New Japan Fleet   作:YUKANE

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Episode.11 防衛出動

話は約1時間前の13:30分位に遡る。

 

東京都 千代田区の内閣官邸地下の危機管理センターは重苦しい空気に包まれていた。

 

「E-767撃墜に加え,306飛行隊3機被撃墜ですか・・・・」

 

現時点で306飛行隊はSu-27(フランカー) 4機撃墜するもF-15J(イーグル) 3機を失っていた。

この時今まで撃墜されたことのない“無敗の鷲“はその名を失っていた。

 

「宣戦布告もなしにここまでの被害とは・・・・・これは国連安保理に訴えましょう!!」

「副総理待ってください!! 確かに国連に訴えった方が良いですがまずは自国で解決の糸口を見つけましょうよ!!」

「官房長官! それが出来ていたら苦労はしないぞ!!」

「副総理と官房長官! どっちも落ち着いてください!!」

 

大森と大洋が言い争いを始めるが本庄が収める。

 

「副総理。まずは段階を踏んで行きましょう。我々はこの事態を国民に伝えない事にしました。

という事は早期に事を納めなければなりません。こんな場所で争っている暇はありませんよ。」

「そうですね。先程は失礼しました。」

 

副総理 大森が謝罪し,会議は再会される。

 

「しかし,どういたしますか? 現時点で小松の306飛行隊は敵部隊に圧されています。

残りの303飛行隊も増援として送りますか?」

「それでは別方面からの攻撃に対応出来ないではないか!?」

「その場合はスクランブル待機の機体が何とかするだろう。もしそれでも駄目なら百里の第7航空団からF-35JAもしくは第2機動部隊からF-35JCの増援を送って貰うしかないな。」

「しかしそれでは関東方面の防空網に穴が空いてしまう!? それに第2機動部隊からだと今度は第2機動部隊が危険に晒されてしまう!!」

「じゃあどうすればいいんですか!? 官房長官!? このままこうやって纏まらないと更に被害が拡大しますよ!!」

「皆さん落ち着いてください。防衛大臣の言う通り,まずは方針を纏めましょう。」

「申し訳ありません総理。では総理の考えをお聞きしたいのですが。」

 

大洋の要望に鈴村は一息おいて答える。

 

「まずは朱雀列島の状況を確認しなければいけません。衛星写真と偵察機の写真を使って確認しましょう。」

「総理。わざわざ偵察機を使わなくとも衛星写真だけで十分だと思います。

それこそ偵察機を送れば撃墜され,また戦死者が増えることになりますよ。」

「それについては問題ありません。RQ-4(グローバルホーク)という無人機を送り込ませます。

それならば撃墜されても人的被害は出ませんよ。」

 

RQ-4 グローバルホーク

 

アメリカ ノースロップ・グラマン製の無人偵察機で,ジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズのMQ-1(プレデター)とは違って完全なる非武装の機体だ。

 

「成る程確かにそれなら人的被害は出ませんね。」

「では防衛大臣。三沢基地の方に連絡して下さい。」

「承知しました。冠城君お願いする。」

 

冠城(かぶらぎ)と呼ばれた人物は部屋を急いで飛び出て行った。

それと入れ替わりに外務事務次官の三崎が部屋に入ってきて,安川に耳打ちする。

 

「総理。シ連大使館に交渉に言った椿島からの連絡ですが・・・・・・・シ連(奴ら)は“朱雀列島(バレリ オーストラフ)は元から我々の領土だ。今回はそれを取り返しただけだ。“の一点張りだそうです。」

「そんなのでたらめじゃないか! 何故それなら佐渡に連隊を向かわせたのだ!? 問い詰めればいいんじゃないのか!!」

「副総理。よろしいでしょうか?」

「三崎君だったな。良いぞ。」

「取り敢えず落ち着かれてみてはどうでしょうか? そんなに興奮されては冷静な判断等取れないと思われますが。」

「三崎君の言う通りだ。副総理一回外に出て,外の風に当たられてはどうかね?」

「・・・・・・・分かりました。そこまで言うのなら。」

 

そう言って副総理は部屋を退出した。退出した直後鈴村は立ち上がった。

 

「宣戦布告も無しにここまで我々はやられ,なおかつ彼方は自国正義ですか・・・・・・・防衛大臣。」

「はっ。」

 

防衛大臣・・いやこの時室内にいる人物はこれから話される発言を予想出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「内閣総理大臣として全閣僚の同意を得,防衛出動(・・・・)を自衛隊全部隊に命じます。」

 

防衛出動

 

日本に対する外部からの武力攻撃・武力攻撃の危険が生じる危険が迫る時・日本の存立が脅かされる危険が生じる際等日本を防衛する必要があると認められた場合に内閣総理大臣の命令で自衛隊が出撃する事である。

 

現時点では日本国憲法が定められてから一度も発動された事はない。

 

「ですが総理。現在第1機動部隊は米軍第7艦隊との演習中で直ぐには向かわせられませんよ。」

「確かに直ぐには向かえませんね。ですがこれは“海上警備行動“の粋を越えています。

我々日本はシ連が戦争を挑みに来た(・・・・・・・・)と判断しなければなりません。

ならば我々は戦争を行う覚悟で挑まなければなりませんよ。」

「守る為の戦いですか・・・・」

 

守る為の戦争・・・・・・・しかしその様な理由で戦争が始まることが少なくなかった。

再び太平洋戦争の様な悲劇が起きるのではないだろうか。その様な不安が一部の人物の頭を過っていた。

 

「総理! 各自衛隊の幕僚長が到着しました!」

 

本庄の言葉と共に危機管理センターのドアが開き,3人の人物が入ってくる。

3人はそれぞれ各自衛隊のトップである 幕僚長だ。

 

「こんなお忙しい中お呼びして申し訳ございません。私達 日本政府は“防衛出動“を命じようと思います。各自衛隊はどう動くかを教えてもらえないでしょうか?」

「わかりました総理。では陸上自衛隊から話させてもらいます。」

 

陸上幕僚長 周防憲司は話し出した。

 

「発動後は全駐屯地に待機命令を出します。なお習志野の第一空挺団と特殊作戦群 相浦の水陸機動団 宇都宮の中央即応連隊(CRR)に関しましては現在召集をかけています。

及び北海道の第7師団は,シ連が上陸してきた際の迎撃体制の構築を行っています。」

「ええ,宜しいです。特に水陸機動団は舞鶴港の方に移動をお願いします。」

「分かりました。ですが水陸機動団はヘリを持っていないので第8飛行隊のヘリを借りるので時間がかかりますが宜しいですか?」

「構いません。移動出来れば良いのですから。航空自衛隊の方はどうですか?」

 

航空幕僚長 葛城武功は答えだす。

 

「こちらも全基地にスクランブル待機を命じ,万が一に備えて高射群も待機させました。」

「分かりました。特に高射群に関しましては即発射可能な状態にしといてください。」

「分かってます。いつシ連の弾道ミサイル(ICBM)が飛んでくるか分かりませんので。」

「そうですか。海上自衛隊の方はどうですか?」

 

海上幕僚長 藤崎忠敬は答えだす。

 

「佐世保の第3機動部隊に尖閣方面へ,大湊の第5護衛艦隊は津軽海峡方面へ出撃させました。横須賀の第6護衛艦隊は東京湾の警戒にあたります。

それに加え,大湊の第3潜水艦群(・・・・・・)もシ連本土方面へ出撃させました。なお呉の第1輸送隊も何処へでも出航可能です。」

亡霊艦隊(ファントムフリート)を出撃させたのか・・」

 

亡霊艦隊・・・・それが第3潜水艦群の俗称だった。

 

「あの艦隊はシ連艦隊向けの艦隊です。ここで出さなかったら折角買った(・・・)意味が無くなりますもの。」

「懐かしいですね4年前の購入(・・)の際は内閣不信任決議が出るまで荒れましたからねぇ。」

「その際は大変ご迷惑をおかけしました。」

「いえいえ4年も前の話です。それよりも話の続きを。」

「はっ,先程の艦隊に加えて八戸・館山・厚木・舞鶴・小松島・鹿屋・那覇の航空隊はシ連潜水艦警戒の為に哨戒任務につき,岩国のEP-3も日本海近海を飛行し,情報を集めています。」

 

EP-3

 

それはP-3Cの電子戦データ収集機であって,胴体前面下面・胴体上面にレドームを搭載し,電子戦に関する様々なデータを収集する重要な機体で,その内部は国家機密レベルとされている。

 

「EP-3は電子戦の機体でしたよね? 確か偵察写真の機体もいたと思うのですがそれに関してはどうなってますか?」

「OP-3Cの事ですね。その機体も岩国の第31航空群にて待機しております。」

 

OP-3C

 

EP-3Cと同じく胴体前部下面にレドームを搭載し,側方画像監視レーダー(SLAR)長距離監視レーダー(LOROP)を装備している画像データ収集機だ。

 

「総理。アメリカにはどの様に伝えますか?」

「私が大統領と電話会談します。及び中国にも接触してください。何か聞き出せるかも知れませんので。」

「分かりました。三崎連絡してくれ!」

 

三崎は安川及び鈴村に会釈すると部屋を飛び出していった。

 

「ではここで一旦休憩をとりましょう。14時になりましたらまた再会しましょう!」

 

事実上の休憩となり,危機管理センターから多数の人々がドアを開けて外へ向かう。

煙草を吸いに・飲み物を買いに・家族に電話をしに様々な理由はあれど皆休憩時間を思いのままに過ごそうとしていた。

 

鈴村も外の空気を吸いに部屋(危機管理センター)を後にする。

その際に栃木の隣を通った鈴村は耳元で囁いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白鳥(・・)を横田の方に向かわせて下さい。」

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

私 本庄香月は今自販機で缶コーヒーを選んでいる。

 

約10時間位部屋(危機管理センター)に閉じ籠ってた為にもう体が悲鳴をあげそうだ。

その体を強制的だが起こすために缶コーヒーを飲もうという策略だ。

 

しかし思わぬ難敵 種類選びが立ち塞がった。

 

ここはストレートにブラックが良いのか? それともミルクが混じった優しいカフェオレか? いやここは案外選ばないエスプレッs

 

「早く選んで下さい。ずっと待っているんですけれど。」

 

後ろからのいきなりの発言に慌てて振り向く。そこにはさっき外務省に連絡すべく飛び出していった三崎が手を組ながら立っていた。

 

「三崎外務事務次官!? さっき電話しに行ったはずでは!?」

「それは既に終わりました。それよりも早く決めて下さい。もう3分ぐらい並んでいるのですが。」

 

3分間もあんな恥ずかしい事を見られていたとは・・・・・あぁ穴があったら飛び込みたい気分だ。

取り敢えず三崎さんは額に怒りマークが見えそうな位怒ってるから急いでブラックコーヒーを選んで離脱しよう。

 

私が自販機で前から去ると三崎さんは素早く紅茶を選び,私の側に寄ってくる。

 

「遂に始まってしまいますね。」

「朱雀列島での戦いですか?」

「それ以外何が始まるというのですか?」

 

こうやって話して見るとやっぱり三崎さんって他の人と何かが違うと思う。

彼女は24歳の最年少で外務事務次官になった本当のエリートだ。だがそれ故に一部の政府関係者からは評判が良くないとか。

 

「この国は一回全てを失い,そしてもう一回作り直された。

2度と国を失わないために。

だけど今その定義は崩れています。80年ぶりとも言える戦争によってこの国は何かを失うでしょう。」

「・・・私には言っている意味があまり分かりませんが,これから始まるのは“日本の領土を守る戦い“です。言ってしまえば“失った物を取り返す戦い“ですが。」

「・・・・・・・・・やっぱりこの国は反省していませんね。」

 

何かとてもシリアスな話になってきた・・・・・・やっぱり天才って何処かが壊れているのかな?

 

「約80年前 自国存続の為としてアメリカと英国に宣戦布告した日本。ですが自国存続と言いながら逆に自国を滅ぼした。

そして今,世界で5本の指に入るぐらいの強国 シベリア連邦と戦いを知らない国 日本が戦えばどっちが勝つかは明確でしょう。」

「だけど日露戦争という前例が」

「あれは本当に偶然が重なって勝てただけです。本当なら敗北していたでしょう。

あそこでもし負けていたら日本(この国)も変わったと思いますがね。」

 

一体なんなんだろうこの人は。日本を滅ぼしたいのか? それとも日本(この国)を救いたいのか?

まるで読めない感情に困惑しているとあっちが私が考えていた事を話し出した。

 

「私の考えている事が読めないと思ってるでしょう。私はただ“日本を戦争という悪夢から覚ましたい“だけですよ。」

 

そう言って飲み終わった紅茶のペットボトルを自販機の隣のゴミ箱に捨てて去っていった。

 

私は本当にあの人が分からない。

 

だけど1個だけ確信出来た。

 

 

 

 

 

あの人には裏があるという事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ,大丈夫ですよ。私の存在はバレていません。日本は“防衛出動“を決めました。

あなた方の行動も第2段階に移るべきです。それでは。」

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