ギィ・・・バタン。
先輩たちが教会から出てきた。
先輩、すごく嫌そうな顔ですね。
「なんなんだ、あの皮肉屋の神父は?」
質問と言うより、思わずこぼれた本音ですね。それに姉さんが答えます。ウンウンと頷きながら。
「むかしから、誰に対してもああいう奴なのよ、綺礼は。」
先輩はさらに、ゲッソリとした表情になりました。
「なんでさ・・・よく神父がつとまるな。」
「私もそう思う。」
コクコクコクコクと頷きながら姉さんが同意してます。
おじさまのおかげで、姉さんと先輩が共感しあえてます。
「とりあえず、家に帰りましょう。」
姉さんの提案どおり、家路についてしばらくしたところで・・・
「また会えたね、お兄ちゃん。」
敵のマスターに会ってしまいました。
「「!!!!」」
「安心して、人払いの結界をはったから、魔術の秘匿は万全よ。バーサーカー!!」
鉛色の巨体。
鎧どころか、腰にボロ切れを纏う程度で衣服すらまともに身に付けていない。
手に持つのは剣とも斧とも言い難い石片に取っ手をつけたような武器。
赤黒く光る眼光のサーヴァントが現れた。
「なるほど、あれは見るからにバーサーカーね。」
「そうよ。私のバーサーカーは最強のサーヴァントなんだから。」
腰に手を当て、可愛らしく胸を張る。
そんな仕草すら、おそろしい。
「士郎。持久戦に持ち込むわよ。バーサーカーは理性と引き換えにステータスを上昇させたサーヴァント。だけど弱点もある。」
「弱点?」
「燃費が恐ろしく悪いの。今までの聖杯戦争で、バーサーカーのマスターはことごとく魔力切れで自滅してる。」
そう説明しながら、姉さんは魔術回路にスイッチを入れる。
「それに対して、私のキャスターは燃費いいのよ。そして私は魔力量に自信があるわ。さらに、遠坂は代々宝石魔術を得意としてるわ。もちろん私もね。言うなれば予備タンクを常備してるってわけ。」
「作戦会議は終わった?じゃあ殺すね。やっちゃえバーサーカー。」
「■■■ーー!!!」
「フッ!!!」
バーサーカーさんが突進してくる!!
それに合わせてセイバーさんも前に出て、二人は激突した。
お互い真っ向勝負を得意とするようです。
「士郎、指揮は私に任せて。」
「わ、わかった。」
「バーサーカーはセイバーに任せたわ。キャスターは私と士郎を守って!!私が敵のマスターを仕留める!!」
「えっ!?ちょっと待て、遠坂!!あんな小さな女の子を・・・」
「キャスター!!」
「ハい。」
ぐるぐる巻きにします。触手で。
「むー!!むー!!」
そんなにあわてなくても、窒息しない程度には加減してますよ。これぐらいやらないと先輩はすぐ死に急ぎますから。
「あら?私と魔術勝負する気?凛ったら自信家なのね。」
そういうとイリヤちゃんは、白銀の針金細工でできた鳥のような使い魔を造り出した。
「ガンド!!」
「フフッ、なにそれ?可愛らしい攻撃ね。」
姉さんの指先から放たれた黒い魔力の弾丸、ガンドと呼ばれるそれは、使い魔に防がれる。イリヤちゃんを庇って被弾したのにまるでダメージが感じられない。
「チッ!!ならこれはどう!?」
宝石に魔力をこめ、威力を増加させてる。
これならサーヴァントでも喰らえばタダでは済みません。
「ムダな事よ。」
使い魔の形状が変化した!?
盾の形になった使い魔は宝石魔術を弾いて、さらに、剣の
形に変わった。
「つまんない、これで終わりにするわね。」
させません!!
「あら?キャスターなのに変わった能力ね。」
触手で絡めとって、泥に引きずりこむ。
たとえ強力な使い魔でも、こうすれば容易に溶解・吸収できます。
「ふーん、遠坂のサーヴァントなのに間桐みたいな魔術ね。ちょっと厄介・・・バーサーカー!!キャスターから片付けなさい!!」
ウソ!?
セイバーさんを相手にしていたのに、容易に彼女を振り切って、こちらに突進して来ます。
いったん下がって・・・
「させないわよ。」
「ちょっ!!アンタ何者!!そんな使い魔を何度も!!」
さっきの針金細工のような使い魔が、今度は最初から剣の形で造られました。
姉さんを庇わないと、最悪でも私が消滅するだけなら、構いません!!
「ストライク・エア!!」
「あらっ!?」
使い魔がセイバーさんの攻撃で吹き飛ばされた。
この隙に姉さんと先輩を触手で保持して、距離をとる!
セイバーさん、助かりました。
「無事ですか?凛、キャスター。」
「ええ、なんとか。」
「おかゲ様で。」
それにしても、いくらなんでも異常です。
バーサーカーを使役しながら、宝石を使ってる姉さんと魔術を撃ち合って圧倒できるなんて・・・まさか、私と同じ!?
「キャスター。私の宝具を使います。」
「できれば奴に上をとらせたい。そうでないと周囲の被害が大きすぎますので。」
それしかなさそうですね。姉さんも頷いてます。
それなら、やってみせますとも。