彼方の時へ   作:くらうす

33 / 40
何か早めに出来たので投稿します

今更ですが、独自設定マシマシでお送りします


明日を見るもの、道を分かつもの

激戦の末、ドズル公爵家の騎士スレーターと主力騎士団グラオリッターの大半を撃破したシグルド達であったが、シグルドの父バイロンを喪う事となった

 

 

だが、シグルド達はグランベル本国の近衛隊長アルヴィスの要請に基づき、グランベル首都バーハラへと兵を進める事となった

 

 

 

 

 

 

彼らは国境付近の村落の近くに一時的に陣を張り、今後の作戦についての話し合いをすることとした

 

 

「まず間違いなく家のドズル公爵家との激突は避けられないだろうな。既にスレーターを倒している以上は親父も退けないだろう」

 

レックスが口火を切る

 

「となると、リューベックの攻略は必要か」

 

「ですが、シグルド様。リューベックには先のグラオリッターの残存兵力もいるはずです。厳しいのではありませんか?」

 

シグルドのリューベック攻略にオイフェはその危険性を指摘する

 

「しかしねぇ、オイフェ坊や。後ろを気にしていては勝てる戦いも勝てないだろうさ」

 

「ああ。ブリギット殿の言う通りだろう

まして背中を見せる相手は聖斧スワンチカを操るランゴバルド殿だ。生半可な策では食い破られるのがオチだろう」

 

「オイフェ、君の懸念も分かる。グラオリッターの残存兵力だけでも危うい上にランゴバルド卿の片腕とまでいわれたスレーター殿ですらあの実力だ

その上司たるランゴバルド卿の強さは理の外だろう

だが、ブリギットとアイラ殿の言う通り、仮にリューベックを放置した場合、最悪騎馬の動きの制限されるイード砂漠とリューベック勢で挟まれる。これではまともな戦闘にすらならないだろう」

 

「しかし、相手も騎馬主体です。どうにか距離を維持出来るのではありませんか?」

 

「それは無理だ」

 

オイフェの懸念にブリギットとアイラが反論する。二人とも規模こそ違えど、兵を率いた事のある身。挟撃の危険性はイヤというほど理解していた

 

シグルドも二人の意見に賛成せざるを得ない

 

しかしなおも言い募るオイフェの意見をレックスは否定した

 

「確かにグラオリッターは騎兵だ。だが、南にイード砂漠を抱える以上、対策は講じているだろう

それにリューベックからバーハラに向かうためのイード砂漠への道は城門があった筈た

これを開けるにはリューベック攻略が必須。どのみちリューベックは避けて通れんよ」

 

ドズル公子としてリューベックへと赴いた経験のあるレックスらしい意見である

 

 

そしてレックスの予想は当たっていた

 

リューベック駐留軍は足元の悪い砂漠でも平地と同じ機動を行える様にスレーターが調練していた

 

 

仮にオイフェの策をとっていたならば、シグルド達はなすすべもなく殲滅されていただろう

 

 

 

「そう、ですか」

 

オイフェは落胆したような声を出した

 

「気を落とすなオイフェ。君はまだ経験がないだけだ

これから精進すればいい」

 

「うむ。シグルド殿の言う通りだな

私の甥っ子のシャナンもそうだが、焦る必要はない

確実に学んでいくことだ」

 

シグルドとアイラはオイフェを慰める

 

「では、シグルド公子。リューベックを攻略するのですか?」

 

「ああ、アゼル。そうする事になるだろうな」

 

「ではシグルド殿のティルフィングはリューベック城下にて修理されるのがいいでしょう」

 

「そうだな。これからシレジアまで戻るのは相手に時間を与えるだけだろう」

 

クロードとレヴィンはリューベックでの修理をすすめる

 

クロードは『聖杖バルキリー』、レヴィンはフォルセティを有している為に修理できる当てはあったのだ

 

 

 

「決まりだ、リューベックを攻略する」

 

シグルドは宣言した

 

 

 

 

 

 

 

 

「お久しぶりです、ランゴバルド卿」

 

「シレジアでは相当暴れたと聞いておるぞ、アンドレイ卿」

 

リューベックではランゴバルドとユングウィ公爵アンドレイが合流していた

 

 

「して、何用か」

 

部屋の温度が下がった様な感覚をアンドレイはおぼえた

 

「兵が必要かと思いましてな」

 

だが、以前はともかくとして、今は同格の公爵だと思い直し、アンドレイは用件を告げた

 

「ほう?レプトール殿の指示か?」

 

「私の判断にて」

 

「戯けが。貴公は儂の次の矢の筈

それとも、その意味すらも解らぬのか?」

 

 

 

ランゴバルドとレプトールは密かに話し合いの場を持ち、幾つかの取り決めをした

 

既に国王アズムールはクルト王子の突然の死と、重用していたバイロンの裏切りのショックで政務をおこなっていない

 

 

常ならば王家の専横事項である筈の外交すらもレプトールに委任する始末だった

 

二人は最早バーハラ王家の存在は大陸の平穏を守れぬどころか、害悪であると判断した

 

 

長年、グランベルに忠誠を捧げてきた両者にとっては正に身を切る痛みであったが、判断した両者は速やかに新体制への移行をおこなうこととした

 

 

だが、バーハラ王家とてグランベル王国建国の祖であった。例えそれがロプト帝国を滅ぼした大功によるものであったとしても、だ

 

 

 

唯、権力をバーハラ王家から取り上げたとなれば支持を得られるのかは未知数

 

更に中道派を気取る蝙蝠たちがどう動くかいかんでは、グランベルの混乱が長引く可能性すら存在していた

 

 

ならば、一段階増やせば良いのだ

 

直接的にバーハラ王家の権力を奪えないなら、一度誰かがグランベルに専横政治をひけばよい

 

それ等に関わる混乱を治める大功を以てバーハラ王家からの禅譲を図るのだ

 

 

こうすればグランベルにおける権力の移譲は最低限の混乱に収まる筈である

 

 

 

 

 

 

 

両者は旧体制派であり、既に老齢に差し掛かっていた

 

だが、ランゴバルドには長男ダナン。レプトールにも長男ブルームがいる

 

そこに現在の若手を加えればグランベルの静謐は守られると両者はみた

 

 

つまり、ランゴバルドとレプトールは捨て石なのだ

 

その捨て石にアンドレイが加わるのはランゴバルドとしても容認出来ない

 

 

 

元よりアンドレイも若く、次代のグランベルに必要な人間になるとランゴバルドもみていた

 

 

「ご懸念は尤も

ですが、私にも息子がおります。スコピオならば立派に役目を果たせましょう」

 

「む」

 

「それに私はシレジアにて虐殺ともとれる行為をしたのです

その様な男が残れば後々の禍根となりましょう」

 

「う、む」

 

アンドレイもまた旧世代として消える事を選んだ

 

 

 

良く覚えてはいないが姉を亡くし、父を殺め、もう一人の姉すらも敵としてまで手に入れた家督だが、手に入れても何の感慨もわかなかった

 

空しかった

 

 

ユングウィの至宝とも云われる『聖弓イチイバル』

 

ユングウィの直系ならば扱えるコレをアンドレイや姉エーディンは愚か、父親のリングすらも扱えない

 

唯一扱えたかもしれない上の姉はアグストリアの海に消えたとも聞いた

 

 

アンドレイはそれでもユングウィの為に技を磨き、力を付けた

 

次期公爵として恥ずかしくない様に務めた

 

 

 

だが、父親リングはいつまでも居なくなった長女を捜して家督については言及しなかった

 

姉エーディンでは弓騎士ウルの血こそ守れようが、イチイバルを扱える者を遺せるかは疑問だった

 

アンドレイは初めこそ、父や姉を憎んだが、今では弓騎士ウルの血を『呪い』と憎悪していた

 

 

そう、尊い血筋ではない。これは血の呪いなのだ

 

ランゴバルドのドズル公爵家、レプトールのフリージ公爵家。どちらも家督継承の際には血生臭い暗闘があったと聞く

 

加えて先のシレジアでもまた、家督継承の為に多くの血を流した

 

 

このユグドラル大陸は十二聖戦士という、血の呪いを受けていたのだ。いつまでも果てぬソレに巻き込まれ、多くの血が流れる

 

これの何処が尊い血筋というのか?

 

アンドレイはそう思っていた

 

 

 

姉エーディンがイチイバルを持ち出している為に現在のユングウィには以前ほどの影響力はない

 

それも良かろう

 

 

弱き者を護れぬ統治者など必要でないのだから

 

 

 

 

 

 

「アンドレイ卿よ。貴公の想いは受け取った」

 

アンドレイの覚悟を汲んだのか、ランゴバルドはアンドレイの協力を受け入れる事となった

 

「有り難き言葉。ランゴバルド卿、一つ頼みがあります

 

もしもの時は」

 

「分かっておる。必ずやスコピオ殿を立てる様に伝えよう」

 

「感謝の言葉もありませぬ

では、いって参ります」

 

 

 

 

 

 

 

「情けないものよ。儂等はあの様な若者すら食い潰すというのか!」

 

アンドレイ退室後、ランゴバルドは床を踏み締めた

 

「いや、シグルドの小僧どもを生け贄にしようとしているのに、今更か」

 

「我等が偉大なるグランベルの為に儂は外道や畜生になることを決めたのだ

その結果がどうあれ、受け入れるのみよ」

 

ランゴバルドの呟きは誰にも聞こえなかった

 

 

 

 

 

 

 

バイロンを埋葬したシグルド達は速やかにリューベックへと侵攻するべく、兵をすすめていた

 

片腕のスレーターを破り、グラオリッターを撃退したとはいえど、未だドズル公爵軍は健在である

 

数に劣るシグルド達が勝利をえようとするならば、相手に対応の暇を与えない電光石火のごとき進軍の他ない

 

 

 

 

幾ら平均的な質で上回ったとて、相手は大国であるグランベル宰相のレプトールである

 

彼が本腰を入れればグランベルの軍事力の大半がシグルド達に牙を剥く。アルヴィスの様にシグルドへ好意的な人物とて、いつまでレプトールに抗えるかも不透明な以上は速やかにバーハラまで進軍する必要があったのだ

 

 

 

 

「シグルド様、レヴィン様!」

 

警戒にあたっていたフュリーが降りてきた

 

「どうした?フュリー」

 

「東より軍勢が!旗はユングウィです」

 

「アンドレイが?」

 

フュリーの報告に悲鳴を上げるエーディン

 

「すまない、エーディン。だか退くことは出来ない

ブリギットもすまないな」

 

「アンドレイねぇ?

このイチイバルを持ってから少しは思い出してきたが。避けれない、か」

 

「無理だろうな。既にユングウィはシレジアにも攻撃している以上は俺達の敵になるだろう」

 

躊躇うエーディンとブリギットに冷静に現実を突きつけるレックス

 

 

彼は既に父親たるランゴバルドに斧を向ける事を覚悟していた

 

中核メンバーがグランベルの人間である以上、グランベルと戦うならば避けては通れない道なのだから

 

 

 

 

 

 

 

「アンドレイ!やめて!」

 

進軍してきたアンドレイと率いるユングウィ騎士団『バイゲリッター』の眼前にエーディンは出てきた

 

 

 

「エーディン様」

 

「何故エーディン様が」

 

「馬鹿な」

 

 

 

 

「静まれ!」

 

動揺する騎士を叱責したアンドレイは

 

「お久しゅうございます、姉上。お元気そうで何より

しかし、我々はシグルド公子討伐の命を受けておりまする。通してはいけませぬか?姉上と戦うのは私とて気が進みませぬ」

 

「シグルド公子への嫌疑は冤罪です

エッダのクロード司祭もおられますから間違いありません

それに私も公子の軍にいましたが、バイロン様と共謀した話は聞いてもいません」

 

「久し振りになるのかね?アンドレイ」

 

エーディンの側にエーディンに良く似た女性が立った

 

「イチイバル?

では貴女がブリギット姉上か」

 

ブリギットの持つイチイバルからアンドレイは察した

 

「ああ

なぁ、アンドレイ?私はともかくエーディンは家族なんだろう?家族で殺し合うなど馬鹿げてはないかい?」

 

「良く生きておられた

今までどう生活しておられたのかは知らぬ

が、反逆者の一味であるなら容赦は出来ぬ。たとえそれが一族であっても、だ

全軍、かかれっ!」

 

 

 

 

 

しかし、既に弓の間合いの内側の側まで迫っていたシグルド軍に対してアンドレイはともかく、バイゲリッターは対応しきれなかった

 

これはやはり経験の差であり、イザークにてバイゲリッターの正規兵を失った弊害でもあった

 

 

 

 

「ふふ、やはりこうなるか」

 

アンドレイは自嘲した

 

「アンドレイ公子、いやアンドレイ卿。降伏してはくれないだろうか?」

 

顔見知りのアンドレイに対してシグルドは降伏を願った

 

 

 

「シグルド公子。それには及ばない

姉上、いやブリギットよ。一騎打ちを所望する!」

 

「アンドレイ。わかった受けてたとう」

 

既にバイゲリッターは文字通り全滅していた。それでもアンドレイは退けなかった

 

 

 

 

 

「覚悟せよ、姉上の名を騙る戦士よ!」

 

「アンドレイ!」

 

アンドレイとブリギットは互いに撃ち合った

 

 

 

 

 

 

 

「アンドレイ、どうして?」

 

物言わぬ骸になったアンドレイにエーディンは泣きすがる

 

「アンドレイ、何でだ?」

 

ブリギットは見た

 

アンドレイは一射を放つ時、確かに泣いていたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リューベックにて待つランゴバルドの元にシグルド軍が迫ってきた報告が上がる

 

 

既に城内には人はいない

 

残るのは城外に展開するグラオリッターの残存兵のみ

 

若者は残さず、ドズル城へと帰還させた。その中にはスレーターが見込んでいたフィッシャーという若者もいた

 

 

やがて城外からの声も聞こえなくなってきた

 

 

 

 

「来たか」

 

 

 

 

 

シグルド達はグラオリッターを撃破し、リューベック城へと侵入した

 

しかし、待ち伏せの兵すら見えない。シグルド達は城内にて待ち伏せがあると思っていたが予想外にも誰もいない

 

だが、城主の間にはランゴバルドが一人いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ランゴバルド卿」

 

「親父」

 

シグルドとレックスの声に

 

「よくも此処まで来れたモノだ

見事とだけは言っておこう

ほう?イザークの姫まで抱えておるとは、中々にやりおるものだ」

 

「ランゴバルド!覚悟っ!」

 

アイラはランゴバルドに斬りかかるも

 

「小娘が、甘いわっ!」

 

「がっ!」

 

スワンチカの裏打ちの一撃でアイラを吹っ飛ばした

 

「ふん、剣聖オードの末裔がどの程度かと期待して見ればこの程度とは、期待外れよ」

 

ランゴバルドはシグルド軍の中でも戦力の中核となっていたアイラを手加減して尚、一撃で無力化した

 

「くらいなっ!」

 

「エルファイアー!」

 

「トローン!」

 

次の瞬間にはブリギットがイチイバルを、アゼルはエルファイアーを、ティルテュがトロンをそれぞれに放つ

 

「甘いわっ!戯けどもがぁ!」

 

「ぐっ!」

 

ブリギットの攻撃は受け、アゼルとティルテュの魔法は避けて、尚もスワンチカを投擲してブリギットに深手を負わせた

 

「悪くはない。が、まだまだ未熟にすぎような」

 

投擲したスワンチカをキャッチしたランゴバルドはそう評した

 

「フォルセティ!」

 

レヴィンは間髪入れずにフォルセティを撃ち込む

 

「ふん」

 

しかし、身を翻してかわしたランゴバルドはレヴィンへとスワンチカは投擲した

 

「ランゴバルド卿!覚悟っ!」

 

城下で修理したティルフィングを手にシグルドは無手のランゴバルドへと斬りかかった

 

だが

 

「がっはっ!」

 

「甘いというたわ、小僧めが!」

 

いつの間にか取り出していた銀の斧でシグルドをうち据えた

 

「下がれ!シグルド公子!」

 

レックスも銀の斧で斬りかかったが

 

「愚かな、何を学んだのだ、貴様は」

 

投擲していたスワンチカを回収したランゴバルドは全力でレックスを裏打ちした

 

「がっ!」

 

 

 

僅か五分も経たぬ内にアイラ、ブリギット、レヴィン、シグルドが戦闘継続が不可能となり、レックスも満身創痍。未だ健在なのはエーディン、アゼル、フュリー、シルヴィア、クロードにティルテュであった

 

エーディンとクロードはレックスの治療中であり、シルヴィアは踊り子であり自衛の域を出ない実力。フュリーはペガサスから降りても戦えるが槍と斧の関係上、不利は否めない。アゼルとティルテュだけでは魔法のみであり、スワンチカの直撃を受ければ即死は免れなかった

 

レヴィンが生きているのは、フォルセティによる加護と風の障壁のおかげであり、それがなければレヴィンとて命がなかった

 

 

 

 

「この程度か、ならば此処で死んで行け」

 

ランゴバルドの死刑宣告が城主の間に響いた




すすまねぇ(絶望)

この章だけで五話くらい消費しそうな勢いである


まぁ、仕方ないのだが

子供世代のオリキャラは?

  • あり
  • なし
  • どちらでも
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。