「・・・・・どういう事だ?」
葛城の言葉を桐島は尋ねた。
「そのまんまですよ。朱雀列島が攻撃を受けたのは事実だが,それが本当にシ連なのか分かってないではないか。もしシ連じゃない国だったらどうするんだい?」
「葛城・・・攻撃したのはシ連のSu-33で,Il-76が空挺部隊を降k」
「それだよ。それ! 上はシ連と決めつけているけどもしかしたら同じ機体を持っている別の国かもしれないよ。」
葛城のこの言葉に桐島は疑問を抱いた。
「Su-27とIl-76を持っている別の国・・・・・」
「あんた“攻撃したのは中国“とでも言いたいのか?」
「・・・・Su-33は
答えを出したのは長瀬だった。桐島が補足しているうちに長瀬は葛城の元へと詰め寄った。
「何かな?」
「“何かな?“じゃないあんたまさか相手が分かるまで動かない訳か?」
長瀬は葛城に詰め寄ってまるでヤクザのように質問をする。会議室が危険な雰囲気になりかけた時,それを救う救世主が現れた。
「はいはいストップ。ストップ。」
第47航空団司令兼飛行隊長の渡島音弥だ。
「どうやらお二人は長話になりそうだな。艦長会議はここで終わりにして後は彼らの対話としますか? 艦長?」
「よ,よし。艦長会議をこれで終了する。甲板のMCH101に離陸の用意を!」
艦長会議の終了が言い渡され,艦長達は心に何かを抱えながらも退室し,残ったのは桐島・長瀬・渡島・葛城の4人だけになった。
会議室は静寂に包まれていたが,その静寂は渡島によって破られた。
「お二人さん風に当たってないから考えが鈍くなってんじゃないか? とりあえず外に出ようか。」
「あ,ああ。」
「・・分かりました。」
長瀬と葛城の二人が退室した後,桐島は渡島に話しかけた。
「渡島飛行隊t」
「先輩でいい。」
「・・では渡島先輩。ありがとうございました。」
実は桐島と渡島は先輩後輩の関係で,浜松にある第21飛行隊で一緒に学んだ関係だ。
その後も築城の第8飛行隊でも一緒に空を飛んだ関係にある。その二人がこのあまぎで一緒になるというある意味奇跡ともいう関係かもしれない。
この二人は人前では艦長・飛行隊長と呼びあっているが,二人だけなら先輩後輩と呼びあっているのだった。
「なあに。前にあの騒動をなんとかしてくれた際の礼だ。」
「あの騒動」とは約半年前に発生した「
事件の内容は第47航空団所属のF-35JCが着艦する際に船が波に揺らされてしまい,F-35が着艦コースからずれてしまい船から落ちかけたという事だ。
幸運にも甲板の端で止まった為に水没は免れたが,その際に航空団隊員と艦隊要員の間で喧騒が発生してしまい殴り合い寸前になったが,桐島が取りなした事によってその事態は避けられたという事件だった。
この事件は勿論メディアでも公開されたが「天候による事故」と処理された。
「あれはただ原因を言い合ってる奴らを取りなしただけです。」
「それはちょっと違う。」
「?」
「あの事故は波という自然現象に対応出来なかったうちらの問題だ。」
本来空自は地上に配備された基地に着陸する為,滑走路が動く事なんてあり得ない。
しかしここは海の上だ。波によって船が揺られ,滑走路が動く事なんて稀にあることだ。
渡島はそれに対応出来なかったパイロットの問題だとしたのだ。
「ですが,人間が自然現象に逆らえる訳が!」
「例え逆らえなくたって,俺達はその現象に乗ることは出来る。だろ?」
例えれば「流行に逆らえなくても,その流行に乗れば対応出来る」というのが彼の解釈なのかもしれない。
いろいろと突っ込みたくなるけど。
「おっと,こんな話してるんじゃなかったな。葛城と長瀬が待ってるぞ。」
「そうでした! すぐ行きます!」
そう言って桐島は部屋を急いで飛び出していった。
「・・・・ふっ。あいつは考えは凄いんだが,妙に脆いからな。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あまぎの航空甲板から艦長達を乗せたMCH101が飛び立つ。ヘリの機内は搭載しているゼネラル・エレクトリック T-700のエンジン音とプロペラが回る回転音のみが響いていた。
そんな中「DDG-203 あそ」艦長の鏡石が呟いた。
「・・・・・やっぱり彼か。」
「予想はしていたがこりゃあなかなかだな。」
「このまま勝てるんですか?」
「もしかしたら奴らと戦う前に我々が壊滅ね。」
艦長達が二人の対立によって戦う前に艦隊が壊滅してしまうという最悪の展開を想像している中,みょうこう艦長の舘はただ一人で誰とも話さずに機体の窓から外を眺めていた。
何を考えているかなんて自分だけにしか分からないMy Worldに彼は浸っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あまぎの広い航空甲板に二人は到着した。甲板にはいつでも出撃できるようにF-35JCが待機しており,その隣には羽を折り畳んだ
航空甲板には海上という事もあって,そよやかな海風が吹いていて,まるで二人の間に吹いている冷たい風を表しているかのようだった。
そこへと桐島がタラップを駆け上がってやって来た。
「遅れしまってスマンな。」
「なあに。そもそも時間なんて決めてないんだから遅れるなんて概念はないぞ。」
「・・そうだったな。」
桐島と長瀬が話していると葛城が本題を話出した。
「で,僕が話していいかな?」
「ああ,聞こう。」
「僕がああ言った理由は」
「
「・・・・どういう事だ?」
「仮にシ連じゃない国が攻撃を行ったのにシ連が行ったと決めつけてしまったら,それは深刻な外交問題へと発展してしまう。そして最悪の場合 それは戦争へとなりかねない。」
「日本を戦争へと巻き込まない為。とでも言うのか?」
「正しくその通りさ。」
葛城の言葉の意味を知った彼らだが,二人の心は複雑な心境になっていた。
「日本を戦争に巻き込みたくないなんて言ってるけどよ・・その朱雀列島を占領した奴らとは戦うはめになるから結局戦争をしていると同じ事じゃないか!」
「俺も長瀬と同じ意見だ。戦いってもんは最終的には戦争に行き着くのだから。」
二人の鋭い意見を聞いた葛城だったが彼は更に二人を困惑させる発言をするのだった。
「戦争。戦争と言ってるけどさ。
「!?・・・・」
二人の反応は正しく心の真意を突かれたかのようだった。
「・・分かってなかった見たいだね。戦争という基準も分からない人間が何故こんな所に来たのか知りたくなってくるよ。」
「か,葛城! お前!」
しかし長瀬の言葉は遮られる事になった。
『海中に反応あり! 自衛隊の船ではない! 総員対潜警戒!』
「せ,潜水艦!?」
「どうやら話は終わりのようだ。葛城艦長 我々の
「もし機会があったなら又話して決着をつけようじゃないか。」
そう言って葛城は羽根を広げ始めたSH-60Kの元へと向かい,桐島はCICに長瀬は艦橋へとそれぞれ向かっていった。
そして第2機動部隊の前の海の中には獲物を待ち構えている4隻の