New Japan Fleet   作:YUKANE

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Episode.13 迎撃

第2機動部隊とシ連機との戦いが開幕しようとしている頃,OREjournalの編集長室では荻窪大介がパソコンと向き合っていた。

 

「美保からC-2離陸・第3機動部隊に第5護衛艦隊がいきなり出港・小松から実弾装備のF-15Jが10機離陸・・・・・・・こんな事態は今まで一度もなかった。つまり今までにない何かが起こっているのか。」

 

彼のパソコンの画面にはネットにかかれた自衛隊の情報が写されていた。

普段とは違う様子の自衛隊に違和感を覚える人が多かったのが彼にとって幸いだった。

 

「政府は何かを隠蔽しているが,人々は気づき始めているぞ。」

 

正しく日本国民は気づき始めていた。朱雀列島との連絡不通からの自衛隊の不審な行動に疑問を持つ人々がネットで様々な意見を飛ばしていたのだった。

 

そこへ取材に出ていた瀧川と木戸が帰ってきた。

 

 

「編集長。取材から帰ってきました!」

「おお,2人とも一緒に帰ってくるとは。もしかして2人一緒に調べていたのか?」

「いえ,ちょうど帰ってきたのが同じだっただけですよ。」

「そうか。瀧川は何か分かったのか?」

 

瀧川は肩掛けカバンからあり得ない位に沢山の写真とメモを取り出した。

流石の量に2人も引き気味になった。

 

「私は3時間程内閣府前で張り込んでいたのですが,人や公用車の動きが桁違いでした。

そして車の動きを様々な方法で追跡したのですが,ほとんどが外務省・防衛省そしてシ連・中国大使館へと向かってました。」

「様々な方法?」

「実際に追跡もしましたし,他に張り込んでいた記者同士でも連絡を取り合って確認しました。」

 

瀧川の報告に荻窪は疑問を抱き,質問した。

 

「瀧川。シ連と中国の大使館ではどっちが多かった?」

「圧倒的にシ連大使館でした。」

「成る程・・・・どうやらシ連が絡んでいるのは間違いないみたいだな。

木戸はどうだ?」

 

木戸もリュックから写真を取り出す。

 

「横須賀基地も慌てたように動いていました。それとネット情報ですが,各基地からあわただしく哨戒機が離陸していったようです。」

「哨戒機・・・・・・潜水艦対策か。米軍の様子はどうだった?」

「近隣住民によると,“今日になって急に騒がしくなった“との事です。」

 

その時,パソコンに通知が入る。荻窪は通知の内容を確認すると興奮気味に話し出した。

 

「面白い情報が入ったぞ! 見ろ! これが何か分かるか?」

「これって・・・・・・・パトリオットですか?」

 

パトリオット

 

アメリカ陸軍が開発した地対空ミサイルだ。日本は弾道ミサイルに対する備えとして,1985年からライセンス生産されており,航空自衛隊 高射群に配備されている。

 

この兵器が動いたという事はICBMが飛んでくる(・・・・・・・・・・)かもしれないという事なのだ。

 

「シ連はRT-2PM(シックル)RT-2PM2(シックルB)RS-28(サタンB)

中国はDF-5(東風5)DF-31(東風31)DF-41(東風41)を持っている何か動かしてくるかもしれないな。」

 

荻窪の独り言に瀧川と木戸は顔を見合せ,おどおどしながら質問した。

 

「編集長・・・・・・・・今までずっと思っていたのですが,なんで兵器事情に詳しいのですか?」

 

実はこの男 大の軍事マニアなのだ。自衛隊・米軍・シ連軍挙げ句の果てには北朝鮮軍など様々な軍の情報を知っており,国内だけでなく外国の基地公開等に行くなど,その熱意は本物だ。

その結果,自衛隊と米軍の広報に顔を知られているのは余談だ。

 

だがこのOREjournalでは全くその一面を見せていないので,この事を社員達は知らない。

 

「ともかく,ICBMを持っているのはシ連と中国と北朝鮮だが,北は日本と事を構えたくないだろう。

それにシ連と北朝鮮は仲が悪い(・・・・)からな。」

シ連(あの国)真意(・・)を唯一見抜いたのが北朝鮮でしたからね。」

 

シ連と北朝鮮の話は後にするとして,荻窪は情報を纏め始めた。

 

「今までの情報から推測すると・・・・・・・日本はシ連と戦いを始めたのかも知れないな。」

「朱雀列島の件・不審な自衛隊・・・・・辻褄が合います!」

「ですが編集長!!」

「ああ,分かっている。真の問題はそこじゃない。未だに政府が何にも話していない(・・・・・・・・・・・・)事だ。」

 

その通りだ。彼らが今まで話していたのはあくまで推測でしかない。

政府からの発表は“朱雀列島の電話塔故障による通信不能“のみであった。

だがそれでは何故急に自衛隊が動き出したのか矛盾が発生してしまう。

その矛盾がなんなのかを探した結果この考えに至ったのだ。

 

荻窪は椅子を回し,窓から下の道路を見つめながら,呟いた。

 

「だが1つだけ言えるとしたら。もしこの事が発表されたら,国民の怒りという火はそうは消えなくなるぞ。」

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「敵機4機接近中!! 距離33km!!」

 

追尾担当士官の叫びがCICに響き渡る。室内には緊張が高まる。

桐島と水上の顔にも緊張が漂っている。

 

「艦長。奴等のミサイルの射程にはとっくに入っている。なのに何故撃ってこないんですか!?」

 

水上が桐島に疑問を言った。戦場における疑問は自分の命を失いかけないからだ。

 

「恐らく段階的に撃ってくる。一気に来るより何回かに別れて来る方が効果は高い!

・・・・・・もしかしてだが,我々を引き付けたいのではないのか?」

「しかし,仮にそうだとしても一体何から引き付けたいのでしょうか?」

「それは敵にしか分からないさ。」

 

2人の話に砲雷長も加わってくる。

 

「艦長。本艦も全火器の使用は可能です!!」

「砲雷長。防衛は頼むぞ。」

「応急工作員も万全の体制だと言ってました。」

「鷲尾の兄か?」

 

“鷲尾の兄“とは「あまぎ」応急長の鷲尾颯太の事だ。兄と言うのだから勿論弟もいる。

弟については後で語ることにしよう。

 

「えぇ,「この命に変えても船を沈めません。」と言ってましたよ。」

「一回の被害毎にそう言わないで貰いたいがな。」

 

そんな話を遮る様に敵は仕掛けてきた。

 

「敵機ミサイル発射!!」

「数と方向は!?」

「計4発!! 「かつらぎ」に向かっていきます!!」

「「あそ」ESSM(シースパロー)発射!!」

 

輪形陣の左端の「あそ」から4発のESSM(シースパロー)が放たれる。

4発のミサイル同士は艦隊の10km先にて交錯し,消滅する。

 

「全発撃墜!!」

 

CIC内に歓声が起きる。だが桐島はそれを抑えた。

 

「油断するな。次は本艦に来るぞ!!」

 

その直後狙ったかのようにCIC内にブザー音が鳴り響く。

 

「敵機からレーダー波照射!!」

「来るぞ!!」

 

艦隊に隙を与える暇なく,4発のkh-35(AS-20)が放たれた。

 

「敵機ミサイル発射!! 4発本艦に向かってきます!!」

 

桐島は即座に無線機を取って連絡する。

 

「「はつづき」・「しもつき」にESSM(シースパロー)の発射を!!」

『こちら「はつづき」了解!!』

『「しもつき」了解!!』

 

「はつづき」と「しもつき」のMk.41 VLSからRIM-162(ESSM)が2発ずつ放たれる。

 

4発のESSMはKh-35と交差し,その光点が消えた。

 

「敵ミサイル全発げき・・・・・」

 

レーダー士官は喜びの報告をするが,その喜びは一瞬で消える。実戦はそんなに甘くなかった。

 

「残った1基が本艦に向かってきます!!」

20mm機関砲(CIWS)迎撃開始(コントロールオープン)!!」

 

宇津木の合図と共に右舷前方に設置されている2基の20mm機関砲(ファランクス)の1基が火を吹き始める。

毎秒50~70発の連射速度で,放たれたM51通常弾はKh-35に多数あたり,衝突直前爆発した。

 

100mも離れていない距離で爆発したため,爆風がもろに艦に直撃し,艦は揺れた。

 

「うおぉ! やはりなかなか揺れるな。」

「艦の被害は!?」

「現在把握中です! ですが直撃していませんので,死者は出てないと思います。」

 

CICの隊員の報告は水上は激しく過度に反応した。

 

「直撃していなから死者が出ていない!? そんな戯言は戦場に通用しないぞ!!

戦いでは何が起きるか分からない! 一体どういう形で死ぬかは分からない!!

私自ら艦内を見て確認する!! 艦長。CICをお願いします!」

 

そう言って水上はCICを飛び出していく。彼が出ていくと隊員達がざわつき出した。

 

「船務長があんなに怒鳴るなんて初めて見た・・・・・・」

「噂には聞いていたが本物は凄いな・・・・」

 

そんな話に宇津木が合いの手を入れる。

 

「君達の噂というのは“船務長の覚醒“の話か?」

「はいそうです。砲雷長知っているのですか?」

「私はあの人の後輩だぞ。知ってるもなにも体験したのだから。」

 

宇津木の話に室内から「すげぇな・・」・「一体何をしたんだ・・」・「俺に聞かれても・・」なんて声が聞こえてくる。

 

そんな室内でも桐島はただ黙ってディスプレイをみつめていた。

 

「追尾担当士官。確か敵編隊は7機だったはずだが,この海域には6機しか来ていない。

残りの1機はどこに行ったんだ(・・・・・・・・・・・・・・)?」

「えっ・・・・・・・」

 

追尾担当士官が驚愕する。確かにそうだ。

E-2(ホークアイ)からの連絡では敵機は艦隊からの6機に飛鷹島からの1機を加えた7機で来ていたはずだ。

しかしクレイン隊が接敵した時には既に6機になっていた。

 

じゃあその1機は何処へ行ったのだ?

 

「別方向から仕掛けてくる可能性がある! 絶対に見つけてくれ!!」

「分かりました!!」

 

士官は急いで捜索しだす。そして

 

「み,見つけました!!」

 

追尾担当士官の指先には,たった1機で飛んでいる光点が写っていた。

これこそあの消えた1機だと桐島は確信した。

 

「成る程。こいつから目を逸らしたかったんですね。」

「そうみたいだな。だが何をしたいんだ?」

 

その機体は艦隊に向かって飛んでおらず,逆の本州方面へと飛んでいた。

CICの隊員達は何処へ向かって飛んでいるのかさっぱり分からなかった。

 

しかし,桐島はあることに気がついた。その機体の進行方向を指で予想しだした。

そしてある場所にたどり着く。桐島の顔は真っ青に変わる。

 

「まさか・・・・・・・・・・・まずい!!」

 

桐島のただならぬ様子に宇津木が対応した。

 

「あの機体の行き先が分かった・・・・・・・」

「あの機体は何処へ向かうのですが!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「航空自衛隊小松基地だ!!」




読んで下さってありがとうございます。

今回は内容が内容ですので少なくなりました。
因みに小松に向かっている機体ですが,Su-33・35・57ではございませんので,そこは次回をお楽しみに。

余談ですが今度新作を連載しようと思いますので,宜しくお願いします。
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