねぇ!」

一人の小柄な男が叫んだ

 

「じゃあどうするんだよ、トラフ!」

 

「ガンドルフの兄貴は恐らく此処に向かっているか、ジェノアに居るだろう。兄貴には人を送る。俺達は此処を護る!」

トラフと呼ばれた男は語る

 

「悪いが、アイラ殿。ちっとジェノアまで行って貰えねぇか?」

 

「トラフ達マーファの人達には恩がある。構わない」

アイラは答えた

 

 

 

イザークの王女アイラと王子シャナンは、イードよりアリウスの手によってウェルダン送られた。その後マーファへと身を寄せていた

 

元々はウェルダン本城に行く予定であったが、アイラは偶々遭遇した山賊を討伐した。それがマーファのガンドルフ王子の副官を勤めるトラフの耳に入り、トラフの嘆願でマーファに滞在していた

 

ウェルダン、イザーク共にグランベル等からは『辺境の蛮族』呼ばわりされていた事もあり、粗暴な印象を抱いていたアイラとトラフだったが、割と似通った性分も手伝って意気投合していた

 

短いながらも、シャナン王子はマーファの民に愛されており、皆からは親しみを込めて『坊主』と呼ばれており、シャナンも満更ではなかった

 

 

この様な事もあり、アイラとしてマーファへ協力するのは吝かでもなかった

 

「が、幾らアイラ殿とはいえ一人では心許ないし、坊主も避難させなきゃなんねぇ

・・・・・・ちっ、仕方ねぇ。あの糞ガキを連れて来い!」

 

「いいのかよ?」

 

「やむを得ないだろうよ。気に入らねぇ糞ガキだが、腕は確かだ」

 

「わかった」

 

 

 

マーファ城、牢

 

「おい、デュー。出ろ」

 

「うーん。何さ?」

牢の中の金髪の少年が面倒くさそうに言った

 

 

この少年はデューという

 

デューはお金持ちの家から金品を盗んでおり、このマーファにて捕まっていた

 

本来ならば、極刑。つまり死刑であったが、ガンドルフ王子が気に入り、牢獄で反省させられていた

 

ここで言うお金持ちはウェルダンにおいて禁止されている項目を取引している商人達である。その為にガンドルフ王子も温情を見せているのだ

 

被害を受けた商人達も余り騒ぐと調査される事になる。だから、盗みに入られた。とは言うが、罪人を死刑にしろ。とは言いづらい

ウェルダンの法では、極刑に関わる事件はありとあらゆる事が調べられる。そうなれば、最悪彼等も罪に問われる

更に言えば禁止項目の取引は一族郎党例外なく極刑である。盗人の極刑を求めて、自身が極刑になるなどと彼等には受け入れ難いのだ

 

かと言ってデューを軽い罰で解放すれば、口封じの為に殺されかねなかった

 

ガンドルフ王子の気紛れはこの様な形等で上手く作用する事が非常に多く、副官のトラフは「聡明なんだか、どうなんだか」と良く溢している

 

 

「で、あの堅物さんが俺を出すなんて、何があったのさ?」

 

デューの疑問も最もである。トラフはウェルダンでも数少ない、法を遵守する人間である。そんな人間が罪人を解き放つとなれば何かある。と考えるのは当たり前といえた

 

「何でそう思う?」

 

「なんとなく」

 

等と小難しい事に思考を割く訳も無く、デューの経験からの勘であった

 

「トラフ本人に聞けや」

 

「わかった」

ともかく牢より出れるならばデューに否やは無かった

 

 

 

 

デューが牢から出されてトラフの所へ行くなり

 

 

 

「出やがったか。糞ガキが」

トラフは吐き捨てる

 

「その糞ガキの力が要るんじゃ無いの?堅物さん?」

デューも言い返す

 

「トラフ殿」

アイラはトラフを止めた

 

「誰?お姉さん」

 

「・・・・・・ふぅ

デュー。てめえの仕事はこの人をジェノアまで送る事だ。出来ねぇ等言わせねぇぞ」

 

「わかった。その後は?」

 

「好きにしろ

ほれ、てめえの剣だ

アイラ殿、直ぐに出発を

坊主、元気でな」

 

「トラフのおじさんも」

 

「トラフ殿。御武運を」

 

 

 

 

アイラとシャナン。それにデューはジェノアに向けて出発した

 

 

 

「後、エバンス付近に兵を出す

グランベルの奴等が動くだろうから、牽制しろ」

 

マーファより二十名の集団がエバンスの南に向けて出撃した

 

 

 

 

 

 

同時刻、エバンス城にはウェルダン王国新王ジャムカの使者が訪れていた

 

「なるほど。今回の件はガンドルフ王子とその弟のキンボイス王子の独断だったと」

シグルドは使者に確認する

 

「左様にございます。シグルド殿

我等が王、ジャムカは先王バトゥの死にも両名が関与していた疑いがある。とも申しておりました

何卒、『聖騎士』たるシグルド殿のお力添えを頂ければと」

使者のローブの男は願いを口にする

 

「ではユングウィのエーディン公女は?」

 

「マーファに居れば我々が保護し、グランベルへとお戻しします。勿論、ジェノアの場合でも我々は動きますが」

 

「新王ジャムカ殿の地盤は不安定だと?」

 

「残念ながら。実兄を相手にするともなると、気が咎めるのは致し方無しかと」

 

「では、此方はジェノアへ兵を出そう」

 

「おお。流石は音に聞こえた聖騎士殿

我が王も喜ぶかと。ありがとうございます

早速、王に知らせて参りたく存じます」

 

「お役目ご苦労でした

ところで」

 

「おや、何ですかな?」

 

「使者殿の様な魔道士はウェルダンに多いのですか?」

 

「・・・いえいえ。私なぞ大したものではございませぬよ

では、失礼致します」

使者は去って言った

 

 

その後、シグルド公子はウェルダンに侵攻

 

後に語られる『悲劇』の幕が上がった

 

 

 

 

ウェルダン王国、ウェルダン本城

 

シグルドの元を訪れた使者の男は宰相ジュダへと報告に向かった

 

「ほう。バルドの小僧は動くか」

ジュダは愉しそうに聞く

 

「間違いなく」

 

「マンフロイがこの後、ハイラインのエリオットを動かす。バルドの小僧は南北を挟まれよう」

 

「宜しいので?」

使者の男がマンフロイ司教から聞いたのは、バルドの小僧をウェルダンの奥深くまで誘引する事であった

 

「構わぬ」

 

「では、失礼します」

 

 

本来、エバンスへの働きかけ等は予定に無く、自身の上司の上司。マンフロイ司教の命に反する行為ではないか。彼には常にその懸念があった

 

更にジュダはマンフロイ司教以外にも、本拠イードのクベリウス司教からの不審を買っている。との噂もあった

 

事実ジュダはウェルダン本城付近にて密かに行っていた『子供狩り』をジャムカ幽閉後に本格的に行い始めた

 

 

ジュダは男からすれば上位の存在だが、マンフロイ司教やクベリウス司教に比べれば小者であり、果たして其処までの権限を持ち合わせているかすら、不明であった

 

 

 

そもそも、ウェルダンでの暗躍の中心人物は亡きサンディマであり、ジュダはサンディマの上司故の配置だったと聞く

 

 

サンディマはマンフロイ、クベリウス両司教より大命を拝していたと聞いているが男は知らない

 

(危険だ)男はそう感じた

 

ジュダの元に居たとしても後の事が見えない

 

確かにジュダはウェルダン宰相の地位を得た

 

今はまだいい。が『今』だけだ

早急に近場にいるマンフロイ司教に繋ぎを取るべく、男は動き出した

 

 

 

 

 

 

 

「貴女はアイラ王女!?何故此処に」

 

「レンスターのキュアン王子か」

 

 

時と言う流れは止まらない

 




このままいくと話数がとんでも無くなりそうな気が


シグルド世代はかなり時間をかけます




読んで下さりありがとうございます

子供世代のオリキャラは?

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