New Japan Fleet   作:YUKANE

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Episode.14 小松の空

小松基地内のある部屋。ここには第303飛行隊(ファイティング・ドラゴンズ)のパイロット達がアラート勤務(スクランブル待機)していた。

 

パイロット達は雑談・スマホ・テレビ・トランプ等で暇を潰していた。

 

ここから北東に行った場所ではさっきまで戦いが発生していたにも関わらず,ここではいつも通りの日常が続いていた。

 

しかし,その日常も一瞬にして消える。

 

突如として室内にアラート音が響き渡る。スクランブル発進の合図だ。

 

待機していたパイロット達は直ぐ様格納庫へと急行する。木更津現和のその中の1人だ。

 

木更津が格納庫につくと,既に乗機のF-15Jには04式が4発搭載されていた。

彼は直ぐ様コックピット脇のタラップを上り,コックピットへと乗り込む。

 

エンジンを始動し,ミサイルの安全ピンを抜き,レーダーON等の確認を行い,木更津の機体は出撃準備を整えた。

格納庫(ハンガー)からエプロンへと機体が出ると,管制官からの通信が入ってくる。

 

『敵機は基地までもう70kmを切った!! 絶対に小松の上空に入られる前に落とせ(・・・・・・・・・・・・・・・)!!』

『聞いたか? 分かっているだろうがこの小松の空には入れさせるな!!行くぞ!!』

「Pigeon2 了解(ラジャー)!」

 

Pigeon1以下2機はランウェイ06へとタキシングする。木更津がふと脇を見ると,誘導路の隣にトーイングカーに牽引された日本トランスオーシャン航空(JTA)の旅客機が止まっていた。

 

「Pigeon2よりPigeon1へ。時間的には定期便の小松→那覇便が離陸する筈ですが,それに関しては大丈夫ですか?」

『Pigeon1よりPigeon2へ。それに関しては問題ない。管制員がしっかり取ってくれるそうだ。

それにここはスクランブルが多いんだ。客だって仕方ないと思うさ。』

 

小松基地は日本海に2つ(・・)しかない戦闘機配備基地かつ,シ連機の領空侵犯には飛鷹島基地の第311飛行隊と共に向かうことがあるため,那覇・千歳と並びスクランブルが多い基地の1つだ。

 

スクランブルがかかったのなら旅客機は待っていなければならないので遅れが発生してしまうが仕方ないだろう。

 

ある小松が舞台の作品では「譲り合って使う」と言ってたが,そんなこと出来るんですかね?

 

『Pigeon2 Cleared for takeoff(離陸を許可する)!! 』

「Pigeon2 了解(ラジャー)!!」

 

2機のF-15J(イーグル)はランウェイ06を離陸し,敵機の方へと機首を向けた。

 

Pigeon2の捜索レーダーには1個の光点が写っていたが,彼らの視界には一切見ることが出来なかった。

 

「Pigeon2からPigeon1へ。敵機を視認出来ません! 虚偽報告(ゴースト)ではないんですか!? 以上(オーバー)!」

『Pigeon1からPigeon2へ。それは無い筈だ! もし上にいなかったら下を見ろ!! 以上(オーバー)!』

 

通信が切れると直ぐ様Pigeon2は180°回転する。木更津が目を開けた瞬間,光点の正体を発見した。

 

「いた!! Pigeon2よりPigeon1へ! 敵機は海面スレスレを飛んでいる!! 以上(オーバー)

 

その機体は水面ギリギリの高さで,小松の街へと飛んでいた。

 

特徴的なキャノピーでまるでカモノハシの様な機首をした機体を彼は知っていた。

 

「Su-34・・・・・・・・・」

 

Su-34 NATOコードネーム フルバック

 

Su-27を改造発展させた戦闘爆撃機で,Su-24(フェンサー)の後継機として開発された。

この機体はカナード翼等Su-27との違いが各所に見られるが,一番の特徴は並列座席のコックピットだろう。

世界中の軍用機を見ても,あの様な形をしたキャノピーはないだろう。

 

今そのSu-34は海面スレスレを上手に飛び,小松の街へと向かっていた。

 

『奴はSu-34(フルバック)だったか・・・・全機絶対に入れさせるな!! 以上(オーバー)

「奴を小松の空に入れてたまるか!!」

 

Pigeon1は操縦桿を右に切り,機体を右旋回させる。Pigeon1はSu-34の正面へと向き合う。どうやら正面から阻止する様だ。

 

翼の根元に装備されたJM61A1 20mmバルカン砲が火を吹き,20mm口径弾がSu-34へと向かう。

 

だがSu-34はそれを読んでいたかの様にフラップを操作し,エンジンの出力を上げて,上空へと舞い上がる。

 

しかし,その機体の先にはPigeon2が既に待機していて,Su-34へと向かってくる。

 

こちらもPigeon1と同じく20mmバルカン砲を放つ。しかし木更津は機体の動きに驚愕した。

 

シ連機名物 変態機動だ。

 

Su-34はまるでエンジンの火が消えたように失速する。しかしそれでも機体はバランスを保ったまま高度を下げていった。

 

普通ならここで失速したまま墜落するのだがシ連機は違う。なんと再び体制を戻し,加速しだした。

 

一言で言うなら「あり得ない・・・・・」だろう。

 

(敵前であんな飛び方・・・・・・・パイロットは正気か!?)

 

攻撃を交わされた木更津は直ぐ様追いかけるべく体制を立て直そうとしたが,彼は気づいた。

 

(このまま行ってしまえば海に突っ込む!!)

 

直ぐ様操縦桿を引き,機首を上にあげる。F-15Jのエンジンの排気で海の水が舞い上がり,キャノピーにも水滴が何滴も着き出す。

 

そのままPigeon2は上空へと上昇する。横を見るとPigeon1も同じく並んでいた。

 

だが忘れていないだろうか? Su-34はどこに行ったのだ?

 

捜索レーダーを見ると,Pigeon2の直線上にSu-34を示す光点が写っていた。

そしてその光点の下には・・・・・・・

 

「入られた・・・・・・・」

 

小松の街が広がっていた。

 

彼らが何故小松の町に入られる前に落とそうと懸命になっていた理由を教えよう。

 

もし街の上空に侵入機が入っても撃墜する事は無論可能だ。しかしその場合確実に撃墜した機体の部品,もしくは機体そのものが街に落下してくる可能性がある。

 

それによって怪我人もしくは死者が出たとなれば大問題である。

そもそも上空に入られた事も大問題だが・・・

 

実際にも1964年の町田米軍機墜落事故や1977年の横浜米軍機墜落事件では地上に墜落したことによる死者が発生しており,この前例から考えれば街上空で落とそうとはしないだろう。

 

つまり自衛隊はSu-34(・・・・)を落とす事が不能(・・・・・・・・)になったのだ。

 

落とす事が不可能になったが,この状況でもパイロット達は諦めなかった。

 

まずは街上空から追い出すことを実行しだした。Pigeon1.2がSu-34の後方につくが,シ連機特有の機動性に圧倒されていた。

 

(頼む! どうかその空から去ってくれ!!)

 

だが彼の思いはあっさりと裏切られる。

 

Su-34は4発のもKh-55(ケント)を放った。

 

即座に地上に配備されていた味方航空施設防衛機関砲(VADS)のM128 20mm機関砲がミサイルに火を吹くが,マッハ0.5近い速度で迫ってくるのを捉える事は不可能だった。

 

4発のミサイルは糸に繋がっているかのように,小松空港の滑走路に命中した。

 

滑走路に4つの盛大な爆炎が起こり,アスファルトが舞い上がる。

爆炎は消え始めるが黒煙が多数発生し,黒煙の隙間からは滑走路には着弾時に出来たクレーターがその姿を表していた。

 

たった一瞬にして小松基地はその機能を失った。

 

小松基地が使用不能になった。これはつまり,日本海に戦闘機を飛ばせる基地がなくなった(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)ということである。

 

ということはシ連機を迎え撃つ事も,朱雀列島のシ連軍を攻撃する事も,第2機動部隊を援護する事が不可能になったのだ。

 

だが百里の第3飛行隊や築城の第6・第8飛行隊を飛ばせば出来ないこともないが,そもそも時間がかかってしまい間に合わない可能性がある事と,それぞれ“首都圏防衛“・“九州の防衛“という重要な役割を担っているので実質無理だと言えよう。

 

その引き金を引いたSu-34は悠然と飛鷹島への帰路についたが,自衛隊がそれを見逃す訳がなかった。

 

VADSと同じく基地に配備されていた基地防空用地対空誘導弾が放たれた。

 

Su-34は直ぐ様チャフとフレアを巻こうとしたが,近すぎた。

 

2発がSu-34のリューリカ=サトゥールン AL-31F-M1エンジンに命中した。命中した部分からは黒煙が上がり,隙間からは火が燃え上がっていた。

 

機体はバランスを崩しながら,小松沿岸に墜落した。

 

「敵機小松沿岸に墜落!! パイロットはどちらも脱出した模様!! 以上(オーバー)!!」

『了解した!! 直ぐ様救難隊のUH-60J(ロクマル)を・・・って飛ばせないな!?

おい早く救助のヘリか船を手配しろ!!』

 

管制員達が困惑しているなか木更津は先程小松→那覇のJTAが離陸しようとしていたのを思い出した。

 

直ぐ様右旋回しながら機体を確認する。黒煙に阻まれてしっかりと捉える事が出来ないが,隙間から純白に塗られている機体の姿をチラチラと確認できる。

 

JTAの機体は誘導路にいる状態だった。爆発をスレスレでかわせたようだった。機体の乗客は脱出用スライドで脱出していたが,空から見ても乗客が混乱している様子が伺える。

 

それもそのはず,これから那覇に行こうとしたらいきなり滑走路が爆発したからだ。

乗客達は燃え上がる炎から逃げようとしているが,今の状況が信じられないという人も多くいた。

 

そしてその様な事態は空港内や小松の街でも発生していた。

 

いきなり轟音と共に自衛隊機では無い機体が上空を飛び,その機体から何かが発射され,その直後小松空港から爆発の轟音が響き渡り,それにつられて見た人達は滑走路から黒煙が立ち上がっているのをしっかりと目に焼き付けていた。

 

その様子を人々はスマホで撮影し,次々とネットへと上げ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして日本国民は今までに無い事態が発生していると知ることになった。




今話も読んでくださってありがとうございます。

同じく連載している「ありふれた世界とありふれた仮面ライダー」の方が話少ないのに人気がこれよりも高いんですよね。

やっぱりオリジナル作品って難しいですね。

ですけど二次創作とは違って自分がやりたい事だけをやれるのがオリジナルの良さですかね?

前回書いた機体についてですがまさかのSu-34でしたww
・・・・・・そもそも考えた人なんているわけありませんねww
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