New Japan Fleet   作:YUKANE

51 / 57
遂に50話!! 約一年かかってここまで来ました!! 苦労は色々ありましたが,達成感は半端内です!!

あとUA6000達成!! こんな駄作を読んでくれてありがとうございます!!

では,本編どうぞ


Episode.50 上陸

朱雀列島で3番目に大きな巨島 多千穂島。列島内で最大の港とコンビナートがあり,新潟港とのカーフェリーも週に4往復出ている等,朱雀列島を支える重要な拠点だと堂々と宣言できるだろう。

 

この島の西10kmの海上に第1輸送隊所属のおおすみ型輸送艦 1隻が展開していた。

第4護衛艦隊の「DD-104 きりさめ」の護衛の元,おおすみ型輸送艦「LST-4001 おおすみ」が展開していた。

 

船体後方の艦尾門扉は既に展開済みなので,後は司令官の“GO!!”の指示を待つだけだった。

 

ウェルドック内には本来搭載しているLCAC-1級エア・クッション艇(LCAC)ではなく,水陸両用能力を持つ装甲兵員輸送車 AAV7。

既に配備開始から半世紀も経っているが,その能力は劣っておらず,今でも最前線で使われる優秀な車両だ。

 

その車列の最奥に1台だけ武装を搭載せず,車体後部に8本ものアンテナを立たせているAAV7がいた。

 

この車両の正体は指揮通信型のAAV7。司令部からの指示を前線部隊に知らせたり,前線の様子を司令部に伝えたりする中継車の役割を持つ車両だ。

 

そんな車両上部のキューポラに腰かけている隊員とキューポラから顔を出している隊員が束の間の雑談を楽しんでいた。

 

「なあこれから戦場に突っ込むんだろ? なんか実感わかねえな。」

「お前は訓練では“実戦は訓練とは違う”って言ってたくせに。」

「その時々で人の考えってのは直ぐに変わるんだよ。」

「流石“片方振り子”の大戸だなw」

「何やら楽しく話をしている様だな。」

 

2人の会話に割り込むようにそんな声が聞こえた。その声に2人は凍ったかのように話を止めた。

 

2人が声がかけられた方を恐る恐る見ると,そこには1人の自衛官がいた。

 

角谷 仁也(かどや じんや)。第1水陸機動連隊を率いる最年少の連隊長兼彼らの上司だ。

 

「か,角谷連隊長!? も,申し訳ありません!!」

「いや寧ろ安心した。初の実戦で過度に緊張していないか不安だったからな。

君達のその様子だと大丈夫そうだ。」

「ええ,シ連軍なんかに緊張するわけありません!!」

「連隊長。こいつの意見は参考にしないでください。」

 

2人の会話に角谷は微笑した。彼自身自衛隊では珍しい茶髪*1で,歳も31という若さで1等陸佐となり,最年少で第1水陸機動連隊連隊長に就任した。

 

最初は歳もあって水陸機動団団長や,隊員達から不安がられてたが,噂通りの指揮能力を発揮して不安を払拭した。

そして現在は隊員達と歳が近いこともあって,こうやって親しく話せていたのだ。

 

「楽しく話すのは大変結構だが,これから行くのは本物の戦場だ。

もしかしたら「おおすみ」(ここ)に戻って来れないかもしれない。それだけは理解しておいてくれ。」

「連隊長。蘭島や築館島の方は大丈夫なんでしょうか?」

「蘭島の事は第2連隊がやってくれる筈だ。我々は多千穂島(目の前)の敵を打ち砕くだけだ。

君達の仕事は我々に情報を伝えることだ。しっかり情報を伝えてくれよ。」

 

そう捨て台詞の様に返事すると,角谷は後方車両の上を何台も経由して*2,自分が乗る車両へと向かった。

 

キューポラの蓋を開けて車内へと乗り込んだ。車内には完全武装の隊員達が軍事車両特有の硬い椅子に座って待機していた。

 

「これから我々は戦場へと向かう。初めての実戦だが,訓練を思い出せ! 我々の手に日本の未来はかかっている!!」

「連隊長。敵は水際と持久戦のどっちで来ますかね?」

「さあな。それは相手司令官の気分次第だ。私の予想では敵は既に司令部を失っているから,それ程時間はかからないと思うが。」

 

角谷がそう返事した時,戦闘上陸大隊所属の隊員の操縦でAAV7は動き出した。ウェルドックから艦尾門扉を経由して冷たい日本海へと滑り込んだ。

 

水上独特の浮遊感が車体を経由して隊員達へと伝わっていく。

角谷は揺れる車両の中,自分がやってきた方へ向かった。梯子を登って,キューポラから顔だけを出して周囲を見回した。

 

AAV7は車体の大半を海中へと沈め,車体にぶつかった波が顔に当たりかける程近くを通りすがった。

 

AAV7から眺める「LST-4001 おおすみ」はまるで万里の長城の様に高く聳え立っていた。

 

その「おおすみ」の航空甲板から第6対戦車ヘリコプター連隊所属のAH-1Z(ヴァイパー)や輸送航空隊配備のV-22(オスプレイ)がそれぞれの目標に向かって次々と飛び立っていた。

 

2機のAH-1Z(ヴァイパー)が時速400kmの速度を使って,AAV7を軽々と追い抜く。

スタブウィングに取り付けられたミサイルポッドからハイドラ70ロケット弾が赤い閃光を上げて何本も放たれる。

 

多千穂島の海岸に幾つもの煙の柱が立つ。煙が晴れない内に機首のM197 20mm機関砲が回転しながら毎分650発の速度で弾丸を発射した。

 

「上陸するぞ!! 発煙筒炊け!!」

 

車体上部の新型砲塔(UGWS)から白いスモークが発生して,突入する第1水陸機動連隊を包み込んだ。

 

浮遊感が一瞬で消え,代わりに履帯が砂地の地面を駆ける感覚が伝わった。

 

「LST-4001 おおすみ」から発進したAAV7は次々とウォータージェット推進から履帯での移動へと変えて多千穂島へと上陸した。

 

多千穂島への上陸を成功させた角谷は勝利を確信した···········()()()()()

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「おいおい,敵は統制力を失っているから直ぐに制圧出来るって言ったのは,何処のどいつだ!!」

「貴方ですよ。隊長。」

 

角谷の愚痴に隣にいた隊員が突っ込みを入れた。

 

彼が愚痴を言うのも無理はない。シ連軍は想定以上の反撃を行ってきたのだ。

 

既にAAV7 2両。AH-1Z(ヴァイパー) 1機を失い,20名近くの隊員を失っていた。

 

こんな現状に第1水陸機動連隊も黙っているわけ無く,AAV7 車体上部の新型砲塔(UGWS)から主武装のMk.19 自動擲弾銃や副武装のブローニングM2重機関銃を使って反撃を行っていた。

 

だが車両周辺に留まっている隊員達とはAAV7から降りている隊員もいた。

彼らの一部はAAV7に積み込んでいた 120mm迫撃砲 RTを部隊の後方に展開して,迫撃砲弾を何発も発射した。

 

約8000mの射程を持つ迫撃砲で敵部隊をアウトレイジに潰していくのだが,敵も黙ってはいない。

貴重な歩兵戦闘車(IFV) BMD-4を投入し,反撃していた。

 

100mm滑腔砲から放たれた砲弾が建物へと着弾し,大量の破片を撒き散らす。

後方の2S9 ノーナ-S 120mm自走砲も120mm直射・迫撃両用砲を発砲し,迫撃砲の様な曲射射撃を水陸機動連隊へと直撃させた。

 

飛んでくる破片から角谷は身を隠す。その場でトランシーバーを操作して後方の指揮通信型AAV7に乗る通信士へと通信した。

 

「とっくに築館島は落ちた筈だ!! そっちのAH-1Z(ヴァイパー)の増援は来れるのか!?」

『築館島のAH-1Z(ヴァイパー)部隊も反撃が激しく,損傷する機体が相次ぎ,弾薬や燃料も消費した事もあって「おおすみ」へと撤退したとのことです!!』

「何分ぐらいでこっちにこれるか!?」

『それはまだ分かりません!!』

 

さっき話した大戸と呼ばれた隊員がさっきとはうってかわって正確に情報を角谷へと伝える。

人を軽々と判断してはいけないと彼が思い直しているとあっち側がざわつき出した。

 

『どうした高畠······な!? 早期警戒管制機(E-767)が朱雀列島西北西30kmにて機影探知!! 数23!!』

「機影だと? 西北西ということは中国軍か!! 機種は判別出来るか!!」

『正確には不明ですが,恐らく戦闘機と輸送機かと!!』

「輸送機? 戦闘機は話が分かるが········まさか!?」

 

角谷がある考えに辿り着いた時,角谷の耳にジェット機特有の轟音が微かに聞こえた。

徐々に大きくなっていくその音の音源の方向に角谷が向くと,その正体が判明した。

 

「あれか!!」

 

角谷の目線の先には4機の機体が映っていた。F-2のような機体形状・単発・エアインテーク。

だがF-16やF-2とは違ってエアインテークは四角く,ついている筈のないカナード翼もあり,F-2とは違う機体だという事を示していた。

 

中国空軍ジェット戦闘機 J-10。NATOコードネーム ファイアバード。

中国が独自開発した第4世代ジェット戦闘機はリューリカ・サトゥールン AL-31FNシリーズ 3ターボファンエンジンの出力を上げ,低空飛行で多千穂島へと飛来した。

 

機体の11個のハードポイントからFT-2滑空誘導爆弾(飛騰2型)や無誘導爆弾が次々と投下され,多千穂島の地面を大きく揺らした。

 

滑空誘導爆弾はBMD-4を正確に直撃し,鉄屑に変えた。無誘導爆弾もシ連軍の陣地へと着弾し,土煙と共に陣地を破壊した。

シ連軍兵士が持っていたであろう武器と共に意図も簡単に舞い上がり,電線や建物の屋根へと強く落下した。

 

この惨状に角谷や顔をしかめたが,直ぐにそれは消え失せた。

J-10の去って直ぐに別の機体が視界に入ったからだ。

 

「あれは確か·······Y-20だったか?」

 

角谷の頭上に現れた物。それは中国人民解放軍空軍の大型輸送機 Y-20。

Il-76(キャンディッド)を参考に開発された大型輸送機 4機は,4基のソロヴィヨーフ D-30KP-2 ターボファンエンジンの気高い轟音が周囲の空に響き渡り,周囲の水機団隊員の鼓膜へも侵入した。

 

水機団隊員が見上げる中,Y-20のカーゴドアが開き,黒い空に目立たない様に黒く塗られたパラシュートを使って搭乗していた中国軍兵士が降下を開始した。

 

中国軍兵士と共に4つのパラシュートに支えられながら,3つの大きな物体もY-20から滑るように下ろされた。

 

「03式空挺歩兵戦闘車だ!!」

 

水機団の誰かがそう叫んだ。

 

中国軍初の空挺戦闘車 03式空挺歩兵戦闘車。Y-20に搭載された3両がパラシュートと共に多千穂島へと緩やかに落下した。

 

中国軍兵士も次々と降り立ち,行動を開始した。

 

水機団隊員はまさかの中国兵に89式小銃や20式小銃を向けた。

その事に気づいたのか,中国軍兵士の1人が駆け寄ってきた。

 

水機団隊員は小銃の引き金に指をおいて何時でも撃てるようにした。

だが,その引き金が引かれることはなかった。

 

「中華人民解放軍空挺兵第133旅団及び第134旅団!! 自衛隊の援軍に参りました!!」

 

流暢な日本語で話しかけられた彼らは唖然とした。それを予想していたかのように日本語を話す中国兵は間置かず,

 

「我が国には呉越同舟という四字熟語があります。何時もは敵同士ですが,今は手を取り合ってシ連という悪魔を共に倒しましょう!!」

 

驚愕を隠せない水機団隊員を押し退けて,角谷は日本語を話す中国兵士の元に向かった。

 

向き合った2人。最初に口を開いたのは角谷だった。

 

「まさかあなた方と共に戦えるとは思っていなかった。

短い間だが,宜しく頼むよ。」

「ええ,私も同意見です。あなた方が我々の敵として恥じないか見させて貰いますよ。」

 

2人は固い握手を交わした。歴史上初の日中共同戦線がここに結成された。

*1
自衛隊は基本的に茶髪は駄目だが,彼は地毛な為に特例で許された

*2
ウェルドック内でこんなこと出来るのか?




前話を8時ぴったりに投稿したら,1日で90以上のUAを頂きました。

いつもは0時ぴったりに出すんですが,0時に出されるより8時に出した方がUAが伸びたりするんですかねぇ?

あとお気に入りとUAの伸びが嬉しくです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。