書きたい事が多すぎて話が進まぬ
やはり構想は大事です
独自設定、解釈多めです
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シグルド公子率いるグランベル軍はエバンス城を発し、南下。ウェルダンへの侵攻を始めた
名目はウェルダン新国王ジャムカの支援、並びにガンドルフ王子に連れ拐われたユングウィ公女エーディンの奪還である
エバンス出撃の際にもドズルのレックス公子とシアルフィのスサール卿の孫でシグルドの相談役として従軍しているオイフェは難色を示したが、シグルド公子はエーディン公女奪還を優先とした
なお、出撃の直前にアグストリア諸侯の一人でシグルド公子の親友、ノディオンのエルトシャンに出撃の経緯を説明する使者を送っている
ノディオンのエルトシャンはシグルドの行為に理解を示し、改めてシグルドの居ないエバンスへのアグストリア諸侯の手出しをさせない様にした
実際にアグストリアからエバンスのルート上にノディオンの騎士小隊を配置。監視を強めた
一方、ウェルダン本城よりの軍勢により、城主並びに主力不在のマーファ城は不利な状況にも関わらず善戦していた
グランベルへの侵攻の主力はマーファ城の軍勢であった
ユングウィで戦死したデマジオ、エバンスにて戦死したゲラルドもマーファの指揮官であった。ユングウィには最低限の兵力しか置いていなかった。が、エバンスにはマーファ城の大半の兵力を置いていたのが、裏目に出た形となった
これはジュダの配下のサンディマが後の憂いになりかねないガンドルフ王子の兵力を消耗させようとする考えに基づくものだった
事実、ユングウィにてサンディマはデマジオに後退を許さない事を伝えており、仮にサンディマが生きていればエバンスのゲラルドにも同じ事を命じていた
ガンドルフ王子がエーディン公女を拐って帰国した後、ウェルダン本城に誘き寄せて殺害する。サンディマはそう考えていた
サンディマはあくまでもウェルダンの掌握に拘っておらず、ウェルダンの兵力を以てシギュンの娘の居所を探すつもりであった。人探しにするのに大規模な混乱を招く事で不確定要素を増やす事を嫌ったのだ
サンディマの誤算は自身の死は勿論だが、自分の上司のジュダが権勢を振るう事を好む人物だと言う事を知らなかった点にあった
以前イードにてロプト教団の上層部がクベリウスにより粛清された際に、司祭クラスの人間の配置換えが行われた
マンフロイ司教の配下であったジュダは粛清の影響で中堅層の人間となり、それなりの地位を与えなければならなかった
ジュダとは逆にサンディマは粛清された派閥の人間であったが為にジュダと然程に変わらない地位を有していたにも関わらずジュダの配下とならざるを得なかった
マンフロイ、クベリウス両司教はウェルダンでの活動を粛清以前からサンディマに任せていた
が、粛清によりマンフロイとクベリウスの影響が強くなる事に不快感を示した連中がマンフロイの派閥の中であまり優秀ではないジュダを送り込んだのであった
勘違いしてならないのは、ジュダとて上位の『ダークビショップ』であり、戦闘においては寧ろ有能である
対するサンディマは下級クラスの『ダークマージ』であり、戦闘に関してのみならばジュダに軍配が上がる
が、ウェルダンにおいて必要なのは駆け引きの類いの能力であった
一般論ではないが、戦闘能力が高くなるとごり押しを好む様になる傾向がどの組織でも一部にはある
ジュダもその手の人間だった
はっきり言えば自己顕示欲の塊であるジュダはウェルダンで活動する上で障害となった
ジュダもサンディマを疎んでいたが、マンフロイとクベリウス双方を敵に回す訳にはいかず、サンディマを排除出来なかった
故にサンディマが死ぬと独断で行動を起こし始めた
結果、シグルド達のウェルダン侵攻を手助けする事になる
イード神殿
「サンディマが死に、ジュダは好き勝手にしておる」
不愉快極まる。と言った風にマンフロイは吐き捨てる
「まぁよかろうさ。サンディマが死んだのは痛手だが、マンフロイの元に奴の部下が来たから詳しい事が解ったのだ。そう言うものでも無い」
クベリウスは宥めるかの様に言う
「だがな、『子供狩り』は不味かろう
間違い無く我々ロプト教団の影を見よう」
『子供狩り』とは暗黒神ロプトゥスが降臨した後にロプト帝国で盛んに行われていたものである
そもそも、暗黒神ロプトゥスはこのユグドラル大陸のものではなかった
今より遥か昔に大陸より遥か西に存在するアカネイア大陸に存在した地竜族の一つであったとされる
地竜族と対を成す神竜族の長ナーガにより竜の時代は去り、人間の時代が訪れる。との予言を受け入れ兼ねたロプトゥスが、とある司教に自らの力を宿した魔道書を授けた
その司教は長い歳月をかけてアカネイア大陸からユグドラル大陸へ渡った
当時はグラン王国という国家が存在していたが、外部からの人間にとって住みやすいとは言えず排斥されていたと言われている
その司教、ガレはロプトゥスに授かった力を以て自分達の居場所を得ようとした
だが、たかが人間に竜族の力を制御出来る筈もなく、司教ガレはロプトゥスに取り込まれた
その後、自らを暗黒神と称し、従うもの達を束ねグラン王国を滅ぼし、ロプト帝国を建国するに至る
そして自らに反抗する者達への見せしめと『絶望』という力を取り込む為に未来を殺す『子供狩り』を始めた。と伝わっている
この蛮行はロプト帝国が滅んだ後に『ロプト狩り』という形に変えてロプト教徒に被害をもたらす事になる
蛇足ではあるが、ロプト帝国が滅んだ理由として一番最初に挙げられる反乱軍だが、実は中心人物の聖者ヘイムはロプト帝国の皇族であったという書物がクベリウスにより発見されていた
更に俗にいわれる
『ダーナの奇跡』
ダーナの砦に立て籠る反乱軍の十二の戦士に竜族の力を宿した武器が授けられたこと
これに携わった竜族はアカネイア大陸の竜族であったとも同じ書物に記されていた(注1)
話をイード神殿に戻す
「考えるまでも無く『子供狩り』は悪手よ
不幸中の幸いと言うのも可笑しいが、実施された地の人間は皆殺しにあっているせいで目撃者は皆無だそうだ」
クベリウスも不愉快なのか、声に苦いものがあった
「我等が神の降臨までは忍従の時
神の降臨を以て奴等に報復すればよかろうに」
「どうやら、俗世に染まり切った奴等が生き残っていた様だな
一つだけ評価するならば、このままシグルド公子等をウェルダン本城まで誘導すれば我等の目的も叶う」
クベリウスは嗤っていた
「わかったのか?シギュンの娘の居る『精霊の森』が!」
マンフロイは勢いよく問いただす
「ああ。見事なものであったよ
ウェルダンより避難してきた者達の話無くば見つかりはせんかったろう
マーファからウェルダン本城にある広大な森林地帯。その一角だそうだ
いやはや、良くやる」
クベリウスは呆れと感心のない交ぜになった顔をしていた
「ならば、シギュンの娘を拐い、ヴィクトルの息子に宛がうべきではないか?」
「慌てるな
前も言ったろう?シギュンの娘、ディアドラは籠の鳥
自分の知らぬ世界に憧れている、可愛くも可哀想で憐れな小鳥よ
母親とも良く似ておるわ」
「そういえば、そのディアドラの側に手の者が居るのだったな」
マンフロイは思い出した様に呟く
「シギュン、その母親、ディアドラへの隔意はかなりのモノよ
まぁ、仕方あるまい。森から出る事を禁忌としていたのにも関わらず、森から出ていき帰ってくるなり娘を預けて何処かへ消えたのだ
身勝手と映ったとてやむを得ぬ」
「酷いか」
「一時はシギュンの母親とディアドラを森から追放する話もあったらしい
今はシギュンの母親が文字通り命を削って森の結界を維持しておるよ」
クベリウスが話した通り、『精霊の森』に住まう女達はロプトの直系や傍系でも血の濃い人間が多かった
故に森の外の人間と交わる事を禁忌とし、ロプトの血脈の流出を防いでいた
結婚は里の男衆とのみ行い、血が濃くなり過ぎないように調整せざるを得ない為、結婚相手も決められた
更に血が濃くなり過ぎた場合は赤子の頃に『処理』する徹底ぶりであった
故に森の女達は外界に夢を見る
が叶うわけも無く死んでいくのだ
仮に掟に背いて外に出た事がバレようものなら、死刑か追放であった
追放も『ロプト狩り』に遭う可能性が高い為に実質死刑であったのだ
だが、シギュンは運命の悪戯か様々な障害を乗り越えて子を成してしまった
実はシギュンが自殺を選んだ理由は夫ヴィクトルへの罪の意識が最も多かったが、もう一つあった
シギュンのお腹の中にクルト王子との子供がいたのである
当時のシギュンが不幸にもそれを察してしまっては最早死以外に逃れ様がなかった
シギュンはロプトの直系でヘイムの傍系。クルト王子はヘイムの直系であった(注2)
どう見ても子供はロプトの血が覚醒するか、ヘイムの血が覚醒するか。でしかない
当然公になればシギュンはクルト王子の妻として扱われる畏れが高かった
が、今でもヴィクトルを愛しているシギュンには耐えられる訳無かった
一方でディアドラを預けられた里の人間は即座にディアドラを殺す様にシギュンの母親に迫った
ディアドラはロプトの血とヘイムの血、更にはファラの血が流れている事が分かったのだ
里の平和を著しく損ねる事は目に見えていた
シギュンの母親はそれでもディアドラを生かして欲しいと懇願した
何でもする。自分は死んでも構わない
でもディアドラだけは助けて欲しいと
ディアドラの血の秘密を知るものは極少数であり、シギュンの母親は里で屈指の魔道士だった
ディアドラの助命の対価として里の結界を維持することとし、事態の隠蔽に奔走した
だが、里の中に父親がいる中で父親のいないディアドラに不信感を持つものは少なからずいた
更に血筋の問題でディアドラには夫をあてがわない事が内密に決まっており、望まない結婚を強いられた者からの反発があった
クベリウスの協力者もそんな人間の一人だった
「憐れな事よ」
マンフロイは同情するような口調であった
マンフロイも元は妻帯者であり、妻と娘を『ロプト狩り』で喪っている。家族への想いは強い人間だった
「同意する」
結局の所はクルト王子の自制の無さが今日の混乱をもたらしたといえよう
「そういう訳で里の協力者にシグルドが進軍で通りかかる所にディアドラを寄越して貰う
適当な暴漢をけしかければシグルドは放っておけまいさ」
「それでどうにかなるか?」
「やってみるさ
仮に上手く出来なければヴィクトルの息子にあてがえばよかろうよ」
「・・・任せよう」
ウェルダン王国、ジェノア城
「恐らくはジャムカは飾りだろうな
アイツがそんな馬鹿な真似をするわけない
もし、仮にするとしても話し合いの場位は用意するだろうよ」
ガンドルフ王子は言う
「兄貴の言う通りだろうよ
ジュダの野郎が幽閉でもしたんだろうさ
もしかしたら、親父も」
キンボイスは苛立ちを隠し切れない様に呟く
「ちっ、グランベルへの侵攻で手持ちの兵力はほぼ壊滅
エバンスのグランベル軍も動いているらしいな
当然、ウェルダン本城の軍勢も動かしていやがるだろうし、不味いな」
「失礼します。マーファよりの使者を名乗る者が来ておりますが、どうしやすか?」
「トラフの奴か?
アイツがマーファを離れるなんて珍しいな」
キンボイスは頭を捻った
「どんな奴だ
お前が知らないって事は何時ものメンツでは無いんだろうが」
ガンドルフが尋ねる
「へぇ、デューとか言ってましたが」
「デューだと!?
直ぐ会うぜ」
「や、ガンドルフのおっさん」
「口の減らねぇガキだな
んで、どうした?」
「実はさ、マーファにウェルダン本城の軍勢が攻めて来るって
それとグランベル軍が迫ってるらしいよ」
「シアルフィのシグルド公子だったか」
「いや、そこまではオイラ知らないって」
「兄貴、取り敢えずマーファに行こうぜ」
キンボイスは提案した
「ここはどうする?」
「軍を退けば向こうは騎士だろう
無体な事はしないだろう
それより急ごうぜ」
「キンボイス。すまん」
「謝んなよ兄貴。俺は不謹慎かも知れんが兄貴の役に立てて嬉しいんだからよ」
キンボイスは子供の様な笑みを浮かべた
「デュー。悪いが一つ頼みがある」
「えー、面倒はごめんだよ」
ジェノア城よりガンドルフ、キンボイス率いる軍勢がマーファに向けて進軍していった
「全くさ、嫌になるね」
デューは一人呟くと部屋に入った
「お邪魔しまーす」
「あら、貴方は?」
ベットには金髪の女性がいた
「オイラはデュー
ガンドルフのおっさんからお姉さんの護衛を頼まれたのさ」
「ガンドルフ王子はどうされたのですか?」
エーディンからすればガンドルフは敵だった
しかし話してみると粗暴な見かけとは裏腹に思慮深い面を見せていた
ジェノアまでの途上でもエーディンを気遣う様子が幾度も見えており、色々と話をしたい。そう思っていたのだが
「うーん。グランベルが攻めて来るのと、ウェルダン本城の軍勢が攻めてくるからマーファに行ったよ」
「え」
エーディンは絶句した。ガンドルフ王子から聞いた話ではグランベルとは停戦の話し合いが行われる予定であり、それまではガンドルフ王子の居城マーファに滞在して欲しい。との事だった
今回のウェルダンによるグランベル侵攻はウェルダンをまるで属国の様に扱い、同盟を一方的に破棄された事が原因だとも聞いた
無論、ガンドルフ王子が嘘を言っている事も有り得たが、色々な人間と話をしてきたエーディンには嘘を言っている様に見えなかった。それに本当に申し訳なさそうにしていたのだ
道中立ち寄った村でもガンドルフ王子は人気があり、民の笑顔があった
信頼出来る人だと思えたのだ
にも関わらずグランベルがウェルダンに攻めて来ている
エーディンには理解出来なかった
「あれ、オイラ何か変な事を言ったかな?」
デューは首を傾げる
「あ、いえ、ごめんなさいね」
「で、オイラはお姉さんをグランベル軍に返す様に言われているんだ」
「そう、ですか」
(それはそうと、あのアイラって人大丈夫かな?)
その頃
ウェルダンを南下していたシグルド公子達はウェルダンの兵士と交戦し、撃滅。更に南下をし、ジェノア城を遠目に視認出来ていた
その目の前に黒髪の女性が現れた
「グランベル軍と見受ける
何故ウェルダンを侵す」
シグルドは全軍を停止させてから
「私はグランベル王国シアルフィ公子シグルド
ウェルダンの国王ジャムカ殿の要請を受け、前王バトゥ殿を弑逆した王兄ガンドルフ、キンボイスの両名の討伐。並びにガンドルフによって拐われたユングウィ公女エーディンを取り戻しに来た」
「グランベルの御家芸だな
他国からの要請があったと言い、話し合いもせずに一方的に攻撃する
此れが騎士のやるべき事か!」
「どういう事だ
その様な無法を我々グランベルがしていると言うのか!」
シグルドも自分の祖国を侮辱されているので自然と語気が荒くなる
「私はイザーク王国の王女アイラ!
お前達グランベルによって殺された国王マナナンの娘だ!」
「アイラ王女か!
私だ、レンスター王国のキュアンだ」
キュアンが、たまらず割って入る
「キュアン王子。貴殿までグランベル軍に加わっているのか」
アイラは失望したかの様な視線を送った
「アイラ王女!何か誤解があるようだ
話し合い出来ないだろうか
貴女の身の安全は必ず守る。我が祖国レンスターの名にかけても!」
「信用できようか!
父、マナナンはリボーの族長の首を持ってグランベル軍に赴いたと聞いている
にも関わらず、父は殺された!
今も無抵抗のウェルダンを侵略しているではないか!
これでどう信用せよと言うのか!」
アイラは激昂した
アイラの脳裏には僅か半月程とは言えども温かく迎えてくれたマーファの人達の顔が浮かぶ
他国人だからと差別するグランベルに比べて過ごしやすく、トラフはいつも上司のガンドルフの悪口を楽しそうに言い、皆が楽しく笑いあっていた
そんな国がグランベルによって侵されようとしているのだ
退ける訳がない
そんな中に
「シグルド様、どうか話を聞いて下さい」
声が響いた
「あのお姉さんも無茶するなぁ
あのアイラって人もそうだし」
デューは呆れていた
「別にあの二人はウェルダンの人間でも無いのにさ、良くやるよ、全く」
デューはその場を離れ、アグストリアにでも行こうとした
(ったく、糞ガキ。仕方ないな)
ああ、全く。オイラも馬鹿なのかな。
こんな事をしても無駄なのに、さ
その足はアグストリアへ向かう北ではなく、マーファへ向かう西へと向いていた
(注1)ほとんどの竜族は力を宿した武器を授けた後にアカネイア大陸へと帰還している
(注2)シギュンには知る由もなかったが、バーハラ王家にはヘイムの直系とロプトの傍系の血が受け継がれている
シギュンの設定はほぼ出尽くしました。満足です
作中のガンドルフがエーディンに語った事に齟齬がありますが、意図的に齟齬を作っておりますので、ご理解願います
今回も御一読頂きありがとうございます
子供世代のオリキャラは?
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あり
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なし
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どちらでも