彼方の時へ   作:くらうす

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今回は各勢力の状況整理の回です

ですので短いですが、御容赦ください


絶望への途上

シレジアにてシグルド達が束の間の休息をとっていた頃、大陸全土では様々な動きが起きていた

 

 

グランベルによりジェノアを割譲させられた上にガンドルフ王子の処刑したウェルダンのジャムカ王へのマーファを中心とした反発はいよいよ武力行使すら伴う様になっていた

 

マーファの取り纏め役であった今は亡きガンドルフ王子の副官であるトラフが戦没していた事でブレーキ役が居なかったのが大きかった

 

元々ウェルダンの人間は情に篤い人間が多く、やや直情径行のきらいがある

 

ウェルダン本城よりマーファ説得の為に赴いた近衛隊長のガルノフを殺害した事によりマーファ側の反意が明確となった

 

このマーファの動きが反グランベルの武力蜂起に繋がる事を憂慮したジャムカ王は已む無く討伐を命じる事となった

 

だが、ジャムカ王への反発はウェルダン本城にも燻っており、元宰相のジュダの専横を許した挙げ句、ウェルダンの力を弱めた王への失望によるソレはマーファのそれと並ぶ程であった

 

更に暴発を防ぐための近衛隊長ガルノフはマーファにて死亡したとの報が届くと、一部の強硬派がジャムカ王を殺害する事になる

 

これは近衛の中にもジャムカ王に不満を持つ人間が多くいたことによるものであった

 

 

此のように政情不安定な隣国に危機感を持ったグランベルはウェルダンの混乱を鎮めるべく、ユングウィ公爵アンドレイを中核とした部隊を派遣。ウェルダンはここに滅亡する事になった

 

 

 

アグストリアでは反逆者シグルド追討の為に宰相レプトールが主力騎士団を派遣、これにアグストリア諸侯最後の一人ハイライン候ボルドーが抵抗するも兵力で劣るアグストリア側は敗北した

 

ボルドー候もこの戦いにて戦死、アグストリアは完全にグランベルの支配下におかれる事となった

 

 

 

グランベルと戦端を開いていたイザークではグランベル遠征軍がクルト王子、リング公爵死亡に伴う混乱により撤退。一応はイザーク側の勝利となるも、代償は余りにも大きかった

 

先王マナナン死後イザークの指揮をとっていたマリクル王子もまた重傷を負い、イザーク国内の纏め役が不在という状況におかれた

 

各氏族は勝利に対する対価を求め、それぞれが利益の為に対立する事になり、混乱はおさまる気配を見せなかった

 

 

 

トラキアではアグストリアにて獅子王エルトシャンを討つ為の依頼金を得た上に依頼主のアグストリアが崩壊した事により、貸与されていた大量のナイトキラーを保有する事に成功した

 

のみならず、貴重な実践経験を積ませた事もトラキアにとっては無形の利益となる

 

これにより軍事的な行動が出来る様になったトラキアは早速、トラキア最北端のミーズ城(※1)の北にあるマンスターへの圧力を強めた

 

マンスターはトラキア半島の中部に位置しており、トラキアからレンスターへの行軍に適した唯一の間道に位置する

ここにトラキア側の勢力が浸透すれば遅滞ない補給線を確保する事になる

 

 

これに対してレンスターはトラキアの拡大を防ぐ為にマンスター北部にあるコノート領主に命じてトラキアへの備えを命じる

それと共にレンスターから主力騎士団の一部をコノートへの増援として派遣する

 

 

俄にトラキア半島の情勢は緊迫の度合いを深めていく

 

 

 

 

では、ウェルダンとアグストリアを実質的に吸収したグランベルの状況は良かったかと言うとそうでもない

 

というのも、クルト王子とその一派やリング、バイロン両名につく派閥もその勢力を減ずる事にこそ成功したが、所謂中立を標榜する派閥は依然としてその勢力を保持していた

 

中立と言えば聞こえは良かろうが、自分たちの利益の為ならば宰相側にも王子側にも力を貸す変節漢どもの集まりである(※2)

 

彼等にとって重要なのは自身の利権である。故に主義、主張等は二の次であった(※3)

 

今までの勢力のままならばそれも良かっただろう。しかし、クルト王子の派閥が力を落とした状況では彼等自称中立がレプトールを始めとする宰相派の次に大きな勢力を有する事になってしまう

 

主義を持たない故に芯がない。主張がない故に常に立ち位置が定まらない

 

 

そんな存在にグランベル、そして大陸全土が振り回されるのをレプトール達は嫌った

 

クルト王子存命時にはクルト王子の名を借りてそれなりの問題を引き起こしていた彼等である。不幸にもレプトール達が処断する理由が幾らでもあった

 

 

だから邪魔な彼等は即日処断された。それだけである

 

 

 

 

こうなると目障りなのはアズムール国王に盲信する者達である

 

王政ではそれも正しくはある

 

だが、国王に対して忠言できるだけの発言力を彼等は持たなかった

彼等は発言力を持つことでアズムールの威勢を阻害したくなかったようであるが

 

この親国王派といえる派閥のトップとされるのが、アルヴィスであるが故にレプトール達は彼等に手を出すことはなかった

 

 

結果とすれば、クルト王子の派閥は壊滅し、反宰相派閥も旗を振るリングの死亡。バイロンの失脚、反逆者となったことで崩壊した

 

中立の立場をとる連中は未来への責任なしとして、レプトールの意をうけたランゴバルド麾下の騎士により処断された

 

 

後世では『グランベルの粛清劇』と呼ばれる事になる

 

 

 

 

 

では、シグルド一味を匿っているシレジアはと言えば、表向きは平穏を保っていた

 

がトーヴェ城主マイオスは配下の四天馬騎士が一人、ディートバへと戦仕度を整えさせ始めた

 

ザクソン城主ダッカーもまた、シグルド一味をグランベルに引き渡さない。にも関わらず、グランベルとの戦争の準備をせずに国王アズムールへ親書を送り続ける女王への不信を強め、四天馬騎士次席のパメラに軍備を整えさせるのと並行して、傭兵を募る事にしていた

 

 

女王ラーナは四天馬騎士筆頭のマーニャに戦闘準備をさせず、あくまでも話し合いによる緊張緩和を目指した

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、クベリウスという協力者を失ったマンフロイであったが、彼の遺したモノを有効に扱うことにしていた

 

 

 

とある時期よりアグストリアと民衆の間でとある噂が流れていた

曰く「獅子王エルトシャンの夫人、グラーニェがアグストリアの戦火を逃れ、エルトシャンの遺児を育てている」との噂であった

 

噂の真偽はともかくとして、アグストリアの民衆はこの噂に纏う事となり、グランベルに支配されてなお、アグストリアの民は二十年に渡り、エルトシャンの遺児の帰還を待つ事になる

 

 

夥しい血と屍の山を築きながらも

 

 

 

 

 

 

 

 

暗雲立ち込める大陸の情勢とは裏腹にアルヴィスはディアドラとの仲を順調に深めていった

 

未だ式こそ挙げていないが、アルヴィスとディアドラ双方は互いを愛していた

 

アルヴィスは記憶が無いにも関わらず、自身の弱いところを支えてくれる優しさに

 

ディアドラは強いのに弱い、そして自分を守ってくれるその想いに

 

互いに惹かれあっていったのだ

 

 

アルヴィスには実のところ手を出している側近がいるが、手を出された側もアルヴィスとの婚姻が叶うとは思っていなかった為に問題にはならなかった

 

 

アルヴィスは記憶を奪ったクベリウスの存在を知っているが故に、ディアドラの記憶を取り戻そうとしていた

 

 

 

 

 

歴史にifはない

 

だが、『もしも』この時にアルヴィスがディアドラをレプトールに引き合わせていたならば、これから起きる悲劇は防げただろう

 

 

 

しかし、現在のレプトールとアルヴィスは表向き対立関係にあり、お互いに会う機会はついぞ訪れる事はなかった

 

 

 

 

クベリウス捨身の策は為ろうとしていた

 

 

 

 

(※1)

トラキアではミューズ城とも呼ばれる

 

(※2)

こう評したのはランゴバルドであったが、珍しくバイロンやリングすらも同意したところから両者も良く思っていなかった様である

 

(※3)

ランゴバルドは侮蔑を込めて蝙蝠と評した

 

大陸の蝙蝠は比喩的表現であり、嘗てロプト帝国が存在した頃に蝙蝠を好んでいた貴族がおり、解放軍の勝利が明らかとなると帝国を攻撃して解放軍へと寝返った『蝙蝠公』に由来するとされる

 

 

 




一部、矛盾する事象が存在しますが、後に解決しますのでご了承の程、宜しくお願い申し上げます


死者の操る蜘蛛の糸が生者を苦しめます

割りと長い間

次回でシレジア編はおそらく終わります

その後は原作プレイヤーのトラウマイベントとなります

では、御一読ありがとうございました

子供世代のオリキャラは?

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