ようこそ実力主義者の教室へ。元脳筋は苦労する。   作:赤山大和

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9話

放課後。

 

 

「全員、少し残れ」

 

Cクラスの教室で龍園が教卓に座りながら呼び掛ける。

 

 

「このCクラスの今後の話をさせてもらうが。俺が王としてお前らを率いる。お前らにはそれに従ってもらう」

 

 

傲慢と言える発言にクラスの一部から不愉快な感情が向けられるが龍園の側にいる俺やアルベルト、石崎の姿を見て反対の声が収まる。

 

 

「わざわざ言うまでもないがこの学校は異質だ。今までの常識は通用しねえ。教師どもはハッキリ説明しねえし、他のクラスとの争いを推奨してやがる。そんな中でAを目指すならばクラスをまとめる絶対的なリーダーの存在は不可欠だ」

 

 

教室にいるクラスメイト達は顔を見合わせる。

龍園の言うこと自体は正しい。

クラスを纏められずに分裂すれば勝てるものも勝てなくなる。

上を目指すならばそれを率いるリーダーの力量が大きく影響する。

 

このクラスでリーダーをするならば龍園が一番の候補だろう。

 

「そして、そのリーダーに相応しいのが俺だ。常識に捕らわれねえ思考力。躊躇わずに敵を潰す胆力。敵対する奴を黙らせる暴力。このCクラスにおいて一番俺がもっている」

 

自信満々だな。

クラスを率いるうえで自信のない人間よりも自信のある人間の方が良いのは確かだしな。

ワンマンになりすぎれば問題だがその時はフォローすればいい。

 

 

「俺の意見に不満がある奴も多いみたいだがそれならば王を決めようぜ。俺は俺が気に食わねぇって奴の挑戦を受けてやる。俺が王を名乗るのが不満ならうだうだ言わずにかかってこい。どんな形でも構わねぇからよ」

 

 

そう言って笑う龍園。

自分に逆らう人間がいれば面白いとか思っているのか?

まぁ、何人か逆らった奴を見せしめにすればクラスを支配しやすくなるってのもありそうだが。

 

どちらにせよ大半のクラスメイトは龍園の雰囲気に呑まれている。何人か抵抗しそうなのもいるが殆どの生徒は従うだろうな。

 

 

「さて、俺の話しは終わりだ。俺が王になるのに不満がないって奴は帰っていいぜ。俺に従えねぇって奴は残れ」

 

 

この言葉で椎名さんが立ち上がり教室を出ていく。

それに続くようにクラスメイトがいなくなっていき残ったのは数人の男女のみ。

 

これなら俺も残る必要はないか。

 

 

 

一言断ってから俺も龍園達を残して教室を出る。

 

向かう場所は職員室。

担任の坂上先生には色々と質問したい事があるからな。

 

 

 

そして向かった職員室。

幸いにも坂上先生は直ぐに見つかった。

 

「坂上先生、少しよろしいでしょうか?」

 

 

「うん?月村か。どうかしたのか」

 

「はい。中間テストに対して質問とお願いがあって来ました」

 

「ほう。中間テストについてか。何かわからない事があったのか」

 

 

「はい。特に知りたいのは赤点の基準です。先生はあの時、今回のテストでは35点未満が赤点とおっしゃていましたので。次回は、中間テストや期末テストでは赤点の基準が変わるのですか?」

 

これは確認が必要となることだ。

中間テストの攻略法が過去問だとしても赤点の基準が変わるのでは安心出来ない。

 

「そう言えば説明をしていなかったな。この学校の赤点の判断基準は各クラス毎に設定されている。そしてその求め方は平均点割る2。その答え以上の点数を取ることだ」

 

 

「なるほど。では、Cクラスの赤点の人数はAクラスが基準ならばもっと多くなりDクラスの基準なら少なくなっていましたね」

 

 

「そうなるな」

 

 

さて、ここからが本題だな。

 

「中間テストを乗り越えるために坂上先生にお願いがあるのですが」

 

 

「なんだね」

 

 

「去年と出来れば一昨年の中間テストの過去問を頂く事はできませんか?」

 

 

俺のお願いに坂上先生と話しが聞こえていた周りの先生が驚いた顔をしている。

 

 

「………過去問をかね」

 

 

 

「はい。中間テストに向けて勉強するに当たり、過去問があれば今回のテストでも参考になると思います。更に言えば出題の傾向が解ればよい点を取れると考えました」

 

言っている事は本心だし、これが攻略法ならば手にいれておきたい。

2年や3年の先輩に頼むよりも先生に頼んだ方が安く済むと思うしな。

 

 

「あら~坂上先生のクラスの子はずいぶんと大胆ね。担任の先生にテストの問題をくださいなんて~」

 

 

「星之宮先生……」

 

うん?

声をかけられた相手を見ればセミロングの若い先生と薄ピンク色の長い髪をした女生徒が立っている。

まぁ、変な誤解をされないようにしないとな。

 

 

「えーと、Bクラスの星之宮先生ですよね。テストと言っても今回のではなく去年や一昨年の物を傾向や対策を練る参考に欲しいと思ったのですが。…………それとも、去年や一昨年の中間テストの過去問を受け取るとマズイ理由でもあるのですか?」

 

 

「ん~別にマズイ事なんてないわよ。ただ、担任の教師から生徒にテストを渡すっていうのがあまりよくないかな~って」

 

 

担任の教師が贔屓をしたと受け取られる可能性があるのか?過去問が攻略法ならばそうとられてもおかしくないのかもな。

 

 

「これが中間テストの目前と言うならばともかくまだ5月になったばかり。今年の中間テストの問題はまだ作られていないのでは?それならばテストを受け取っても今年の中間テストの問題だと邪推する人もいないと思いますが?」

 

 

正直、これまでの会話で今回の中間テストの攻略法が過去問である可能性が高くなったか。

 

「へー、えっと君の名前は?」

 

 

「ん?月村ですが」

 

 

「月村くんかぁ。月村くんはわかっていて(、、、、、、)言っているのかなぁ」

 

こちらに近づいて覗き込むように言われた言葉よりも顔が近い事に動揺する。

 

 

 

 

「さて、なんの事かはわかりませんが自分もクラスメイトが赤点を回避するために頑張ろうとは思っています。過去問を手にいれる事がそこまで問題があるというのならば諦めて帰りますが?」

 

 

先生達から手にいれるのが無理だというならば龍園に任せね自分は大人しく勉強するだけだ。

それと、俺の事よりも後ろにいる生徒の事を気するように。

俺としても過去問が攻略法だという事を後ろにいる女性徒に知られたく無いのだが。

 

「う~ん、別に問題はないと思うかなぁ。月村くんの言うとおりテストって言っても今年のはまだ作っていないし去年のとかだけならね。坂上先生はどう思います?」

 

「ふむ。そうだな。去年の過去問ならば問題はない。直ぐに用意しよう。少し待っていてくれ」

 

 

「はい。ありがとうございます」

 

 

過去問が手に入るか。

まぁ、手に入らない可能性も高いと思ったが。

正解に辿り着いた生徒を邪険にするつもりはないという事か。もしくはここで渡さずにいれば何かあると疑われると考えたのか。

 

まぁ、タダで手に入るならばありがたい。

椎名さんと勉強しよう。

 

クラスにコピーして配るとかは暫く様子見だな。

龍園が過去問を手にいれたら照らし合わせて確認すれば良い。

 

とりあえず、龍園に連絡するか。

 

 

 




龍園がクラスのリーダーになった時期がわからないので本作ではSシステムが判明した直後に動いた事にしてます。

四月から動いたのならばクラスポイントがAクラスはないにしてもBクラスに近いポイントがあってもおかしくないと思いました。

四月のうちに下準備をしてシステムが判明すると即座に動いたという事。


中間テストの攻略法である過去問については主人公は先生から手に入れました。
上級生から交渉してもらうよりも確実だと思います。
それに勉強熱心な生徒が勉強のために過去問を下さいと言ってそれを断る先生ってどれくらいいますかね?


原作で櫛田さんが過去問を貰うなんてずるいと言っていましたが実際のところ過去問ってずるいんですかね?

作者的には事前に頼んでおけば貰えてもおかしくはないと思うのですが?
まぁ、大学の過去問とか入試の過去問とかと同列に考えたらダメなのかもしれないですけど。
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