「なんで・・・私と同じ声・・・」
サーヴァントが仮面を外すと、そこには色違いの髪の私の顔があった。
「知りたい?私が誰がなのかを。」
見れば見るほど同じ顔、そして同じ声。貴女は誰なの?なぜ、私をマスターと知っているの?なぜ、そんな光のない目で私を見ているの?
「耳を貸してはなりません!!姿形を真似る魔術などいくらでもあります!!はやく逃げてください!!」
ライダーの声で体のこわばりがとれた。そうだ、そうに決まってる。惑わされずにすぐ逃げるべきだ。
私は踵を返して走りだした。
◇◇◇◇◇◇
ライダーと戦うことは覚悟していた。彼女が私のやろうとしていることを知ったら止めようとするだろう。
腰を高く、頭を低く、四つん這いで飛び掛かろうとする構えはまるで猫科の獣のよう。
しかし、ライダーは構えたまま動かない。
できれば彼女は殺したくない。一度飲み込んで味方にできるだろうか?退いてもらてるならそれが一番なのだけど。
ジャラジャラジャラ!!
「失せなさい。」
平坦な声と共に、鎖とつながれた杭が向かってくる。でも宝具でもないただの杭ならば、私の触手と泥で迎え撃つのは難しいことではない。それに・・・
「急所は外してくれるのね?なら、わかってるでしょ。私も桜だということが。」
ごとごとく攻撃を撃ち落としてから語りかけた。やはりライダーは私に甘い。明らかに本気ではない。
「・・・」
「邪魔しないで、私の気持ちはわかるでしょう?もし、貴女がお姉さんたちを食べてしまう前の自分にあったらどうするの?」
ライダーの足が動かなくなった。もう一押し。
「今の私はちょうどそういう状況なの。」
◇◇◇◇◇
形のない島で、私は上姉様と下姉様を■べた。どれほど後悔したかしれない。ああなる前に死んでおくべきだったのだろうか?いや、それでは姉様たちを守れない。ならば、神の怒りを買う前に死ねば、あるいは私のような妹など最初からいなければ、姉様たちは幸せだったのだろうか?
「貴女は・・・いったい。」
「救われなかった間桐桜。他の何に見えるのかしら。」
「何があったのです。」
「貴女もわかってるはず。」
「答えてください!!」
聞きたくはない。しかし、確かめなければいけない。
「『化物になった』間桐桜よ。姉さんも先輩もみんな食べてしまった。そして、やはり無理があったのでしょうね。体はすぐに崩壊したの。お爺様にしてみれば、願いを叶えるまでもてば、そのあと聖杯が壊れても問題ないのだから、耐久性なんて考えてなかったのでょう。」
血の気が引いていくのが自分でもわかった。
「貴女の世界の私は、貴女を守れなかったのですか・・・」
「恥じることはないわ。誰にもできなかった、私自身ですら諦めていたのだから。」
「今度は貴女の協力があれば、あるいは・・・」
言い切る前に黒い帯のような触手が、先程まで私がいた場所に突き刺さった。
「もう一度失敗したらどうするの!!」
桜は肩を怒らせながら絶叫していた。うつむいたせいで表情は読めない。
説得は無理なようです。やむを得ない。なんとか殺さずに撃退を・・・
バシャッ。
「!?」
いつのまに泥が!!足元まで!?
ガン!!
触手で打たれた衝撃で泥に手をついてしまった。これで手足ともに泥で動きが封じられた。
しかし衝撃で眼帯が外れたのは好都合だ。なんとかあの桜を石化させる。
「私には効かない。」
そう宣言しながら、黒い桜は近づいて私の頬に手をそえた。
「そんな、なぜ・・・」
私の魔眼を至近距離で受けているのに。
「姉さんにもらった魔殺しのコンタクトレンズがあるもの。」
「安心して、貴女を傷つける気はないの。しばらく私の中でねむっていてね。」
体に泥と触手が次々とまとわりつき、そこで私の意識は途絶えた。