相変わらずの独自設定、解釈ですがお読みいただけたなら、幸いにございます
ウェルダン本城
国王の間
ジュダは焦っていた
自分の手駒の中で最も使い勝手の良かったサンディマはユングウィから戻らず
エバンスのバルドの小僧を動かした男は行方がしれない
自身の守りを担当していたベルグに傭兵をつけてマーファ攻略をされるも敗退
のみならず、ベルグ自身も帰らぬ身となった
「おのれ、おのれ、おのれ!
何故だ、何故こうも目論見が外れる!
サンディマが全てを調えていたのではなかったのか!あの愚図め!死後も迷惑をかけよって!」
ジュダは自身の不幸を嘆いていた
もしもサンディマが生きていて、この場にいたならばジュダを殺しているだろう。そのくらいに身勝手な物であったが、ジュダにとっては成功は全て自身のお陰。失敗は他人のせい。なのである
「何を荒れておる。ジュダ」
ジュダしかいない筈の空間に第三者の声が響いた
「?!く、クベリウス殿。何故此方に?」
現れたのはクベリウス司教であった
「貴様がサンディマの後釜を必要とせなんだ故に任せておったが、何だこのザマは
ウェルダンの掌握に失敗。シギュンの娘も見つかっておるまい
挙げ句グランベルにウェルダンを制圧されておるではないか」
心底呆れた様にクベリウスは言い放つ
「そ、それは」
ジュダは言いよどむ
「貴様にウェルダン一国は大きすぎたな
もうよい。貴様は早々にイードへ戻るがよい
直ぐに替えを寄越す」
クベリウスはどうでもよさそうに告げた
「な、何卒、何卒、今一度機会を」
ジュダは平伏して懇願する
先程クベリウスが言った『イードへの帰還』は功績を上げた者には福音である
が、今回のジュダの様な場合は『禁固』の暗喩であり、実質死刑と変わらないのである
ロプト教団は隠匿を基本としており、今回ジュダは目立ち過ぎた。間違いなく死刑となる
「・・・権力を有して己を引き締める人間と堕落する人間がいるが、貴様は後者だったようだな
イードの人間が貴様を推挙するから多少は期待したのだがな」
「何卒、何卒」
ジュダには他に方法がなかった
これが自分の手で『処理』できるレベルならばジュダは迷いなくそうした。だが、目の前にいる男は自身より強い人間を纏めて粛清した人物。勝てる筈も無かったのだ
「・・・・・・よかろう
今一度のみ挽回の機会を与えよう
見事これを鎮めてみせよ」
「!ははっ。ありがとうございま、ヒィッ」
ジュダは思わず頭を上げた時にクベリウスの目を見てしまった
塵を見る目だった
気がつけばクベリウスは去っていた
「許さぬ、許さぬぞ。たかが蛮族風情がこの私を虚仮にしおって」
ジュダは怒りで目の前が真っ赤になった
「ユフィール、ユフィールは何処か!」
ジュダは叫んだ
「御呼びですか、ジュダ様」
そこにはまだ少年のような風貌の人物がいた
厳密にはまだ、八歳の少年であるが
「何をしておった!
ガンドルフの軍勢は視認出来るのか!」
ジュダはわめき散らした
「あと少しで可能かと」
ユフィールは全く動じずに答えた
「ならば良い
来るがよい愚か者ども。我が魔法の餌食にしてくれる
残る兵を全て出して迎撃させい!」
「ジャムカ王の監視はよろしいので」
「要らぬ!どうせ何も出来ぬわ」
ジュダは吐き捨てた
決戦の時はそこまで迫っていた
それからすぐにウェルダン本城内のウェルダン兵、ジュダの私兵が全て出撃した
故に
「キンボイスの兄貴?!どうやって此処に」
ジャムカ王の身柄が解放されるのは必然だった
ジャムカ王の解放
この報せは出撃したウェルダン兵にも伝わった
彼等はジャムカ王の安全の為にジュダに従ったに過ぎない
ならば
「き、貴様ら裏切ったのか!」
「裏切る?元よりジュダなんぞに従う理由なんてねぇよ!」
出撃したウェルダン本城の軍勢内でウェルダン兵とジュダの私兵が殺しあった
能力では私兵が勝ったが、彼等は蛮族と蔑まれていたウェルダン兵
格上との戦い方はなれており、少数の傭兵等に後れはとらなかった
ウェルダン本城バルコニー
「な、何だ。何が起きておる!」
必勝を期して軍勢を送り込んだにも関わらず、その軍勢が混乱している
そして
「よぉ、随分と好き勝手してくれやがったな、ジュダ」
「な、誰だ?」
ジュダが振り返ると其処には血に濡れた斧を持つキンボイスがいた
「き、貴様キンボイス!何故ここにいる!
貴様はガンドルフと行動を共にしていた筈だ」
「ここはな。テメエの国じゃねぇ!
今までの借りを返すぜ!」
キンボイスはジュダに飛び掛かる
「何を分からんことを
勝てるとでも思ったか!」
ジュダは闇魔法をキンボイスに放つ
空中故に回避出来ないキンボイスは直撃を受ける
しかし
「一撃は貰ってやる
以前も言ったな!
兄貴とこの国のためならば神すら殺してやるってな!」
キンボイスは吼える
「ほざくな!神を畏れぬ蛮族風情が!
第一、最早斧を振るえない貴様に何が出来る!
もう一度くらわせ」
ジュダは止めをさそうとするが
「ばっか
イザークの諺だったか『馬鹿と煙はなんとやら』だ」
キンボイスはジュダに体当たりした
ここでジュダのいる場所を確認しよう
ジュダは遠距離から闇魔法を放つべくバルコニーにいた
そう『バルコニー』だ。そしてジュダはウェルダン軍の軍勢を確かめる為にギリギリまで前に出ていた
そこに建物から出てきたキンボイスがジュダに体当たりすると
「き、貴様ぁっ!これが狙いか!」
ジュダはキンボイスに組みつかれたまま、地面に落ちようとしていた
「そうよ!
言ったろうが!ここはテメエの国じゃねぇ
俺たちの国だ!
好き勝手させると思うな!
いいか!落ちたら肉片も残らないくらいにバラバラにしろ!
コイツを生かすんじゃねぇぞ!」
キンボイスは楽しそうに嗤った
「ワ、ワープの杖があれば
お、おのれぇ!」
次の瞬間、ジュダとキンボイスは地面へと墜落した
ウェルダン兵達は直ぐに包囲し、確認した
キンボイス王子は絶命しており、即座にジュダから引き剥がすと兵達はジュダを滅多刺しにした
ガンドルフ王子が到着したときにはキンボイス王子の死体以外にはジュダの纏っていたローブ以外は血の海しか存在しなかった
ガンドルフ王子はジャムカ王に面会し、グランベル軍の到着を待つことになった
ウェルダン城外
「まだ、死ねない
死ねぬ」
一人のローブを纏った小柄な人物が這いずりながらも城から離れていた
「ほぅ、クベリウスから聞いたが、中々見所があるようじゃな
ユフィールとかいったか?
死にたいか?」
ソコにはマンフロイ司教がいた
クベリウスより使えそうな小僧がいる。と聞いて来たのだ
ウェルダン城より離れた場所にいたのは、その程度の執念位は欲しかったからである
「し、死にたくないです」
ユフィールは必死にマンフロイのローブを掴む
「よかろう。生かしてやろう
儂に従え。よいな?」
「は、はぃ」
消え入りそうな声で答える
「愉しみになったものだ
待っておれよ」
マンフロイはウェルダン城の方角を見て呟くとユフィールと共に転移の光と共に消えた
ウェルダン城が元の持ち主の元に戻った頃
アグストリア、グランベル国境にて
ここにはシグルド公子の要請を受けたノディオンの騎士隊が国境監視の為に留まっていた
「あ、あれは!」
騎士達は遠目に騎馬の大軍を見た
「直ぐにエルトシャン様にお伝えせねば」
騎士達は迂回路を使いノディオンへと報せに戻った
ノディオン城
「何?ハイラインの軍勢だと!」
エルトシャンは確認する
「はっ。ハイラインの軍旗を確認しましたので間違いないかと」
「エリオットめ。何を考えている
いや、理由がどうあれ見逃す訳にはいかん
クロスナイツを出す。出撃だ!」
アグストリア最強、との呼び声の高い騎士団が動く事となる
アグストリア、グランベル国境
ハイライン騎士団
「ふん。空き巣狙いなど騎士の戦では無いな」
ハイラインのエリオットは不愉快そうだった
「しかし、グランベルのウェルダン侵攻は明らかにございます
友好国を救わねば、我等の信義が問われましょう」
配下はエリオットを宥めた
あまり知られては無いがアグストリアとウェルダンは友好関係にあった
アグストリアの賢王イムカ、ウェルダンの王バトゥにより双方の利益を鑑みて結ばれたのだ
現在はウェルダンの新王ジャムカになって疎遠になってはいたが、それでも友邦である以上捨て置く訳にはいかなかった
アグストリアのシャガール王子は当初、協調路線を維持しようとした。だが、グランベルが北方にてイザーク王国に大挙として侵攻。これに加えてウェルダン侵攻となると流石に放置は出来ない
聞くところによれば、ウェルダン侵攻の軍勢にはレンスターの王子夫婦もいるとの事
最悪レンスターがグランベルの影響下に入る可能性も出てきた
となると、グランベルはイザーク、ウェルダン、レンスターを呑み込む事も考慮せねばならなくなったのだから堪らない
残りは軍事力あれども統治の難しいトラキア、シレジア。そしてアグストリアだ
グランベルの拡大戦略はアグストリアの存続に悪影響をもたらす
故に今回の動員となった
ノディオンが外されたのはシャガール王子からの不信もあるが、かつての旧友に剣を向けさせない王子なりの配慮だった
「申し上げます。ノディオンのクロスナイツが急追してきますが」
「エルトシャンだと。閣下はエルトシャンには報せぬと仰っておられたが
まあよい、話をする
全軍、待機せよ」
「エルトシャン!何用か!」
「エリオット!貴殿は何をしているのか分かっているのか!」
「当然。閣下の命によりエバンスを攻略するのだ!」
「馬鹿な!
その様な話は聞いていない!」
「閣下なりの気遣いよ。貴様がシグルド公子と士官学校の同期なのは知っている
貴様の心情を考慮しての事よ!」
「だが、グランベルに攻めいるのは義に反する!」
「貴様はアグストリアの人間であろうが!
グランベルの事ばかり思うてどうする!
もういい。退け、エルトシャン。今なら閣下にも取り成すし、何なら不問にもしよう」
「そうはいかん!俺はシグルドと約束したのだ!」
エリオットの頭に血がのぼった
「貴様はノディオン侯爵だろうが!
何をふざけた事を言っている!
グランベルが膨張すれば我がアグストリアも危ういのだぞ!
貴様の友誼の為にアグストリアに滅べとでも言うのか!
友誼を貫くならば、ノディオン侯爵など辞めてしまえ!貴様も領民も騎士団も不幸になるだけだ!」
「俺は騎士だ。自らの約を反する事など出来ない!」
「時間の無駄だな
全軍、エバンスへ侵攻せよ!」
「させぬと言った!」
「国に弓引くか
全軍、反逆者エルトシャン一味を殲滅せよ!」
「クロスナイツ、ハイライン騎士団を撃破せよ!」
ノディオンとハイライン。アグストリア内での争いが始まった
ハイラインの沿岸に一艘の小舟が到着した
「キンボイス様」
男は無念そうに呟く
彼はドノバン
キンボイスと共にウェルダン城へ忍び込み、ジャムカ王を安全な場所に避難させた
その後キンボイスの遺命に従いウェルダンを出たのだ
「ドノバン。俺は何か違和感を感じるんだ
お前には俺のかわりにそれを見つけて欲しい
酷いことなのは分かっている。だが、俺達みたいなのを増やさないでくれ」
キンボイスの頼みを断ることなど出来なかった
だが
「恨みますよキンボイス様」
彼はこの時代を見届ける事になるが、それは苦難の道である
ウェルダン編完結と相成りました
ウェルダンは最序盤でしたが、割と思い出深かったので色々盛りました
皆様にとってのキャラクターとは違うと思いますが御容赦ください
なお、ウェルダン編完結といっておりますが、後始末がありますのでウェルダン関連はあと一話程ございます
しつけーよ。と思われても生温かい目で見て頂けるとありがたいです
では、御一読ありがとうございました
また、次回もよろしければお願いします
子供世代のオリキャラは?
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