New Japan Fleet   作:YUKANE

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今回32話と33話の様な回を一纏めにしたらどうなる?と思ってやった結果8000字越えました

·········こんなに長いのは久々に書きました。


Episode.39 ウラジオストク沖海戦

シベリア社会主義連邦 ハバロフスク。

 

ハバロフスク地方の中心都市のこの街には,シベリア航空軍配下の第7航空・防空軍の司令部が存在する。

 

司令部が置かれているハバロフスク・ボリショイ基地の司令官室にて,司令官のアレクサンドル・リッター中将はテレビに釘つけになっていた。

 

内容は中国がシ連に宣戦布告したという物であったが,正直言ってそんなのどうでも良かった。

 

彼の一番の懸念。それは中国軍機が既に攻撃に向かっている(・・・・・・・・・)こと。

そして10分程前に中国軍機がこの基地に向け飛んでいる(・・・・・・・・・・・・)のをレーダーが捉えていたことだ。

 

彼は隣に置いてあった固定電話の子機を急いで取ると,レーダー施設の番号を入力した。

 

入力し終え,子機を耳に当てると同時に“ガチャ”という音がスピーカーを通じて聞こえてきた。

 

「おい! 中国軍の機体は何処まで近づいている!?」

『司令!! 中国軍の爆撃機(・・・)が基地南西40km地点まで接近しています!!』

「なんだと!? 奴ら汚い手を!! 直ぐに戦闘機をスクランブルさせろ!!」

『直ぐ様フルバの第303親衛混成航空師団に連r』

 

通信が突如として切られた。アレクサンドルが何故と考える前に窓から強烈な閃光と爆音と共に衝撃波が侵入し,窓ガラスを粉々に破壊した。

 

衝撃波にアレクサンドルも座っていた椅子ごと床に倒れるが,直ぐに立ち上がって窓から外を見た。

 

彼の視線の先には激しく黒煙を上げながら燃え上がる滑走路が写っていた。

横に目を向けると,滑走路と同じように原型を留めず,黒煙を上げて燃え上がるレーダーアンテナと通信アンテナが見えた。

 

その黒煙で覆い隠されてそうな空を擬態するかのように黒く溶け込んだ7機の戦闘機が飛んでいた。

迎撃するものはいない。対空火器が届かない高所を飛んでいた。そもそも動ける対空火器はこの時点で残っていなかった。

 

「全てやられたのか·······」

 

アレクサンドルが太刀打ちできない現実に絶望する中,上空に新たに現れた存在が更に彼を追い詰めた。

 

細長い胴体。胴体に接着するように配置された2基のエンジン。長い後退翼。

 

旧ソビエト連邦が開発した初のジェット爆撃機 Tu-16(バジャー)を中国がライセンス生産し,改良を加えた大型爆撃機 H-6 5機は編隊を組んで上空に現れた。

 

Tu-16は初期のシ連空軍が使用しており,アレクサンドルはTu-16に搭乗経験のある希少な隊員の1人だ。

 

だからこそ,H-6の恐ろしさが目に見えて分かった。

 

「き,基地内の防空火器全て使用して撃ち落とせ!! 急げ!!」

 

アレクサンドルが自分に出来る最大限の指示を出したが,それは全て無駄だった。

 

胴体の爆弾倉(ウェポンベイ)から計6tもの航空爆弾が基地一体に投下された。

5機合わせて30tの爆弾がハバロフスク・ボリショイ基地を無慈悲に破壊した。

 

ハバロフスク・ボリショイ基地は殲撃20型(J-20) 7機による滑走路・レーダー・対空火器攻撃と,轟炸6型(H-6) 5機の絨毯爆撃によって完全に破壊された。

 

基地に置かれていたAn-12()・An-24・An-26・Mi-24/35・Mi-8・Mi-26・Ka-52A等の機体は完全に破壊され,唯一奇跡的に残っていた地対空ミサイル(SAM) S-300も力を発揮する前に破壊され残骸へとかした。

 

アレクサンドル以下この基地にいたシ連兵のほとんどが爆撃によって消し炭へと成り果てた。

 

そしてそれはウラジオストクから北東に300kmのチュグエフカでも同様だったが,こちらではJ-20 1機,H-6 3機が墜とされたのだった。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「ハバロフスクがやられた!?」

 

ウラジオストク郊外の軍港に停泊しているウリヤノフスク級原子力空母「S-108 ウラジオストク」の艦橋で,シ連海軍近海艦隊司令官 グラフ・メイジェフはハバロフスクの空軍基地がやられた連絡を聞いた。

 

「ハバロフスクの基地がやられたという事は,ウラジオストク(ここ)もやられる可能性が大です!!

司令早く出港を!!」

 

「ウラジオストク」の艦長が萎縮した顔で出港を何度も迫った。実際「ウラジオストク」は原子力機関を装備している為に動くことは可能だ。

 

だが動いたからと言って助かる訳ではない。空母を護衛する駆逐艦はその殆んどが通常の蒸気タービン機関で動いている。

 

護衛無しで単独で航行している空母なんて“どうぞ狙ってください”と言っているような物だ。

 

まず第一に原子力機関は動いているが,船が動くには重い錨を上げ,停泊している埠頭からタグボートの力を借りて離れなければいけないので出港には最低でも30分はかかってしまう。

 

どちらにしよシ連海軍近海艦隊旗艦「ウラジオストク」はウラジオストク港(ここ)に居ることしか出来なかった。

 

「出港を急がせろ!! モタモタしていれば中国軍にやられるぞ!!」

 

グラフは出港を急がせる様に乗組員に言ったが,そう言った直後,艦隊司令部から衝撃の通信が入った。

 

『哨戒中のIl-38(シニャーツャ7)より南南西100kmの海域に中国軍艦艇6隻展開中との事!!

なおIl-38(シニャーツャ7)は通信途絶!!』

「中国軍艦艇·······派遣艦隊のか!!」

 

グラフは即結論付けた。本来であればウラジオストク港には中国が派遣した中国海軍派遣艦隊がいるのだが,現在は朱雀列島占領支援の為に出払っていたのだ。

 

しかし中国がシ連に宣戦布告したことで,派遣艦隊は自動的にウラジオストク~朱雀列島間のラインを封鎖する状態へとなっていた。

 

その艦隊がこの近海艦隊をウラジオストクに封じ込めようとしているのだと結論づけたが,ここである疑問が生じた。

 

派遣艦隊の総艦数は10隻。哨戒機の報告では湾入口に展開しているのは6隻。

残る4隻は何処に行ったのか。それを考える余裕はグラフには存在していなかった。

 

何故なら考える間もなく,新たに通信が入ったからだ。

 

『敵機探知!! 距離40!! 数30!!』

「艦隊の前にまずは航空機の襲来か!! 」

 

グラフは次々と変わる戦場に辛うじて対応しようとしていた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

ウラジオストク南西40kmの高度3000mの空。

 

青く染まっている空を30もの航空機(音速の鳥)は飛んでいた。

 

そのうちの18機はまるで烏の様に真っ黒に塗られていた。

 

主翼の先に隣接させるようにカナード翼を設置した“クロースカップルドデルタ翼”を持つ,中国が誇る第5世代ジェット戦闘機且つ中国初のステルス機 J20は白鳥の大移動の様な陣形でシベリアの蒼い空を飛んでいた。

 

先頭を飛ぶJ-20隊の編隊長劉 宇航(リュウ・ユーハン)上尉は後方50kmに展開するKJ-2000(空警2000)から送られてきた情報を確認していた。

 

「敵戦闘機12機接近中か。だからチュグエフカの基地も同時に叩いてほしいと何度も言ったんだが··········」

 

劉は思わず溜息をついた。

 

チュグエフカにもJ-20の先制攻撃隊とH-6の爆撃隊は飛んだのだが,ハバロフスクより遅れて接近したために,戦闘機の離陸を許したのだった。

 

爆撃は一応成功したが,J-20 1機とH-6 3機を失うという結構な痛手を受けてしまった。

一応離陸した機体も撃墜はしたのだが,数機程逃がしたとのことだ。

 

そして現在レーダーには12機の機影が写っていた。恐らく全てチュグエフカから機体だろう。

目の前の敵機よりウラジオストクに向かっている敵機への迎撃を優先したのだろうと劉は推測した。

 

「全く仕事を増やしやがって······まあ,パイロットの血が騒ぐから良しとするか! 行くぞお前ら!!」

 

J-20のWS-15ターボファンエンジンの出力をあげ,9機のJ-20(烏達)は戦場へと進んだ。

 

「ミサイル発射!!」

 

爆弾倉(ウェポンベイ)の扉が開き,中に搭載されていた2発の長距離空対空ミサイル(AAM) PL-15が放たれた。

 

視界外射程ミサイルのPL-15 計18発は搭載されたアクティブ・フェーズドアレイ・アンテナ(AESA)の正確な誘導を受けて敵機へと向かった。

 

レーダー上の光点が不規則的な動きをし出したが,PL-15は無慈悲に追尾した。

 

光点同士が重なり,PL-15の光点全てと敵機の光点がいくつか消えた。

 

残っている光点は6個。

 

「6機撃墜········あと6機か!! 各機急旋回!!」

 

劉の急旋回の指示と同時に6つの敵機の光点から小さな光点が12も発生した。

 

敵機が空対空ミサイル(AAM)を放ったのだ。

 

劉のJ-20は操縦桿を左に傾け,左急旋回を行うと共にチャフとフレアをばらまき,迫ってきていた2発の空対空ミサイル(AAM)を誤爆させた。

 

機体を水平に戻すと,既に1機の敵機が10km圏内に入っていた。

両機とも空対空ミサイル(AAM)を撃つ間もなく,マッハ0.8ですれ違った。

 

すれ違う瞬間に劉はシ連機の方へ顔を向けた。

 

「こうして戦うとはな,Mig-31。」

 

Mig-31 NATOコードネーム フォックスハウンド

 

Mig-25(フォックスバット)の改良型で,低高度で侵入する巡航ミサイルや爆撃機への対応能力を強化した迎撃戦闘機だ。

 

チュグエフカの基地にはMig-25/31が30機程配備されており,アメリカ軍機への対処を行っていたが,まさか中国機と戦う事になるとは恐らく双方も思っていなかっただろう。

 

劉は機体を180°方向転換させた。高いG(加速度)が劉の体に襲いかかり,着ている耐Gスーツが下半身を締め付ける。

 

急な旋回に視野が暗くなり,色調を失う(グレイアウト)状態になりながらもMig-31の背後についた。

 

2基のエンジン出力を更にあげ,Mig-31をミサイル射程内に入れようとした。

 

幾らMig-31がMig25の大幅改良型だとしても,相手のJ-20は全てが新しく作成された新型機。

結果は戦う前から目に見えていた。

 

「行け!!」

 

劉は冷徹に操縦桿のボタンを押して,左翼のハードポイントに取り付けられていた短距離空対空ミサイル(AAM) PL-10が発射された。

 

赤外線画像誘導によって正確に追尾した1本のミサイルはMig-31のエンジン部に命中し,黒煙を上げ回転しながら下へと落下していった。

 

「良いパイロットだったな。楽しませてもらったぞ。」

 

劉は自機のPPIスコープを見た。戦闘空域から離れた場所に残る21機はウラジオストクへと一直線に向かっていた。

 

21機のうち9機は護衛のJ-20だったが,残る12機はJ-20とは違いステルス性は一切感じさせないが,コックピット脇の2基のエアインテークと高翼に配置された後退翼は独特なシルエットを演出していた。

 

中国人民解放軍が保有する全天候型戦闘爆撃機 JH-7A 12機は既に近海艦隊をミサイルの射程に捉えていた。

 

「頼むぞ。発射!!」

 

隊長の指示で両翼のハードポイントから対レーダーミサイル(ARM)空対艦ミサイル(ASM) YJ-91が4発ずつ計48発放たれた。

 

自機のPPIスコープで発射されたのを確認すると隊長は,

 

「全機旋回せよ! 鞍山に退避だ!!」

 

操縦桿を右に傾け,機体を右旋回させる。隊長機に続いて各機が続いて旋回を行い始めたが,その内の1機に閃光が走った。

 

光が発生した方を見ると,1機のJH-7Aが黒煙を上げて重力に従って落下していた。

 

『7番機がやられた!?』

「くそっ! 地対空ミサイルだ!! 全機散開しろ!!」

 

彼の予測は大当たり。ウラジオストクの対岸 ペレヴォズナヤにはS-300PS/PMを配備する第589親衛対空ミサイル連隊が展開しており,中国軍機が射程に入るやいなや搭載されている対空ミサイルを放ったのだ。

 

隊長は直ぐに散開を命じたが,2機のJ-20が低空飛行に移った。

シ連軍のレーダーに写らない様に地面スレスレを飛び,対空ミサイル部隊に気付かれずに近づくと爆弾倉(ウェポンベイ)から2本ずつPL-10を放った。

 

本来は航空機に対して放つミサイルだったが,この事態に早急に対処するために無茶を承知で地上目標へと放った。

 

計4本のPL-10は対空ミサイル部隊へと着弾した。その内の1発がS-300PSの補給車両に命中し,発射機に補給中だったミサイル弾頭に誘爆した。

 

大爆発が起こり,対空ミサイル部隊は一時的に麻痺状態に至った。

 

この隙を見て,隊長は叫んだ。

 

「全機急いで鞍山に撤退せよ!! 戦果確認は海軍に任せる!!」

 

編隊は既に4機を落とされていたが,アフターバーナー(A/B)を作動させて急いで地対空ミサイルの射程外へと逃走した。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「先程の戦闘で敵フリゲート2隻撃沈,駆逐艦1隻大破・巡洋艦1隻損傷させるも,J-20 2機,JH-7A3機の計5機を喪失したとの事です。」

「最新鋭のステルス機を持ちながらこのざまか·······」

 

瀋陽(シェンヤン)級駆逐艦「115 瀋陽」の戦闘指揮所(CIC)で艦長 馬・宇辰(マー・ユーチェン)上校が愚痴を吐いた。

 

30機もの戦闘機を投入しながらも撃沈及び損傷は4隻。しかも5機を失ってこの戦果だ。

“技術はあっても練度が足りていない”と,空軍に一種の哀れみを(マー)は感じた。

 

現在「瀋陽」以下6隻の艦隊がウラジオストク南南西60kmに展開していた。

各艦の距離は10km程でかなり広範囲に展開している事が分かる。

 

こう展開している理由はシ連海戦近海艦隊をウラジオストクに封じ込める為であったが,既に一部の艦艇は動き出していたために戦闘は免れる事は不可能になっていた。

 

「まあ,愚痴を言っても仕方ないか。今は前の敵だけを見よう。」

 

そう言うと(マー)は艦隊全体に面舵の指示を出した。

 

艦艇が一切のズレなく面舵を切って,船体を右へと傾けた。

 

6隻全てが旋回を終えると,近海艦隊に対して側面を向ける形になっており,T字戦法状態になっていた。

 

T字戦法はリッサ海戦やスリガオ海峡海戦で使われた戦法で,接近してくる敵艦艇に対して自艦隊の集中砲火で各個撃破するもので,作者的には最も勝てる海戦術だと思っている。

 

勿論それは(マー)も認識しており,この機を逃してはいなかった。

彼は威勢良く叫んだ。

 

「対艦ミサイル発射用意!!」

 

(マー)の言葉に火器担当の士官がパネルのトグルスイッチを操作して,ミサイル類のセーフティを解除していく。

 

セーフティが全て解除された時,通信担当の中尉にKJ-2000(早期警戒管制機)から通信が入った。

 

KJ-2000(空警2000)がシ連海軍巡洋艦2 駆逐艦1 フリゲート2を探知した模様!!

湾出口に向け航行しているとのこと!!」

「わざわざおいでなすったか!」

 

近海艦隊がわざわざ戦場に出てきた事に,(マー)のアドレナリンは上昇した。

 

火器担当の士官が前準備を終えたことを伝えた。後は(マー)の口から2文字の言葉が出るのを待つだけ。

 

「撃てぇ!!」

 

(マー)の威勢の良い合図で2隻の駆逐艦と4隻のコルベットから艦中央部から朱い発射炎を上げながら,16発の艦対艦ミサイル(SSM) YJ-83()は放たれた。

 

固形燃料を使用したロケットブースターを使いきると,ターボジェットに移行して,超低空飛行(シースキミング)を行いながらシ連艦隊へと接近していった。

 

発射煙が空気中に分解して艦橋からの視界がクリアになると(マー)は艦隊に180°回頭を指示した。

まだ残っている艦対艦ミサイル(SSM)を放つためだ。

 

艦隊が一斉に面舵をきっていると戦闘指揮所(CIC)のディスプレイ上でシ連艦隊から10本以上の艦対空ミサイル(SAM)が撃ち上がり,YJ-83の数を減らしていった。

 

艦隊に近づくにつれ短SAMや主砲・CIWSも対空攻撃に加わり,対空砲火の密度は増していった。

 

だが全ては撃ち落とす事が出来ず,計4本のYJ-83が艦隊に着弾した。

 

先頭を航行していた駆逐艦に2発,巡洋艦・フリゲートに各1発ずつ着弾し,確実なダメージを与えた。

 

「艦隊前方の駆逐艦・巡洋艦・フリゲートに命中!! 被害規模は不明!!」

「4分の1に減らされてしまったが,当たったから良しとするか。

次のミサイルで最後だ! 確実に当てろよ!!」

 

その頃に艦隊は既に180°回頭を終え,2回目の艦対艦ミサイル(SSM)の発射準備に移っていた。

 

コルベット4隻が発射準備に入ったと同時に敵艦隊後方の巡洋艦から光点がディスプレイ上に出現した。

最初は1個だけだったが,徐々に数を増やしていき最終的に10個になっていた。

 

「敵巡洋艦ミサイル発射!! 数10!!」

「巡洋艦という事は恐らくP-700(グラニート)だ!! 絶対撃ち落とせ!! 本艦と「石家荘(セッカソウ)」で対空戦闘を行う!! S-300F(フォールト)発射!!」

 

瀋陽級駆逐艦2隻の前甲板に搭載された2基の8連装リボルバー式VLSから計10発の48N6E2(艦対空ミサイル)が発射された。

 

TVMとセミアクティブ・レーダー・ホーミング(SARH)によって誘導された10本のミサイルがシ連のミサイルを撃ち落とす為に向かっていった。

 

この2隻が対空戦闘を行ったのは数時間前にシ連海軍補給艦「ボリス・ブトマ」を周りのコルベット2隻と共に沈めた際にYJ-83 8発を使用している為に既にミサイル在庫が底をついていたからだ。

 

対艦攻撃が出来ない2隻に対して残るコルベット4隻はYJ-83 8発を放った。

 

最後の艦対艦ミサイル8発が向かっていくと,同時に先程放たれた光点同士が交差し,半分のミサイルが消えるが,残る5発は落とされずそのまま艦隊へと向かってきていた。

 

2隻の駆逐艦は後部上部構造物のS-300F(フォールト)を放って迎撃するが,それでも3発のミサイルが艦隊へと近づいていていたが,その内の2発はよりによって「瀋陽」の前方を航行するコルベットへと向かっていた。

 

056型コルベットの後方建造物の上に搭載された近接防空システム(近SAM) HHQ-10が火を吹いた。

 

放たれた8発の小型対空ミサイルが接近しつつあったP-700(グラニート)の1発に直撃し,大爆発を起こした。

 

艦を強い衝撃波が襲い,コルベットと「瀋陽」を激しく揺らす。揺れが収まって「瀋陽」の艦橋見張り員の視線に飛び込んできたのは,目の前のコルベットの船体に直撃寸前(・・・・)P-700(グラニート)だった。

 

数秒後,コルベットは爆炎に包まれた。閃光が周囲を走り思わず艦橋見張り員は双眼鏡から目を反らした。

 

「「501 信陽(シンヨウ)」被弾!!」

 

艦橋見張り員の必死の報告に(マー)は目上のディスプレイを見た。

切り替わった画面に写っていたのはP-700(グラニート)が1発着弾し激しく黒煙を上げて炎上している「501 信陽」。

 

056型コルベットの排水量は1500t。あぶくま型より小さな船体が750kgの弾頭に耐えられる訳がなかった。

 

船体の弾薬庫に炎が燃え移り,先程と同じくらいの爆発が起きる。

爆発によって艦構造物は破壊され,船体に歪みが発生し,「信陽」の船体は左側に傾き始めていた。

 

「「信陽」沈みます!!」

 

船体が傾く速度は徐々に増していき,既に角度は60°に達し沈没は確定だった。

傾いた甲板から乗組員が命からがら海へと飛び込んで退艦しているのが遠目でも確認出来る。

 

「「580 大同(ダイドウ)」と「590 威海(イカイ)」を救助に回せ!!

残る3隻はシ連のミサイルを迎撃して援護せよ!! 乗員救出次第本国に戻るぞ!!」

 

「信陽」と同型の「580 大同(ダイドウ)」と「590 威海(イカイ)」が危険を犯して救助を行い,残る3隻が再び放たれたP-400(グラニート) 3発を撃ち落として救助を援護した。

 

確認できる範囲の乗員を救出し終える頃には「信陽」の船体は既に半分が海中に消えていて,海上には本来見ることが出来ないはずの艦尾のスクリューがはっきりと見えていた。

 

救出終了の連絡が「瀋陽」に入ると(マー)は直ぐ様北海道方面への撤退を指示し,中国海戦派遣艦隊はウラジオストクを後にした。

 

後にこの戦いは“ウラジオストク沖海戦”と呼ばれ,中国とシ連始めての戦いとして教科書に載ることになった。

 

この戦いで中国軍はコルベット「501 信陽(シンヨウ)」と戦闘機6機,爆撃機3機とパイロット17名,「信陽」乗員19名を失い,シ連軍は駆逐艦「ボエヴォイ」,フリゲート「トゥマン」・「アドミラル・スピリドノフ」と戦闘機以下各種軍用機67機に地対空ミサイル S-300PS/PM 4両を喪失するという甚大な被害を負った。

 

また近海艦隊所属のキーロフ級ミサイル巡洋艦「805 ロシア」・「807 スヴェルドルフ」が損傷したためにシ連海軍近海艦隊は事実上の半壊状態にかした。

 

そしてこの戦闘が戦況に影響を与えたのは言うまでもないだろう。




東側のFOXの様な認識コードが分からん·······

調べても分からなかったので,“発射”と表現する事にしました。

これ分かる人何者········?

あと定期テストが近いので次回の投稿は遅れます。
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