New Japan Fleet   作:YUKANE

17 / 57
Episode.16 次段階

「明日のニュースはとても荒れますね。」

「炎上どころじゃないですよ。もう爆発と言っても問題ない位です。」

 

会見場を後にした鈴村は危機管理センターに戻りながら,独り言を呟くと本庄が言葉を返した。

事実各放送局が番組を急遽取り止めて報道特番を組んでおり,新聞社も号外を街中で配り始め,国民に確実に情報が伝わり始めたのだった。

 

しかし配られた情報はテレビ局や新聞社によって何らかの脚色がされており,国民一人一人の解釈もあって現在ネットは今までに無いぐらいに火が燃え上がっていた。

 

事実これは政府が公表しなかった事もあるが,日本にとって最悪のタイミングでの小松基地空襲,これではまるでシ連に嵌められた(・・・・・・・・)ようだった。

 

「今の我々の最大の課題は戦いを終わらせる(火を消す)事です。

もしここで勝利()ではなく敗北()を注いでしまったらそれは日本の崩壊を意味します。」

 

そう言うと鈴村は危機管理センターの扉を開けて室内に入った。危機管理センターは様々な言葉が飛び交っており,混乱していた。

総理が帰ってきたと分かると各所から悲鳴とも言える報告が入った。

 

「総理! 経済産業省の連絡によると,各百貨店・量販店・スーパーマーケット・コンビニ等で多数の買い占めが発生しており,トラブルが発生しているとの事です!!

また買い占めた物の転売も相次いでいるとの事です!」

「国土交通省によると東海道・山陽・九州・東北・北海道・上越・北陸・山形・秋田各新幹線に乗客が殺到し大規模な混乱が発生しており,東北・東名・新東名・関越・中央各高速道路でも各所で渋滞が発生し,事故も多発しているとのことです!!

また国際線・国内線問わず空港と港にも殺到しているそうです!!」

「外務省も各国から連絡が入っており,担当の役員が対応にあたっていますが数が多いために追い付いていないとの事です!!」

「・・・・・・・・・予想通りですか。」

 

鈴村は会見によって国内が混乱するのをゆうに予想できた。ダムがたった1ヶ所の水漏れで崩壊する用に混乱した人々が更に混乱するのは容易だった。

 

「総理! 官邸前でデモ隊が集まっているとの事です!」

「放って置きなさい! 今は構っている暇はありません!」

 

また政府役員が急いでデモ発生を報告するが,総理は無視するように言った。

 

「総理いいのですか!?」

「そんな物に構っていれば貴重な勝利へのタイミングを逃してしまいます。

それによって日本が崩壊なんていう喜劇は誰も望んでいません。」

 

デモ隊に対処していた結果朱雀列島を完全に奪われ,シ連が上陸して国を奪われるなんておとぎ話にも無い事だ。そんな事が起きてしまえばの日本・・・・いや世界1の無能総理として受け継がれる事になるだろう。

 

そこへ急ぎながら榑木渉(くれきわたる)がやって来た。彼はここでは語られていないが,朱雀列島奪還に向けて編成された朱雀列島奪還陸海空統合任務部隊(JTF)から情報連絡の為にやって来たのだった。

 

「申し訳ありません。国会前が渋滞していたもので。」

「大丈夫だ。こんな状況だからな。」

 

渋滞によって予定より10分位遅れてしまった為に急いで謝罪する榑木を栃木防衛大臣が宥めた。

 

「例え遅れても情報が伝われば良いんですよ。では榑木二佐。作戦内容の説明を。」

 

榑木が危機管理センター(ここ)にやって来た理由はJTFの作戦説明の為であった。日本は朱雀列島の早期奪還を望んでいる。それに答える為にJTFは作戦を立案したのだ。

 

榑木は持ってきたノートパソコンを操作して画面を朱雀列島近海の地図に変えると,同じく持ってきたレーザーポインターで指しながら説明しだした。

 

「まず第2機動部隊より陽動の攻撃隊を出撃させ,築館・多千穂双方を奇襲します。陽動隊によって敵が引き付けられている隙に入間より離陸したC-2 3機によって特殊作戦群1中隊を降下させます。

降下させた特殊作戦群は飛鷹島の飛鷹島空港及び基地を使用不能にします。」

 

説明が終わると各所から“おぉ!“と歓声が上がった。中には明らかに顔をニヤリとさせていた。

 

そんな中大洋官房長官が手を上げた。

 

「質問を宜しいかね?」

「はい大洋官房長官勿論です。」

「では,なぜその2島が標的なんだ? 敵に大きくダメージを与えるには蘭島と飛鷹島の方が良いと思われるが。」

「飛鷹島にはSu-27と思われる戦闘機が10機程配備させており,尚且つ両島には各種防空兵器が多数配置されています。こんな場所に攻撃隊を突入させれば撃墜は免れないとされました。

その為にヘリしか配備されていない築館島とコンビナートがある多千穂島に攻撃を行う事で最低限の被害で敵を引き付ける事にしました。

何よりこの攻撃は陽動ですので,敵を引き付けられれば成功です。ダメージは大きい方が良いですが,小さくても良いのです。」

 

その答えに大洋は納得し,「そうだな」と言った。すると安川 外務大臣の隣にいた三崎が手を上げた。

 

「がやから失礼します。特殊作戦群によって飛行場破壊とありますが,ちゃんと破壊出来る装備があるのですか?」

「それについては安心してください。特殊作戦群と共に,82式通信指揮車 1両・カールグスタフ(84mm無反動砲) 3基・パンツァーファウスト3(110mm個人携帯対戦車弾) 3門。そして16式機動戦闘車(・・・・・・・)を降下させます。

なお対空用として91式携帯地対空誘導弾(P-SAM)も下ろします。」

 

16式という単語に再び“おぉ!!“という歓声が上がった。16式という読者全員が分かっていると思うが,日本初の装輪装甲車 16式機動戦闘車だ。

採用されてから8年程たつが,74式戦車を駆逐して現在も自衛隊の主力車両として君臨していた。

 

特殊作戦群は16式の装輪による機動性と市街戦などに有効であるとして機甲教導連隊より借り受けて訓練していたのを飛鷹島攻撃に使用するのだ。

 

なお実際の特殊作戦群が市街戦を想定しているかは分からないので,そこへのマジレスは勘弁してください。

 

話が逸れたが人々のざわつきが収まるのを待ってから再び話し出した。

 

「特殊作戦群降下完了を持って作戦の第1段階を終了とします。

第2段階は舞鶴港へと向かっている第1輸送隊に水陸機動団員を乗せ,築館島に上陸させ島を奪還します。

もし作戦が計画通り進むのであれば同じ頃に飛鷹島の飛行場を破壊出来ていると思われます。

シ連が航空基地能力を失ったと判断されたら,第2機動部隊による空襲を決行。敵指揮系統を寸断します。

指揮系統の壊滅を持ってして空挺団を降下させ,蘭島を奪還します。」

 

2段階の上陸作戦によって各島を確実に制圧する。たった数時間でこの規模の作戦を立案したJTFには歓声が上がる。ここにいる半分の人間は“これはいける!“,“シ連め! 遺書でも書いて待ってろ!“ともう勝った様な発言をしていたのだった。

 

そんな中音次経済産業大臣が手を上げて,質問した。

 

「私は軍事に関してはあまり詳しく分からないのだが,航空基地能力を失ったとあるが,その基準はどのくらいだね?」

「基準としては“滑走路が破壊されていること“,“機体の3分の1が破壊された“の2つが揃ったらと決められました。」

「滑走路破壊と機体の3分の1は求めすぎと言いたいですが,片方だけでは制空権を取れない可能性がありますからね。仕方ありませんね。」

 

鈴村の言うとおり特殊作戦群1中隊 100名で尚且つ短時間で滑走路と機体の2つの目標を破壊しなければいけないという過大すぎる要求だが,どちらかが残ってしまえば今後の作戦に多大な影響を与えるために確実に使用不能にするためには仕方ないのだった。

 

「もし作戦のどれかが失敗した場合はどういたすのですか?」

「その場合はその時点で作戦中止とします。もしそうなった場合は航空自衛隊と第2機動部隊の全戦力を持ってして数で押す作戦となります。」

「ちょっと待てくれ!? もしかしてだが失敗した場合を想定していないのか!!」

「言ってしまえばそうです。」

 

榑木のストレートな言葉に室内はざわついた。そのざわつきの中,鈴村が呟いた。

 

「戦争というのは数での戦いでもあります。それに第二次世界大戦はいわば数での戦いでした。

最終的には数になります。日本とシ連の数の戦いですか・・・・・・」

「総理。もう分かっているのではありませんか?」

「・・・・シ連いやロシアが得意としているのは物量戦(スチームローラー)です。

敢えて相手が得意とする戦いを挑むのは無能以下です。その様な事にならないように充分に対策をして実行をお願いしますよ。」

「現在三沢基地より無人偵察機が偵察に向かっています。また衛星写真も使用して正確な情報を纏めあげています。

戦いを終わらせる為にこの作戦を必ず成功させて見せます!」

 

“作戦を必ず成功させる“榑木の強い意思を受け取った鈴村は立ち上がった。

 

「それが大事です。では作戦は明日の02:00を持って決行とします。この作戦をOperation朱雀(オペレーション朱雀)と命名します。

全員一致団結して作戦にあたって下さい!」

 

鈴村の言葉に閣僚全員が頷き,オペレーション朱雀の決行が決まった。

鈴村は閣僚と室内の全員の顔を見ると,「ありがとう」と言ってドアへと歩きだした。

 

「総理。何処へいかれるのですか?」

「家族に連絡してきますよ。さっきから通知が鳴りやみませんからね。

全員一回落ち着いて次の行動に移りましょう。」

 

そう言って部屋を出ようとする鈴村に栃木防衛大臣が話しかけた。

 

「総理。宜しいですか?」

「えぇ,防衛大臣。ちょうど私も話したいと思いましたもの。」

 

鈴村と栃木はそのまま危機管理センターを出て行った。他の閣僚達も背伸びをして,疲れを解し始めていた。

 

だが彼ら(・・)は気づいていなかった。既に情報が漏れていたことに・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本(イポーニィ)朱雀(PHENIX)築館(やかた)多千穂(swordfish)に0200に戦闘機()を向かわせる模様。

人々(People)は革命寸前。あと一回で崩壊(ヴァイオント)のきっかけが産まれる。

By Cape』




こんなご時世で時間が余りまくっているのに更新遅くてすいません。

今回出てきた九州新幹線は長崎ルートが開通しており,北海道新幹線は数年早いですが札幌まで開業していると頭に入れといてください。

最後の暗号?に関してですが
日本→日本のロシア語読み
朱雀→英語でフェニックス
築館→館→やかた→それ以外思いつかなかった。
多千穂→太刀魚→英語でソードフィッシュ
戦闘機→鳥→そのまんま
人々→英語でPeople
崩壊→崩壊と言えばダム→イタリアで2000人もの死者を出したヴァイオントダムから
Cape→もう答えです

てな感じです。適当ですんませんね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。