New Japan Fleet   作:YUKANE

48 / 57
先日日本国召喚のコメント欄に合ったコメント(要約)で“戦闘シーンで説明文は避ける”と言ったものがありました。

自分でも自覚してますけど,僕は説明文を書くのが好きなので各所で多用しています。

これは変えるつもりは一切無いと思いますけど次回作では出来るだけそう言うのは後書きに移そうかなと考えてます。

·········というか*←こんなマーク押したら吹き出し?が出るのってどうやるんですか?

2021 4/6 伝承の内容を少し変更しました。


Episode.47 朱雀

ストーク隊がシ連艦隊へと向かっている頃,朱雀列島東70kmの海上を百里基地を離陸した自衛隊初の爆撃機 B-1B(ランサー)が飛んでいた。

 

現在B-1B(ランサー)は翼を折り畳んだ状態且つ低空で飛行しており,シ連軍のレーダー探知から逃れていた。

尚且つ灰色の機体塗装が夜空に溶け込んでおり,目視でも見つけるのは困難になっていた。

 

「そろそろ第一爆撃ポイントだな。」

 

機長の山形がコックピットの機器を確認しながら言った。

 

機体内部の3つのウェポンベイには精密誘導爆弾 GBU-38(JDAM) が専用のロータリーランチャーにそれぞれ16発ずつ搭載されており,爆撃を今か今かと待っていた。

 

E-767(J-WACS)からの報告だと飛鷹島の航空隊 10機はイーグル隊 16機と交戦を開始したとの情報です。」

「航空障害も無しか。電子攻撃(EA)が行われているのなら,本当に安心できるけどな。

突っ込んで撃墜されて死んだなんて親父に言ったら殺されるぞ俺。」

 

隣の操縦席に座っている副パイロットと情報を共有しつつ,山形は冗談を言った。

 

副パイロットは苦笑いしたが,直ぐに仕事の顔に戻って,

 

「念のため確認しますけど,飛鷹島には爆撃しないんですよね?」

「ああ,飛鷹島には特殊作戦群が展開している。幾ら精密誘導だからといって誤爆(フレンドリーファイア)の可能性があるからな。友軍に爆弾落としたなんていうバットエンドはお断りだ。」

 

冗談を交えつつ言葉を返す山形に副パイロットは内心呆れつつ,再び苦笑いした。

 

「さて冗談はここまでにして,そろそろ仕事をこなさなきゃな。」

 

山形が冗談を敢えて交えていた事と,仕事モードに切り替わった事に副パイロットは安心しつつ,自分自身も仕事モードへと切り替えた。

 

「両翼展開!!」

 

山形と副パイロットがコックピット各所のスイッチを操作すると,B-1B(ランサー)の翼が徐々に広がり始め,後進翼だった翼は横長いテーパー翼へと変化していた。

 

テーパー翼になったことで,空気抵抗が増加して自然と速度が低下する。

それと共に操縦桿を引いて,機体を上昇に転じさせた。

 

「ウェポンベイ開け!!」

 

機体下部の一番機首側のウェポンベイの両開き扉がゆっくりと開き,中のロータリーランチャーの周囲に16発取り付けられた 精密誘導爆弾(JDAM)が姿を現す。

 

蘭島で一番高い場所に位置する朱雀警備隊司令部がハッキリと視界に入った。

 

爆弾(Fire)投下用意(lady)·······(now)!!」

 

精密誘導爆弾(JDAM)が1発ずつ投下を開始した。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

蘭島の朱雀警備隊司令部から南へ4km程の雑木林。落葉して細かい枝までもがくっきりと見える物静かな森に幾つもの足跡が反響する。

 

足跡を発している軍団は皆緑色や茶色で迷彩された服を身に纏っているが,自らの姿を隠す筈の迷彩がかえって彼らを目立たせていた。

 

そんな事も気にせず彼らは何処か寂しげな雑木林の中央付近で足を止めた。

 

「ここなら辛うじて大丈夫ですかね?」

「視界を完全に遮る物はないが,寧ろこっちの方が視野が広くて逃げやすそうだ。」

 

隊員の言葉にシ連陸軍第3軍司令のユラージ・チュイコフ中将が皮肉を混ぜながら返す。

 

彼らはスパイの情報から司令部爆撃の可能性が高いことから,司令部から離れることで逃れようとしていた。

 

だが念には念をいれて,レアル以下一部の司令部要員を飛鷹島に送り,残った要員も2手に分かれて少しでも保てるようにしていた。

 

「そろそろレアルが乗ったヘリが着く頃だと思うのだが,通信は繋がるか?」

「ノイズしか聞こえません!」

電子対抗手段(ECM)か······小癪(こしゃく)な真似を!!」

 

ユラージが怒りを露にして,右手の拳で木の幹を勢い良く殴った。

 

現に朱雀列島 築館島西40km地点で「DDH-186 かつらぎ」を発艦したEA-6C(プラウラー)が昨日と同じように電子攻撃(EA)を実施して朱雀列島全体をジャミングしていた。

 

故に通信機はノイズばかりでただのお荷物へと化していた。

 

と彼らの鼓膜にジェット機特有の音が微かに聞こえた。その音は次第に高まっていき,音源が接近している事を知らしめていた。

 

隊員の1人が木々の隙間から双眼鏡を覗いて,音が聞こえてくる方を見てみると,巨大な1機の爆撃機の姿を捉えた。

 

「でけぇ········Tu-160(ベールイ・レーベチ)ぐらいあるんじゃねえか?」

 

実際はTu-160(ブラックジャック)の方が10m程大きいのはさておき,音の発信元ことB-1B(ランサー)のウェポンベイから次々と精密誘導爆弾(JDAM)が落とされていく。

 

重力と内蔵されている慣性誘導システム(INS)グローバル・ポジショニング・システム(GPS)に従って一寸の狂いなく司令部を直撃した。

 

コンクリート造りの司令部が意図も簡単に吹き飛び,周囲に轟音とコンクリート片を撒き散らした。

 

爆発の轟音が聴覚を,光と炎が視覚を無慈悲に襲った。五感の内2つを刺激していた轟音と光が突如として増して彼らを襲ってきた。

 

「弾薬に誘爆した!!」

 

隊員の1人が叫んだ。司令部の周辺には揚陸艦から下ろされていた弾薬が置かれていた。

 

一応弾薬は誘爆を避けて各所に分散させようとしていたのだが,何せ急な移動になったために移動が追い付かず爆撃が始まった時にも司令部付近に弾薬が残っていたのだ。

 

既に破壊された司令部一体を弾薬の誘爆が無慈悲に破壊していき,爆発のよる鉄骨が崩れる様な嫌な音が島中に響き渡った。

 

その時だった。誘爆した弾薬の一部がユラージらがいる雑木林へと飛んできた。

思わずユラージらは飛んでくる弾薬から逃げ出そうとした。

 

飛んできた弾薬は高さ5m程の小高い丘にぶつかると爆発した。

地面が抉れ,周囲に土が撒き散る。爆発の衝撃波によって木々の一部は根元から折れて倒れ始めていた。

 

「おわあぁぁ!!」

 

後ろから普段のユラージからは考えられない様な悲鳴が聞こえた。

 

「し,司令!!」

 

隊員らが振り替えると,爆発で根元から折れた(くぬぎ)の木がユラージの両足を直撃しており,身動きが取れなくなっていた。

 

爆発地点の周辺は爆発による火災が発生しており,ユラージの場所とは20m程しか離れていなかった。

ユラージは出せる限りの声で隊員達に呼び掛けた。

 

「お前達!! 俺はもう助からんから逃げろ!! これは命令だ!!」

 

ユラージは自分はもう助からないと判断して,他の隊員達に逃げるように言った。

だがその命令に従う者は1人もいなかった。ユラージの元に小佐が駆け寄ってくると,ユラージの足の状態を確認し出した。

 

「お前達··········?」

「司令。人生唯一の命令違反させてもらいます!! 皆そうだろ!!」

 

小佐のその言葉に顔を横に振るものはいなかった。

 

「伍長! 医療班を呼べ!! 司令が負傷したと伝えろ!! 俺達は木を持ち上げるぞ!!」

 

伍長と呼ばれた隊員が医療班を呼びに向かい,隊員達はユラージを押し潰している木を持ち上げる組と付近の溜め池から水を組み上げて火災を消す組に分かれて司令官を何としてでも助けようとした。

 

部下達が炎や命令違反の処分を恐れもせず,ユラージを決死に助けようとする姿にユラージは笑った。

 

「良い部下を持ちすぎたな·········」

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

蘭島南側に建てられた島唯一の公民館。いつもは島民達集まる場所として使われているが,現在は島民の収容場所になっていた。

 

公民館の周囲をAN-94 アサルトライフルを持ったシ連兵が厳重に警備しており,脱走なんて持っての他だった。

それは収容されている200名程の島民達も分かりきっている為,皆が静かに救援が来ることを祈って眠りについていた。

 

突如窓から強烈な光が差し込んだ。数秒遅れて轟音と衝撃波が公民館を包み込んだ。

この光と轟音と衝撃波によって島民達は強制的に夢の世界から引きずり下ろされる事になった。

 

「何だぁ!? 一体何じゃぁ!!」

「自衛隊が来たのか!? 来たのか!?」

 

突然起きたこの出来事に島民達は混乱に陥った。それは周囲を警戒していたシ連兵も同じで,ロシア語で会話している為に内容は理解できなかったが,慌てているという事だけは分かった。

 

閉められていたカーテンを開けて島民達は爆発が起こった方向を思わず見た。

すると夜空に赤い線を描きながら遠ざかっていく,B-1B(ランサー)の機体の姿が赤い炎によって照らし出されていた。

 

「あれって米軍の爆撃機じゃn」

 

軍用機に知識のある男性がB-1B(ランサー)を指差しながら,喋りだしたかと思ったらそれを遮る様に声が響いた。

 

「朱雀じゃ·········」

 

彼らが声のした方を見ると,島1の長老が照らされいるB-1B(ランサー)を指差していた。

彼女は去っていくB-1B(ランサー)に向かって,両手を祈る様に合わせた。

 

()()の通り朱雀が我々を救ってくれたのじゃ······」

 

手を合わせて拝んでいるのを見て,他の島民達も次々と手を合わせて拝んだ。

 

この島民達は皆,昔から伝わるある言い伝えを思い出していた。

 

かつてまだ日本が倭国(わこく)と呼ばれていた時代。当時は隋の領地だったこの列島に10万を越える所属不明の大軍が攻めてきた。

 

この頃既に列島に島民は住んでいたものの,その数は少なく,この大軍に勝つ見込み等0に近かった。

 

そうこうしている間に大軍が列島を襲った。島民は老人から子供までが戦ったが多勢に無勢,桁違いの数と()()()()()()()によって島民の多くが殺され,全滅寸前にまで追い込まれてしまった。

 

島民皆が玉砕するしかないと思ったその時だった。突如として曇っていた空に白く巨大な鳥が出現した。

 

白い巨鳥(きょちょう)は大軍へと襲いかかり,大軍を根こそぎ殲滅し,彼らが乗ってきた船も口から吐いた白い炎で全て焼き払った。

 

この光景を見た島民達は立ち上がって,辛うじて残っていた大軍を全滅へと追い込んだ。

 

大軍を全滅させた白い巨鳥(きょちょう)は列島の上空を周回した後南西の空へと飛び去っていった。

 

この出来事に島民は白い巨鳥(きょちょう)を崇める様になり,巨鳥(きょちょう)はいつしか朱雀(すざく)と呼ばれるようになり,この列島も“朱雀列島”と名付けられた。

 

元寇によってこの列島を手に入れた日本も朱雀列島という名を現在まで使用した。

 

そしてこの伝承の最後にはこう書かれている。

 

“再び我々が危機に陥った時,再び朱雀が現れて我々を救うだろう”




朱雀列島と名前がついているので,その理由付けも必要だと思った事と,切り札としてB-1(ランサー)出したかったのでどうせならと合わせましたw

こう言う伝承的なのって案外現実でもあったりしてw

裏設定ですが,あの時現れた謎の大軍と巨鳥(朱雀)が一体何だったのかは今でも研究者で意見が割れていたりします。

話変わりますけど爆弾投下の合図って良く爆弾投下用意(Drop lady)って言いますけど,僕はFire ladyを使ってます。

これってどっちが正しいんですかね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。