New Japan Fleet   作:YUKANE

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新年明けましておめでとうございます!

去年の1月1日覚えていますか? この小説の連載が始まった日です!!

まさか完結まで1年かかるとは思ってませんでしたが,今年もよろしくお願いします!!

では本編どうぞ·········今回戦闘シーンむちゃくちゃかも。

※2024年6月21日 「たかなみ」の誤記を訂正


Episode.44 被弾

艦隊南南東60kmの高度2000mの夜空。星空に覆われた世界に10本の流れ星が出現する。

 

もしこの光景を人々が見たら幻想的だと思うだろうが,同時に轟音で耳を塞ぐだろう。

 

流れ星の尾を描いているのは10機のF-35JC(ライトニングⅡ)。機体後部のエンジンノズルから排出された光が流れ星の様に見えていたのだ。

 

艦隊防空を担当するイーグル隊。その隊長である青木柊は任務の重大さを感じていた。

 

もう後がない決戦。ここで負ければ日本が負けたも同然。艦隊を勝たせる為,日本を勝たせる為にはこの攻撃を凌がなければならない。

 

既にヘッドマウントディスプレイ(HMD)に写されているレーダー画面には12機の敵機編隊がハッキリと写されていた。

 

敵編隊とは500mの高度差というアドバンテージがある。このアドバンテージを使わなければ勝つことは出来ない。

イーグル隊に損失機はいないが,この戦いで出る可能性は非常に高い。撃墜されない方が可笑しいと言ってもいいだろう。

 

なら損失を最小限にして勝たなければならない。アドバンテージを有効に使って奇跡を起こす確率を大きくするしかない。

 

青木は覚悟を決めた。操縦桿を握る力が強まる。

 

「全機兵装使用自由(ウェポンズフリー)!! 艦隊には近づかせるな!!」

 

その合図と共に青木は操縦桿を右に倒し,一気に機体を降下させた。

それに続いて他の機も降下を開始する。

 

強いGが体を襲い,対Gスーツが必死に稼働しパイロットの下半身を締め付ける。

 

機体が降下にするに連れて,眼球に血が集まって視界が赤くなるレッドアウトがうっすらと起き始めた。

 

既にレーダーは敵機をロックオンしている。後はミサイルを放つだけ。

 

「FOX3!!」

 

ウェポンベイが開き,中に搭載されていたAIM-120(AMRAAM) 2発が放たれた。

 

視程外射程ミサイル(BVRAAM)であるAIM-120(AMRAAM )は搭載されている慣性航法装置(INS)に従って敵機へと向かった。

 

敵編隊も接近するAIM-120(AMRAAM)に気づいたのか,チャフとフレアをばらまいて回避行動を取った。だが500mという距離はあまりにも近すぎた。

 

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)に写っていた敵機16機の光点のうち6つが消滅する。

 

直ぐ様機首を上に向け上昇体制を取ると,操縦桿を右に傾け機体の進路を右へと変える。

 

残った敵機10機は散開したが,イーグル隊は各自別れて敵機と一対一の戦闘を開始した。

 

青木も自機の視界の先にいるSu-33(フランカーD)に目標を定めた。

 

「俺の相手はお前だ!!」

 

青木の目の前の敵機はフラップを動かして機体を急速に降下させる。続くように青木も降下を行う。

 

「FOX2!!」

 

操縦桿のボタンを押して,両翼のハードポイントに搭載されていた04式空対空誘導弾(AAM-5)1発づつ放たれた。

 

推進材の固体燃料を消費して,自らの慣性航法装置(INS)に従って目標へと突き進んだ。

 

敵機はそのまま海面に向け降下を続けていく。

 

そして海面に接触するかに思えたが,機体は海面スレスレで降下をやめ,垂直飛行を再開した。

 

04式空対空誘導弾(AAM-5) 2発は追尾することが出来ず,そのまま海面に突撃した。

水中で爆発し,高い水飛沫が上がる。

 

水飛沫をかわして青木の機体(イーグル1)は敵機の追尾を再開した。

 

刹那敵機に変化が起きた。エンジンノズルから排出されていた排気がオレンジに染まり,速度が上昇したのだ。

 

この変化の原因を青木は一瞬で見抜いた。

 

(アフターバーナー(A/B)だと!? こいつら意地でも射程圏内に行く気か!!)

 

ジェットエンジンの排気にもう一度燃料を吹き付けて燃焼させる事で高推力を得る事が出来る機構 アフターバーナー(A/B)

燃料の消費は早くなるがその分速度は早くなる切り札的装備だ。

 

敵機のこの行動に青木は非常に戸惑った。

 

(アフターバーナー(A/B)をここで使ったら間違いなく燃料が持たない!!

機体を犠牲にしてまでも叩き込みたいのか!!)

 

先述の通りアフターバーナー(A/B)は平常時より多くの燃料を消費する。

そして現在使用しているSu-33(シーフランカー)には約800kgもあるKh-59(オーヴォト)を発搭載している。故に燃料消費量はアフターバーナー(A/B)を使わずとも増えていた。

 

つまり彼らは機体を犠牲にしてまでも第2機動部隊へとミサイルを叩き込もうとしているのだった。

 

青木は加速を続ける敵機に再びミサイルの照準を合わせた。

 

その時だった。敵機はハードポイントからKh-59(オーヴォト)を放った。

 

ミサイル(重荷)を下ろて身軽になったSu-33(フランカーD)は加速度を増して一気に上空へと上がった。追いかけるのようにイーグル1も上昇を開始した。

 

降下から一転して上昇へと移ったが,青木は信じられない様な光景を目にした。

 

目の前を飛んでいたSu-33(フランカーD)が宙返りをする途中でいきなり失速して宇宙(そら)を向いていた機首が重力に従って下を向いて落下し出したのだ。

 

彼は燃料切れかと思ったが,次の瞬間失速していた筈のSu-33(フランカーD)はエンジン出力を取り戻して体制を立て直していた。

 

(しまった!!)

 

彼が思った頃にはコックピットにレーダーロックオンを意味する警報がなっていた。

 

敵機はイーグル1に向けて翼端のR-73 空対空ミサイル(AAM) 2発を発射した。

 

青木は直ぐ様機体を加速させた。2発の空対空ミサイル(AAM)がマッハ2.5の速度で迫ってくる。

 

機体が上昇するに伴って体にかかるGの数値が比べ物にならない程上がっていく。

幾ら対Gスーツがあるとはいえ,危険な状態であることにかわりない。

 

彼は賭けに出た。搭載されているAN/ALE-45J(チャフ・フレアディスペンサー)からチャフとフレアをばらまき,即座に機体を右旋回させた。

 

チャフ・フレアによってR-73(空対空ミサイル)は爆発し,彼は難を逃れた。

 

彼はそれを確認しつつ,機体を180°旋回して元来た方向へと進んだ。

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は既にSu-33(フランカーD)を捉えていた。

 

彼は操縦桿のボタンを押して,機首のGAU-22/A(25mmガトリング砲)を放った。

 

25mm口径弾がSu-33(フランカーD)の機体の外装を突き破り,内部へと着弾する。

機体は内部から爆発し,重力に従って海面へと落下を始めた。

 

その上をイーグル1は飛ぶと右旋回して落下していく機体を見つめた。

 

海面へと落下していく機体の脇にパイロットが緊急脱出(ベイルアウト)してパラシュートで降下している様子を彼は確認した。

 

「イーグル1より「あまぎ」へ! 敵機パイロットがベイルアウトした模様!! Over(オーバー)!!」

『「あまぎ」よりイーグル1へ! 了解した。今すぐは無理だがHH-60H(レスキューホーク)を派遣する。生きて帰ってこい!! Over(オーバー)!!』

 

そう言って通信はきられた。静かになった空間で青木は独り言を呟いた。

 

「役目は果たしました。後はお願いしますよ。」

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「3時方向より敵ミサイル!! 数10!! 距離140km!!」

 

イーグル隊がSu-33(フランカーD)と空戦を開始した頃,艦隊の方には艦隊から放たれた艦対艦ミサイル(SSM) 10発が接近しつつあった。

 

「DDH-185 あまぎ」CICのディスプレイでは艦対艦ミサイル(SSM)を示す光点が凄まじい速度で迫っているのが一目で分かった。

 

「流石シ連製。速度がうちらのとは桁違いだ。」

 

桐島が敵ミサイルを褒めるが,表情に余裕がないことが目に見えて分かった。

 

「「あそ」スタンダードミサイル6(SM-6)発射!!」

 

「DDG-204 あそ」の前甲板VLSからスタンダード・ミサイル6(SM-6) 10発が放たれた。

 

各種飛行物体を目的として開発されたミサイルで,その射程と最大高度は対空目標の撃墜に柔軟に対応できると高らかに宣言できるだろう。

 

「あそ」のAN/SPY-1D(V)多機能レーダーが捕捉した目標に向けてMk.99 ミサイル射撃指揮装置の補助を受けながら目標へと向かっていった。

 

マッハ2.5で迫るミサイル(流れ星)SM-6(彗星)が交差し,上空に花火を咲かせた。

 

「目標8発撃墜!! 2発抜けました!! 」

 

レーダー員が報告した。そしてまるで予測していたかのように「DD-115 ながなみ」から2発の発展型シースパロー(ESSM)が発射された。

 

ミサイル同士がさっきよりも近くではぜた。光点同士がレーダー上で交差した後,映っていたのは尚も接近する1発のP-800(オーニクス)の光点だった。

 

「敵ミサイル1発抜けました!! 本艦に向かってきます!!」

「チャフ発射!! 砲雷長SeeRAMで対応せよ!!」

 

艦側面のスポンソンに搭載されているチャフロケット発射装置がチャフの詰まったロケット弾を勢い良く射出した。

上空でロケットは破裂し,銀色の雨を「DDH-185 あまぎ」に降らせた。

 

砲雷長の宇津木も心の底では恐怖を感じていたが,冷静に発射指示を出した。

 

「SeeRAM発射!」

 

元々搭載されていたRIM-7(シースパロー)を撤去して搭載された艦対空ミサイル(近SAM) SeeRAM 11発が迫ってくる敵ミサイルへ放たれた。

 

SeeRAMの隣に設置されているファランクス(CIWS)も銃口を上に向け,発射を今か今かと待っていた。

 

だがファランクス(CIWS)が火を吹く前にミサイルは11発のミサイルで撃墜された。

 

「あまぎ」上空でミサイルが爆発した為に,航空甲板及び艦橋を激しい光が照らした。

 

CICには光は届かなかったが,遅れて衝撃波が艦を揺らした為に,CICも若干だが揺れた。

 

揺れが収まり桐島がディスプレイを見ると,迫っていた筈の光点は1つも残っていなかった。

危機を脱した事に安堵したが,戦場は心が落ち着くのを待ってはくれない。

 

「5時方向よりミサイル!! 数6!! 距離50km!! イーグル隊の撃ち漏らしかと思われます!!」

「「DD-131 しらぬい」・「DD-124 はつづき」共に発展型シースパロー(ESSM)発射!!」

 

再び迫ってくる敵ミサイルに艦隊後方に展開していた「はつづき」と「しらぬい」が3発づつ発展型シースパロー(ESSM)を発射した。

 

ミサイル同士がそれぞれの目標へと向かっていく最中今度は1時方向からも2発の空対艦ミサイル(ASM)が接近している事をレーダーが捉えた。

 

一瞬の隙もなく変わっていく状況に桐島は思わず,

 

「こりゃ1種の飽和攻撃だな。」

 

と呟いた。

 

艦隊への攻撃はまだ終わることはない。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

発展型シースパロー(ESSM)発射!!」

 

艦長の金島佑月一等海佐の合図で,Mk.41 VLSの蓋が開き,2発の発展型シースパロー(ESSM)が発射された。

 

2発のESSM(流星)は敵空対艦ミサイル(ASM)に向け,飛揚を開始した。

ディスプレイ上でミサイルが交差し,敵空対艦ミサイル(ASM)が消滅する。

 

「おかしい·······」

 

唐突に金島はそう呟いた。その言葉に隣にいた溝口は思わず反応した。

 

「艦長。おかしいとはどういうことですか?」

「可笑しいと思わないの? 排水量20000tの艦なら10発しかミサイル搭載しているわけない。

なのに何故10発しか撃ってこなかった·········」

 

金島の疑問を聞いて思わず溝口は,

 

「まさかとは思いますが,さっきのは()だったりして。」

 

彼は冗談で言ったつもりだったが,金島はその言葉に反応した。

 

「可能性は充分にあり得るな。レーダー何か不審な物は捉えているか?」

「いえ,そのような物はまだ!?」

 

レーダー員は平常通り話していたが,突如驚愕して声を荒げた。

 

「本艦3時方向より飛行物体!! 数4!! 距離60km!!」

「溝口。君の言葉が当たった様だ!! 発展型シースパロー(ESSM)発射!!」

 

再び前甲板のMk.41 mad 18 VLS 1セルの蓋が開き,ミサイル・セルから発展型シースパロー(ESSM) 4発が発射された。

 

ミサイル同士がマッハ2.5とマッハ1.6でぶつかり合った。

 

「敵ミサイル全発撃!?」

「どうした!?」

「敵ミサイル1発抜けました!!」

 

この報告に金島は驚愕した。既にミサイルとの距離は15kmをきろうとしている。

このままでは「あまぎ」への直撃は免れない。

 

ファランクス(CIWS )射撃開始!!」

 

艦後甲板のヘリ格納庫上の高性能20mm機関砲(ファランクス)が回転して銃口がミサイルへと向いた。

6連装の20mmバルカン砲が高速で回転しながら上部のセンサーでミサイルを捕捉しながら20mm口径弾を撃つ·········はずだった(・・・・・)

 

ファランクス(CIWS)動作しません!!」

「まさか·········ジャム!?」

 

弾詰まり等の銃関係の機械的トラブル ジャム。それが最悪の場面で発生した。

 

ジャムは弾詰まり以外にも薬莢噛み・二重装填・撃鉄損傷等の総称であるために何が原因で,どこで起きたのかは直ぐには分からず,尚且つ直ぐ直るわけでもなく,直していたらその間に「あまぎ」に着弾する事を金島は分かりきっていた。

 

金島はそれらを分かりきった上で決断した。

 

「全速後進!! ミサイルの射線に入れ!!」

 

最初の四文字の言葉でCICの全員が艦長のしたいことが分かった。

「ながなみ」を盾にして(・・・・・・・・・)「あまぎ」を守る。

 

艦長だってこの手段は使いたくなかった。だがこの艦を犠牲にしてまでも守らないと,艦隊がいや日本全体が悲劇に包まれかねない。

 

金島は座っていた椅子の肘掛を強く握りしめながら,

 

「誰かを守る。その対象は自衛官にも当てはまるのですよ。」

 

直後「ながなみ」は光に包まれた。




久々に空戦シーン書いたのですがやっぱりムズい······

F-35JCが04式空対空誘導弾(AAM-5)を搭載できた事と,機首に機銃を搭載しているのは,自衛隊独自改造によるものですので勘違いのないようにお願いします。

これは本編に関係あるかどうか分からないんですけど,12式地対艦誘導弾を改良?して射程1500kmにするらしいですね。

射程1500kmのミサイルとか最早弾道ミサイルじゃ·······比較として北朝鮮の準中距離弾道ミサイル ノドンの射程は1500~2000kmです。
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