Fate/Black Lotus 泥中之蓮   作:杉田雅俊

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空のハート

 

召喚した妹から聞いた話の感想は、なんだその地獄は?だった。

 

参加するマスターは姉である私、ひそかに想いを寄せてる士郎、義理の兄の慎二。

 

聖杯戦争の参加者のほぼ半数が身内、どう立ち回ったところで誰かは倒さなければならない。ハッピーエンドはあり得ない。

 

それでまだ序の口。

 

結局桜はその全てと、自分自身も喪った。

 

さぞや辛かったでしょうね。でも、そんな日々ももう終わるのよ。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

ようやく妹と二人きり、だけど桜は構えらしい構えもとらない。否、構えなど知らないのだろう。

 

私はアゾッド剣を取り出し、刺突の構えをとる。

 

「動かないでね、外してしまうから。」

 

まぁ、そう言われてジッとしてる奴はいないだろうけど。やはり、青い顔して何か喚きだしたわ。

 

「まって下さい、姉さん!!私はまだ・・・」

 

ザクッ!!

 

問答する暇はない、懐に飛び込み、寸分違わず妹の心臓をアゾッド剣で貫いた。これで良し。仕留めた!!

 

ブウン!!ブウン!!

 

ン?羽音?

 

胸の傷口から何か飛び出して来た!!

 

「おのれ!!遠坂の小娘!!」

 

こいつ、こいつが諸悪の根元。妹に寄生していた腐れ外道!!

 

「くたばれ!!ガンド!!」

 

こいつを仕留め損ねるわけにはいかない。

 

「死なぬわ!!ワシはまだ死なぬ!!」

 

この蟲爺!!ちょこまかと!!何年生きれば気が済むの!!あーでも逃げ足早い。

 

「無駄なことよ。手駒一つ奪った程度でワシに勝ったつもりか!?」

 

シャクに触る捨て台詞を吐くな!!追撃は・・・無理ね。それより先にやらないといけないことがある。まずはこのルビーで・・・

 

シュバッ!!タン!!

 

「やりましたね!!」

 

セイバーを倒したか、振り切ったのか、屋上に飛び降りてキャスターの桜がそばに来てしまった。

 

「まだ処理が残ってるわ。」

 

「そうですね。任せてください、邪魔はさせません。」

 

ダン!!

 

「何を言っているのです!?」

 

セイバーも駆けつけてきた。厄介なことになったわね。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

遅かったか。桜を助けるには一歩及ばなかった。すでにその心臓には刃が突き立てられている。

 

それだけではなく、気になる言葉を聞いた。『処理』とはなんのことだ?

 

「死人に一体何をするつもりなのですか。」

 

「私の死体の処理を、言峰のおじさまには任せられません。聖杯のカケラや架空元素の持ち主の魔術回路を悪用されるおそれがあります。わかりますよね?」

 

「それは・・・たしかに。」

 

「私が跡形もなく『食べて』しまえば証拠隠滅も兼ねることができますが、それでは勿体ないでしょう?姉さんに活用してもらえば安心です。だから邪魔しないで下さいね。」

 

理屈はわかる。しかし、『らしく』ない。例え勝利のために合理的だろうと、妹の亡骸から魔術回路を剥ぎ取るなど、私の知っている凛がすることではない・・・いや?これは・・・

 

宝石魔術で、治療しているように見えるが?

 

「姉さん・・・何をしてるんです?なんで、切り札のハートのルビーの魔力が空に・・・なってるんです?」

 

桜の顔に生気が戻り、胸が上下している。やはり蘇生されているようだ。

 

「ごめんなさい・・・やっぱり妹は殺せない・・・」

 

「・・・最初からですか?止められて止まるように見えなかったから、私の話に乗ったふりをして、最後の最後でこうするつもりだったんですか?」

 

「・・・そうよ。」

 

ああ、なるほど。凛は嘘が、というか口が上手かったですね。大河をものの見事に丸め込んで、シロウの家に住むことを納得させていたのを思い出します。

 

凛は片手で桜を抱き締めながら、もう片方の令呪の刻まれた手の甲を差し出して懇願する。

 

「こんなマスターは信じられないって言うなら、この場で令呪を全て放棄してもいい。お願いだから力を貸して。」

 

「・・・姉さんはズルイです。」

 

桜の声が震えている。

 

「私なんかが、先輩のそばにいちゃいけないってわかったから、だから、私にはもう姉さんしかいないんです。令呪なんかなくたって、私が・・・姉さんに逆らえるわけないんです。」

 

桜の表情も悲痛ですが凛はそれ以上です。それはそうでしょうね。そんな理由で従われて喜べるはずもありません。

 

それと、こうなると私がやったことは余計なお世話だったかもしれませんね。謝罪が必要でしょうか?

 

いえ、他人の私がこの場にいる方が野暮かもしれません。謝罪なら後でできます。黙って立ち去るのが正解でしょう。出口は・・・というか階段はあっちですね。

 

おや、下の階から足音が。

 

「いったい・・・この状況はなんなんだ?」

 

ふらふらしながらシロウが階段を上がってきました。

 

「シロウ、タイミングが悪いですね。」

 

「なんでさ。」

 

どう説明したものでしょう?

 

 

 

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