ランゴバルドをリューベックにて討ち果たしたシグルド達であったが、即座に進軍とはいかなかった
ランゴバルド戦において、アイラ、ブリギット、レヴィン、シグルドは重傷をおっており、エーディンとクロードが二人がかりだとしても快癒には相当の時間を要するに事は明らかであった
では残りのメンバーが無傷かというとそれも違う
リューベック付近のグラオリッターとの戦闘により、アゼルとティルテュも軽くない怪我を負い、フュリーとシルヴィアもまた負傷していた
直接ランゴバルドと単身対峙したレックスに至っては、傷か塞がらない状態での戦闘により元々良くない体調が悪化する事になってしまう
この状態での進軍は不可能と判断したクロード司祭は一時的にリューベックへ滞在する事を決めた
シグルドは反対するもこのまま宰相レプトール配下の雷騎士団『ゲルプリッター』との戦闘になれば敗北は必死である。とクロード司祭が断じた為にリューベックにて足を止める事となった
更にグランベルにおいて如何なる激戦になるか予想もつかない為に、シグルド達は自身の子供たちを一時的に避難させる事とした
「それはシグルド様のご命令であっても聞けません!」
「アイラ、どうしてそんな事を言うのさ!」
シグルドとアイラがオイフェとシャナンの説得にあたるも二人は頑なに嫌がった
「確かに私は軍師としても、騎士としてもシグルド様のお役にたてないかもしれませんが、それでも私はシグルド様の従騎士です!
どうかお側において下さい!」
「アイラ、僕はシグルドからディアドラを頼むと任されてたのに、守れなかったんだ。だから」
「だからこそ、オイフェ、シャナン。君達ににセリス達を任せたいんだ」
「そうだぞ、別に今生の別れと言うわけでもないんだ
一時的にイザークへ避難していてくれればいい
スカサハとラクチェを頼む」
「でも!」「しかし、シグルド様!」
「お願い。オイフェにシャナン。私達ねこれからかなり危険な所にいくの
大切な子供たちを連れてはいけないし、置いてもいけないの。ね?」
「ティルテュが言う通りだ
一応兄さんが力を貸してくれるとは思うけど、それでも絶対に安全な訳じゃないんだ
アーサーとティニーを頼むよ」
オイフェとシャナンに対してシグルド、アイラ、ティルテュ、アゼルは子供を託す決断をした
「悪いとは思うけどね、アンタ達しか頼れる者がいないんだ。パティとファバルの事、頼んだよ?」
「ラケシス。アンタがエルトシャンを喪って悲しいのは分かるとはいわん
だが、戦えもしないなら、せめてコイツらを見てやってくれ」
「・・・はい」
ブリギットとレックスは未だにエルトシャンを失った悲しみから解放されないラケシスにも子供の事を頼む事をシグルド達に提案した
「クロード様」
「いいんですよ、シルヴィア
貴女はこれからの戦いには来ないほうが良いでしょう
エーディン殿とラケシス殿と共にコープルとリーン、それにオイフェ殿たちを頼みます」
「うん、でもすぐ会えるよね?」
「シグルド様、どうかお気をつけて」
「ああ。エーディンとシルヴィアも子供たちを頼む
バーハラに着いたらすぐに迎えを送る」
ここでシグルド達は二手に別れた
シグルド、アイラ、ブリギット、レックス、レヴィン、フュリー、アゼル、ティルテュ、クロードは引き続きバーハラへ
エーディン、シルヴィア、ラケシス、オイフェ、シャナンと子供たちはイザークへと一時的に避難する事とした
この別れが今生のものとなることは、この時の彼等には想像もしていなかった
エーディン達がイザークへと旅立ったのを確認したシグルド達はヴェルトマー公爵アルヴィス卿の配下の待つフィノーラ城へと兵をすすめた
フィノーラ城はイード砂漠の北西に位置する城であり、リューベックより王都バーハラへと向かう最短ルートの途上にある城であった
砂漠においては機動力を著しく減じる騎馬もリューベック、フィノーラ間の道はある程度整備されているために支障なく運用できた
「よくぞお越し下された、シグルド公子
先ずはシレジアよりの無事の御帰還お喜び申し上げる
申し遅れた、私はアイーダ。アルヴィス様よりシグルド公子達をバーハラにお連れする任務を命じられている」
「そうか。アルヴィス卿の言われていた部下は貴殿か
アイーダ殿、ありがとう」
「いえ、本来ならばランゴバルド卿のリューベックへ進軍してでも支援するべきだったのですが、レプトール卿のゲルプリッターを警戒して動くことすら出来ませんでした
申し訳ありません」
「いや、それは仕方ないだろう
案内をお願いできるか?」
「休息はよろしいので?」
アイーダとしてはシグルド達には万全の態勢でバーハラへと向かって欲しかった為に休息を進言するも、シグルドは一刻も早くバーハラへと向かいこの状況を打開したかった
「構わない」
「では、直ちに出発しましょう」
こうしてシグルド達はバーハラへとアイーダの案内で向かうことになった
一方、フリージ公爵レプトールは打ち合わせを終えた後、自領であるフリージへと戻っていた
「ブルームよ、後の事は全て任せる」
「父上、考え直してはいただけませぬか?」
「お義父様、夫の言う通りかと
何もお義父様が」
「ブルーム、ヒルダ。それ以上、言うでない」
息子と息子の嫁の発言をレプトールは封じた
「しかし」
「お祖父様」
「おじーちゃま」
「おお、イシュトーにイシュタルか
どうした?」
三人の話し合いに現れたのはブルームとヒルダの子供であるイシュトーとイシュタルだった
「お祖父様、どちらかに行かれるのですか?」
「おじーちゃま、いっちゃうの?」
「うむ、私にしか出来ぬ事があるからな
イシュトーよ立派な男になれよ
イシュタル、お前は素敵な女になりなさい。そして好きな相手を見つけるのだ
さあ、そろそろ部屋に戻りなさい」
冷徹な宰相。鉄仮面の宰相などと言われても、やはりレプトールとて人の親
子供は可愛いし、孫達も可愛いのである
「父上、せめて妹のエスニャの帰りを待っては」
「お義父様、ティルテュはどうなさるのですか?」
「エスニャにはブルーム、お前から伝えておいてくれ「せめて幸せになれ」とな
ヒルダ、ティルテュもどうもならぬ。覚悟はしておるよ」
「「・・・・・・」」
「往ってくる、後は任せるぞ」
フリージ公爵レプトールは主力騎士団ゲルプリッターを率いてヴェルトマー城へと向かった
ヴェルトマー城ではアルヴィスと補佐役のヴァハが話をしていた
「よもや、その様な事が」
マージファイターのヴァハは絶句した
「あのお歴々の覚悟よ
ヴァハ、お前も覚悟しておけ」
「ハッ!」
「少し離れる。任せるぞ」
「ディアドラ、すまないな」
「いえ、アルヴィス様。アルヴィス様もお忙しいのですから」
ヴァハとの話が終わったアルヴィスは妻であるディアドラの元に来ていた
ディアドラと結婚してからのアルヴィスは幸せであった
物心ついた頃には母と父をほぼ同時に無くし、幼少の身でヴェルトマー公爵を務めながら、弟のアゼルを守ってきたアルヴィスにとってはディアドラは生まれて初めての安らげる場所であった
ディアドラの記憶は未だに戻らないが、あのクベリウスがディアドラの記憶を奪った以上は取り戻す方法もあるとアルヴィスは確信していた
アルヴィスはクベリウスを激情のままに殺した事を少しだけ後悔していた
アルヴィスには1つだけ気にかかっていることがある
クベリウスをファラフレイムで焼き尽くした時、クベリウスは確かに嗤っていたのだ
まるで可哀想なモノを見るように。嘲笑うように
確かに自分はロプトの血を引くのかもしれない
だが、ロプト教団の信仰する暗黒神ロプトゥスは『直系同士』の交わりでしか顕現しないと聞く
アルヴィスはディアドラがその様な呪われた血を持つとは露程にも思わなかった
ただ、ディアドラを妻としてランゴバルドやレプトール、アンドレイ達にこの様な形にならなければ紹介したいと残念に思ってはいたが
「?アルヴィス様?」
「すまぬな、ディアドラ
少し余計な事を考えておった
ん?その指輪は?」
「はい、私の面倒を見てくれていたクトゥーゾフ様の妹さんから頂いたものです」
「そうか、それは良かったな、ディアドラ」
「はい」
「でも」
「何かあったのか?」
「いえ、何処かでお会いしたような気もするのですが」
「だが、ディアドラを知っているならそう言うのではないか?」
「そうですね」
残念ながら、クトゥーゾフには既に肉親はおらず、ディアドラに指輪を渡した者をアルヴィスが見れば、こう感じただろう
『不自然な程に肌が白く、不気味な程に光る金色の瞳』と
そしてディアドラが記憶を失っていなければ、その人物に思い至っただろう
だが、アルヴィスとディアドラはこの事実をついぞ知ることはなかった
ディアドラに渡された指輪は現在かかっている魔法の効果を一層強化する魔法を宿した指輪だった
この効果が失われるのは、彼女から大量の魔力が失われたときである
これはクベリウスが遺した置き土産の一つであり、死してなお、生者を弄ぼうとするクベリウスの妄執の表れであった
アルヴィスは知らない
アルヴィスの幸せはシグルドとディアドラが与えられていた『それ』と変わらない事に
ディアドラは知らない
自身の人生すら闇で蠢く者達からすれば道具でしかない事に
二人がこの事実を知るのには、後数年の時を要する事になる
あーここまで来た
来てしまった
次回は聖戦ユーザーのトラウマイベントとなります
作者もダメージ受けますので、ゆっくり書きます
気長にお待ち下さい
子供世代のオリキャラは?
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あり
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なし
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どちらでも