「あ、あの貴女は・・・」
「シロウのサーヴァントです。サクラを助けに来ました。早く逃げてください。」
「先輩の・・・」
「そうです。ここは私に任せて、早く!!」
弾かれるようにこちらの私はかけ出していく。追いかけたいが、セイバーさんほどの強者の前でそれは致命的な隙だろう。
まずは彼女から片付ける。
対魔力Aのセイバーさんには、魔力の塊をぶつけても効果はない。
触手しかない。
「消えて!!」
手数で押しきれば!!
「ストライク・エア!!」
ダメだ。ひらひらした私の触手は風の抵抗をモロに受けてしまう。
あせりを表情には出すな、薄ら笑いを浮かべ続けて移動しながら攻撃を続行するのが正解のはず。
触手は攻撃手段というだけではない、張り巡らしたものを使って、高速で、立体的に移動する手段にも使える。動きをとめたら一気に懐をとられる。そうなったら私にはセイバーさんの剣をかわすことはできない。たえず動き回らないと。
ヒュンヒュンヒュン!!
ガンガンガンガンッ!!
地面に、ビルの壁面に、次々と私の触手が突き刺さる。セイバーさんにはかすりもしない、だけどそれでいい。
鉄骨に触手を巻き付けて、引き倒す!!
「潰れろ!!」
宙を舞った私から放たれた触手が、鳥籠のようセイバーさんを取り囲み、ビルの壁面が崩れ、彼女目掛けて降り注ぐ。
「エクスッ・・・」
宝具を放とうとして躊躇してる。やはり彼女は英雄だ。強力すぎるエクスカリバーが周囲に及ぼす被害を考慮したのだろう。
だけど、それが命取り。
ガラガラガラ!!
「ハアッハアッ・・・やった。これならセイバーさんでも・・・」
容赦なく降り注ぐ瓦礫の下敷きになったのだ。いくらなんでもこれで無事ということはないだろう。
ドンッ!!ガラッ!!
「見事です。」
瓦礫を蹴りあげて姿を現しながら、称賛の声をあげる。憎たらしいほど強者の風格を漂わせながら。
「そんな!!」
「すっかり戦いなれしていますね。以前とは大違いですよ。」
そう声を投げ掛ける表情には見覚えがあった。私の騎士だった『彼女』のそれが、なんでココに。
「まさか?・・・貴女も・・・私と同じなんですか?」
「ええ、挨拶が遅れて申し訳なく思いますよ。元マスター。」
「だったら!!だったら私の言ってることがわかりますよね!?また先輩を死なせたいんですか!?なんで邪魔するんです!?」
「シロウの望みを叶えるためです。」
「いま・・・なんて?」
「シロウは貴女の事情を知っています。私の知り得る範囲ですべてを伝えました。その上で、いかなる困難がともなおうとも、シロウはサクラを助けると決断したのです。」
先輩に知られてる!?なんてことを!!
「ならば私は、シロウの宿業断ち斬る剣となる。」
どうしてそうなるんですか?
どうして話してしまうんですか?
どうして引き止めないんですか?
先輩の命令なら、先輩を死なせることでもするんですか?
貴女はもっと強い意思を持つ人だと思ってました。
「わかりました・・・セイバーさんは私を恨んでるんですね?」
「???何を言っているのです?臓硯ならいざ知らず、サクラに恨みなどあろうはずがありません。」
「隠さなくてもいいですよ。考えてみれば恨まれないはずがないですから。でも、まさかその為にここまでするなんて!!」
「私が私怨で戦うとでも言うのか!?それは侮辱だ!!聞き捨てなりません!!」
「なら力ずくで黙らせればいいでしょう!!」
触手を高々と掲げて、雨あられと振り下ろす。
わかってる、セイバーさんには私の単調な攻撃なんて当たらない。
これは目眩まし。
派手な動きを意識させて・・・足元に忍び寄らせた泥で・・・
タンッ!!
飛び上がって避けた?なんで?足元なんて見てなかった!!まさか直感だけで!?
あっけにとられてる場合じゃない。セイバーさんは私の背後に着地した。後ろをとられた。触手を盾にして防御!!
ガギンッ!!
「その『泥』は前回見た!!」
曇りのない力強い視線で射ぬかれた。
「同じ轍は二度と踏まない!!剣の英霊を侮るな!!」
わかってる。セイバーさんは諦めることを許さないと言っている。だけど・・・
「私だって!!今度は自分で決めたんです!!姉さんとも相談して、出した答えがコレなんです!!だから!!私を殺すのが一番いいんです!!」