朱雀列島より北東に70km程進んだ海上。朝鮮半島と日本列島に挟まれた海をその艦隊は南南東に進んでいた。
中央に300mもの空母を置き,両脇に250mものミサイル巡洋艦を,艦隊正面に対艦ミサイルを満載した巡洋艦を配備し,その周囲を駆逐艦とフリゲートで輪形陣を形成していた。
シ連海軍太平洋艦隊総数13隻を束ねる旗艦「S-107 ウリヤノフスク」の飛行甲板に今,1機の
「ウリヤノフスク」の巨大な航空甲板には発艦用のカタパルトとスキージャンプ式を備えた飛行甲板と着艦用のアングルド・デッキの2つが存在している。
Su-33はアングルド・デッキの方に降下していき,機体下部からランディングギアが収容カバーを開けて現れる。
ランディングギアは飛行甲板に接地し,甲板上に設置してあるアレスティング・ワイヤーに機体後部のアレスティング・フックが引っ掛かり,機体の速度を更に落とした。
飛行甲板中央部分で機体は停止しパイロットが降りると,待機していた牽引車に誘導されてエレベーターで格納庫へと下ろされた。
「チャイカ隊全機着艦! 未帰艦機無し!!」
「そうかご苦労だった。」
シ連海軍太平洋艦隊司令 レバル・スグワークは椅子に座りながら連絡員の報告に返事を返した。
連絡員が去るとレバルは溜息をついてぼやいた。
「しかし我々にはいつ出番が回ってくるのだ? 開戦から既に1日経過しているのに,たった1回しか攻撃を仕掛けられていないのだぞ!!」
「それはお察しします。ですが先程潜水艦隊の攻撃によって補給艦1隻を大破させたとの報告が入っています。
しかし「B-187 コムソモリスク・ナ・アムーレ」を喪失,「B-190 クラスノカメンスク」・「K-332 カシャロット」損傷,「K-295 サマラ」が降伏と甚大な被害を食らったそうです。」
「「サマラ」が降伏か········艦長があのライジェルなら納得だな。」
「サマラ」艦長 ライジェル・カルストは乗組員想いの艦長としてシ連海軍内に名が知れ渡っており,彼が艦の損傷で日本に降伏したという事に,レバルは納得した。
「しかし補給艦を失っているのは此方もだ。何回やっても通信は通じない。果たしていつ合流できるのだ?」
「それは私にも分かりません········ですが可能性としては自衛隊にやられた可能性も考えた方が宜しいかと。」
「まあ··········それが一番可能性としては高いな。だが対潜護衛として中国海軍の派遣艦隊がいる筈なのだが·····さっきだって自衛隊の潜水艦を撃破していただろ?」
「えぇ数時間前に1隻ほど。」
シ連は今回の朱雀列島侵攻にあたって,中国より恒久的に派遣されている中国海軍 派遣艦隊にシーレーン防御を任せていた。
現にその力を発揮しており,数時間程前に任務中の第2潜水艦群第4潜水隊所属の「SS-598 やえしお」を
そして現在派遣艦隊旗艦「101 南昌」以下10隻とシ連海軍近海艦隊が総出で対潜警戒を行っているのだ。
「まあ我々としてはまずは第2機動部隊を潰すのが先決だ。
取り敢えず周囲の警戒は怠らない様にしてくれ。」
シ連海軍太平洋艦隊は日本海の荒波を切り裂きながら進んでいく。
シ連海軍太平洋艦隊所属艦艇
空母「S-107 ウリヤノフスク」
ミサイル巡洋艦「801 アドミラル・ラーザリェフ」
「806 ジダーノフ」
「2010 ヴァリャーク」
駆逐艦「アドミラル・バシスティ」
「アドミラル・クロチェフ」
「ブールヌイ」
「ブィーストルイ」
「ベズボヤーズネンヌイ」
フリゲート「335 グロームキー」(「DDG-203 たかちほ」との戦
闘で損傷し,ウラジオストクに撤退中)
「339 アルダー・ツィデンジャポフ」
「グレミャーシュチイ」
「プロヴォールヌイ」
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所変わって
エプロンの移動を邪魔していた
世界初の8枚の
機体後部のカーゴドアが開き,中から総数90名。2機合わせて180名のシ連軍人が降りてきた。
軍人は皆シ連製のAK-47を持ち,他の者とは明らかに異なる雰囲気を漂わせていた。
空港の建物からやってきた4名の1人が彼らのトップである大佐に握手した。
「わざわざこの島に来てくださって誠に感謝します。私が飛鷹島航空基地司令のロイザム・ウルーザルス少将と申します。」
「いえ少将殿お止めください。位でいえばあなたの方が上なのですから。
それで例の自衛隊の特殊部隊が潜伏している山とはあれの事ですか?」
位が自らよりも下なのに低姿勢のロイザムに第24独立特殊任務旅団旅団長 サレス・ノイガールは困惑したが,直ぐに頭を仕事へと切り替えた。
「えぇ,昨晩輸送機で降下していきました。我々はそのうちの1機を撃墜・1機を不時着させましたが,攻撃ヘリ1機と戦闘車1両を失いました。
先程から脇に見えている日の丸をつけた機体が,不時着させた機体です。」
不時着したC-2を横目に見ながらロイザムは話を続けた。
「恐らく奴らはこの飛行場を破壊するのが目的でしょう。ここを破壊されてしまえば
そこであなた方に彼らを一掃して頂きたいのです。」
ロイザムの説明にサレスは自信満々に答えた。
「任せてください。何のために我々がここに来たと思っているんですか!
皆!! 敵は自衛隊の特殊部隊だが恐れることはない!! 自らの訓練を信じ,戦え!!」
『おぉぉぉぉぉぉ!!』
特殊任務旅団の隊員達は皆が大きな雄叫びを上げた。その様子にロイザムは安心した表情を浮かべた。
「皆は恐れるどころか,逆に喜んでいます。安心して我々に任せてください。」
「これなら安心して任せられそうです。」
ロイザムとサレスはがっしりと握手をした。そして彼ら総数180名は飛鷹島唯一の山
この様子をシ連兵以外の者が密かに監視しているものがいた。
「これは非常に不味いな········」
特殊作戦群所属の彼 江山一尉は今までいた木陰から素早く移動した。
10分程木々と雑草が生い茂る森を走って抜けると,何年も前に放棄されたであろう建物が見えてきた。
だがこの建物に明らかに似合わない89式小銃を構えた自衛隊員が2名程立っていた。
仲間が帰還した事を確認した2人はやってきた江山に敬礼をした。江山も軽く敬礼を返すと,中へと入った。
中には簡易テーブルを囲むように10名程の自衛隊員が座っていた。
「報告します! シ連軍は200名程の特殊部隊を送り込んできた模様!!
30分以内に山内に入る模様!!」
「やはり早いな········特殊部隊は恐らく第24独立特殊任務旅団だろうな。」
特殊作戦群団長 海藤大也は顎に手を当てて,気難しい顔をした。
「奴らとて無闇に突っ込んでくる訳ない。恐らく事前調査や航空写真で潜伏場所の目星をつけているのだろう。
ここがバレるのも時間の問題だ。」
「移転場所は既に数ヶ所の候補がありますが,そこも奴らは目をつけているでしょう。」
「ならば洞窟にでも籠るか? それとも打って出て敵を殲滅するか?」
「それも1個の手ですが,敵も精鋭。ただではいかないのは確実でしょう。
死傷者も50名程出ると想定した方がよろしいかと。」
「50名·········」
50という数字に同席していた魚島が動揺していると,同じく同席していた1人の幹部が
「団長。ならばあのポイントを使いましょう。幾ら奴らが事前調査したとしても,あそこなら気づいていないでしょう!!」
彼が地図で指差した場所を全員が覗き込んだ。特戦群の面々は皆が納得した様な表情を浮かべた。
「なるほどここか······」
「確かにここなら奴らを袋の鼠に出来る!」
「やってみる価値はあるかと!!」
皆が意見を述べるなか,海藤だけがさっきと同じように難しい顔をしていた。
「仮に追い込んだとしても彼らを殲滅出来る程の弾はあるのか?
それに加減をしないと我々まで巻き込むことになってしまうぞ。」
「弾に関しては効果的に使うのが宜しいでしょう。防弾装備外の頭部を狙う等して確実に仕留める様にと通告しましょう。」
「じゃあそうしてくれ。まあちゃんと出来るか分からんが。」
海藤は立ち上がって,
「まあどちらにせよ。このポイントなら効果的に敵を殲滅出来る。山内の言った通りやる価値はある。
ここで動かなかったら状況は変わらないだろう。魚島殿はここの防衛に当たってくれ。万が一の為に
さあ皆行動開始だ!!」
海藤の言葉で特戦群の幹部らが一斉に行動を始めた。だからこそたった1人座ったまま考え込む魚島は目立っていた。
(何故彼らは初めての場所なのにこんなに熟知しているんだ·········まるでここでの
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一方の第24独立特殊任務旅団は作東山に入って既に1時間が経過していた。
彼らは中腹付近の平坦な場所にテントを張って仮拠点にしていた。
平坦と言っても地形が平坦なだけで,テントの周囲は木々で生い茂っており,簡単には見つからないようになっていた。
「敵は優秀ですね。これ程まで敵地に入ったというのに一切反応がないのですから。」
「ああ,自衛隊は噂通り優秀だな。この様子だときっと奇襲を仕掛けてくるだろう。警戒を怠らない様に監視部隊にしっかり言ってくれ!!」
張られたテント1個でサレスと副旅団長はテーブルを挟んで話し込んでいた。
山に入って既に1時間が経っているというのに彼らは自衛隊に関する手がかりを一切掴むことが出来ず,サレスは自衛隊への噂を確信へと変えていた。
その時,テントの外から銃声が鳴り響いた。
「何事だ!!」
彼が叫ぶとほぼ同時に隊員の1人がテントに駆け込んできた。
「自衛隊です!! 正面から監視部隊を襲撃して行きました!!」
「遂に来たか!! 第297独立特殊任務支隊を追撃に回せ!!」
冷静に判断したサレスの命令で第297独立特殊任務支隊80名が追撃を始めた。
逃走する自衛隊員は10名程。彼らは時々後方を銃を撃って妨害しながら逃走しており,彼らはそれを頼りに追跡を続けていた。
支隊長のガリアーは部下と共に追いかけていたが,心には疑問が浮かんでいた。
(何かがおかしい·········いきなり正面から来るなんて。まるで自ら見つかりに!?)
ガリアーは急いで走っていた足を止めた。
「全員止まれぇ!! これは罠だ!!」
だがもう遅かった。生い茂る木々が開けたと思いきや,そこは直径20m程の大きな窪地だった。
先頭のシ連兵達は止まろうとしたが,後ろの仲間に押され,次々と斜面を滑って深さ3m程の窪地の底に落ちていった。
そしてそれは連鎖して続き,ガリアー以下30名程は止まることが出来たが,50名のシ連兵が窪地の底へと転落した。
彼らは周囲を見回して気づいた。窪地の周囲は全て自衛隊員によって包囲されている事に。
「てぇ!!」
一斉に自衛隊員が持っている64・89・20式小銃,
7.62×51mm・5.56×45mm NATO弾がシ連兵の体を意図も簡単に貫いた。
シ連兵も防弾ジョッキを着ていたが,弾は主に覆われれいない顔などを中心に行われ,また1人また1人と生きている者は減っていった。
勿論ガリアー以下残った兵にも容赦なく撃ち込まれ,部隊は混乱に陥った。
そんな中でもガリアーは落ち着いていた。
(この窪地はこちら側の傾斜がなだらかだ。
だがどうすれば······)
ふと彼の頬の脇を銃弾が通ると,後ろにいた仲間に当たった。仲間は一撃で地面へと倒れたが,ガリアーは彼がRPG-7を持っていたことに気がついた。
「これだ!!」
彼は仲間が持っていたRPG-7を自らの手にとって構え,反対側の崖に向け放った。
強烈な発射ガスが反動で後ろに排出され,彼は思わず尻餅をついた。
RPG-7は対戦車用だが,その弾頭は地面を破壊するには充分だった。
弾頭は爆発し小さいながらも自衛隊員20名程を巻き込みながら崖崩れを起こした。
崖崩れはシ連兵達の目の前で止まり,シ連兵達は防衛から一斉に攻撃に移行した。
そこから先は乱戦だった。自衛隊員とシ連兵が入り乱れ,同士討ちを恐れて支援射撃は躊躇われ,近代戦には似つかわない殴り合いが始まった。
現場では銃弾が,拳が味方に幾度も当たり,敵軍の兵器を手にとって反撃を行い,その場の誰もが状況を把握できていなかった。
戦闘はまだ3分程しか経過していなかったが,この現場にいた全員が体感で1時間程が過ぎているように感じれた。
「全軍引け!! これ以上やっても泥沼になるだけだ!!」
戦闘は止めたのは海藤の言葉だった。彼の背後から06式小銃てき弾と放たれ,自らも
彼らはかわして直撃を逃れられたが,数名が9mm機関拳銃の毎分1200発の発射速度と06式の破片にやられた。
「こっちも引けぇ!!」
ガリアーの命令でシ連兵も斜面を登って退却し出した。自衛隊側も崩れた崖を登って窪地から脱出した。
この際敵の背中を撃とうとする兵士は敵味方誰もいず,どちらも自軍の兵の救援を行っていた。
こうして特殊作戦群と第24独立特殊任務旅団の初戦は双方30名程の死傷者を出し,決着がつかない消化不良で幕をおろした。
今回の戦闘なんですけど書いた本人ですら消化不良なので出来は勘弁してください。
というかこの後ちゃんと陸上戦のシーン書けるのかな··
なんかブログのコメント欄で騒がれてましたが,日本国召喚打ち切りとか本当なんすか?······
日本国召喚好きだから打ち切りとかマジで悲しいんですけど········終わるとしてもせめてアニュンリールや魔帝の情報教えてください。