私の名前は三崎 霞。日本国外務省の外務事務次官を務めてます。
私がここに入った目的は日本を正しい道に正すため。但しシ連という敵国の力を持ってして。
私が生まれた2000年は既に“New Fieet計画”が国会で荒れながらも可決され,既に“あまぎ型航空母艦”2隻の購入が決定していた頃でした。
それから5年・10年経っていくにつれて情勢は変わっていく一方で,“あまぎ型”の4隻配備と“しょうかく型航空母艦”2隻の購入・“いぶき型イージス巡洋艦”の建造等々自衛隊は徐々に戦力を拡大させて行きました。
中学生になる頃には,この日本情勢に違和感を覚えていた。日本は太平洋戦争の様な悲劇を繰り返させない為に憲法9条で戦争を禁止していた。
確かに国防の為に空母を2隻買うのは納得できる。だが更に4隻の購入に,巡洋艦8隻の建造は誰にだっておかしいと思う。
明らかに憲法違反を違反している。だがネットを見るとそういう声より“よく判断してくれました”や“やっとシ連と同じ場所に立った”等と日本政府を称賛する声が圧倒的多数だった。
私は絶望した。政府に対してでもあるが,国民に対してもだ。
政府による誤った政策を国民は反対せずに受け入れた。まるで国民は永遠に消えることの無い悪夢を見せられていた様に感じられた。
私はこの時直ぐに意志は決まった。私がこの悪夢を見せようとしている日本を変えると。
誤った方向へと進んでいる自衛隊を定位置に戻すと。正しい道へと正すと。
1個言っておくが,だからといって私は“自衛隊廃止”等言っている左翼とは違う。
軍が無ければ国を守れないのは当たり前だが,それだって限度はある。
“専守防衛の国家が空母なんていらない”なんて声には私は反対するが,だからと言って空母6隻は多すぎる。
ヘリ空母を加えれば10隻だ。世界で2番目の空母保有国家で1位のアメリカとはたった数隻だけの違い。
アメリカという戦争を経済の道具とする国家。そんな国と同じようになるのではないか。
そんな恐怖が私の心に芽生えた。
その後高校・短大と卒業した私は念願の政府機関 外務省へと入った。
私は敢えて政党とかではなく外務省へと入った。野党はただ文句を言うだけのいてもいなくてもいいモブ以下の存在だ。
与党に関しても私は好感を持っていないので即却下した。そもそも当選しなければ関われないので結果は最初から決まっていたのかもしれない。
自衛隊? そんなのは論外もいいところだ。そもそも私運動ベタだし·········
話を戻そう。
自分で言うのもなんだが,私は外務省に入って才能を発揮した。
“外務省のエリートアイドル”という渾名を勝手に付けられ,外務省以外でも名前を知られるようになっていった。
その活躍が目に止まり,私はたった24歳にして外務事務次官に就任した。
就任の際に“若すぎる!!”と野党から言われたが,鈴村総理の“若いと才能は比例しません”の一言で押しきられ,私は外務事務次官への就任が決定した。
この時だけは素直に政府に感謝した。
こうして外務事務次官に就任したが,これと前後してシ連へも接触した。
私は最初から自分だけで変えること·····言い換えれば自国だけでこの悪夢を晴らす事は不可能だと察していた。
だからと手をこまねいている訳ではなく,別の国の力でこの夢を強制的に晴らそうと決まっていた。
その国として選んだのがソビエト連邦に変わって,日本を悪夢に染めた原因 シベリア連邦だった。
最初にシ連スパイに接触した際に自らの遡上を明かすと,彼らは目を点にして慌てた。
外務省のエリートが接触したのだから当然だろう。
だが何回も会って話していく内に私が本気だと察したのか,
トップと話すと当たり前だがスパイと疑われたので“何か未公開の情報をよこせ”と言われた。
そこで私は何とかして手に入れた当時未公開だった防衛費の情報を流した。
渡された情報を最初は疑いの目を向けていたシ連スパイだったが,数日後に発表された公式の防衛費と寸分の狂いがなかった為に,情報が本物だったと彼らは骨の髄まで痛感した様だった。
私は彼らから“cope”というコードネームを与えられた。名前とそのまんまなのは気にしないでくれ。
それからも詳細は省略するが,様々な情報をシ連側に流した。
どれもこれも正確な物だったので,彼らは大いに喜んでいた。
そして私はシ連が朱雀列島を占領しようと動いている事を知った。
“これは大いなチャンスだと”直ぐ分かった。これで日本を変えられるかもしれないから。
日本人が日本を変えようとしても実質は何にも変わらない。だが他国からだとどうだ? 火縄銃の伝来・黒船来航。どちらも日本は根本から変わった。
日本を変えるには国内の小さな内的要因ではなく,外国の大きな外的要因で変えるしかないと判断したのだ。
ここで日本が負けたとなったら国民····いや世界は目を覚ますだろう。“日本が空母を持ってもどうせ負ける”と。
そして再び空母を持たず,戦争等を起こさない国家になると私は考えた。
取らぬ狸の皮算用だって? そもそも人生ってそんなものだろう。それに皮算用に思われたらそれを現実にしてしまえばいいんだから。
だからこそ私はシ連に情報を流し続けた。例え誰から何と言われようと自分の正義を貫くために。
黒く染まってしまった日本を再び白くする為に。
そしてどうだ。朱雀列島占領から日本は1勝5敗という圧倒的不利な状況に陥った。
自分でもまさかここまでいくとは思っていなかった。これも私のお陰かもしれない(自画自賛)
特殊作戦群の際には勇気を振り絞って質問をした。一部から変な目で見られたが,これが日本の為だと考えて恥ずかしさを振り切った。
他にも空いた時間を見つけては,多数の人物から情報を聞いて,それをシ連側へと送った。
それ以外にも事前に手に入れた極秘情報も流した。これは入念に入念を重ねた結果なのかもしれないな。
だがそんな私でも誤算が2つあった。1つ目は先程仲間からの情報で横田の米軍基地にB-1爆撃機が着陸したとの情報が入った。
“米軍の爆撃機が!?”と最初は驚愕したが,よくよく見ると何かおかしい事が次々と分かった。
まずやってきたのはB-1 1機だけで,しかも翼には日本機の国籍マークである赤い丸がでかでかと書かれていた。
言いたいことはもう分かるだろう。このB-1は
遂に爆撃機までと当初は思ったが,それ以上にこの機体が脅威だということが分かるとそれどころではなくなった。
B-1爆撃機の航続距離は約12000km。これは計算上では東京からモスクワまで無着陸で飛べるという事だ。
モスクワまで飛べるという事は,シ連本土への攻撃など容易く出来る。
ウラジオストクなんて空襲されたらそれは太平洋艦隊の終わりを意味していた。
だがここにもある疑問点があった。現在B-1が配備されているアンダーセン基地等を徹底的に調べても日の丸をつけたB-1なんていないという。
つまりこれは日本が買ったB-1は今横田にいる
1機だけという事は撃墜されればもう後はない。ここが分からない。
果たして何故1機しか無いのか? ただ単純に予算が無かったのか,それともアメリカの圧力で1機だけになったのか,果たして自衛隊側の策略なのか私には分からない。
果たしてこの機体がどういう事になるかはそっちの担当に任せることにしよう。
そしてもう1個の誤差は第2機動部隊との戦闘で潜水艦隊に結構な被害が出たことだ。
だが戦闘開幕直前の会談で“幾らかの艦艇を失うかもしれないが許容範囲内だ”と言っていたので恐らく数ミリの誤差の範囲だろう。
だいぶ話が長引いてしまったな。そろそろ目の前の事に目を向けよう。
現在安川外務大臣はアジア大洋州局長 嬉島政道との対談をしている。その為に私が替わりとしてここに残っているのだ。
外務副大臣はシ連への交渉で張り付けになっているために急遽だが,私が選ばれたのだ。
現在の話の内容は今後の戦闘についてだ。シ連の潜水艦によって貴重な補給艦を事実上喪失し,日本は反撃しシ連潜水艦1隻を沈めた。
約1時間程前に会見を行った大洋官房長官と鈴村総理が帰ってきてからは,ずっと今後の事についての話が続いていた。
“はたしてシ連に勝てるのか!?”,“防衛省はどうしている!?”,“今度負けたら確実に日本は終わる!?”等々発言の半分はネガティブな事だった。
だが言ってしまえばそんなこと今はどうでもよかった。
現在の私の一番の懸念。それがさっきから鈴村総理らの話に出ている“Operation蒼龍”という単語だ。
名前から軍事的な作戦というのは断定できるが,一体何の作戦なのかが全くといって良い程掴めない。
ここで情報を掴んで伝えればシ連側を更に優位にする事が可能で,日本側の戦意を削いで早急的に停戦まで持っていけるかもしれない。
そういう淡い希望を抱きながら私は意を決して聞いた。
「総理。先程から何回も“Operation蒼龍”と言っておりますが,私は失礼ながら知りませんので教えて頂いても結構ですか?」
周りの訝しげな視線が突き刺さる。私の質問が恥ずかしいのは分かりきっている。
だが例えこうしてでも聞かなければいけないと私の本能がそう言っているのだから。
私の質問に鈴村総理はしっかりと答えてくれた。
「あぁ,そうでしたね。君はまだ話を聞いていませんでしたね。
Operation蒼龍とは
··············は?
今目の前の男はなんと言った!?
「北方領土は北海道最東端の納沙布岬まで約30km程でシ連軍北海道上陸の可能性が非常に高く,朱雀列島以上に危険な場所であるために奪還作戦を決行したのです。」
一体どういうことだ?········北方領土?·······そこを自衛隊が?·······
私の脳内が処理に追い付いていない中,栃木防衛大臣が手元に置いてあったタブレット端末を手にとって画面を見た。
「総理。第1機動部隊より連絡が入りました。択捉・国後島両島のレーダー施設と飛行場を破壊し,制空権を確保したとのこと。
なお損害は0だそうです。」
················は? 択捉と国後のレーダーサイトと飛行場を破壊して制空権を確保しただと?
しかも第1機動部隊は第7艦隊との演習で来れなかったはず·········なのにどうして!!
「尚,あと1時間程で第7師団と第1空挺団による強襲上陸が開始されるとの事です。」
「シ連も皮肉ですだな。まさか朱雀列島でしたことを自らもされるとは。」
「これで我々に神風が吹いてくれると幸いなんだがなぁ~」
官房長官や副総理の何て事の無い言葉が私の心を確実に壊していく。
どうしてだ··········今まで完璧に進んでいた筈なのにいきなり何故こんな事になってしまったんだ!?
「どうしたのですか? 体調が優れないように見えますが?」
不味い·······ここでボロを出してはこれまでが水の泡だ。
「外務省職員は皆シ連や中国への対応に終われて休息が出来ていないと安川外務大臣から聞きました。
今のうちにちゃんと休息をお取りくださいませ。」
「そうさせていただきます··········」
鈴村総理の優しさに従って私は外務大臣政務官に代わりを任せて危機管理センターを出た。
部屋を出た私は迷わず個室トイレに駆け込んだ。
ドアの鍵を閉めると,壁にもたれ掛かり,そのままズルズルと床に座り込んだ。
あの話からたった数分経過しただけなのに既に全身に冷や汗をかいている。
体もまるで関節が壊れているかのように動かない。
気持ちを落ち着かせようとすると胃の中の物が一気に逆流してきた。
思わず便器に胃の中の物を吐いた。それ程までおかしくなっていたんだと自分でも驚いた。
さっきまでの意地はもはや何処にもなく,ここにいたのは目の前の現実にただ呆然としつくしているただの少女だ。
今から伝えても間に合わない。いやもう無理だ。まんまと嵌められた。
もしかして総理は私がスパイだと分かっていたのか!? そして敢えて見逃していたのか!?
もしそうだったら私はただ総理によって踊らされている
········最悪だ。私はただいいように使われた人形だ。KGBもきっと私を見放すだろう。もしかしたら暗殺するかもしれない。
例え日本にすがっても,警察に逮捕されるのは目に見えている。
ハッピーエンドという結果は到底来るわけがない······
私は一体どうしたらいいのだろうか··········
瀬名さん消えちゃったよ·········
二次創作怖い············
今回はテストが近かったので更新遅れました。
次回ですけど本音を言うともう出来ていますので明日ぐらいに更新します。