彼方の時へ   作:くらうす

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ウェルダン完結ならず

はい、スミマセン

クロスオーバーは同じくFEシリーズです

まぁ、微クロスでしょうが

もしよろしければ御一読ください




ウェルダンでは新王ジャムカがガンドルフ王子等によって解放された

 

同時にアグストリアではハイライン候の嫡子エリオットとノディオン候エルトシャンの騎士団が剣を交えていた

 

 

 

 

その頃ウェルダン本城へと森の中を行軍中のシグルド公子麾下、グランベル軍は本城とアグストリアの変事を知らずにいた

 

現在、シグルド以下グランベル軍内においてウェルダン本城への侵攻を待つべきではないか。との意見が少なからず出始めた

 

親友のキュアン王子やその妻でシグルドの妹のエスリンは、シグルドに対しての意見を宥めながらもシグルドに報告した

 

主張するのは、ユングウィのエーディン公女と従騎士ミデェール。それにシグルドの部下であるアレクだった

 

ユングウィの主従は分かる

主家の公女であるエーディンの意見を立てなければならないからだ

だが、アレクは予想外だった

 

シグルドの部下で思慮深いのアーダンだ

他の二人アレク、ノイッシュは些か直情径行なきらいがあり、度々アーダンに諫められている

 

アレクはジェノア、マーファの領民の反応からして武力などで押さえられているとは思い難い

ならば、エーディン公女の言うことが真実の可能性もある。と考え、それが明らかになるまではマーファを動くべきでは無い。そう考え始めていた

 

 

シグルドは少し前のマーファを一時的に制圧したガンドルフ、キンボイス両名による宰相ジュダへの非難声明は確認していた

 

 

 

しかしながらシグルドの知る事実はガンドルフ王子がユングウィに攻め入り、エーディン公女を拐った事のみである

 

更にエバンスに来たウェルダンの使者を名乗った人物もガンドルフ王子は粗野で、野蛮

父親のバトゥ王の言葉や弟のジャムカ王子の諌めも全く無視した。寧ろそれがバトゥ王を弑逆した理由である。とも言っているのだ

 

一応はエーディン公女の話やエバンスに向かったイザーク王国のアイラ王女、並びシャナン王子の話も親友のキュアン王子を介して耳にしてはいる

 

曰く、グランベルがウェルダンとの同盟を一方的に破棄した。曰く、ウェルダンはユングウィのエーディン公女を拐った後に話し合いの場を設けようとした。曰くガンドルフ王子は民の事を考えて善政を引いている

等である

 

 

が、どうしてもシグルドには自身の持つ情報と彼女達からの話が結びつかないのだ

 

ドズルのレックス公子は

「公子に言うのも憚られるが、はっきり言わせてもらう

とな。あんたは騎士としては優秀だろう

だが、貴族としては迂闊にも程がある。正道も結構だが、あんたには軍を動かしている自覚が無いように見える

今のあんたについて行くのは危険だと正直な話、俺は思っている」

と言い残し、エバンス守備へと向かった

 

 

シグルドは騎士として正しい行いをしていると思っているからこそ、今回の様な事になった

 

 

シグルドはウェルダン侵攻を決めた際にグランベル本国の増援を求めて王都バーハラへ使者を送り出したが、返答は未だ来ない

 

既にウェルダンの最南端の城、マーファすら制圧したのにも関わらず。である

 

もしかしたら、父のバイロンと敵対している宰相レプトールが何かを企んでいるのかも知れない

 

シグルドの中には言い知れない不安が拡がりつつあった

 

「シグルド様。どうかされましたか?」

そんなシグルドに優しい声がかかる

 

「いや、何でもない。ディアドラ

それより君は大丈夫か?」

シグルドは不安を振り切るとディアドラに話かける

 

 

彼女はディアドラ。このウェルダンの大森林にある里に住んでいたそうだ

 

彼女はウェルダン本城にいるジュダが危険だと言って協力してくれている

 

勿論、シグルドは宰相であるジュダが味方であると諭したのだが、万が一もある。と言って讓らなかった

 

シグルドはジュダに会った事が無いがジャムカ王の補佐をしているならば、信用出来る。と思っている

 

寧ろ、懸念すべきはウェルダンに向かったガンドルフ王子達の動向だろう

 

 

最悪の場合はジャムカ王の命すら危うい上にそれを盾にしてウェルダン軍を掌握しないとも限らない

 

 

 

 

ディアドラと話して振り切った不安がまた、強まった気がした

 

 

そんな時

 

「あーあ。好き勝手にやっちゃてさ

知らないよ。ウェルダンの人間は怖いんだから」

誰かの声がした

 

 

「何者だ!」

シグルドは咄嗟にディアドラを庇い、剣を抜いた

 

「へぇ、騎士サマは嘘は見抜けない節穴なのに、そういうところは出来るのか、ふーん」

明らかにこちらを嘲笑っていた

 

「姿を見せろ!」

シグルドは声を荒げた

 

「いいよ」

軽い返事と共に金髪の少年が近くの樹の上から降りてきた

 

 

「シグルド様!ご無事ですか」

金髪で赤い鎧を纏う騎士が駆けつけた

 

「貴様!何者だ!」

騎士は少年に剣を向ける

 

「ありゃりゃ。余裕無いね

おっさん達なら笑いとばすのにさ」

少年は呆れてため息をついた

 

「デュー!貴方どうしてここに!」

女性が声をあげた

 

「やっほーお姉さん

何か大変そうだねぇ」

少年、デューは女性に声をかける

 

「エーディン、知り合いなのか?」

シグルドはたずねた

 

「ええ、ジェノアで私を守ってくれていたの」

女性、エーディンは答える

 

「そうか。こちらの非礼を詫びさせてくれ。私はグランベル王国、シアルフィの公子シグルドだ。エーディンを守ってくれた事、感謝する

ノイッシュ、剣を下ろせ。エーディンの恩人だ」

シグルドは騎士ノイッシュに命じた

 

「はっ」

ノイッシュも素直を剣を納めた

 

「デュー。何か用だろうか?」

シグルドはデューに訊ねる

 

「言ったでしょ。好き勝手やって、恨まれてるのさ。あんた達は」

デューは呆れた表情を変えずに言った

 

「恨まれる?

何故だ?」

 

「シグルドさん、だっけ。ジェノアとマーファにグランベルの軍勢が入ったんだけど、まさか知らないの?」

シグルドの疑問にデューは衝撃的答えをかえす

 

「グランベル軍が!

何処の軍か分からないか」

 

「グランベルの旗はあんた達が掲げているから分かるけど、グランベルの諸公の旗なんて知るわけないでしょ」

シグルドに心底どうでもよさそうにデューは言う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し巻き戻る

 

 

シグルド達がジェノアを制圧した頃に宰相レプトールはグランベルの動ける諸公へと召集をかけた

 

「ふん。何があったからは知らんが詰まらぬ事ならば席を外すぞ、レプトール卿」

 

「落ち着かれよ、ランゴバルド卿」

 

「やれやれ、演習をしていた最中での召集ですか。火急の用件と見えますが、一体何やら」

 

「・・・・」

 

室内には四人の男達が集まっていた

 

不機嫌そうに銀髪の男へ話を振る白髪の男がドズル公爵ランゴバルド。レックスの父親である

 

そのランゴバルドを宥めながらも沈黙する赤い髪の青年を睨み付けている眼鏡をかけた銀髪の男がフリージ公爵にしてグランベル宰相レプトール。国王アズムールに次ぐグランベルの実力者だ

 

皮肉混じりに用件を尋ねる金髪の青年はユングウィ公子アンドレイ。ユングウィ公爵リングの長男であり、ユングウィの次女エーディンの弟でもある

 

最後にレプトールに睨まれながらも沈黙している赤い髪の青年がヴェルトマー公爵アルヴィス

国王アズムールより近衛を預かっている近衛隊長も勤める

 

「集まって貰ったのは他でも無い

ウェルダンの事よ」

 

「ウェルダンか、ユングウィまで兵を進めたがバイロンの小倅に叩き返されたのだろう」

 

「姉上が拐われたのは痛恨ですが、ウェルダンとて姉上を粗忽に扱いますまい

交渉で取り戻す事も叶いましょう」

 

「・・・・」

レプトールが口火を切り、ランゴバルド、アンドレイが各々発言する

アルヴィスは沈黙を保っていたが

 

「ランゴバルド卿の言う通りだ

ウェルダンはユングウィのみならず、エバンスよりも叩き返した

アンドレイ卿が言う通り、このまま交渉で解決出来る筈であった」

ランゴバルド、アンドレイの発言を肯定しながらも歯切れの悪いレプトール

 

「と言うと、何か予想外の事でもあったか?」

ランゴバルドが怪訝そうに尋ねる

 

「一つ。シアルフィ公子のシグルドが聖騎士に任じられた事

一つ、ウェルダンのバトゥが死んだ事

一つ、何を血迷ったか、シグルドめがウェルダンへの侵攻を始めた。我々には援軍を要請してきておる」

 

「何だそれは!

アルヴィス、貴様は近衛であろうが!

まさか、聖騎士受勲を知らぬとは言わせぬぞ!

まして聖騎士の名の持つ重みもな!」

ランゴバルドは激昂し、アルヴィスを非難する

 

 

グランベル王国において『聖騎士』は特別な意味を持つものだ

 

受勲に併せて授けられる『銀の剣』

これは『陛下に代わりグランベルの敵を除く』との意味を持っている

ただ、目の前の敵を討ち果たすなど聖騎士に望んでいないのだ

 

つまりは聖騎士が攻め入る事はグランベルの総意と取られかねない

 

 

事実として今までの聖騎士は公爵であり、立場を持ち、権力の何たるかを理解した者にのみ与えられてきた

 

 

 

残念ながらアズムール王が聖騎士を指名するのは初であり、聖騎士について正確に把握しているかは誰にも分からない

 

だが、先代ヴィクトルより近衛を継承したアルヴィスは聖騎士の重みを知っていなければならない。万が一にも知らないのならば、その時点で近衛たる資格は無くなる

近衛とは王の命を忠実に行う一方、その真意を糺す役目も担っているのだ

 

現に先代ヴィクトルは若い頃に軽挙が目立ったアズムールを幾度と無く諫め、糺してきた

 

だからこそ、若年者でありながらもアルヴィスは近衛を束ねる立場にあるのた

 

 

余談ではあるが、宰相はあくまでも『グランベル王国』に対し最大の利益をもたらす事を基本としており、状況によっては国王との対立すら有り得る

 

これの仲裁もまた近衛隊長の責務であり、決して近衛を束ねるだけが職務ではなかった

 

 

 

 

つまりアルヴィスは国王アズムールの行為の影響を知りながらシグルドへの受勲をおこなったのだ

 

 

「・・・・」

ランゴバルドよりの非難を受けても尚も沈黙するアルヴィス

 

「ふん。話す気もなしか

貴様の父親ヴィクトルとは似ても似つかぬ凡愚よな

ヴィクトルもあの女」

 

「ランゴバルド卿!口が過ぎるぞ!」

アルヴィスをこき下ろすランゴバルドにレプトールは口を挟んだ

 

「よもやアルヴィス。卿、『知った』のか?」

レプトールの口調はナニかを怖れていた

 

「何の話ですかな」

興味を持ったのか、アンドレイも口を挟む

 

「・・・・」

アルヴィスは沈黙を続けるが、レプトールは気付いた

アルヴィスの口元が歪んでおり、机の上に組んでいる手も僅かに震えていた

 

「ランゴバルド卿、人払いを

アンドレイ卿。これを聞けば最早引き返せぬ

それでも聞くのか」

レプトールは静かに告げた

 

「案ずるな。部屋の前には儂の信頼する側近スレーターのみよ

万に、いや億に一つ。話が漏れたならば漏らした者を始末した後で儂の首をくれてやろう」

常ならぬランゴバルドの発言にアンドレイは驚いた。それだけのモノだと知った

 

グランベル公爵の首すらかけてでも守るべき秘密

アンドレイは腹を決めた

 

「よかろう。私の知る『全て』を話そう

アルヴィス、構わぬな?」

レプトールはアンドレイの顔つきを見て話す事とした

 

 

もしかしたら、グランベルはこの日を境に滅びの道を歩やも知れん

 

が、それも仕方なし、か

 

レプトールは内心ため息をついた

 

 

 

「まずは私の知る事を話す

何も言わず聞いて欲しい

質問、疑問は後にして貰う」

レプトールはそう前置きして話だした

 

 

ヴェルトマー先代公爵ヴィクトルとその妻シギュンの事を

 

二人の出逢い。ヴィクトルの猛烈なシギュンへのアタック。そして、結婚

 

実はレプトールはシギュンの素性をおおよそ察していたが、友人ヴィクトルの幸せの為に全てを墓まで持っていくつもりだった事を

 

シギュンの突然の失踪。ヴィクトルの自殺に至るまでの経緯を話した

 

最後にシギュンが失踪したことでクルト王子がレプトールにシギュンの捜索を内密に要請した事。それに不信を覚えたレプトールは真実を知った事。それらを話終えた

 

 

 

室内を沈黙が支配した

 

 

「一つよいか

シギュン殿の失踪は儂とて知っておる

が、クルト王子はヴィクトルの事は話さなかったのか」

ランゴバルドは問いかける

 

確かに愛した女性が居なくなれば捜したくなるのは、妻を亡くしたランゴバルドにも理解出来なくもない

 

だが、自身の軽率な行動により臣下を喪ったのだ。それについて言及が無いのは些か以上に不可解。ランゴバルドはそう言っているのだ

 

「ああ、ヴィクトルにはすまないことをした。とは言っていたがそれだけよ

その後はシギュンを捜す事と陛下に見つからぬ様にする事だけだったな」

不快そうにレプトールは言う

 

「ついて行けぬ。もしも陛下に何かあってこれが国王になるならば、私は宰相の地位を退く。そう思ったし、今でもそうだ」

 

 

皆が唖然とした

 

レプトールが宰相の地位を誇りに思っているのは公爵ならば誰もが知っているし、アンドレイの様な公子でも知っている者は多い

レプトールは常日頃から自身の無能や不始末故に宰相の任を解かれる位ならば死んだ方が余程まし。とまで言っている

 

そのレプトールが宰相としてクルト王子を支える位なら死んだ方がマシだ。と言っているのだ。驚かない方が可笑しい

 

「何と

臣下の妻に手を出してその家族を破滅させておきながらも、それを隠し通そうとするなど人間ではない」

アンドレイは侮蔑を隠そうともしない

 

 

「レプトール卿」

顔を伏せていたアルヴィスは初めて話しかけた

 

「何かな」

 

「父はクルトに殺された様なものでしょう

母上はどうなったか、御存じありませんか」

アルヴィスの声は震えていた

そしてクルト王子を呼び捨てにした

 

 

が、誰も咎めない

 

 

 

「王子の依頼抜きで私の手の者とランゴバルド卿の手の者で叶う限り捜索した

一度は故郷に帰ったそうだが、何分排他的な所で詳細は解らぬのだ、すまぬ」

レプトールは頭を深く下げた

 

「いえ、寧ろそこまでしていただいていたとは、今までの非礼と併せて申し訳なく思うばかりです

ランゴバルド卿もありがとうございます」

アルヴィスは各々に謝罪と礼を言った

 

「だが、故郷にも長く留まれなかったと思う

私はシギュン殿と話をしたこともあるが、ヴィクトルとの結婚はおろか、故郷から出ることすら彼女の故郷では禁忌とされていたらしいからな」

 

「母上はどの様な方でしたか」

 

「うむ、優しく、ヴィクトルの事を思いやれる人物であったな

私の妻が亡くなった時にもヴィクトル共々葬儀に参列してくれてな。妻と親しかったからか泣いていたな

本当に佳い方だったよ

本音を言えばヴィクトルに多少は嫉妬したぐらいよ」

レプトールは柔らかい表情をしていた

 

「ほう。愛妻家として名を馳せていたフリージ公爵殿がそこまで言うとはな。儂も少しは話をしておくべきだったな

本当に惜しい」

ランゴバルドもやや茶化しながらも同意した

 

「そうですか」

アルヴィスは眩しいモノを見るかの様に顔をあげて二人をみた

 

 

「御二人がそこまで言うとは。私はまだ幼子であったのが惜しいですな

是非ともお会いしたかった」

アンドレイも心底残念そうに呟く

 

 

 

「一つ、御二方にお尋ねしたい

父リングやバイロン卿、そして陛下はその事を知らぬのですか」

アンドレイは真剣に問うた

 

「知らぬであろうな

知っていてクルト王子についているならば、マトモではあるまい」

レプトールは即答した

 

「そうだな

あの二人は良くも悪くも騎士であろうから

万一知ったとしてもクルト王子を見捨てはすまい」

ランゴバルドは微妙な顔をした

 

「ならば、父もバイロン卿も除くべきです

この様な大事、知らぬで通りましょうか」

アンドレイは父親のリング排除を提案した

 

「アンドレイ殿、落ち着かれよ

気持ちは嬉しく思うが」

アルヴィスはアンドレイを止めに入った

 

 

 

「余談が過ぎたな

話を戻そう」

レプトールは場の空気を変えるべく話を戻した

 

「だが、バトゥが死んだ以上は交渉すら出来まい

何だかんだ言ってもあの老人の能力は高かった

上手く小競り合いにする事位は出来ただろうが」

 

「後継者も問題ですな

ガンドルフ王子はウェルダン本国に戻っているでしょうが、マーファにはついていますまい」

 

「だが、アルヴィス殿

長男のガンドルフ王子でなければ、キンボイス王子がいます

しかし、我が国との境界にあるジェノアの城主です

軽々しく城を空けれますまい

シグルドが攻め入るなら、尚更では」

 

ランゴバルド、アルヴィス、アンドレイ各々が見解を述べる

 

 

 

「シグルド公子よりはウェルダン新王にジャムカが即位したとある

エバンスにウェルダンより使者が来てガンドルフ、キンボイス両王子が先王バトゥを弑逆した。とあるな」

 

「バイロンの小倅には分からぬか、戯けめ」

 

「ありえる話ではないでしょうに」

 

「そもそも、距離を考えてあり得ないでしょう

仮に部下を使うとしてもたかが一兵卒が国王に近付ける筈も無いのは明白ですな」

シグルドよりの報告に対し、三者がそれぞれに否定した

 

 

「うむ。当然だな

仮に死体を隠していたとしても無理が出よう

まさか、先王の遺体を隠したままに即位等出来る話でなし」

レプトールも同意する

 

「攻め込む名分としては悪くはないが、どう見てもグランベルの領土欲故の行動にうつろうよ」

 

「ならば、いっそのこと利用しますか」

ランゴバルドの言葉に続けてアルヴィスは提案した

 

「利用とは?」

 

「ふむ。成る程な

現在我が国は北方にてクルト王子達がイザークへと侵攻している

南方ではシグルド公子がウェルダンへ同じく侵攻しているな

潰す訳だな、アルヴィス」

アンドレイは疑問を挟むがレプトールは理解したようだ

 

「ふん。北にも南にもシアルフィの手が入っておる

ウェルダンの件もユングウィが一因である以上はリングの責任はある訳か」

 

「その通りです。レプトール卿、ランゴバルド卿」

ランゴバルドも得心がいったのかアンドレイに多少のヒントを与え、アルヴィスは肯定した

 

「ウェルダンとの同盟が拗れたのは職分を無視したクルト王子の失態

イザークでもクルト王子が勝手に戦端をひらいた

言い逃れる事など叶わぬ」

レプトールは補足する

 

「成る程」

 

「アンドレイ卿。覚えておくがいい

この世界では隙を見せれば終わりよ

如何に高潔な精神を持とうが、如何に騎士としての技量があろうがな」

感心するアンドレイにランゴバルドは教示する

 

「その場では正しく思えてもそれが最善足り得ぬ事は幾らでもあるのだ

正しいと思っても、立ち止まり、考えよ。それをするのが私達公爵や公子といった責任あるもののつとめよ」

レプトールも続ける

 

「だが、躊躇うことも私達には許されぬ

私達が例え後世から悪鬼羅刹と非難されようが、無能と謗られようが、決断こそが私達の仕事なのだ」

レプトールは語る

 

アルヴィスとアンドレイは圧倒された

 

レプトール、ランゴバルドのその覚悟に

 

「「我等グランベルを滅ぼした亡国の輩と呼ばれようが自覚なき輩に世界を動かさす訳にはいかぬ」」

レプトールとランゴバルドは声を揃えて言う

 

 

 

 

 

 

この時、グランベルの終わりが始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は戻り、アグストリアにてノディオンとハイラインが激突している頃、ロプト教団司教マンフロイの姿はイード神殿の地下にあった

 

部屋中に蔓延する鉄の臭いにやや顔をしかめながら奥に居る人物に声をかけた

 

「用があると聞いたが?」

 

「マンフロイか。早かったな

まぁ、座るといい」

クベリウスはマンフロイに椅子を寄越した

 

「うむ。して面白い話と聞いたが?」

 

「何、俺の知ることが知りたいのだと思ってな

損はさせんさ」

クベリウスは楽しそうに話す

 

「先ずは我等が神、ロプトゥスについて語ろうか

元々この大陸には天空神ユードゥが最高神として君臨していた。その下に十二使徒とやらがおり、ブラギもその一人だったそうだ

そうそうマンフロイよ、この大陸の最古の国家は知っておるか?」

 

「グラン共和国か?大司教ガレに滅ぼされた」

 

「惜しいな、グラン帝国だ

因みにこのグランは天空神ユードゥの別名でもあるそうだ

話が逸れたな。今お主が言った大司教ガレは暗黒神の信望者だったそうだ

それがこの大陸から遥か遠いアカネイア大陸にたどり着いた。そして地竜族の一員であったロプトゥスから力を宿した魔道書を授かった。それがロプトゥスの書だ」

 

「聞きたいが構わぬか

何故遥か遠い大陸よりやって来たガレに力を授けたのだ?別にアカネイアとやらの人間に力を授ける方が自然だろう」

 

「そうよな

アカネイアには当時、地竜族と神竜族がいたそうだ

最も今も数は少ないが残っているが、まあいい。神竜族は自分達竜族の時代の終わりを予感したらしい

その後を継ぐのは人間だとな。だが、地竜族は反発したらしい

人間と神竜族対地竜族の大戦となった

地竜族は神竜族よりも力が弱く、追い詰められたそうな。決定的だったのは地竜族のリーダーたるメディウスが人間の勇者とやらに倒された事だ

そんな最中にガレがやって来たらしいぞ

ロプトゥスは他所の大陸での生存を目論んだのだろうな。少なくともこちらには神竜族は居ない訳だし」

 

「つまり、都落ちの様なものか」

 

「そうだ

でめでたくロプトゥスは大司教ガレを媒体としてこの大陸に顕現し、絶望を振り撒いた

この世の春であっただろうな。天敵はいないのだから

が、ロプトゥスの行為を知ったアカネイアの神竜族は討伐の為にこちらの大陸に渡ってきた

そしてダーナにて自らの力を宿した武器を人間に託した

これが『ダーナの奇跡』の真相よ

神竜族どもはロプトゥスの討伐を見届けるとアカネイアに帰っていった」

 

クベリウスは語り終えた

 

「よくも知っておるモノだな」

マンフロイは感心せざるを得なかった

 

「ああ。アカネイアに渡ったからな

幸いというか、ガレが遺した本に一度限りのアカネイアへの転移式があった

利用させて貰ったよ

お陰で色々と便利なものを手にいれた」

クベリウスは上機嫌で話す

 

「ではあの『モルフ』とやらもその一つか」

マンフロイは聞いてみた

 

「ああ。其処らにあるものが『材料』なのだが、『エーギル』の質が低すぎてな

あの傭兵の女程の素材はそうそう出ない様で、難儀しているよ」

 

「ドラゴンナイトや、ペガサスナイトも使っているそうだな」

 

「仕込みには必要だからな

まぁ、『エーギル』には当てがある

役目の終わった哀れな隠し里がな」

クベリウスはニヤリと笑う

 

「用済みか」

 

「ああ。ディアドラを差し出してくれたお陰で面白くなるぞ

ああ、あの○ル○ルにも感謝せんとな」

クベリウスは奥を見た

 

「魔法が上手く操れぬのは『コレ』のせいか」

 

「『魔封じの者』奴はそう呼んでいたなモルフとしては失敗作だが、使い方次第では協力な駒になる

マンフロイ、お主にも、モルフの造りかたをその内教えてやろう

ウフフフ、クククク、アハハハハ」

クベリウスは壊れた様に笑う

 

まるで全てが可笑しい様に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さぁ、原作から外れますよー

一杯これからキャラクターが死にます

原作より早く死ぬキャラクターが続出しますので悪しからずご了承ください

では、御一読ありがとうございます

子供世代のオリキャラは?

  • あり
  • なし
  • どちらでも
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