私たちは、日課になった居間で食事を摂りながらの作戦会議をはじめる。
「ちょっと今日は街に出るのは無理ね。」
「どうかしたのか?」
「体調不良よ。」
なるべく無愛想に答える。それでもかまわず心配するのがこの同盟者なんだけど。
「だったら医者に診てもらわないと。」
「風邪とかじゃないのよ。・・・女の子の日よ。」
「えっ、あっ、その・・・」
本当に単純というか、純情なのね。顔真っ赤にしちゃって。
「わかったら部屋には近づかないでね。今すごくイライラしてるの。」
それだけ言いきって席を立つ。部屋に戻ってから本当の作戦会議だ。
「凛、そういうことなら今はやめておきますが、後で改めて伝えたいことがあります。」
「・・・わかったはセイバー、後でね。」
・・・だいぶ後になりそうだけど、それは伏せておくべきね。
部屋に戻って、万が一にも盗み聞きされないように魔術をかけて・・・ヨシ。会議を始めるわ。
「姉さん・・・悪女ですね。」
「話そらして部屋に近づけないようにするにはアレが一番よ。」
さあ、大博打の始まりよ!!
◇◇◇◇◇◇
スパーン!!
俺がセイバーに竹刀で打たれる音だ。
街の探索が無くなったので、彼女に剣の稽古をつけてもらうことにした。
セイバーは「付け焼き刃ではどうにもなりませんよ。逃げ足でも鍛えた方が建設的です。」と言いながらも付き合ってくれている。
覚悟はしていたが一本もとれてない。
こちらの竹刀はセイバーにかすりもせず、一方的に打たれっぱなしだ。
怪我をしない程度に加減してもらってるが、これは精神的にこたえる。何をやっても通用しない。
「理解できたと思いますが、筋力や反射速度がサーヴァントと人間では土台から違います。さらに、英雄として名を馳せた者なら技術面でも常人の及ぶところではありません。」
痛いほどわかる。わかってはいるが、だからと言ってへこたれないのが俺の取り柄だ。
「ん?セイバー、どうかしたのか?」
「いえ、少し思い返していまして。やはり・・・」
思案顔でうつむいていたかとおもえば、セイバーは急に視線をあげた。
そして歩きだして・・・おい、ちょっと待て!!
「えっ!?そっちは遠坂の部屋だぞ。いまは・・・」
ちょっと待ってくれ、そっちは本当にまずい。
スパン!!
勝手に遠坂の部屋に入った!!って、アレ?
「誰もいませんね。前回はこんなことはありませんでしたし、悪い予感があたりました。」
前回?なんのことかわからないが、それより気になるのは・・・
「なんで、遠坂たちはどこに?」
俺たちを置いて探索に出たのか?何故?
「!!桜に連絡を、早く!!」
逆らってはいけない感じがしたので、すぐ言われたとおり携帯を操作する。
「あれ?・・・携帯が繋がらない・・・」
「こころ当たりは?たとえば綾子なら、なにか知っているかもしれません。」
「そうだな。」
何かよくわからないけど、確かに嫌な予感がする。すぐに桜のそばに居てやらないと、一生後悔するような予感が。
なんでセイバーが綾子を知っているんだ?
◇◇◇◇◇◇
私は外出した。
とくに目的はない、間桐の家にはいたくない。だけど、先輩の家にもいられない。なにをするわけでもなく新都の街をふらついていた。
我ながらなんとも非生産的なことだと思う。
でも、もう日が落ちる。帰りたくもないけど帰らないといけない。
「?」
ふと視線を感じて路地に顔をむけると、そこには顔を仮面で隠し、ローブをまとった不審者が立っている。
不審者・・・違う。ただの不審者は魔力なんて持ってない!!服を触手のように変化させたりしない!!
正体不明の黒いローブのサーヴァント。私が魔術師でマスターだと知られてる!?
逃げなきゃ、死にたくない!!
それでも黒いサーヴァントの触手は、執拗に私を狙ってきて、ダメだ・・・避けられない・・・
「ーさせませんー」
ジャラジャラシャラ!!
鎖の音がしたと思ったら、触手のすべてが叩き落とされていた。ライダー、私が召喚したサーヴァントが守ってくれた!?兄さんといっしょにいるはずなのに?
だけど兄さんの姿は見当たらない、何があったのだろう?
「ここは私が引き受けます。はやく逃げてください。」
理由はわからないけど助かった。言われたとおりに逃げようとした、そのとき、信じられないものを耳にした。
「そう・・・邪魔するのね。ライダー。」
私の口ではないのに、私の声が聞こえた。