New Japan Fleet   作:YUKANE

1 / 57
Episode.0 始まり

1991年12月25日ソ連が崩壊し,冷戦が終わるかに思われた。

しかし冷たき戦いは終わることはなかった。

 

ソ連崩壊に反対する人々は新しき国家を作るべくクーデターを起こした。そしてそのクーデターによってイルクーツクを首都とする新国家「シベリア社会主義連邦」が誕生した。

そしてシ連は世界中に社会主義の不滅を宣言した。

 

シ連設立の影響を日本が受けない訳がなかった。シ連の海軍の本拠地はウラジオストクにある為,シ連が太平洋に勢力を拡大する際は日本が障害へとなるからだ。

 

この事態に際して時の首相 渥美雄一は海上自衛隊の規模を拡大する新たなる計画「New Freet計画」を始めようとした。しかし,計画内に日本初の空母(・・)を導入すると分かると野党や一部国民から「9条に違反している」として批判を受けるも国会を押しきり,計画は承認された。

 

そしてそれから約30年が経った2024年。事件は起きた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

この世界には佐渡島北西50kmの沖合いに7つの島で構成された列島 朱雀列島が存在する。

この列島は昔から国同士の争いの原因となる島だった。元は漢・隋・唐等の歴代中国国家が保有していたが,1281年の公安の役にて鎌倉幕府の名で上陸作戦が行われ,苦戦を強いられるも勝利を刻んだ。

 

その後日本が保有する事になるが,明・清等とはこの列島を巡って対立が発生し,幾度の戦いが発生した。

その後清は英国とのアヘン戦争等もあり手を引いた為に,朱雀列島は日本の所有となり1876年には各国に朱雀列島の日本統治を通告した。

 

その後はロシアへと守りの要として朱雀列島本島の蘭島の指令部を中心として朱雀基地が整備され,日露戦争時には朱雀沖海戦が発生するなど激戦が広げられた。

 

それから約40年経った1945年11月18日。日本が無条件降伏したにも関わらず,ソ連軍が上陸し約5年程占領するも,1951年のサンフランシスコ条約によって撤退し,日本に返還された。

 

しかしその後も「自国の領土」と言い続けるソ連に対して日本は列島に朱雀警備隊や旧式ながらもF-4EJ(ファントム) 6機を配備し,厳重警戒を行った。

シ連設立後は中国もその争いに加わり,列島を巡る対立は混沌を極めていた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

朱雀列島本島の蘭島。

この島は基本的に平坦で,中央部に役場と病院があり,漁港の他にも大型フェリーが停泊できる港を持つまさに朱雀列島の中心地である。

 

その島の北側にある自衛官寮屋上。そこに1人の自衛官が寝転がっていた。

 

「今日も疲れたな~」

 

彼の名は魚島敬次。朱雀警備隊普通科中隊の中隊長である。何故彼がここにいるかというと日課だからだ。

彼の住む寮は蘭島の町並みからは少し離れているために夜は五月蝿くなく,とても静かである。それに照明も少ない為に夜間の星空がくっきりと見えるのである。

その為に彼は当直以外の夜は毎回ここに来て,日々の疲れを癒しているのである。

 

(ここに来れば全てを忘れられる)

 

そして今日も訓練の疲れを癒すべくここに来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから起きる戦いを知らずに

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

彼が寝転がって約1時間後,彼は異変を感じた。突如としてジェット戦闘機が飛ぶ独特な音が聞こえたからだ。

だがジェット戦闘機なら蘭島の西の飛鷹島の航空自衛隊飛鷹島基地所属のF-4EJ(ファントム)だと思ったかもしれない。

しかし彼は違った。

 

「・・・・・何かが違う」

 

彼がそう思った理由は,ジェット機の音が島の外から聞こえるからだ。

仮にF-4EJ《ファントム》だとすると離陸する際の音が聞こえるのだが,その音が聞こえなかったからだ。

 

そしてなりより聞き慣れているF-4EJ(ファントム)とは明らかに音が異なるからだ。

 

「この音は一体・・」

 

その答えは直ぐに分かった。彼が立ち上がって音の鳴る方を見ると,超低空で水を巻き上げながら飛んでいる1機の機体がいたからだ。

 

その機体は自衛隊機とは明らかに違う曲線とコックピット付近にカーナド翼(・・・・・)を有していたからだ。

その姿を見て魚島は直感で感じた。その機体を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Su-27(フランカー)!!」

 

Su-27ことSu-33(フランカーD)は水が巻き上がる位の超低空を高速で飛んでおり,その胴体の下のパイロンには2発もの対レーダーミサイル(ARM) Kh-58(キルター)を装備していた。

 

そしてそのSu-33は蘭島から北東の方向を飛んで,その先の島を目指していた。

 

「そっちには日北島しかn・・・・・・!」

 

Su-33が飛んでいた方向にある日北島にある設備に気づいて彼は顔が青くなった。

 

「まさか・・・レーダーサイトを!?」

 

日北島には朱雀列島の防空の要「日北レーダーサイト」があるからだ。仮にそのレーダーサイトが使えなくなったら飛んでくる機体を捉えなくなるからだ。

 

つまり近づくまで,侵入してきた機体を捉えなれず(・・・・・・・・・・・・・・)に敵に先手を許してしまう事になるのだ。

 

この事は敵の航空機による攻撃や輸送機による空挺等を許してしまい,島が奪われかねないという最悪の事態になりかねないからだ。

 

 

この最悪の事態を察した魚島は直ぐに自分の部屋に戻り,基地へと向かう準備を整えた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

約20分後準備を整えた彼は蘭島の朱雀警備隊司令部へと向かった。

彼の準備の最中に爆発音が聞こえており,つまりレーダーサイトが破壊された(・・・・・)事を意味していた。

 

その事を裏付けるかのように司令部は非常に混乱していた。

 

「レーダーサイトがやられました!」

「何故気づけなかったんだ!?」

「超低空で飛んでたのでレーダーに反応しなかったんです!」

「のF-4EJ(ファントム)は飛んだのか?」

「2機がスクランブルしました!」

「隊長!飛鷹島基地の飛行場が破壊されました!」

「何だと!?」

 

飛鷹島の飛行場が破壊されたという情報が流れている最中別の場所では別の情報が話されていた。

 

「日北のレーダーサイトが破壊されたのは恐らくSu-33らしい。」

「ということはシ連軍が上陸するってことですか?」

「ああ,間違いないだろう。」

「なら早く迎撃体制を整えないと!」

「住民の避難も早くしないと!」

「と,とにかく急がないと!!」

 

まるで目の前で交通事故が発生したかのような状態になっており,例えデマでもそれが本当になっているかのような雰囲気だった。

 

魚島はこの状態を見て,困惑した。

 

「まるで纏まってない・・・」

 

彼が困惑している中,彼は警備隊長に呼び出された。

 

「魚島!ちょっと来てくれ!」

「了解!」

 

彼は急いで警備隊長の元に向かう。

 

「日北のレーダーサイトと飛鷹の飛行場が破壊されたのは知ってるよな?」

「はい。勿論です。」

「だったらお前に隊長命令を下す。」

 

魚島はこの時覚悟した。このような状態の場合の命令というと,「シ連軍から島民を守れ!」や「死ぬ覚悟で死守しろ!」等という死を覚悟するのような命令だと思ったからだ。

 

しかし現実は違った。

 

 

 

 

 

 

「お前は一部の隊員を引き連れて飛鷹島に脱出しろ(・・・・)

 

「・・・えっ?」

 

彼は困惑した。隊長や島民を捨てて逃げろと言っているだからだ。

 

「隊長!何故ですか!」

「何故とは?」

「島民を捨てて他の島に逃げろと言うのですか!?」

「ああ,そうだ。」

「自衛隊は国民を守る事が責務じゃないんですか!」

 

自衛隊の責務を捨てるという事に彼は反発した。しかしこの隊長の一言で黙る事になった。

 

「どれだけ奮戦してもこの島が落ちることは確定だ。それなら少しでも希望を残しておきたいからな。」

 

「・・・・つまり一回逃げて奪回の機会をうかがえということですか?」

「そうだ。その為には隊員を纏められる人が必要だろ?」

「それが私という事ですか。」

 

隊長は無言で頷いた。そして彼は覚悟を決めた。

 

「帰ってきたらもう一度会いましょう。」

「死亡フラグみたいなこと立てるなよw」

 

その言葉を交わして敬礼をした後,彼は司令部を飛び出した。

その様子を見ていた隊長は小さい声で囁いた。

 

計画はお前にかかってるさ(・・・・・・・・・・・・)

 

その直後,司令部はSu-33のGSh-30-1(30mm機関砲)の攻撃を受けた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

魚島は「飛鷹島に逃げろ」という命令で島へと渡れる方法である船を調達しに港へと向かっていた。

但し普通のフェリー等が泊まる民間港ではなく,漁船等が泊まっている島の南側の漁港だった。

 

その最中彼はある人物と出会った。

 

「中隊長!?」

「常盤か!」

 

魚島が出会ったのは彼の部下である常盤蒼也 2等陸尉だった。彼はレーダーサイトの爆発音を聞いて急いで準備して出てきた所だった。

よく見てみるとその後ろから多数の隊員が出てきていた。

 

「中隊長。何故ここにいるんですか?」

「・・・それは」

 

言いかけた直後,司令部の方で轟音が聞こえた。全員が司令部の方を見た。

そこにはガラスが何枚も割れ,壁にも多数の弾痕があり,司令部屋上の通信アンテナは無惨にもひん曲がっていた。

 

そして轟音の先には優雅に漆黒の空を舞うSu-33がいた。

 

「おい何があったんだ!?」

「司令部がやられたのか!?」

「隊長は!?隊長は大丈夫なのか!?」

 

隊員は非常に混乱しており,まるで訳が分からない様な雰囲気になっていた。

 

「もう・・何がどうなっているんだ・・」

 

隣の常盤も困惑している様に見える。このまま困惑したままなら奪回の機会ですら失われてしまうと判断した魚島は隊員達を諌めた。

 

「君達一回落ち着け!」

 

しかし混乱している隊員達は落ち着ける訳がなかった。この事を察した魚島は自らの懐から9mm拳銃を取り出し,上空向けて1発放った。

 

拳銃の音が響き,今まで落ち着かなかった隊員達は一瞬で落ち着いた。

 

「落ち着いたな。私はこの後飛鷹島へと渡ろうと思う。」

 

この瞬間隊員達はざわついた。

 

「中隊長!本気ですか!?」

「この島を捨てる気ですか!?」

「島民はどうするんですか!?」

 

隊員達から各種の非難を浴びながらも,彼は言った。

 

「私が島へと向かうのはただ逃げるだけじゃない。奪回の機会を伺って島を取り戻す為である。」

「・・・つまり機会が来るまで隠れるって事ですか?」

「そうだ。」

 

この発言に隊員達は黙ってしまった。

 

「この中で一緒に行きたいという者はいるか?」

 

隊員達は誰一人手を上げなかった。こんな危険な任務になんて誰も参加なんてしたくないだろう。しかしそんな中手を上げる者がいた。彼の部下常盤だった。

 

「常盤・・」

「自衛隊なんですから危険な事は覚悟してました。ですからこの任務参加させて下さい!」

 

この言葉の後に隊員達の中にも手が上がり始めた。

 

「自衛隊なんだからやってやるよ!」

「今までの訓練はこんな時の為だったんだ!」

「シ連め!今に見てろよ!」

 

約3分ぐらい経つと反対意見は一切なくなっていた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

魚島が漁港に向かうとそこには今に出港しようとしている漁船群がいた。

 

何故彼らが漁港行ったのかというと,民間港の船で向かうと時間が掛かる事ともし漁船だったら「島から脱出する島民の船」と思わせる事が出来るかもしれないからだ。

 

しかしそう思ってくれるという浅い期待の中,彼らは交渉を始めた。

 

「すいません!この船は今から出港するんですか?」

「ああ,そうだ!急いでるから話かけんな!」

「すいませんがこの船で飛鷹島まで乗せてくれませんか?」

「話聞いてなかったんか!?」

「それでも乗せて下さい!」

 

反対を受けながらも彼らは交渉を行った。そんな中交渉中だった船の船長が我々を見て叫んだ。

 

「あんた島の若い者と思ったら自衛隊の人かよ!?」

 

この言葉に周りの人々も手を止めて隊員達を見た。

 

「まさかあんた達島民捨てて逃げ出す気か!?」

「自衛隊は島守るためにあるんでねえか!?」

「この意気地無しめ!」

「はよ帰って島守れ!」

「島民はどんだけあんた達信用してたと思ったんだ!?」

 

数多く降りかかる罵倒・暴言の数々。島を捨てるという自衛隊らしかる判断に島民の怒りは爆発寸前だった。

 

「ですから我々は島を奪回するために一回脱出するんです!」

 

そんな事を魚島は言ったが島民に効果はなかった。

 

「ふざけんな!」

「はよ帰れ!」

「お前らなんかもう要らんわ!」

 

交渉決裂かと思われた時,1発の銃声が鳴り響いた。隊員・島民全員が振り向くとそこには,

 

「早く乗せないとこの銃あなた達に撃ちますよ!」

 

5.56mm機関銃(MINIMI)を持った女性隊員。月崎暦 3等陸尉だった。

 

「お,お前ら!自衛隊なのにそんな事としt」

「いいから早く準備しなさい!」

「わ,分かったからその銃を下ろしてくれ!」

 

MINIMIの銃口を向けられた船長達は慌てて出港の準備に取りかかり,それを隊員達も手伝いながら急いで船は出港した。

 

魚島の乗った船には他にも常盤等,5名の隊員が乗っていた。その中には先程活躍した月崎3尉もいた。

彼はその月崎に感謝の言葉を告げた。

 

「先程はどうもすまなかったな。」

「いえいえ。話を聞かないのなら武器を見せて黙らせた方が良いんですよ。」

「それは出来れば今回だけにして欲しいなw」

 

そんな事と話していると同じ船の常盤が質問した。

 

「ところで聞くけどそのMINIMIはどこから持って来たの?」

「この銃は基地内の保管庫から無理矢理持ってきたんですよ。」

 

この発言に二人は驚愕した。

 

「・・・・それって」

「大丈夫なの?」

 

この二人の心配発言に月崎は笑いながら言った。

 

「どうせ今混乱してるんですからばれないですよ。」

「・・・・・どうなってもしらないよ。」

 

そんな他愛な事を話していると漆黒の空から航空機の轟音が聞こえ始めた。

船の船長含め全員が空を見上げるとそこには中型の旅客機の様な機体が約6機が低空で飛んでいた。

その機体はシ連が有している輸送機 Il-76MDM(キャンディッド)だった。

 

そしてその機体の後ろの投下扉が開き,そこからパラシュートと着けた多数の兵士が降下し始めた。

 

「もう上陸がはじまったのか······」

 

魚島はそう蘭島を見ながら呟いた。




見て下さってありがとうございました。

この話が初投稿の話ですのでまだ慣れなくて,約半日かかってしまいました。

今度も宜しくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。