「なんだ?·····」
朱雀列島西方10kmの上空9000mを悠然と翔んでいた
「どうしたんだ?」
「あ,中佐。これを見てくださいよ。」
中佐がレーダー画面を見ると,画面は白く染まっていて機能を失っていた。
「何を動かしても反応が無いのか?」
「ええ。故障ですかね····」
「全くこんな場所で故障なんてついてないな。」
彼らは知るよしもなかったが,この時朱雀列島の南西50kmの空域で
「空港の方に連絡を入れてくれ。一応司令部の方にも伝えるように言ってくれ。」
通信員が通信を開始しようとした直後,アラート音が鳴り響いた。このアラート音は
「ロックオンされた!?」
その直後彼らを強い衝撃が襲った。その衝撃が収まらぬうちに今度は下向きの衝撃が加わった。
中佐が最後にみた光景。それは朱い火を吐く ソロヴィヨーフ D-30KUターボファンエンジンだった。
それから数分後。A-50は海面へと墜ちた。
A-50の乗組員16人の意識はこの海の底に永遠に消えることになった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「第1目標撃墜確認。第2目標への攻撃に移ります。」
朱雀列島西方20kmの空域を6機の
「
『Eagle2
『Eagle3 Copy』
『Eagle4 (以下略)』
4機のF-35JCが自らのエンジンであるプラット・アンド・ホイットニー F135-PW-100の出力をあげる。
4羽の鉄の鳥が空を舞いだした。
Eagle隊の後方を飛んでいる
「来たな
光点の数は4。味方の数も4で同数だ。
同数の戦いならば数の戦いではなく質の戦いだ。
「先手をとられたか!!」
Su-35が先手をうった。2発の
青木は直ぐ様
機体が上昇すると共に強烈なGが襲いかかってくる。
青木が
その瞬間一気に操縦桿を倒して一気に機体を下へと向けた。
瞳孔がはっきり開いた青木の目は自らの機体の先に飛んでいるSu-35を捉えた。
「FOX2!!」
ハードポイントより2本の
リューリカ=サトゥールン AL-35Fターボファンエンジンを破壊され,機能を喪失したSu-35からパイロットが
「よし1機!!」
青木が撃墜を確認すると各機からも報告が入ってきた。
『Eagle2よりEagle1へ。此方も1機落としました!』
『Eagle3よりEagle1へ。此方は逃してしまいました。』
撃墜報告や逃した等の報告が入るなか,悲鳴とも聞こえる通信が入った。
『Eagle4よりEagle1へ!! 敵につかれた!!』
救援要請ともとれる通信。事実上のSOSだ。
“仲間を失っては行けない。失ったら永遠に後悔する”渡島から言われた言葉に従って青木は操縦桿を操作した。
「Eagle1よりEagle4へ! 救援に向かう!!」
Eagle1は左旋回して加速した。
Eagle4は大きく右に旋回しながら逃げていた。だがSu-35も逃すかと旋回して追尾していた。
当たらないながらも放たれていた
Eagle1は緩やかに上に上がると,右半回転しながら急降下した。
回転と降下の2つが青木に強烈なGを加えた。だがターゲットの背後へとつくことが出来た。
「FOX2!!」
再び
敵機の死角からの攻撃。対処する間もなく無慈悲にミサイルが命中し,機体を破壊した。
黒い爆煙を切り裂いてEagle1はEagle4と並ぶ。
そこにEagle2・3も合流してEagle隊が集結した。
「敵機3機撃墜確認。よくやった!!」
AWACS 1機に戦闘機 3機を撃墜し,味方の損害は0の大戦果だ。
これで朱雀列島の制空権は確保した。後はストーク隊の仕事だ。
「Eagle1よりStork1へ。制空権は確保した。後は頼むぞ!
『Stork1よりEagle1へ。
連絡を受けたストーク隊隊長の黄山翔弥の威勢の良い返事と共にストーク隊 6機は築館・多千穂両島へと向かった。
それが悲劇への一本道だとは知らずに。
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「
蘭島の司令部でユラージはレアルから報告を聞いた。
「
レアルはタブレットを操作しながら冷静に答えた。その仮面の様に固まっていた顔が少し驚いた顔に変わった。
「指令訂正があります。先程
レアルの更なる報告にユラージはため息をついた。
「艦隊からの増援が来るまで何としてでも耐えないとな。ヘリ部隊は既に避難させているのだろうな?」
「勿論です。自衛隊機の残骸は端に寄せ,全9機を何とか置くことが出来ました。
ですがその結果基地内は航空機の移動が出来ない程ですがね。」
レアルの言葉の通り,現在の飛鷹島空港は各種物資を運んできた
その光景にパイロット達は“満員電車のようだ”と言ったとか言わなかったとか。
「取り敢えず攻撃が終わったら速やかにIl-76を本土の方に返してくれ。じゃないと容量がもたない。」
「えぇ,飛行場の方に優勢させるよう言っときます。」
「そうしてくれ。あそこが使えるようになるとまさに“シ連の硫黄島”だな。」
「前線基地になるのは確かですが,今のままですとその地位も危ういですがね。」
第二次世界大戦中,アメリカ軍は日本爆撃の護衛を行わせる為の前線基地として硫黄島に上陸し,多大な犠牲をはらって占領した。
その結果,基地よりP-51が発進して爆撃隊を護衛したり,損傷を受けたB-29が不時着したりなどその位置関係の力を存分に発揮した。
朱雀列島から能登半島の先端 珠洲岬までは300kmない程。
こんなに近ければ危険レベルの話ではなくなる。ここから航空機が離陸すれば意図も簡単に本土へと侵入出来てしまう。
更に朱雀列島から東京までの距離は約600km程。これは東京から青森位の距離と思ってもらってよい。
脅威処ではない。だがこの話は日本だけではない。
朱雀列島とシ連最大の軍港ウラジオストクまでは約500km。これは東京から新花巻位と同じだ。
朱雀列島は日本とシ連双方にとって重要でかつ危険な場所であるのだ。
「ところでレアル。
「勿論です。各島に3つずつ高画質なのを設置し,SDカードの準備も出来てあります。これで自衛隊機を確実に撮れます。」
そのレアルの返事を聞くと,ユラージはニヤリと表情をしつつも意志を決めた目でレアルを見つめた。
「両島の防衛隊に伝えろ。“敵機を全力かつ,戦術的に確実に落とせ。君たち次第で
それと艦隊の方にも再度確認を入れてくれ。あの決戦主義者のレバルだからな。」
「了解しました。」
返事をするとレアルは部屋を去った。
静かになった部屋に1人残ったユラージは
「さあ