2021 4/6 飽和攻撃に第6地対艦ミサイル連隊を追加。
シ連海軍太平洋艦隊は凡そ2時間かけて激しい春の嵐を抜けた。
脱落艦や損傷艦はおらず嵐に入る前と同じ陣形を再び組み直す事が出来ていた。
艦隊中央の旗艦 「S-104 ウリヤノフスク」の航空甲板からジェット機特有の甲高い轟音を出して艦載機が何機も発艦していた。
4発もの
2基のリューリカ=サトゥールン AL-31F-M1から排出された空気が赤い尾となって夜空に流星を描いた。
「
航空甲板の2基の蒸気カタパルトには
アリオール隊の
アリオール隊の使命は艦隊防空。やって来るであろう自衛隊機へと対応する為にR-73を8発搭載して飛び立とうとしていた。
だが飛び立とうとカタパルトにセットされた瞬間,艦橋内にレーダー員の叫びが響いた。
「艦隊10時方向よりミサイル!! 数162!!」
その叫びに艦橋はどよめいた。だがレバルは寧ろ喜んでいる様に見えた。
「いきなり100発以上とは大盤振る舞いだな!! アリオール隊の発艦を中止させろ!! 全艦対空戦闘用意!!」
「801 アドミラル・ラーザリェフ」以下3隻の巡洋艦のリボルバー式VLSから複数の
約100kmの射程を持つ
双方のミサイル同士が交差して何発もの光点がレーダー上から消えたが,未だに100発以上の
5隻の駆逐艦と3隻のフリゲートも搭載している
嵐上がりの夜空に
各艦が独断で
挙げ句の果てにはAK-130 30mmCIWSやコルチークも使用して,必死の迎撃を行う。
だが密度の高い対空砲火も虚しく遂に被弾する艦が現れた。
「「ベズボヤーズネンヌイ」被弾!!」
艦隊左前に展開していたソヴレメンヌイ級「956 ベズボヤーズネンヌイ」の艦中央部に
搭載されていた弾頭が爆発し,船体構造物を破壊する。爆発が艦橋脇の
艦前方のAK-130 130mm連装速射砲もまるで羽毛の様に吹き飛び,海面へと落下した。
激しく燃え上がる「ベズボヤーズネンヌイ」は艦隊を不気味に照らし上げていた。
「「ベズボヤーズネンヌイ」炎上!! 速度低下!!」
「ここで1隻喪失か········他の艦はどうだ!!」
レバルは舌打ちをして悔しがりながら,他艦の被害を聞いた。
「「339 アルダー・ツィデンジャポフ」に至近弾。損害は軽微とのこと。それ以外被害はありません!!」
失ったのは駆逐艦1隻だけ。まだ何とか補うことが出来る。そう結論づけたレバルだったが,戦場に想定外はつきもの。
レーダー員が叫んだ。
「艦隊7時方向よりミサイル!! 数80!!」
「何だとぉ!?」
艦隊の7時方向·······つまり東北東から対艦ミサイルが80発も飛んできたのだ。
この報告に艦隊が困難しない訳がなかった。
「北東方向からミサイル·······一体どこのどいつがそんな物を撃ったのだ!?」
80発の対艦ミサイルを放った犯人。それは三沢基地第4飛行隊所属のF-2A 20機だ。
この部隊は昼間に択捉・国後両島への対地攻撃を行っており,帰投してまもなく次の出撃となったのだ。
過労死するぐらいの激務だったが,パイロットは音を上げてはいなかった。
現在F-2A 20機は朱雀列島北東200kmでハードポイントの
そんなことは知るよしもなかったが,レバルはすぐに迎撃の指示を出した。
各巡洋艦や駆逐艦・フリゲートから
「数が少なすぎる!! これでは迎撃が不可能ではないか!!」
それは数だった。艦隊はさっきの
弾頭にも限りはある。しかもミサイルとなればそれは余計少なくなる。
撃ち上がるミサイルの数は時間と共に少なくなっていき,代わりに自衛隊の
各艦が主砲やCIWSを放って迎撃するが,焼石に水。次々に
「「956 ブィーストヌイ」・「プロヴォールヌイ」被弾!!」
「「アドミラル・バシスティ」炎上!!」
次々と被弾・炎上の報告が入る。レバルの視界には嫌でも燃え上がり,誘爆して船体を破壊する様子が目に入った。
既に「956 ベズボヤーズネンヌイ」と「プロヴォールヌイ」は船体を海へと沈めつつあり,「ブィーストヌイ」と「アドミラル・バシスティ」も艦橋以下構造物を破壊されつつあって沈没は免れないのが分かりきっていた。
そんな中艦隊先頭を
「「2010 ヴァリャーク」被弾!!」
「何!? あいつに着弾したら不味いぞ!!」
レバルが青白い顔で言った直後,「ヴァリャーク」の船体が光に包まれた。
夜であるにも関わらず,周囲は昼間のように明るく照らされた。
光から遅れて強い衝撃が艦を襲い,艦橋のガラスが軋むような音を立てた。
「「ヴァリャーク」·········消えました。」
光が収まるとそこに「ヴァリャーク」の姿はなかった。「ヴァリャーク」ことスラヴァ級ミサイル巡洋艦には射程700kmを越える
しかもVLSではなく
もし16発全て誘爆した場合どうなるかはもう分かるだろう。
未使用の燃料・弾頭,更には各種誘導弾・砲弾にまで誘爆し,「ヴァリャーク」を艦内部から一瞬で破壊する。
正に今「ヴァリャーク」は轟沈·······いや爆沈したと言って良いだろう。
更に最悪なことに誘爆が右斜め後ろを航行していた駆逐艦「ブールヌイ」に届き,「ブールヌイ」の前主砲の弾薬に誘爆し,艦首ごと吹き飛ばした。
排水量11000tの巡洋艦が一瞬で沈んだことに「S-107 ウリヤノフスク」艦橋は静まり返った。
ミサイル襲来に喜んでいたレバルの顔から笑みは消え失せており,まるで病人の様に青白くなっていた。
そんなレバルをレーダー員の報告が更に痛みつけた。
「艦隊9時方向からミサイル!! 数60!!」
更なるミサイルの襲来にレバルは思わず膝から崩れ落ちた。
「何てことだ··········」
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「シ連艦隊既に艦隊の半数の艦艇を喪失した模様。」
レーダー員の冷静な声が「DDH-185 あまぎ」CICに響き渡る。冷静な理由は目の前の惨状に神経が壊されたのかもしれない。
CICのディスプレイにはシ連艦隊とそれを襲うミサイルが光点として現れていたが,その光景は最早恐怖を覚える程だった。
2度ものミサイルの飽和攻撃によって
迎撃する力無く,艦隊へと次々に着弾し艦艇を何隻も戦闘不能・もしくは撃沈に追い込んでいた。
攻撃が終わる頃,ディスプレイ上では残っているのは旗艦の「ウリヤノフスク」と並走するように航行する2隻のミサイル巡洋艦に駆逐艦1隻・フリゲート1隻だけで,残る艦は撃沈もしくは戦闘不能で落伍していた。
「第1段階は完了だな。まさかここでは上手く行ってしまうとは思っていなかったが。」
桐島もこの現状に少し恐怖を感じている様にも感じれる言葉を言った。
彼も第1段階で周囲の邪魔な艦を全て凪払う事が出来るとは思っておらず,出来て半分と思っていたのだが,結果は大成功だった。
「艦隊の方は殲滅しましたが,艦載機隊がこっちに向かっています。
迎撃の方は既に発艦したイーグル隊で行いますが,万が一のためにを取らせましょう。」
「勿論そうするつもりだ。艦載機の襲来は予想できた事だ。そう慌てることはない。」
桐島は水上の指摘を受け取りつつも,慌てないように諭した。
第2機動部隊は第1輸送隊及び護衛の3隻と合流に成功し,本格的な朱雀列島奪還作戦を始めようとしていた。
しかし現在合流したばかりの艦隊とは別れて,第2機動部隊11隻はシ連艦隊との決戦へと駒を進めていた。
シ連艦隊との距離は凡そ200km。既に
今まで撃ってこなかったのは,艦隊が飽和攻撃を受けていて撃つ暇がなかったからで,飽和攻撃が終了した今はいつでも撃たれる可能性がある緊張した状態だった。
「シ連艦隊が飽和攻撃を受けている最中に接近し,
聞いた時は“成功するわけ無い”と思っていましたが,案外行くもんですね。」
水上が意外そうな声を上げて言った。事実水上らは上述の作戦を聞いた時,“失敗する”・“成功しない”と声をあげた。
だが実際やってみると上手く行った為に彼らは桐島への評価を少し高めていた。
当の桐島はというと,
「今回は上手く行っただけで,次やった時にこうなるかは分からないさ。
敵だって馬鹿じゃない。学習して対策を考えてくるかもしれないし,こっちが同じことを食らうかもしれない。
成功したのはただ運が良かっただけ。もう一回成功したいのならいるか分からない女神に祈るべきだな。」
冗談交じりのこの言葉にCICの各所から微かな微笑の声が聞こえた。
桐島にも聞こえてはいるが無視をして,
「これから第2段階に移ろうと思うが,この艦数では32発もいらないな。 10発程度で大丈夫だろう。」
「大丈夫ですか? 幾ら少なくなったとはいえ油断大敵。せめて20発程で宜しいのでは?」
水上の指摘に桐島は頭を掻きながら,
「艦隊全隻を狙うわけではないから10発で充分だろう。艦隊ももう
それにそんなにバカスカ撃てる程
「本音は金ですか········」
結局は金の問題かと水上は溜め息をした。
そんな水上を横目に見つつ,桐島は通信機を手にとった。
「艦隊取舵! 右舷の「あそ」・「ながなみ」・「はつづき」は
発射指示はそれぞれの艦長にお任せする。」
『了解しました。
艦隊は取舵をきって艦首を北北西へと向けた。
艦隊が転舵し終わると,「DDG-204 あそ」・「DD-115 ながなみ」・「DD-124 はつづき」の艦中央から白い煙を上げて
ディスプレイで12発の光点が1000kmを越える速度でシ連艦隊へと向かっていく。
とその時シ連艦隊から光点が幾つも出現した。
「迎撃ミサイルか!? 奴らまだ残していたのか!!」
桐島が咄嗟に自己で分析したが,答えは違った。
「敵艦隊ミサイル発射!! 数10!! 本艦隊に向かってきます!!」
作者の住む県にコロナがヤバい·········一気にクラスターが何件も出て市だけで100人越えた·····
外出がガチで怖くなる··········